、使用成績調査の結果に基づいている。
高齢者への投与
本剤は体内でほぼ完全にフルコナゾールに加水分解され、大部分はフルコナゾールとして腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中フルコナゾール濃度が持続するおそれがある。従って、高齢者に投与する場合は、クレアチニン・クリアランス値を参考に投与量及び投与間隔に十分注意すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
動物実験(ラット)において、着床前胚死亡率及び着床後胚死亡率の上昇、分娩障害、催奇形性が認められている。
また、フルコナゾール投与により催奇形性を疑う症例報告があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。38~41)
2.
フルコナゾールは母乳中に移行することが認められているので、授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。42)
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
症状
(1)
外国の癌患者での過量投与(フルコナゾール1200~2000mg/日、経口投与)の症例報告では、フルコナゾール1600mg/日投与例において、肝機能検査値上昇がみられた。
また、2000mg/日投与例において、中枢神経系障害(錯乱、嗜眠、見当識障害、不眠、悪夢、幻覚)、多形紅斑、悪心・嘔吐、肝機能検査値上昇等がみられたとの報告がある。43)
(2)
フルコナゾール8200mg経口摂取後、幻覚、妄想行動の症状があらわれ、48時間の経過観察が行われた結果、症状は回復したとの報告がある(自殺企図例)。
処置
(1)、(2)とも対症療法を行う。フルコナゾールは、大部分が腎から排泄される。3時間の血液透析により、約50%が血清より除去される。
適用上の注意
1.
他の薬剤及び輸液との混合は避けること。[配合変化試験は実施していない。]
2.
本剤は10mL/分を超えない速度で投与することが望ましい。
その他の注意
28日を超える投与の有効性及び安全性は検討されていない。
薬物動態
1. 血中濃度44~48)
健康成人にホスフルコナゾール1000mgを単回および1日1回反復静脈内投与した時、ほぼ完全に活性本体であるフルコナゾールに加水分解されることが示された。
健康成人にホスフルコナゾール50、100、250、500および1000mgを単回静脈内投与した場合、フルコナゾールの最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は投与量に伴い増加した。また、終末相半減期(T1/2)、平均滞留時間(MRT)及び最高血漿中濃度到達時間(Tmax)はいずれの投与量においてもほぼ一定の値を示し、フルコナゾールの薬物動態にはほぼ線形性が認められた。ホスフルコナゾールのT1/2はいずれの投与量においても1.5~2.5時間であった。
健康成人にホスフルコナゾール1000mgを初日及び2日目に負荷投与(維持投与量500mgの倍量)した時、フルコナゾールの血漿中濃度が定常状態に達するまでに要する期間が短縮された。
2. 尿中排泄45)
健康成人にホスフルコナゾール1000mgを1日1回14日間反復静脈内投与した時、フルコナゾールとして投与量の85.6%が尿中に排泄され、ホスフルコナゾールの尿中排泄率は投与量の1%未満であった。
3. 組織内移行49,50)
フルコナゾールの静脈内投与により患者の髄液中への良好な移行が認められている。Fouldsらは、髄液中のフルコナゾール濃度は血漿中濃度の52~62%であったと報告している。
4. 代謝51)
ホスフルコナゾールは体内で主にアルカリホスファターゼにより、ほぼ完全にフルコナゾールに加水分解される。
フルコナゾール100mgを健康成人に経口投与した場合、尿中代謝物として、1,2,4-トリアゾールがわずかに認められた。
5. 蛋白結合率52,53)
ホスフルコナゾールのヒト血漿中での血漿蛋白結合率は、添加濃度20、50および200μg/mLでそれぞれ93.8、92.4および77.7%であり、高濃度において蛋白結合率は低下した。フルコナゾールのヒト血漿中での蛋白結合率は約12%であった。
6. 腎障害患者における薬物動態54)
ホスフルコナゾールは腎障害を有する被験者においてもフルコナゾールに効率よく加水分解され、腎障害はフルコナゾールへの加水分解に影響を及ぼさないが、フルコナゾールのクリアランスはクレアチニン・クリアランスとともに低下した。
単回投与時のフルコナゾールの薬物動態パラメータ(n=8)
ホスフルコナゾールの投与量 ホスフルコナゾールの投与量 ホスフルコナゾールの投与量 ホスフルコナゾールの投与量 ホスフルコナゾールの投与量
50mg 100mg 250mg 500mg 1000mg
AUC0-∞(μg・h/mL) 幾何平均値 37.5 68.7 174.8 334.0 619.1
Cmax(μg/mL) 幾何平均値 0.70 1.31 3.23 6.07 12.09
Tmax(h) 中央値 4.0 5.5 4.0 6.0 2.5
T1/2(h) 算術平均値 35.5 32.2 34.1 34.8 32.9
MRT(h) 算術平均値 51.6 48.0 50.9 51.7 49.8
臨床成績
1. 臨床効果35)
開発時の臨床試験では本剤を各種深在性真菌症42例に3~28日間静脈内投与し、有効例31例、有効率73.8%