疾患を有する患者に対しては、本剤投与前に残尿量測定を実施し、必要に応じて、専門的な検査をすること。投与後は残尿量の増加に注意し、十分な経過観察を行うこと。
2.
眼調節障害(羞明、霧視、眼の異常感等)、めまい、眠気があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に注意させること。
3.
過活動膀胱の症状を明確に認識できない認知症又は認知機能障害患者は本剤の投与対象とはならない。
4.
本剤投与により効果が認められない場合には、漫然と投与せず、適切な治療を考慮すること。
5.
OD 錠(口腔内崩壊錠)は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込ませること。(「適用上の注意」の項参照)
相互作用
本剤は、主として肝の薬物代謝酵素CYP3A4及びUGT1A4により代謝される。(「薬物動態」の項3.参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
臨床症状・措置方法
健康成人男性においてイトラコナゾールと併用したとき、本剤のCmaxは約1.3倍上昇し、AUCは約1.8倍に上昇したとの報告がある。(「薬物動態」の項6.(1)参照)
機序・危険因子
本剤は主としてCYP3A4で代謝されるので、これらの薬剤により本剤の代謝が阻害される。
2. 薬剤名等
抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、フェノチアジン系薬剤、モノアミン酸化酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
口渇・口内乾燥、便秘、排尿困難等の副作用が強くあらわれることがある。
機序・危険因子
抗コリン作用が増強される。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時の臨床試験において副作用集計の対象となった1,172例中533例(45.5%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、主な副作用は口渇368例(31.4%)、便秘98例(8.4%)、羞明18例(1.5%)、霧視16例(1.4%)、眠気16例(1.4%)、胃不快感13例(1.1%)、トリグリセリド増加13例(1.1%)、γ-GTPの上昇12例(1.0%)であった。(承認時)
また、用法・用量追加の臨床試験において副作用集計の対象となった435例中215例(49.4%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、主な副作用は口渇・口内乾燥164例(37.7%)、便秘59例(13.6%)、残尿8例(1.8%)、尿中白血球陽性7例(1.6%)、腹部不快感6例(1.4%)、頭痛5例(1.1%)、排尿困難5例(1.1%)であった。(用法・用量追加時)
重大な副作用
1. 急性緑内障
眼圧亢進があらわれ、急性緑内障(0.06%)を生ずるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。
2. 尿閉
尿閉(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重大な副作用(類薬)
1. 麻痺性イレウス
類似化合物(他の頻尿治療剤)において麻痺性イレウスがあらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、著しい便秘、腹部膨満感等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 幻覚・せん妄
類似化合物(他の頻尿治療剤)において幻覚・せん妄があらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
3. QT延長、心室性頻拍
類似化合物(他の頻尿治療剤)においてQT延長、心室性頻拍、房室ブロック、徐脈等があらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症注)
0.1~5%未満
発疹、そう痒等
2. 精神神経系
0.1~5%未満
眠気、味覚異常、めまい、頭痛
3. **精神神経系
頻度不明※
しびれ、幻覚・せん妄
4. 消化器
5%以上
便秘
5. 消化器
0.1~5%未満
胃・腹部不快感、悪心、腹痛、腹部膨満、下痢、食欲不振、消化不良、胃炎、嘔吐、口唇乾燥、異常便、口内炎
6. 循環器
0.1~5%未満
動悸、期外収縮、血圧上昇
7. 呼吸器
0.1~5%未満
咽喉頭疼痛、咳嗽、咽喉乾燥、嗄声
8. 血液
0.1~5%未満
赤血球減少、白血球減少、血小板減少
9. 泌尿器・腎臓
0.1~5%未満
排尿困難、残尿、尿中白血球・赤血球陽性、尿路感染(膀胱炎、腎盂腎炎等)、尿中蛋白陽性、クレアチニン増加
10. 眼
0.1~5%未満
羞明、霧視、眼の異常感、眼球乾燥、眼精疲労、眼瞼浮腫、複視
11. 肝臓
0.1~5%未満
γ-GTP、アルカリホスファターゼ、AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇
12. その他
5%以上
口渇・口内乾燥
13. その他
0.1~5%未満
トリグリセリド増加、浮腫、LDH増加、血中尿酸上昇、倦怠感、コレステロール増加、胸痛、背部痛、脱力感、皮膚乾燥
※:頻度不明は自発報告による。
注):発現した場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)において胎児への移行が報告されている。〕
2.
授乳婦には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
症状
尿閉、散瞳、興奮、頻脈等
処置
胃洗浄又は活性炭投与を行い、次にアトロピン過量投与の場合と同様の処置を行う。