項参照]
13. 交感神経切除後の患者[トリクロルメチアジドの降圧作用が増強される。]
重要な基本的注意
1. 本剤はイルベサルタン100mgあるいは200mgとトリクロルメチアジド1mgの配合剤であり,イルベサルタンとトリクロルメチアジド双方の副作用が発現するおそれがあるため,適切に本剤の使用を検討すること。
2. イルベサルタンは両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者において,腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので,治療上やむを得ないと判断される場合を除き,本剤の使用は避けること。
3. 血清クレアチニン値が2.0mg/dLを超える腎機能障害患者においては,治療上やむを得ないと判断される場合を除き,本剤の使用は避けること。
4. 腎機能障害患者では,血清クレアチニン値上昇のおそれがあるので,定期的に血清クレアチニン値のモニタリングを実施し,観察を十分に行うこと。
5. トリクロルメチアジドは低カリウム血症を発現させるおそれがあるので,定期的に血清カリウム値のモニタリングを実施し,観察を十分に行うこと。
6. トリクロルメチアジドは高尿酸血症を発現させるおそれがあるので,定期的に血清尿酸値のモニタリングを実施し,観察を十分に行うこと。血清尿酸値の上昇が観察された場合は,その程度に応じて投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7. イルベサルタンは高カリウム血症の患者において,高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので,治療上やむを得ないと判断される場合を除き,本剤の使用は避けること。また,腎機能障害,コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では,高カリウム血症が発現するおそれがあるので,血清カリウム値に注意すること。
8. アリスキレンを併用する場合,腎機能障害,高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお,eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については,治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
9. 本剤の投与によって,一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので,そのような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,特に次の患者では低用量から投与を開始し,増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこと。
(1) 利尿降圧剤投与中の患者
(2) 厳重な減塩療法中の患者
10. イルベサルタンを含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に重篤な肝機能障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11. 降圧作用に基づくめまい,ふらつきがあらわれることがあるので,高所作業,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
12. 手術前24時間は投与しないことが望ましい。
13. トリクロルメチアジドの利尿効果は急激にあらわれることがあるので,電解質失調,脱水に十分注意すること。
14. 連用する場合,トリクロルメチアジドによる電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
15. 夜間の休息が特に必要な患者には,夜間の排尿を避けるため,午前中に投与することが望ましい。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン,トリアムテレン等
カリウム補給剤
塩化カリウム
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので注意すること。
機序・危険因子
イルベサルタン:
機序:アルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。
危険因子:腎機能障害のある患者
2. 薬剤名等
アリスキレン
臨床症状・措置方法
腎機能障害,高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため,腎機能,血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。なお,eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については,治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
機序・危険因子
イルベサルタン:
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
3. 薬剤名等
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
COX-2選択的阻害剤
臨床症状・措置方法
降圧作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
イルベサルタン:
血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により,本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
4. 薬剤名等
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
COX-2選択的阻害剤
臨床症状・措置方法
腎機能が低下している患者では,更に腎機能が悪化するおそれがある。
機序・危険因子
イルベサルタン:
プロスタグランジンの合成阻害により,腎血流量が低下するためと考えられる。
5. 薬剤名等
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
COX-2選択的阻害剤
臨床症状・措置方法
利尿降圧作用が減弱されることがある。
機序・危険因子
トリクロルメチアジド:
非ステロイド系消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用による腎内プロスタグランジンの減少が,水・ナトリウムの体内貯留を引き起こし,利尿剤の作用と拮抗する。
6. 薬剤名等
バルビツール酸誘導体
アヘンアルカロイド系麻薬
アルコール
臨床症状・措置方法
臨床症状:起立性低血圧を増強することがある。
機序・危険因子
トリクロルメチアジド:
これらの薬剤は血管拡張作用を有するので,チアジド系利尿剤の降圧作用が増強されると考えられる。
7. 薬剤名等
昇圧アミン
ノルアドレナリン,アドレナリン
臨床症状・措置方法
昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので,手術前の患者に使用する場合には,本剤の一時休薬等を行うこと。
機序・危険因子
トリクロルメチアジド:
併用により血管壁の反応性の低下及び交感神経終末からの生理的ノルアドレナリンの放出抑制が起こることが,動物試験で報告されている。
8. 薬剤名等
ツボクラリン及びその類似作用物質
ツボクラリン塩化物
臨床症状・措置方法
麻痺作用を増強することがあるので,手術前の患者に使用する場合には,本剤の一時休薬等の処置を行うこ