それぞれ157.6μg/mL、720.5μg/mLと最高値を示し、6時間後までの胆汁中回収率は約1%である。11)また、扁桃12)、喀痰13)、肺14)、胸水14)、胆のう壁11)、腹水15)、骨髄血16)、髄液17)、膀胱壁18)、前立腺18)、腎18)、骨16)、骨盤死腔滲出液19)、婦人性器19)、臍帯血20)、羊水20)、耳漏12)、副鼻腔粘膜12)等への移行が認められている。なお、乳汁中への移行は痕跡程度である。21)
4.
代謝4,22)
尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない。
5.
腎機能障害時の血中濃度、尿中排泄23)
腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる(図5)。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。
臨床成績
1.
成人感染症
製造販売後の使用成績調査14,121例についての成績概要は表1のとおりである。
2.
小児感染症
製造販売後の使用成績調査416例についての成績概要は表2のとおりである。
表1 疾患別臨床効果(成人)
感 染 症 有効率(有効以上)
例 数 有効率(有効以上)
%
敗血症 340/562 60.5
深在性皮膚感染症 19/20 95.0
慢性膿皮症 148/192 77.1
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 551/787 70.0
骨髄炎 161/204 78.9
関節炎 91/112 81.3
扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む) 131/139 94.2
急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染 1,024/1,289 79.4
肺炎 4,082/5,213 78.3
肺膿瘍 129/174 74.1
膿胸 67/110 60.9
膀胱炎 710/915 77.6
腎盂腎炎 1,346/1,574 85.5
前立腺炎(急性症、慢性症) 31/36 86.1
腹膜炎 770/966 79.7
胆嚢炎 785/918 85.5
胆管炎 490/672 72.9
バルトリン腺炎 6/6 ―
子宮内感染 18/20 90.0
子宮付属器炎 21/25 84.0
子宮旁結合織炎 19/24 79.2
化膿性髄膜炎 56/79 70.9
中耳炎 37/44 84.1
副鼻腔炎 37/40 92.5
計 11,069/14,121 78.4
表2 疾患別臨床効果(小児)
感 染 症 有効率(有効以上)
例 数 有効率(有効以上)
%
敗血症 20/34 58.8
深在性皮膚感染症 1/1 ―
慢性膿皮症 5/6 ―
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 25/33 75.8
骨髄炎 14/18 77.8
関節炎 6/8 ―
扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む) 17/17 100
急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染 19/23 82.6
肺炎 105/125 84.0
肺膿瘍 2/2 ―
膿胸 3/4 ―
膀胱炎 4/4 ―
腎盂腎炎 21/29 72.4
腹膜炎 80/90 88.9
胆管炎 4/4 ―
子宮旁結合織炎 1/3 ―
化膿性髄膜炎 6/8 ―
中耳炎 4/5 ―
副鼻腔炎 2/2 ―
計 339/416 81.5
薬効薬理
1. 抗菌作用24~26)
(1)
グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌作用を示し、特に大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。更にエンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニーに対しても抗菌力が認められている。
(2)
抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度でも殺菌作用を示す。
2. 作用機序27~30)
細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β-lactamaseに比較的安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1B及び3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
セフォチアム塩酸塩(Cefotiam Hydrochloride)〔JAN〕
略 号
CTM
化学名
(6R,7R)-7-[2-(2-Aminothiazol-4-yl)acetylamino]-3-[1-(2-dimethylaminoethyl)-1H-tetrazol-5-ylsulfanylmethyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid dihydroc