、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
4.
1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の場合、投与初期 (1ヶ月以内) に急速に腎機能の悪化や高カリウム血症が発現するおそれがあるので、投与初期は血清クレアチニン値及び血清カリウム値を測定し、急速な腎機能の悪化や血清カリウム値の上昇が認められた場合には減量あるいは投与中止などの適切な処置を行うこと。
5.
本剤の投与により、次の患者では、初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。
(1)
重症の高血圧症患者
(2)
血液透析中の患者
(3)
利尿降圧剤投与中の患者 (特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)
(4)
厳重な減塩療法中の患者
6.
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
7.
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行
リポソーバー
イムソーバTR
セルソーバ
等
臨床症状・措置方法
ショックを起こすことがある。
機序・危険因子
陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる。
2.
薬剤名等
**アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析 (AN69)
臨床症状・措置方法
アナフィラキシーを発現することがある。
機序・危険因子
多価イオン体であるAN69により血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
カリウム保持性利尿剤 (スピロノラクトン、トリアムテレン等)
カリウム補給剤 (塩化カリウム等)
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがある。
併用する場合は血清カリウム値に注意すること。
機序・危険因子
本剤はアンジオテンシンII産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させると考えられる。腎機能障害のある患者には特に注意する。
2. 薬剤名等
**アリスキレンフマル酸塩
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
機序・危険因子
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
3. 薬剤名等
利尿降圧剤 (トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)
臨床症状・措置方法
利尿降圧剤で治療中の患者に本剤を初めて投与する場合、降圧作用が増強するおそれがあるので少量より投与するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
利尿剤の投与は血漿レニン活性を上昇させているため、本剤の投与により急激な血圧低下を起こすと考えられる。
4. 薬剤名等
リチウム製剤 (炭酸リチウム)
臨床症状・措置方法
リチウム中毒 (眠気、振戦、錯乱等) を起こすことがある。
定期的にリチウムの血中濃度を測定し、異常があれば減量もしくは投与中止する。
機序・危険因子
腎尿細管におけるリチウムの再吸収を促進すると考えられる。
5. 薬剤名等
**非ステロイド性抗炎症剤 (インドメタシン等)
臨床症状・措置方法
降圧作用が減弱することがある。
定期的に血圧を観察し、適切な処置をとる。
機序・危険因子
非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させると考えられる。
6. 薬剤名等
**非ステロイド性抗炎症剤 (インドメタシン等)
臨床症状・措置方法
腎機能を悪化させるおそれがある。異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
7. 薬剤名等
カリジノゲナーゼ製剤
臨床症状・措置方法
本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。
機序・危険因子
本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血管平滑筋の弛緩が増強すると考えられる。
8. 薬剤名等
他の降圧作用を有する薬剤 (降圧剤、硝酸剤等)
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
定期的に血圧を測定し、両剤の用量を調節する。
機序・危険因子
相加的に作用 (降圧作用) を増強させると考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
臨床試験 (治験)
総症例858例中、副作用が報告されたのは50例 (5.83%) であり、その主なものは、咳嗽23例 (2.68%)、咽頭部不快感4例 (0.47%)、胃部不快感2例 (0.23%)、動悸2例 (0.23%) 等であった。また、臨床検査値異常として本剤との因果関係が疑われたものは、56例 (6.53%) であり、その主なものは、ALT (GPT) 上昇739例中15例 (2.03%)、AST (GOT) 上昇739例中13例 (1.76%)、クレアチニン上昇722例中6例 (0.83%) 等であった。
使用成績調査 (1993年10月~1999年9月)
総症例5,774例中、副作用が報告されたのは390例 (6.75%) であり、その主なも