投与時に比し、それぞれ1.20倍、1.86倍に上昇した9)。
4. 血漿蛋白結合率(in vitro)
健康成人女性の血漿を用いたin vitro試験における本剤(100ng/mL)の蛋白結合率は94.5%であった10)。結合蛋白質は主にアルブミンと考えられた11)。
薬物動態の表
単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量 Cmax
(ng/mL) tmax
(hr) t1/2α
(hr) t1/2β
(hr) AUC0-∞
(ng・hr/mL)
0.5mg 17.5±2.2 0.9±0.2 0.749±0.201 7.06±1.00 154.9±34.2
1mg 34.7±3.1 1.3±0.6 0.772±0.364 6.65±1.49 320.4±56.7
2mg 76.1±14.6 1.2±0.4 0.580±0.209 7.66±1.22 695.1±114.2
(Mean±S.D., n=6)
反復投与時(1mg×2回/日)の薬物動態パラメータ
投与回数 Cmax
(ng/mL) tmax
(hr) t1/2β
(hr) AUC注)
(ng・hr/mL)
1回目 28.0±3.2 2.1±0.9 8.56±1.91 313.5±29.2
11回目 42.9±2.7 2.7±0.5 12.44±3.17 341.2±31.5
(Mean±S.D., n=6)
注)1回目のAUCは無限大時間まで外挿した値。11回目は投与12時間後までの値。
臨床成績
1.
二重盲検比較試験(24週間投与)
月経時の自覚症状、月経時以外の自覚症状、他覚所見の全てを有する子宮内膜症患者を対象とした二重盲検比較試験(24週間投与)における本剤の「全般改善度(投与終了時)」の「改善」以上の改善率は78.1%(100/128)であった。また、本剤の「月経時以外の自覚症状の概括改善度(投与終了時)」の「改善」以上の改善率は80.5%(103/128)、「他覚所見の概括改善度(投与終了時)」の「改善」以上の改善率は78.1%(100/128)、「月経時の自覚症状の概括改善度(再来月経終了時)」の「改善」以上の改善率は63.3%(81/128)であった12)。
2.
長期投与試験(52週間投与)
月経時の自覚症状、月経時以外の自覚症状、他覚所見の全てを有する子宮内膜症患者を対象とした長期投与試験(52週間投与)における本剤の「全般改善度」の「改善」以上の改善率は投与24週、投与52週で各々72.5%(95/131)、90.6%(106/117)であった。また、本剤の「月経時以外の自覚症状の概括改善度」の「改善」以上の改善率は投与24週、投与52週で各々77.9%(102/131)、84.6%(99/117)、「他覚所見の概括改善度」の「改善」以上の改善率は投与24週、投与52週で各々78.6%(103/131)、94.9%(111/117)、「月経時の自覚症状の概括改善度(再来月経終了時)」の「改善」以上の改善率は65.9%(89/135)であった13)。
薬効薬理
1.
作用機序
本剤はプロゲステロン受容体に対する選択的なアゴニスト作用を示し、卵巣機能抑制及び子宮内膜細胞の増殖抑制により子宮内膜症に対する有効性を示すと考えられる。
2.
ステロイドホルモン受容体に対する作用
(1) 受容体アゴニスト活性
ヒトステロイドホルモン受容体遺伝子を導入した細胞を用いたin vitro試験で、プロゲステロン受容体に対する選択的なアゴニスト活性を示した14~17)。
(2) プロゲステロン作用
ラット及びウサギを用いたin vivo試験において、子宮に対してプロゲステロン作用を示した18~20)。一方、アンドロゲン作用21)、グルココルチコイド作用22)及びミネラルコルチコイド作用23)は示さなかった。
3. 卵巣機能抑制作用
(1) 健康成人女性
健康成人女性に本剤1日2mgを21日間経口投与したとき、通常の月経周期にみられる血清中エストラジオール及びプロゲステロン濃度の上昇の抑制、血清中LH及びFSH濃度の一過性の上昇の消失が認められた24)。
(2) 子宮内膜症患者
子宮内膜症患者に本剤1日1~4mgを16~24週間経口投与*したとき、血清中エストラジオール濃度は用量の増量に伴い低値を示した。また、本剤1日1~4mg*で、血清中プロゲステロン濃度は全例で卵胞期の基準値以下であり、排卵抑制が示唆された25)。
*:本剤の承認された用法・用量は「1日2mgを2回に分け経口投与」である。
4. 子宮内膜への作用
(1) 子宮内膜細胞の増殖抑制作用
ヒト子宮内膜間質細胞を用いたin vitro試験で、細胞増殖の抑制が認められた26)。
(2) 子宮内膜の偽脱落膜化
子宮内膜症患者を対象とした臨床薬理試験で、本剤1日2mg を16週間経口投与したとき、本剤のプロゲステロン作用による子宮内膜の偽脱落膜化が認められた27)。
5. 実験的子宮内膜症に対する効果
ラット28)及びウサギ29)を用いた実験的子宮内膜症の試験で、移植子宮内膜片の体積縮小あるいは重量の増加抑制がみられ、子宮内膜症に対する治療効果が示唆された。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ジエノゲスト(Dienogest)
化学名
17-Hydroxy-3-oxo-19-nor-17α-pregna-4,9-diene-21-nitrile
構造式
分子式
C20H25NO2
分子量
311.42
性状
ジエノゲストは白色~微黄白色の結晶性の粉末である。本品はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく