セフメタゾン静注用0.25g/セフメタゾン静注用0.5g/セフメタゾン静注用1g/セフメタゾン静注用2g/セフメタゾンキット点滴静注用1g
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作成又は改訂年月
2009年6月改訂(第9版、指定医薬品の廃止)
*2008年7月改訂
日本標準商品分類番号
876132
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
2004年9月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1985年8月
(キット1gを除く)
薬効分類名
セファマイシン系抗生物質製剤
承認等
販売名
セフメタゾン静注用0.25g
販売名コード
6132408F1021
承認・許可番号
承認番号
15400EMZ00998
商標名
CEFMETAZON FOR INTRAVENOUS INJECTION
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
「取扱い上の注意」参照
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
注射用セフメタゾールナトリウム
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中に次の成分を含有
有効成分
セフメタゾールナトリウム (日局) 0.25g (力価)
性状
用時溶解して用いる凍結乾燥注射剤である。
pH
4.2~6.2注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
外観
白色~淡黄色の粉末又は塊
販売名
セフメタゾン静注用0.5g
販売名コード
6132408F2028
承認・許可番号
承認番号
15400EMZ00993
商標名
CEFMETAZON FOR INTRAVENOUS INJECTION
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
「取扱い上の注意」参照
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
注射用セフメタゾールナトリウム
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中に次の成分を含有
有効成分
セフメタゾールナトリウム (日局) 0.5g (力価)
性状
用時溶解して用いる凍結乾燥注射剤である。
pH
4.2~6.2注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
外観
白色~淡黄色の粉末又は塊
販売名
セフメタゾン静注用1g
販売名コード
6132408F3059
承認・許可番号
承認番号
15400EMZ00994
商標名
CEFMETAZON FOR INTRAVENOUS INJECTION
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
「取扱い上の注意」参照
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
注射用セフメタゾールナトリウム
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中に次の成分を含有
有効成分
セフメタゾールナトリウム (日局) 1g (力価)
性状
用時溶解して用いる凍結乾燥注射剤である。
pH
4.2~6.2注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
外観
白色~淡黄色の粉末又は塊
販売名
セフメタゾン静注用2g
販売名コード
6132408F4055
承認・許可番号
承認番号
15400EMZ00995
商標名
CEFMETAZON FOR INTRAVENOUS INJECTION
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
「取扱い上の注意」参照
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
注射用セフメタゾールナトリウム
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1バイアル中に次の成分を含有
有効成分
セフメタゾールナトリウム (日局) 2g (力価)
性状
用時溶解して用いる凍結乾燥注射剤である。
pH
4.2~6.2注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
外観
白色~淡黄色の粉末又は塊
販売名
セフメタゾンキット点滴静注用1g
販売名コード
6132408G3020
承認・許可番号
承認番号
21500AMZ00260
商標名
CEFMETAZON KIT FOR INTRAVENOUS DRIP INFUSION
薬価基準収載年月
2003年6月
販売開始年月
2003年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
「取扱い上の注意」参照
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
注射用セフメタゾールナトリウム
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1キット中に次の成分を含有
有効成分
セフメタゾールナトリウム (日局) 1g (力価)
セフメタゾンキット点滴静注用1gは、注射剤本体(用時溶解)と溶解液からなり、上室に注射剤本体、下室に溶解液として日本薬局方生理食塩液100mLを含有
性状
用時溶解して用いる凍結乾燥注射剤である。
pH
4.2~6.2注1)
注1)本剤を注射用水に溶解したとき(1.0g(力価)/10mL)
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1注2)
注2)本剤を生理食塩液に溶解したとき(1g(力価)/100mL)
外観
白色~淡黄白色の粉末
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
〈適応菌種〉
セフメタゾールに感性の黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属 (プレボテラ・ビビアを除く)
〈適応症〉
敗血症、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎
通常成人には、1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。
通常小児には、1日25~100mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。
なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1日量を成人では4g(力価)、小児では150mg(力価)/kgまで増量し、2~4回に分割投与する。
静脈内注射に際しては、本剤1g(力価)当たり、日本薬局方注射用水、日本薬局方生理食塩液又は日本薬局方ブドウ糖注射液10mLに溶解し、緩徐に投与する。なお、本剤は補液に加えて点滴静注することもできる。
また、キット点滴静注用1gは、用時添付の生理食塩液に溶解し、緩徐に投与する。
点滴静注を行う場合、注射用水を使用しないこと。(溶液が等張にならないため)
用法及び用量に関する説明
〈キット点滴静注用1gの溶解操作方法〉
(1)使用直前に外袋を開封する。
(2)本品を図の様に広げる。
(3)溶解液部分を手で押して隔壁を開通させ、さらに溶解液部分を繰り返し押して薬剤を完全に溶解する。
(4)完全に溶解されたか確認し、開通確認シールをはがす。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
高度の腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)。
2.
本剤の使用にあたっては、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。[耐性菌の発現等を防ぐ。]
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
3.
高度の腎障害のある患者[血中濃度の上昇、半減期の延長がみられることがある。](〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉及び「薬物動態」の項参照)
4.
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[食事摂取によりビタミンKを補給できない患者では、ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。]
5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
6.
キット点滴静注用1gは生理食塩液100mLに溶解するため、次の患者には慎重に投与すること。
(1)
心臓、循環器系機能障害のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
(2)
腎障害のある患者[水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
(1)
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
(3)
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
2.
投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒を避けさせること(「相互作用」の項参照)。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
飲酒により、ジスルフィラム様作用(顔面潮紅、心悸亢進、めまい、頭痛、嘔気等)があらわれることがある。[投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒を避けさせること。]
機序・危険因子
明らかではないが、3位側鎖のN-メチルチオテトラゾール基がジスルフィラム様作用を有すると考えられている。
2. 薬剤名等
利尿剤
フロセミド等
臨床症状・措置方法
腎障害が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
機序は不明だが、動物実験(ラット)でフロセミドとの併用により、軽度から中等度の近位尿細管上皮細胞の核の萎縮及び濃縮が認められたとの報告がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
(本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)
総症例27,356例中、副作用が報告されたのは841例(3.07%)で、その主なものは、AST(GOT)上昇(0.94%)、ALT(GPT)上昇(0.90%)、発疹(0.82%)、悪心・嘔吐(0.20%)等であった。
[新開発医薬品の副作用のまとめ(その62)1) 及び効能追加時]
重大な副作用
1. ショック(0.01%未満)、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー様症状(不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等)を起こすことがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症
頻度不明
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 急性腎不全
頻度不明
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、BUN・血中クレアチニン上昇等の検査所見があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 肝炎、肝機能障害、黄疸
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少
頻度不明
無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 偽膜性大腸炎
0.01%未満
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(初期症状: 腹痛、頻回の下痢)があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7. 間質性肺炎、PIE症候群
頻度不明
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症注)
0.1~1%未満
発疹、そう痒
2. 過敏症注)
0.1%未満
蕁麻疹、紅斑、発熱
3. 血液
0.1~1%未満
顆粒球減少、好酸球増多
4. 血液
0.1%未満
赤血球減少、血小板減少
5. 肝臓
0.1~1%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、肝機能異常
6. 肝臓
0.1%未満
ALP上昇
7. 消化器
0.1~1%未満
悪心・嘔吐、下痢
8. 消化器
0.1%未満
食欲不振
9. 菌交代症
0.1%未満
口内炎、カンジダ症
10. ビタミン欠乏症
0.1%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
11. ビタミン欠乏症
頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)
12. その他
0.1%未満
頭痛
注) 発現した場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2)
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
臨床検査結果に及ぼす影響
1.
テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬、クリニテストによる尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2.
ヤッフェ反応によるクレアチニン検査ではクレアチニン値がみかけ上、高値を示すことがあるので注意すること。
3.
直接クームス試験陽性を呈することがある。
適用上の注意
1. 調製方法:
点滴静注を行う場合、前記用法及び用量欄に記載の注意事項を参照のこと。キット点滴静注用1gの溶解にあたっては、生理食塩液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフメタゾールナトリウムを溶解すること。
2. 溶解後:
溶解後はなるべく速やかに使用し、保存する必要がある場合、室温保存では24時間以内に使用すること。
3. 投与時:
(1)
静脈内大量投与により、血管痛を起こすことがあるので、注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、注射速度はできるだけ遅くすること。
(2)
キット点滴静注用1gは分割投与しないこと。
その他の注意
1.
幼若ラットに皮下投与した実験において精巣萎縮、精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。
2.
本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
3.
セフメタゾンの抗原性についてマウス、ウサギ、モルモットにより検討した結果、いずれの動物に於いても他のセファロスポリン系抗生物質と同様に弱く、受動的皮膚アナフィラキシー反応によるセファゾリン、セファロチンとの交叉性も弱いことが認められている。また、クームス陽性能はセファロチンと比べ著しく弱いことが認められている。(三共研究所)
薬物動態
1. 血中濃度2)
(1) 静脈内投与
健康成人にセフメタゾールナトリウム1g(力価)を静注した場合、投与10分後に血中濃度の平均は188μg/mL、6時間後には1.9μg/mLを示し、血中濃度半減期は1時間前後である。
また血中濃度に用量依存性が認められる。
静注後の血中濃度
(2) 点滴静脈内投与
健康成人にセフメタゾールナトリウム1g(力価)を1時間点滴静注した場合の血中濃度は点滴終了時に最高値に達し、その平均は76.2μg/mL、6時間後には2.7μg/mLを示し、血中濃度半減期は1.1時間前後である。血中濃度に用量依存性が認められる。
点滴静注後の血中濃度
2. 血清蛋白結合率
セフメタゾン 100μg/mL: 84.8%
セフメタゾン 25μg/mL: 83.6%
(in vitro、遠心限外濾過法)
3. 分布
喀痰3, 4)、腹水5)、腹腔滲出液6)、胆嚢壁7)、胆汁8)、子宮・卵巣・卵管9)、骨盤死腔液10)、顎骨11)、上顎洞粘膜12)、歯肉11, 13) などに高い移行を示す。
なお羊水14)、臍帯血14)、腎(皮質・髄質)15) への移行も認められるが、母乳14) 中への移行はほとんど認められない。
4. 代謝・排泄2)
セフメタゾールナトリウムは体内で代謝を受けず、抗菌活性を有する未変化体のまま、大部分が尿中に排泄される。6時間までの尿中回収率は85~92%と高率である。
5. 腎障害時の血中濃度及び尿中排泄
腎機能の低下に伴い尿中への排泄が減少し、血中濃度の上昇、半減期の延長が認められる。
6. 腎障害患者への適用16)
腎障害患者にセフメタゾールナトリウム1g(力価)を点滴静注し、one-compartment open modelに従って薬動力学的解析を行った結果、腎機能とセフメタゾールナトリウムの血清クリアランス及び腎クリアランスとの間に有意な相関関係が認められた。
(表1参照)
セフメタゾールナトリウムの臨床成績についてみると、1回投与量1g、1日2回毎12時間投与法が最も多く用いられ、かつ有効率が高い結果が得られている。同投与法を基準とした場合の腎障害患者への投与量、投与間隔の例を次表に示す。
(表2参照)
表1
Ccrの範囲
(mL/min) Ccr
(mL/min) Scl
(mL/min) Rcl
(mL/min)
健康成人群 >90 115.8±7.4 160.8±2.9 110.6±14.9
腎障害患者群 60~90 76.1±2.8 69.4±7.0 41.9±3.8
腎障害患者群 30~60 43.8±4.9 40.9±8.6 29.9±5.1
腎障害患者群 10~30 17.1±2.3 26.9±7.0 12.1±3.7
腎障害患者群 <10 4.4±1.9 11.2±3.9 3.9±2.8
表2
Ccr
(mL/min) 投与間隔による調節
用量
(mg) 投与間隔による調節
投与間隔
(hr) 用量による調節
用量
(mg) 用量による調節
投与間隔
(hr)
>60 1,000 12 1,000 12
30~60 1,000 24 500 12
10~30 1,000 48 250 12
<10 1,000 120 100 12
臨床成績
二重盲検比較試験を含め、国内137施設で実施された静注、点滴静注、筋注による一般臨床試験17) 2,819例中、効果判定が行われ、かつ本剤の承認適応症である1,409例の臨床試験成績の概要は次のとおりである。
1.
敗血症
黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌等による敗血症に対する総有効率は80.6%(25/31)で、投与量は成人で1日2~4g、小児で50~150mg/kgが大部分であった。
2.
呼吸器感染症
黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属等による呼吸器感染症に対する総有効率は79.7%(267/335)であった。点滴静注又は静注での投与量は1日2~4gが大部分であった。また二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が確認された。
3.
胆道感染症
本剤は胆汁中への排泄が良好で高い胆汁内濃度が得られる。大腸菌、肺炎桿菌等による胆嚢炎、胆管炎に対する総有効率は83.1%(49/59)であった。投与量の多くは1日2~4gであった。
4.
腹膜炎
大腸菌、肺炎桿菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)等による腹膜炎に対する総有効率は87.5%(161/184)であった。投与法は点滴静注が多く、投与量は1日2~4gが大部分であった。
5.
尿路感染症
大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属等による膀胱炎、腎盂腎炎に対する総有効率は73.1%(302/413)であった。投与量は1日1~2gが多くを占めた。また慢性複雑性尿路感染症を対象に実施された二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が確認された。
6.
産婦人科領域
大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)等によるバルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎に対する総有効率は94.7%(232/245)であった。
投与量は1日2~4gが大部分であった。
7.
口腔外科領域
ペプトストレプトコッカス属等による顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎に対する総有効率は83.8%(119/142)であった。投与量は1日2~4gが大部分であった。
薬効薬理
1. 抗菌作用18~23)
(1)
セフメタゾールナトリウムはβ-lactamaseに対する抵抗性が高く、したがってβ-lactamase産生菌に対しても非産生感性菌に対すると同様の強い抗菌力を有する。
(2)
黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリスに対しては、すぐれた抗菌力を有し、さらに一般にセファロスポリン系及びペニシリン系抗生物質に非感受性のプロテウス・ブルガリス、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属にも強い抗菌力を有する。また嫌気性菌のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)にもすぐれた抗菌作用を示す。
2. 作用機序18~21)
増殖期の細菌細胞壁合成を、強く阻害することにより殺菌的に作用する。
有効成分に関する理化学的知見
1. 一般名
セフメタゾールナトリウム (Cefmetazole Sodium)
2. 略号
CMZ
3. 化学名
Monosodium(6R , 7R )-7-{[(cyanomethylsulfanyl) acetyl]amino}-7-methoxy-3-(1-methyl-1H -tetrazol-5-ylsulfanylmethyl)-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate
4. 分子式
C15H16N7NaO5S3
5. 分子量
493.52
6. 構造式
7. 性状
白色~淡黄白色の粉末又は塊である。
水に極めて溶けやすく、メタノールに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、テトラヒドロフランに極めて溶けにくい。吸湿性である。
8. 分配係数
フラスコ振とう法による本品の水とオクタノールの分配係数log Pow(Pow=オクタノール相の濃度/水相の濃度)は-2.1であった。
取扱い上の注意
1. 注意(キット点滴静注用1g)
(1)
製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
(2)
次の場合は使用しないこと。
1)
外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているとき。
2)
隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているとき。
3)
抗生物質が変色しているときや溶解液が着色しているとき。
(3)
容器の目盛りはおよその目安として使用すること。
2. 貯法
本剤は光によって徐々に着色することがあるので、開封後の保存には注意すること。
包装
セフメタゾン静注用0.25g 10バイアル
セフメタゾン静注用0.5g 10バイアル
セフメタゾン静注用1g 10バイアル
セフメタゾン静注用2g 10バイアル
セフメタゾンキット点滴静注用1g※ 10キット
*(日本薬局方注射用セフメタゾールナトリウム)
※(日本薬局方生理食塩液100mL添付)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
医薬品副作用情報 No.69 厚生省薬務局 1985
2)
河田幸道:感染症学雑誌 1979; 53(2):66-74
3)
松本慶蔵ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy) 1978; 26(S-5):368-374
4)
中富昌夫ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy) 1978; 26(S-5):350-367
5)
葛西洋一ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy) 1979; 27(2):275-282
6)
志村秀彦ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy) 1982; 30(10):1115-1134
7)
中村 孝ほか:第11回国際化学療法学会 1979; 24-28
8)
二之宮景光:外科診療 1978; 20(12):1639-1647
9)
平林光司ほか:産婦人科の世界 1979; 31(1):129-135
10)
久保田武美ほか:日本産婦人科学会・関東連合地方部会(第63回)1982
11)
南 良尚ほか:Jpn J Antibiot 1982; 35(5):1308-1321
12)
藤巻 豊ほか:耳鼻咽喉科臨床 1982; 75(11):2235-2247
13)
加藤弘直ほか:日本口腔科学会雑誌 1982; 31(2):216-226
14)
高瀬善次郎ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy) 1978; 26(S-5):566-574
15)
高本 均ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5):501-514
16)
大川光央ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1979; 27(1):78-86
17)
日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5)CEFMETAZOLE論文特集号を中心に集計
18)
五島瑳智子ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5):1-20
19)
五島瑳智子:感染症学雑誌 1979; 53(2):52-65
20)
三橋 進ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5):21-26
21)
菅原眞一ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5):81-98
22)
鈴木祥一郎ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1978; 26(S-5):33-39
23)
笹津備規ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1982; 30(11):1313-1318
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