他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。
機序・危険因子
機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの調査では、2,132例(静注、点滴静注、筋注を含む)中123例(5.8%)に、製造販売後の使用成績調査(再審査終了時点)では32,284例(静注、点滴静注、筋注を含む)中1,369例(4.2%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。
以下の副作用は上記の調査あるいは自発報告等で認められたものである。
重大な副作用
1.
ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身の潮紅・蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
急性腎不全等の重篤な腎障害(0.1%未満)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
**汎血球減少(0.1%未満)、無顆粒球症(0.1%未満)、顆粒球減少(0.1~5%未満)、溶血性貧血(0.1%未満)、血小板減少(0.1~5%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4.
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5.
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群(0.1%未満)等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
6.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
痙攣(頻度不明)等の中枢神経症状があらわれることがある。特に、腎不全患者にあらわれやすい。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
8.
AST(GOT)、ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
過敏症注2)
0.1~5%未満
発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱
過敏症注2)
0.1%未満
リンパ腺腫脹、関節痛
血 液
0.1~5%未満
貧血、好酸球増多
肝 臓
0.1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-Pの上昇
肝 臓
0.1%未満
LDH、γ-GTPの上昇
消化器
0.1~5%未満
悪心、下痢
消化器
0.1%未満
嘔吐、食欲不振、腹痛
菌交代症
0.1%未満
口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
0.1%未満
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
0.1%未満
めまい、頭痛、倦怠感、しびれ感
その他の副作用の注意
注2)このような場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2)
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
1.
テステープ反応を除くべネディクト試薬、フェーリング試薬、クリニテストによる尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2.
直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
適用上の注意
1.
投与経路
本剤は静脈内注射にのみ使用すること。
2.
投与方法
静脈内大量投与により、まれに血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること。
3.
溶解後
溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも8時間以内に使用すること。この場合、バイアル品では微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。また、バッグS及びバッグGではわずかに微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。
4.
バッグS及びバッグGは、分割投与しないこと。
5.
小児に点滴静脈内注射を行う際には、十分な血中濃度を得るために、30分~1時間で投与を行うこと。
その他の注意
本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
薬物動態
1.
血中濃度
腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は図1~4のとおりであり、用量依存性を示す。
2.
排泄
主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は約60~75%である。また、0.5gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約2,000μg/mL、2~4時間で約350μg/mL、4~6時間で約66μg/mLを示す。2,3)小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は、成人とほぼ同様である。4~6)
3.
体液・組織内移行
胆石症患者に1回1g、2gを静注すると胆汁中濃度は2時間後に