また、尿閉に対しては導尿等、散瞳に対してはピロカルピン投与等、各症状に応じて適切な処置を行う。
適用上の注意
1. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
2. 服用時
(1)
OD錠(口腔内崩壊錠)は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
(2)
OD錠(口腔内崩壊錠)は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
その他の注意
マウスに2年間経口投与したがん原性試験(30、100及び300mg/kg)において、雌雄の300mg/kg群で肝細胞腺腫の増加が認められたとの報告がある。また、ラットに2年間経口投与したがん原性試験(3、7、15及び30mg/kg)において、肝細胞腺腫の増加は認められなかったとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与
1) 食事の影響
健康成人男性12例にイミダフェナシン0.1mgを空腹時に単回経口投与した時、血漿中濃度は投与後1.5時間で最高に達し、その濃度は471pg/mLで、消失半減期は2.9時間であった。また、食後投与では空腹時投与に比しCmaxは1.3倍、AUC0-12は1.2倍であった。1)
(表1参照)
2) 生物学的同等性試験
健康成人男性を対象としたイミダフェナシン錠0.1mg(普通錠)及びイミダフェナシンOD錠0.1mg(口腔内崩壊錠)のクロスオーバー法による水なし(24例)及び水あり(24例)の空腹時単回経口投与における同等性試験において、それぞれ生物学的に同等であることが確認された。2)
1. 水なし投与試験
(表2参照)
2. 水あり投与試験
(表3参照)
(2) 反復投与
健康成人男性5例にイミダフェナシン0.25mgを1日2回5日間反復投与した時、初回投与後と最終回投与後の血漿中濃度推移はほぼ同様であった。また、薬物動態パラメータにも変動は認められず、反復投与による蓄積性は認められなかった。3)
(注)本剤の承認された用量は、異なる。(「用法・用量」の項参照)
(3) 高齢者
健康な非高齢男性6例及び65歳以上の高齢者9例にイミダフェナシン0.1mgを空腹時に単回経口投与した時、高齢者ではCmaxが非高齢男性に比べて1.2倍高かったが、AUC0-∞はほぼ同様であった。4,5)
(表4参照)
(4) 母集団薬物動態(PPK)解析
NONMEMによる母集団薬物動態解析には、吸収のラグタイムがある1次吸収を伴う2-コンパートメントモデルを用いた。長期投与試験及び増量長期投与試験の過活動膀胱患者(20~85歳)852例(軽度の肝機能障害患者101例、軽度の腎機能障害患者116例、中等度の腎機能障害患者14例を含む)と、健康成人(20~75歳)90例の計3,168時点の血漿中濃度を測定した。体重、年齢、性差、飲酒歴、喫煙歴、肝機能指標(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、アルカリホスファターゼ、乳酸脱水素酵素、総ビリルビン)、腎機能指標(血清クレアチニン、血中尿素窒素)、血中アルブミン値とイミダフェナシンの経口クリアランス(CL/F)との関係を評価したところ、アルカリホスファターゼが正常な患者に対して軽度異常患者のCL/Fは4%低かった。また、非高齢者に対して高齢者のCL/Fは14%低かった。腎機能指標(血清クレアチニン、血中尿素窒素)を含むその他の共変量はCL/Fに影響を及ぼさなかった。6)
(表5参照)
なお、増量長期投与試験を含む臨床試験の0.2mg/日及び0.4mg/日投与例において、中等度以上の肝障害患者及び重度の腎障害患者での使用経験はなかった。
2. 吸収(参考:外国人でのデータ)
外国人健康成人男性において、イミダフェナシンは消化管からほぼ100%吸収され、絶対バイオアベイラビリティは57.8%であった。7)
3. 代謝
イミダフェナシンは経口投与後に約40%が肝臓で初回通過効果を受ける。血漿中主代謝物は、メチルイミダゾール基が酸化されたM-2、またM-2のメチルイミダゾール基が環開裂を受けたM-4及び未変化体のN-グルクロン酸抱合体であるM-9であった。
M-2及びM-4への代謝には主としてCYP3A4が、M-9への代謝には主としてUGT1A4が関与する。8)
また、イミダフェナシン及びその主代謝物M-2、M-4、M-9は、ヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)を阻害しなかった(in vitro)。8)
4. 排泄(参考:外国人でのデータ)
外国人健康成人男性6例に、[14C]イミダフェナシンを0.25mgの用量で空腹時に単回経口投与した時、投与量の95%が投与後192時間までに尿及び糞中に排泄された(尿中65.6%、糞中29.4%)。未変化体の尿中排泄率は10%未満であり、糞中への未変化体の排泄は認められなかった。9)
(注)本剤の承認された用量は、異なる。(「用法・用量」の項参照)
5. 蛋白結合
血漿蛋白結合率は、87.1~88.8%であり、主結合蛋白はアルブミン及びα1-酸性糖蛋白であった。
6. 薬物相互作用
(1) イトラコナゾール
健康成人男性10例に対して、イトラコナゾール200mgを1日1回9日間反復投与時に、イミダフェナシン0.1mgを経口投与した時、イミダフェナシンのCmax及びAUC0-∞は単独投与時と比較して、それぞれ1.3倍及び1.8倍に上昇した。10)
(2) ジゴキシン
健康成人男性12例に対して、イミダフェナシン(0.1mgを1日2回)とジゴキシン(負荷用量0.25mg、維持用量0.125mgを1日1回)を8日間併用投与した時、ジゴキシンのCmax、AUC0-24及び定常状態のトラフ濃度は、単独投与時とほぼ同様であった。11)
(参考)動物における分布〔ラット〕
イミダフェナシンをラットに単回経口投与した時、膀胱組織中濃度は1時間後に最大値を示し、1.8時間の半減期で血清中濃度よりも緩徐に消失した。膀胱におけるCmax及びAUC0-12は、それぞれ血清中の10.7及び25.4倍高い値を示した。
表1
投与条件 Tmax(hr) Cmax(pg/mL) AUC0-12(pg・hr/mL) T1/2(hr)
空腹時 1.5 471±107 2230±540&