糞中49.0%であり、イヌにおいては尿中22.2%、糞中66.4%であった。
5. 肝機能又は腎機能障害者における薬物動態6)
がん患者において、肝・腎機能正常の場合と肝機能障害(肝への浸潤・転移が30%~70%)又は腎機能障害(クレアチニンクリアランスが 60mL/min以下)がある場合を比較するために、本剤120mg/m2/日を30分点滴静注後の薬物動態を評価した。肝・腎機能正常、肝機能障害及び腎機能障害者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった(海外データ)。
(表2参照)
薬物動態の表
表1
Dose
(mg/m2) 例数 t1/2
(hr) Tmax
(hr) Cmax
(ng/mL) AUC0-t
(ng・hr/mL) Vz
(mL) CL
(mL/hr)
90 3 0.53±0.09 0.8±0.3 7250±3303 8327±3626 15075±4491 20246±8185
120 6 0.47±0.05 0.9±0.2 8616±4488 10212±5759 17532±10578 25963±15531
(平均値±標準偏差)
表2
例数 Tmax
(min) Cmax
(ng/mL) t1/2
(min) AUC0-t
(hr・ng/mL)
肝・腎機能正常 12 29.6±7.2 10780±7024 28.2±15.9 11654±10590
肝機能障害注5 12 29.6±4.0 9893±3335 26.9±7.6 8868±4260
腎機能障害注6 12 31.3±10.0 9749±2542 26.4±6.4 8013±3404
(平均値±標準偏差)
注5:総ビリルビン0.5~2.0mg/dLの患者
注6:透析患者5例を含む、クレアチニンクリアランスが9.05~35.73mL/minの患者
臨床成績
国内で実施された臨床試験成績7)
癌化学療法又は抗体療法の治療歴を有する低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫の患者を対象に、本剤を単独で最大6サイクルまで投与された臨床成績は以下のとおりであった。
臨床成績の表
疾患名 例数 奏効率
(完全寛解+部分寛解/例数) 完全寛解率
(完全寛解/例数) 1年無増悪生存率
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫 58例 89.7%
(52/58例) 65.5%
(38/58例) 70.4%
マントル細胞リンパ腫 11例 100%
(11/11例) 72.7%
(8/11例) 90.0%
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用8)
ベンダムスチン塩酸塩は、in vitro試験において、ヒト低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫由来細胞株(DOHH-2)及びマントル細胞リンパ腫由来細胞株(Z-138、REC-1)に対して、細胞増殖抑制作用を示した。また、ベンダムスチン塩酸塩は、SCIDマウスの皮下にDOHH-2細胞株を異種移植したin vivo試験において、腫瘍増殖抑制作用を示した。
2. 作用機序
ベンダムスチン塩酸塩は、アルキル化作用によりDNAを損傷し9)、p53依存性10),11)及び非依存性12),13)のアポトーシス誘導、並びに有糸分裂期のチェックポイント阻害による分裂期崩壊誘導10)といった複数の機序を介して、殺細胞作用を示す。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ベンダムスチン塩酸塩
(Bendamustine Hydrochloride)(JAN)
化学名
4-{5-[Bis(2-chloroethyl)amino]-1-methyl-1H-benzoimidazol-2-yl}butanoic acid monohydrochloride
構造式
分子式
C16H21Cl2N3O2・HCl
分子量
394.72
性状
ベンダムスチン塩酸塩は、白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。
メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノール又はアセトニトリルに溶けにくく、アセトン又はクロロホルムに極めて溶けにくく及び酢酸エチルにほとんど溶けない。
取扱い上の注意
1.
包装開封後もバイアルを箱に入れて保存すること。
2.
調製時には、手袋を着用することが望ましい。
包装
100mg/1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
〔文献請求番号〕
1)
社内資料:薬物動態〔国内第1相臨床試験(2006001試験)〕〔TRA-0100〕
2)
社内資料:薬物動態〔海外非臨床試験(KLG/06試験)〕〔TRA-0002〕
3)
社内資料:薬物動態〔海外非臨床試験(DM-2008-006試験)〕〔TRA-0106〕
4)
Teichert J. et al.:Drug Metab. Dispos., 33, 984(2005)〔TRA-0058〕
5)
Teichert J. et al.:Drug Metab. Dispos., 37, 292(2009)〔TRA-0075〕
6)
社内資料:薬物動態〔海外臨床試験(98B03試験)〕〔TRA-0003〕
7)
Ohmachi K. et al.:Cancer Sci., 101, 2059