3)。
3)
健康成人男性19例にランデル20mg錠2錠をクロスオーバー法により空腹時に水又はグレープフルーツジュースで単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度及び薬物動態パラメータを図3・表2に示す。
図3 血漿中未変化体濃度
表2 薬物動態パラメータ
算出した薬物動態パラメータを検定(paired t -test)した結果,グレープフルーツジュースでの投与において有意なCmax,AUCの増加及びTmaxの延長が認められた (各p<0.001,p<0.001,p=0.007) 4)。
(2) 腎機能障害患者
腎機能の正常な本態性高血圧症患者8例 (EH群)と腎機能障害を伴う高血圧症患者6例 (RH群)に単回経口投与したとき,EH群及びRH群の薬物動態パラメータ (Cmax,AUC,T1/2)に有意な差は認められなかった5)。
2. 尿中排泄
健康成人男性に単回経口投与したとき,尿中には未変化体は検出されず,投与後24時間までに投与量の約1.6%が代謝物として排泄された。糞中には未変化体はほとんど検出されなかった1)。
臨床成績
承認時(追加承認時を含む)における本態性高血圧症,腎実質性高血圧症,狭心症に対する一般臨床試験及び二重盲検比較試験を含む臨床試験により本剤の有効性が認められた。
表3 疾患別有効率
疾患名 有効例数/有効性
評価対象例数注1 有効率
(%)
本態性高血圧症
(軽症・中等症) 6) 557/633 88.0
腎実質性高血圧症7),8) 41/43 95.3
狭心症9) 140/191 73.3
注1 「下降」及び「改善」以上有効例数/有効性評価対象例数
薬効薬理
1. 薬理作用
(1) 降圧作用
1)
本態性高血圧症患者にランデル錠を経口投与した場合,24時間にわたる良好な降圧効果を示し,血圧・脈拍数の日内変動や日内較差には有意な変化はみられず,血圧日内変動パターンには影響を及ぼさなかった10)。
2)
各種高血圧症病態モデル (高血圧自然発生ラット,DOCA-食塩負荷高血圧ラット,腎性高血圧ラット・イヌ)へのエホニジピン塩酸塩エタノール付加物経口投与において,緩徐で持続的な降圧作用が認められた11)。
(2) 心血行動態に対する作用
1)
本態性高血圧症患者にランデル錠を経口投与したところ,3時間後心拍出量にほとんど影響を与えることなく総末梢血管抵抗の減少を示した12)。
2)
麻酔犬へのエホニジピン塩酸塩エタノール付加物の静脈内投与により,椎骨動脈及び冠状動脈血流量が選択的に増加し,心拍出量及び1回心拍出量の増加,総末梢血管抵抗の減少を示した13)。
(3) 腎血行動態に対する作用
本態性高血圧症患者にランデル錠を経口投与し,腎循環動態をクロスオーバー法にてプラセボと比較した結果,腎血管抵抗の有意な減少 (p<0.05)と腎血流量の有意な増加 (p<0.05)が認められ,糸球体ろ過値については増加傾向が確認された14)。
(4) 抗狭心症作用
労作及び労作兼安静狭心症患者にランデル錠を経口投与した場合,運動負荷による心電図の虚血性変化を改善し,最大運動時間を延長した15)。
各種狭心症モデル(ラット)へのエホニジピン塩酸塩エタノール付加物静脈内投与において,心電図の虚血性変化を改善した16)。
2. 作用機序
細胞膜の膜電位依存性Caチャネルに結合することにより細胞内へのCa流入を抑制し,冠血管や末梢血管を拡張させる17)。そのカルシウム拮抗作用の発現をウサギ大動脈より膜標本を調製し,Caチャネルに対する結合性並びに解離速度を測定した結果,エホニジピン塩酸塩エタノール付加物の結合は 3H-ニトレンジピンの結合に比べて非常にゆっくりであった。また,Caチャネルに拮抗するニカルジピン塩酸塩を過剰に添加した場合,ニトレンジピンは速やかに解離したが,エホニジピン塩酸塩エタノール付加物はゆっくりであった18)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:
エホニジピン塩酸塩エタノール付加物 (JAN)
Efonidipine Hydrochloride Ethanolate (JAN)
化学名:
(±)-2-[Benzyl(phenyl)amino]ethyl 1,4-dihydro- 2,6-dimethyl-5-(5,5-dimethyl-2-oxo-1,3,2- dioxaphosphorinan-2-yl)-4-(3-nitrophenyl)-3- pyridinecarboxylate hydrochloride ethanol
分子式:
C34H38N3O7P・HCl・C2H6O
分子量:
714.18
化学構造式:
性状:
淡帯緑黄色~淡黄緑色の結晶性の粉末で,においはないか又はわずかにエタノールようのにおいがある。
ギ酸,N ,N -ジメチルホルムアミド又はピリジンに溶けやすく,メタノールにやや溶けにくく,エタノール (99.5) に極めて溶けにくく,水,エチレングリコール又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点:
約151℃ (分解)
分配係数:
1000以上[pH 6.5,1-オクタノール/緩衝液]
包装
ランデル錠10:
PTP100錠 (10錠×10),
PTP500錠 (10錠×50)
ランデル錠20:
瓶1000錠
PTP100錠 (10錠×10),
PTP500錠 (10錠×50),
PTP700錠 (14錠×50),
PTP1000錠 (10錠×100)
ランデル錠40:
PTP100錠 (10錠×10),
PTP500錠 (10錠×50),
PTP700錠 (14錠×50)
主要文献及び文献請求先
主要文献
〔文献請求番号〕
1)
中島光好ほか: 臨床薬理, 1991, 22 (3), 673 〔199102926〕
2)
佐野 廣ほか: 社内資料 (NZ-105のLC/MSでの定量法, 1991) 〔199102951〕
3)
矢島洋一ほか: 社内資料 (生物学的同等性の検討, 1995)
4)
矢島洋一ほか: 薬理と治療, 2003, 31 (7), 579 〔200301701〕
5)
横山正一ほか: 日本腎臓学会誌, 1992, 34 (2), 199 〔199202321