パンスポリン静注用0.25g/パンスポリン静注用0.5g/パンスポリン静注用1g/パンスポリン静注用1gバッグS/パンスポリン静注用1gバッグG
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作成又は改訂年月
**2013年1月改訂(第18版)
*2009年9月改訂
日本標準商品分類番号
876132
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1987年9月
再評価結果公表年月(最新)
2004年9月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1984年6月
薬効分類名
セフェム系抗生物質製剤
承認等
販売名
パンスポリン静注用0.25g
販売名コード
6132400F1033
承認・許可番号
承認番号
(55EM)1289
商標名
PANSPORIN INTRAVENOUS 0.25Gm.
薬価基準収載年月
1980年12月
販売開始年月
1981年2月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
基準名
日本薬局方
注射用セフォチアム塩酸塩
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中の有効成分
セフォチアム塩酸塩0.25g(力価)
添加物
無水炭酸ナトリウム 20.3mg
L-アルギニン 127mg
性状
性 状
白色~淡黄色の粉末
販売名
パンスポリン静注用0.5g
販売名コード
6132400F2030
承認・許可番号
承認番号
(55EM)1290
商標名
PANSPORIN INTRAVENOUS 0.5Gm.
薬価基準収載年月
1980年12月
販売開始年月
1981年2月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
基準名
日本薬局方
注射用セフォチアム塩酸塩
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中の有効成分
セフォチアム塩酸塩0.5g(力価)
添加物
無水炭酸ナトリウム 40.5mg
L-アルギニン 254mg
性状
性 状
白色~淡黄色の粉末
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約1(20mL・注射用水にて溶解時)
販売名
パンスポリン静注用1g
販売名コード
6132400F3036
承認・許可番号
承認番号
(55EM)1291
商標名
PANSPORIN INTRAVENOUS 1Gm.
薬価基準収載年月
1980年12月
販売開始年月
1981年2月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
基準名
日本薬局方
注射用セフォチアム塩酸塩
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中の有効成分
セフォチアム塩酸塩1g(力価)
添加物
無水炭酸ナトリウム 81mg
L-アルギニン 508mg
性状
性 状
白色~淡黄色の粉末
pH
5.7~7.2(10mL・注射用水にて溶解時)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約1(20mL・注射用水、100mL・生理食塩液、又は100mL・5%ブドウ糖注射液にて溶解時)
販売名
パンスポリン静注用1gバッグS
販売名コード
6132400G3023
承認・許可番号
承認番号
(8AM)10151
商標名
PANSPORIN INTRAVENOUS 1Gm. BagS
薬価基準収載年月
1996年12月
販売開始年月
1996年12月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
基準名
日本薬局方
注射用セフォチアム塩酸塩
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1容器中の有効成分
セフォチアム塩酸塩1g(力価)
溶解液(1容器中)
生理食塩液100mL
添加物
L-アルギニン 712.7mg
性状
性 状
白色~淡黄色の粉末
pH
5.7~7.2(100mL・生理食塩液にて溶解時)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約1(100mL・生理食塩液にて溶解時)
販売名
パンスポリン静注用1gバッグG
販売名コード
6132400G4020
承認・許可番号
承認番号
(8AM)10150
商標名
PANSPORIN INTRAVENOUS 1Gm. BagG
薬価基準収載年月
1996年12月
販売開始年月
1996年12月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
基準名
日本薬局方
注射用セフォチアム塩酸塩
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1容器中の有効成分
セフォチアム塩酸塩1g(力価)
溶解液(1容器中)
5%ブドウ糖注射液100mL
添加物
L-アルギニン 712.7mg
性状
性 状
白色~淡黄色の粉末
pH
5.7~7.2(100mL・5%ブドウ糖注射液にて溶解時)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約1(100mL・5%ブドウ糖注射液にて溶解時)
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
2.
低張性脱水症の患者 5%ブドウ糖注射液添付のバッグGの場合
[電解質を含まない糖液を投与すると脱水が増悪することがある。]
原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効
<適応菌種>
セフォチアムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、インフルエンザ菌
<適応症>
敗血症
深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
骨髄炎、関節炎
扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染
膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)
腹膜炎
胆嚢炎、胆管炎
バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎
化膿性髄膜炎
中耳炎、副鼻腔炎
用法及び用量
通常、成人にはセフォチアム塩酸塩として1日0.5~2g(力価)を2~4回に分け、また、小児にはセフォチアム塩酸塩として1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内に注射する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、成人の敗血症には1日4g(力価)まで、小児の敗血症、化膿性髄膜炎等の重症・難治性感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量することができる。静脈内注射に際しては、日局「注射用水」、日局「生理食塩液」又は日局「ブドウ糖注射液」に溶解して用いる。また、成人の場合は本剤の1回用量0.25~2g(力価)を糖液、電解質液又はアミノ酸製剤等の補液に加えて、30分~2時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。なお、小児の場合は上記投与量を考慮し、補液に加えて、30分~1時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。また、バッグS及びバッグGはそれぞれ添付の生理食塩液側又は5%ブドウ糖注射液側を手で圧し、隔壁を開通させ、それぞれセフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。
用法及び用量に関する説明
<注射液の調製法と調製時の注意>
◇バイアル品は緩衝剤として無水炭酸ナトリウムを含有し、溶解時に炭酸ガスを発生するため減圧バイアルにしてある。溶解にあたっては静注用0.25g、0.5gには約3mL、静注用1gには約5mLの溶解液をバイアル内に注入して溶解すること。
なお、静脈内注射に際しては静注用0.25gは通常10mLに、静注用0.5g、1gは通常20mLに希釈して投与する。点滴静脈内注射を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いないこと。溶解にあたっては、溶解方法説明書きをよく読むこと。
◇バッグS及びバッグGにおける調製法
1.
溶解液部分を手で圧し、隔壁を開通させ、抗生剤部分と溶解液部分を交互に押して抗生剤を完全に溶解する。
2.
溶解を確認する。
◇本剤の注射液調製時にショックを伴う接触蕁麻疹があらわれることがあるので調製時に手の腫脹・そう痒・発赤、全身の発疹・そう痒、腹痛、悪心、嘔吐等の症状があらわれた場合には以後本剤との接触を避けること。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
高度の腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。(【薬物動態】の項参照)
2.
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最少限の期間の投与にとどめること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
全製剤共通
(1)
ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
(2)
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
(3)
高度の腎障害のある患者
[高い血中濃度が持続することがある。](【薬物動態】の項参照)
(4)
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
(5)
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
[ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
5%ブドウ糖注射液添付のバッグGの場合
(1)
カリウム欠乏傾向のある患者
[ブドウ糖がカリウムと共に細胞内に取り込まれ、カリウム欠乏傾向を助長することがある。]
(2)
糖尿病の患者
[静脈内へのブドウ糖の投与により血糖値が急速に上昇する可能性がある。]
(3)
尿崩症の患者
[電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。]
(4)
腎不全の患者
[電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。]
生理食塩液添付のバッグSの場合
(1)
心臓、循環器系機能障害のある患者
[ナトリウムの負荷により障害が悪化することがある。]
(2)
腎障害のある患者
[ナトリウムの貯留を助長することがある。]
重要な基本的注意
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。1)
(1)
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
(3)
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
利尿剤
フロセミド等
臨床症状・措置方法
他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。
機序・危険因子
機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの調査では、2,132例(静注、点滴静注、筋注を含む)中123例(5.8%)に、製造販売後の使用成績調査(再審査終了時点)では32,284例(静注、点滴静注、筋注を含む)中1,369例(4.2%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。
以下の副作用は上記の調査あるいは自発報告等で認められたものである。
重大な副作用
1.
ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身の潮紅・蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
急性腎不全等の重篤な腎障害(0.1%未満)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
**汎血球減少(0.1%未満)、無顆粒球症(0.1%未満)、顆粒球減少(0.1~5%未満)、溶血性貧血(0.1%未満)、血小板減少(0.1~5%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4.
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5.
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群(0.1%未満)等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
6.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
痙攣(頻度不明)等の中枢神経症状があらわれることがある。特に、腎不全患者にあらわれやすい。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
8.
AST(GOT)、ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
過敏症注2)
0.1~5%未満
発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱
過敏症注2)
0.1%未満
リンパ腺腫脹、関節痛
血 液
0.1~5%未満
貧血、好酸球増多
肝 臓
0.1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-Pの上昇
肝 臓
0.1%未満
LDH、γ-GTPの上昇
消化器
0.1~5%未満
悪心、下痢
消化器
0.1%未満
嘔吐、食欲不振、腹痛
菌交代症
0.1%未満
口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
0.1%未満
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
0.1%未満
めまい、頭痛、倦怠感、しびれ感
その他の副作用の注意
注2)このような場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2)
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。
臨床検査結果に及ぼす影響
1.
テステープ反応を除くべネディクト試薬、フェーリング試薬、クリニテストによる尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2.
直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
適用上の注意
1.
投与経路
本剤は静脈内注射にのみ使用すること。
2.
投与方法
静脈内大量投与により、まれに血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること。
3.
溶解後
溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも8時間以内に使用すること。この場合、バイアル品では微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。また、バッグS及びバッグGではわずかに微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。
4.
バッグS及びバッグGは、分割投与しないこと。
5.
小児に点滴静脈内注射を行う際には、十分な血中濃度を得るために、30分~1時間で投与を行うこと。
その他の注意
本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
薬物動態
1.
血中濃度
腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は図1~4のとおりであり、用量依存性を示す。
2.
排泄
主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は約60~75%である。また、0.5gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約2,000μg/mL、2~4時間で約350μg/mL、4~6時間で約66μg/mLを示す。2,3)小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は、成人とほぼ同様である。4~6)
3.
体液・組織内移行
胆石症患者に1回1g、2gを静注すると胆汁中濃度は2時間後にそれぞれ157.6μg/mL、720.5μg/mLと最高値を示し、6時間後までの胆汁中回収率は約1%である。11)また、扁桃12)、喀痰13)、肺14)、胸水14)、胆のう壁11)、腹水15)、骨髄血16)、髄液17)、膀胱壁18)、前立腺18)、腎18)、骨16)、骨盤死腔滲出液19)、婦人性器19)、臍帯血20)、羊水20)、耳漏12)、副鼻腔粘膜12)等への移行が認められている。なお、乳汁中への移行は痕跡程度である。21)
4.
代謝4,22)
尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない。
5.
腎機能障害時の血中濃度、尿中排泄23)
腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる(図5)。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。
臨床成績
1.
成人感染症
製造販売後の使用成績調査14,121例についての成績概要は表1のとおりである。
2.
小児感染症
製造販売後の使用成績調査416例についての成績概要は表2のとおりである。
表1 疾患別臨床効果(成人)
感 染 症 有効率(有効以上)
例 数 有効率(有効以上)
%
敗血症 340/562 60.5
深在性皮膚感染症 19/20 95.0
慢性膿皮症 148/192 77.1
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 551/787 70.0
骨髄炎 161/204 78.9
関節炎 91/112 81.3
扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む) 131/139 94.2
急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染 1,024/1,289 79.4
肺炎 4,082/5,213 78.3
肺膿瘍 129/174 74.1
膿胸 67/110 60.9
膀胱炎 710/915 77.6
腎盂腎炎 1,346/1,574 85.5
前立腺炎(急性症、慢性症) 31/36 86.1
腹膜炎 770/966 79.7
胆嚢炎 785/918 85.5
胆管炎 490/672 72.9
バルトリン腺炎 6/6 ―
子宮内感染 18/20 90.0
子宮付属器炎 21/25 84.0
子宮旁結合織炎 19/24 79.2
化膿性髄膜炎 56/79 70.9
中耳炎 37/44 84.1
副鼻腔炎 37/40 92.5
計 11,069/14,121 78.4
表2 疾患別臨床効果(小児)
感 染 症 有効率(有効以上)
例 数 有効率(有効以上)
%
敗血症 20/34 58.8
深在性皮膚感染症 1/1 ―
慢性膿皮症 5/6 ―
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 25/33 75.8
骨髄炎 14/18 77.8
関節炎 6/8 ―
扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む) 17/17 100
急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染 19/23 82.6
肺炎 105/125 84.0
肺膿瘍 2/2 ―
膿胸 3/4 ―
膀胱炎 4/4 ―
腎盂腎炎 21/29 72.4
腹膜炎 80/90 88.9
胆管炎 4/4 ―
子宮旁結合織炎 1/3 ―
化膿性髄膜炎 6/8 ―
中耳炎 4/5 ―
副鼻腔炎 2/2 ―
計 339/416 81.5
薬効薬理
1. 抗菌作用24~26)
(1)
グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌作用を示し、特に大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。更にエンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニーに対しても抗菌力が認められている。
(2)
抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度でも殺菌作用を示す。
2. 作用機序27~30)
細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β-lactamaseに比較的安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1B及び3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
セフォチアム塩酸塩(Cefotiam Hydrochloride)〔JAN〕
略 号
CTM
化学名
(6R,7R)-7-[2-(2-Aminothiazol-4-yl)acetylamino]-3-[1-(2-dimethylaminoethyl)-1H-tetrazol-5-ylsulfanylmethyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid dihydrochloride
分子式
C18H23N9O4S3・2HCl
分子量
598.55
融点(分解)
80℃~90℃で融解しはじめ、完全に液化しないまま約97℃で発泡して分解する。
性 状
セフォチアム塩酸塩は白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。水、メタノール又はホルムアミドに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
力 価
セフォチアム(C18H23N9O4S3)としての重量(力価)で示す。セフォチアム塩酸塩標準品の1mgは0.878mg(力価)に対応する。
取扱い上の注意
【注意】
バッグS及びバッグGの場合
(1)
製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
(2)
次の場合には使用しないこと。
1)
外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているとき。
2)
隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているとき。
3)
抗生物質が変色しているときや溶解液が着色しているとき。
(3)
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
包装
0.25g(力価):10バイアル
0.5g(力価):10バイアル
1g(力価):10バイアル
1g(力価)バッグS(溶解液:生理食塩液):10キット
1g(力価)バッグG(溶解液:5%ブドウ糖注射液):10キット
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
日本化学療法学会:抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)
2)
山本俊夫 他 : Chemotherapy, 27(S-3) : 172, 1979.
3)
坂井友吉 他 : Chemotherapy, 27(S-3) : 181, 1979.
4)
青山恒夫 : Jpn. J. Antibiot., 35 : 801, 1982.
5)
目黒英典 他 : Jpn. J. Antibiot., 34 : 711, 1981.
6)
岩井直一 他 : Jpn. J. Antibiot., 34 : 1002, 1981.
7)
澤田 晃 他 : Chemotherapy, 27(S-3) : 459, 1979.
8)
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9)
清水喜八郎 他 : Chemotherapy, 27(S-3) : 255, 1979.
10)
西村忠史 他 : Jpn. J. Antibiot., 34 : 1027, 1981.
11)
谷村 弘 他 : Chemotherapy, 27(S-3) : 434, 1979.
12)
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