n;17.4 59.2±28.9
AUC0~∞(ng・h/mL) 8168±2089 13524±9763
CL/fm注2)(L/hr) 3.05±0.61 7.11±3.41
Vdss/fm注2)(L) 190±23 325±103
平均±標準偏差
注1:本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。
注2:fm:テムシロリムスからシロリムスへの代謝率
臨床成績
1. 国内臨床試験6)
国際共同(アジア)第II相臨床試験
日本、中国及び韓国で実施した国際共同(アジア)第II相臨床試験において、進行性腎細胞癌患者82例を対象として、本剤20mg/m2 注)(6例)又は25mg/body(76例)を1週間に1回、30~60分かけて点滴静脈内投与を行うスケジュールで投与した結果、20mg/m2投与群注)に奏効例はなく、25mg/body投与群の奏効例は9例(11.8%)であった。
注:本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。
2. 海外臨床試験7)
海外第III相臨床試験
高リスク注1)の未治療進行性腎細胞癌患者を対象とした第III相臨床試験において、本剤投与群(25mg週1回点滴静脈内投与)は、インターフェロン-α投与群に比較して、全生存期間の有意な延長が認められた。なお、本剤とインターフェロン-αとの併用時は延命効果が検証されていない。
注1:以下に示す6項目の予後因子のうち3項目以上に該当する患者
・腎細胞癌と診断されてから本試験の無作為割付けまで1年未満
・Karnofsky一般状態(PS)が60%~70%
・ヘモグロビン値が基準値の下限未満
・補正カルシウム値>10mg/dL
・乳酸脱水素酵素(LDH)値が基準値上限の>1.5倍
・転移巣数>1
(表2参照)
表2 海外第III相臨床試験(第2回中間解析結果)
評価指標 インターフェロン-α投与群
(207例) 本剤投与群
(209例) 本剤とインターフェロン-α併用投与群
(210例)
全生存期間の中央値(カ月)(95%信頼区間) 7.3(6.1,8.9) 10.9(8.6,12.7) 8.4(6.6,10.2)
ハザード比注2)(95%信頼区間) ― 0.73(0.58,0.92) 0.96(0.76,1.20)
P値注3) ― 0.0083注4) 0.6956
注2:Cox比例ハザードモデル(腎切除の有無及び地域により層別)
注3:log-rank検定(腎切除の有無及び地域により層別)
注4:第2回中間解析の有意水準0.0135(O’Brien-Fleming法に基づく)よりも小さいため、統計学的に有意であると判定した。
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用8,9)
本剤は米国国立がん研究所のヒト腫瘍細胞株パネル(ヒト腎細胞癌由来細胞株として、786-O細胞株、UO-31細胞株、TK-10細胞株、SN12C細胞株、RXF393細胞株、CAKI-1細胞株を含む)を用いたin vitro試験において、ヒト腎細胞癌由来細胞株の増殖を抑制した。また、in vivo試験において、ヌードマウスに移植したヒト腎細胞癌由来細胞株(A498細胞株)の増殖を抑制した。
2. 作用機序10)
本剤はmTORの活性化を阻害し、その結果、細胞周期のG1からS期への移行を抑制すること、さらに、腫瘍微小環境における血管新生に重要な低酸素誘導性転写因子(HIF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を抑制することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
テムシロリムス(Temsirolimus)
化学名
(1R,2R,4S)-4-{(2R)-2-[(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)-9,27-Dihydroxy-10,21-dimethoxy-6,8,12,14,20,26-hexamethyl-1,5,11,28,29-pentaoxo-1,4,5,6,9,10,11,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,28,29,31,32,33,34,34a-tetracosahydro-3H-23,27-epoxypyrido[2,1-c][1,4]oxazacyclohentriacontin-3-yl]propyl}-2-methoxycyclohexyl 3-hydroxy-2-(hydroxymethyl)-2-methylpropanoate
構造式
分子式
C56H87NO16
分子量
1030.29
性状
本品は白色~灰白色の粉末である。本品はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
承認条件
製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
トーリセル点滴静注液25mg:1バイアル(希釈用液 1バイアル付き)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Fujisaka, Y. et al.:Jpn J Clin Oncol 40(8):732, 2010 [L20100802009]
2)
社内資料:分布 [L20100707003]
3)
社内資料:血漿蛋白結合と血球移行 [L20100707004]
4)
社内資料:代謝及び排泄 [L20100203174]
5)
社内資料:肝機能障害患者における薬物動態 [L20100707002]
6)
社内資料:国際共同(アジア)第II相臨床試験(2217-AP試験) [L20100707001]
7)
社内資料:海外第III相臨床試験(304-WW試験) [L20100203181]
8)