Milrila K Injection 22.5mg(Milrinone)ミルリーラK注射液22.5mg
作成又は改訂年月
**2015年4月改訂(第12版)
*2014年4月改訂
日本標準商品分類番号
872119
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
-
2008年6月
-
国際誕生年月
-
1987年10月
薬効分類名
急性心不全治療剤
承認等
販売名
ミルリーラK注射液22.5mg
販売名コード
-
YJ(医情研)コード
-
2119408G1027
承認・許可番号
承認番号
-
21000AMZ00382
-
商標名
-
Milrila K Injection 22.5mg
薬価基準収載年月
1998年6月
販売開始年月
1998年6月
貯法・使用期限等
貯法
-
遮光、室温保存
-
使用期限
-
ケース等に表示(製造後3年)
-
注意
-
【取扱い上の注意】の項参照
規制区分
劇薬
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処方箋医薬品
-
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分(1袋150mL中)
-
ミルリノン 22.5mg
-
添加物(1袋150mL中)
-
ブドウ糖7.43g、L-乳酸、pH調節剤
性状
-
剤形
-
注射剤(無色ソフトプラスチックバッグ)
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色・形状
-
無色澄明の液
-
pH
-
3.4~4.2
-
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
-
約1
一般的名称
ミルリノン注射液
Milrinone
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
肥大型閉塞性心筋症のある患者[流出路閉塞が悪化する可能性がある。]
-
1.
-
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.
|
効能又は効果
下記の状態で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合
急性心不全
用法及び用量
本剤は、ミルリノンとして体重1kgあたり50μgを10分間かけて静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。
なお、点滴投与量は患者の血行動態、臨床症状に応じて1分間あたり0.25~0.75μg/kgの範囲で適宜増減できる。また、患者の状態によっては、点滴静脈内投与から開始してもよい。
-
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期の状態を脱した場合)には、漫然と投与することなく他の治療方法に変更すること。投与期間は患者の反応性に応じて異なるが、48時間を超えて投与する必要が生じた場合には、血行動態及び全身状態等を十分管理しながら慎重に投与すること。なお、1日の総投与量は1.13mg/kg(承認用量の上限で24時間投与した場合に相当)を超えないこと。
-
1.
-
本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能が低下している患者(慢性腎不全、糖尿病性腎症、高齢者等)では血漿中濃度が高くなるおそれがあるので、血圧、心拍数、心電図、尿量、腎機能、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を十分観察しながら、点滴静脈内投与の際には1分間あたり0.25μg/kgから開始するなど過量投与にならないよう慎重に投与すること。なお、血清クレアチニン値3.0mg/dLを超える患者で、本剤の血漿中濃度が高まることが認められているので、このような患者では特に注意すること。
-
2.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
重篤な頻脈性不整脈のある患者[不整脈が悪化するおそれがある。]
-
1.
-
腎機能の低下している患者[本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能の低下している患者では血漿中濃度が高くなることがある。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)]
-
2.
-
著しく血圧の低い患者[血圧がさらに低下するおそれがある。]
-
3.
-
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
-
4.
-
血清カリウム低下のある患者[補正困難な場合、重篤な不整脈を来すおそれがある。]
-
5.
重要な基本的注意
本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮すること。
-
1.
-
本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。
-
2.
-
本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、腎機能、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を観察しながら行うこと。
-
3.
-
本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行うこと。なお、腎機能の低下している患者にて、腎機能の悪化を来すことがあるので注意すること。
-
4.
-
本剤の投与中に、過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。
-
5.
-
高度の大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄等がある患者では、本剤による改善がみられない可能性がある。
-
6.
-
利尿剤を大量に投与されている患者では、本剤に十分反応しない可能性があるので注意すること。
-
7.
-
フロセミド等のループ利尿剤の投与を受けている患者では、過度の利尿により低カリウム血症が生じやすいため、ジギタリスを併用している場合はジギタリスによる不整脈が生じやすくなるので、本剤と併用する際には注意すること。
-
8.
-
急性心不全患者では、不整脈があらわれることがあり、本剤投与によりその可能性を高めるおそれがあるので、初期投与量を減量するなど注意すること。
-
9.
-
本剤はブドウ糖を含んでいるため、ブドウ糖の投与が好ましくない患者には他の希釈剤で希釈したミルリーラ注射液10mgを使用すること。
-
10.
-
水分摂取が制限されている患者では、水分摂取量が過剰にならないよう注意して投与すること。また、必要に応じミルリーラ注射液10mgの使用も考慮すること。
-
11.
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
カテコラミン系の強心薬
ドパミン塩酸塩、ドブタミン塩酸塩等
-
臨床症状・措置方法
-
互いに強心作用を増強するが、不整脈の発現を助長させるおそれもある。必要に応じ、どちらかを減量すること。
-
機序・危険因子
-
薬理学的(強心作用)な相加作用による。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの臨床試験では、210例中45例(21.4%)に、市販後の使用成績調査では、3,122例中288例(9.2%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。(再審査結果通知:2008年6月)
以下の副作用は、上記の試験・調査あるいは自発報告等で認められたものである。
-
重大な副作用
心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、心室細動、血圧低下があらわれることがあるので観察を十分に行い、これらが認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
-
1. 心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、心室細動、血圧低下(各0.1~5%未満)
-
腎機能の低下している患者(慢性腎不全、糖尿病性腎症、高齢者等)では、腎機能の悪化を来すことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には投与を中止すること。
-
2. 腎機能の悪化(0.1~5%未満)
その他の副作用
0.1~5%未満
-
心房細動、心室性期外収縮、上室性期外収縮等の不整脈、頻脈
-
循環器
-
0.1%未満
-
動悸
-
循環器
-
0.1~5%未満
-
血小板減少
-
血液
-
0.1%未満
-
嘔気
-
消化器
-
頻度不明
-
嘔吐
-
消化器
-
0.1~5%未満
-
肝機能障害、LDH上昇
-
その他
-
0.1%未満
-
ほてり感、頭痛
-
その他
-
頻度不明
-
気管支攣縮
-
その他
高齢者への投与
高齢者では、過量投与にならないよう慎重に投与すること。[腎機能が低下していることが多く、血漿中濃度が高くなるおそれがある。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)]
-
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
-
1. 妊婦等:
-
本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット:静脈内)で乳汁中への移行が認められている。]
-
2. 授乳婦:
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験が少ない。)
-
適用上の注意
他の注射液と混合せずに用いることが望ましい。[患者の病態に応じて、本剤の点滴静脈内投与量を調節する必要がある。]
-
(1)
-
現在までに下記に示す注射製剤との配合変化を起こすことがミルリーラ注射液10mgで確認されている。
フロセミド、ブメタニド、カンレノ酸カリウム、ピペラシリンナトリウム、ジベカシン硫酸塩、ピリドキサールリン酸エステル水和物、ジアゼパム、炭酸水素ナトリウム
また、セフォチアム塩酸塩は、配合後速やかに使用すること。やむを得ず使用する場合は、6時間以内に使用のこと。
-
(2)
-
本剤は希釈濃度が一定であるため、患者の体重、投与量により、必要に応じて輸液ポンプ等の使用も考慮すること。
-
(1)
-
本剤の使用に際しては、連結管による連続投与は行わないこと。
-
(2)
薬物動態
健康成人男性に体重1kgあたりミルリノンとして50μgを10分かけて緩徐に静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.5μg/kgを110分間点滴静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与開始後30分以降投与終了まで約100ng/mLの濃度を維持した。投与終了後の消失は速やかであり、消失相の半減期は約50分であった1)。
(1) 健康成人
心不全患者に体重1kgあたりミルリノンとして50μgを10分かけて緩徐に静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.25~0.75μg/kgを350分間点滴静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与開始後30分以降投与終了まで約100~300ng/mLの濃度を維持した2)。
-

静脈内持続投与(2段階)したときの血漿中未変化体濃度曲線
-
心不全患者においては、個々の腎機能低下の程度に応じて血漿中濃度が増加する傾向が認められた3)。
-
2)
-
心不全患者において、静脈内持続投与開始後、2時間の結合率は、76.7~95.8%であった。
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2. 蛋白結合
-
健康成人男性において、単回静脈内投与後4時間までに投与量の85%以上が、また24時間までに93%以上が尿中へ未変化体のまま排泄され、その他に代謝物としてグルクロン酸抱合体が少量排泄された4)。
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3. 代謝・排泄
臨床成績
急性心不全患者を対象に国内で実施された二重盲検試験及び一般臨床試験において72例中67例(93.1%)が著明改善又は改善の評価を得た5)~7)。
-
薬効薬理
摘出モルモット乳頭筋及び右心房標本において、濃度依存的に発生張力を増強させたが、拍動数に対する増加作用は弱かった。発生張力増強作用はアムリノンより約10~30倍強かった8)。
-
1)
-
麻酔イヌ及び無麻酔イヌにおいて、用量依存的に心筋収縮力を増強させたが、血圧下降作用及び心拍数増加作用は弱かった。心筋収縮力増強作用はアムリノンより約10~30倍強かった8)。
-
2)
-
麻酔イヌにおいて、用量依存的にmax.dp/dt、心拍出量及び一回拍出量を増加させるとともに、肺動脈楔入圧を下降させ全末梢血管抵抗を減少させた9)。
-
1)
-
摘出ウサギ大動脈標本及び摘出イヌ伏在静脈標本において、KCl及びノルアドレナリンにより収縮させた血管を濃度依存的に弛緩させた。血管拡張作用はアムリノンより5~6倍強かった10)。
-
2)
-
麻酔イヌにおいて、総頸動脈、椎骨動脈、冠動脈、腸間膜動脈及び大腿動脈の血管抵抗を減少させた11)。
-
3)
-
プロプラノロールにより誘発させた麻酔イヌ心不全モデルにおいて、max.dp/dt及び心拍出量を増加させるとともに左心室拡張末期圧及び全末梢血管抵抗を減少させ、急性心不全状態を改善した8)。
-
1)
-
麻酔イヌの冠動脈結紮による急性心不全モデルにおいてmax.dp/dt、心拍出量、一回拍出量及び冠静脈洞血流量を増加させるとともに左心室拡張末期圧、全末梢血管抵抗及び冠血管抵抗を減少させ、急性心不全状態を改善した12)。
-
2)
-
無麻酔イヌのペーシング誘発心不全モデルにおいて、max.+dp/dt、max.-dp/dt及び心拍出量を増加させるとともに、左心室拡張末期圧を下降及び全末梢血管抵抗を減少させ、心不全状態を改善した。このとき、血漿中カテコラミン濃度に影響を与えず、また不整脈を誘発させなかった13)。
-
3)
-
麻酔イヌにおいて、心筋酸素消費量をほとんど増加させることなく強心作用を発現した14)。
-
1)
-
麻酔イヌの冠動脈結紮による急性心不全モデルにおいて、虚血により低下した乳酸摂取率をさらに低下させることなく、また心筋虚血を悪化させなかった12)。
-
2)
-
摘出イヌ プルキンエ線維標本において、静止膜電位、活動電位の振幅、0相の最大立ち上がり速度、伝導時間、4相の勾配、活動電位持続時間、不応期及び興奮性に影響を及ぼさなかった15)。
-
1)
-
麻酔イヌにおいて、第II誘導心電図に影響を及ぼさなかった。麻酔イヌのアドレナリン誘発不整脈を悪化させたが、冠動脈結紮及びウアバイン誘発不整脈に対して影響を及ぼさなかった15)。
-
2)
-
ホスホジエステラーゼIIIを選択的に阻害することにより、細胞内サイクリックAMP量を選択的に増加させ、心筋収縮力増強作用及び血管拡張作用を発現すると考えられる16)17)。
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2. 作用機序
-
中枢神経系、呼吸・循環器系、自律神経系、消化器系及び泌尿・生殖器系に対して特に問題になるような作用を示さなかった18)19)。
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3. 一般薬理
有効成分に関する理化学的知見
ミルリノン(Milrinone)
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一般名
-
1,6-Dihydro-2-methyl-6-oxo[3,4'-bipyridine]-5-carbonitrile
-
化学名
-

-
構造式
-
C12H9N3O
-
分子式
-
211.22
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分子量
-
ミルリノンは微帯黄白色~微黄色の結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく、酢酸(100)又はN,N -ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、水に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
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性状
取扱い上の注意
包装開封後は速やかに使用すること。
-
1.
-
通気針の装着は必要ない。
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2.
-
本剤のバッグはやわらかいので、傷つけないよう注意すること。
-
3.
-
以下の場合には使用しないこと。
-
内容液に混濁や浮遊物などの異常が認められたとき。
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(1)
-
包装内に内容液の漏出が認められたとき。
-
(2)
-
包装が破損、又は薬液が変色していたとき。
-
(3)
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排出部をシールしているフィルムが剥離していたとき。
-
(4)
包装
注射液22.5mg/150mL:5袋
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
-
角尾道夫 他:薬理と治療 21(12):4659,1993[MIL-0002]
-
2)
-
高野照夫 他:臨床と研究 71(3):798,1994[MIL-0005]
-
3)
-
阿部之彦 他:臨床と研究 76(1):209,1999[MIL-0711]
-
4)
-
角尾道夫 他:薬理と治療 21(12):4635,1993[MIL-0001]
-
5)
-
加藤和三 他:医学のあゆみ 168(9):855,1994[MIL-0004]
-
6)
-
加藤和三 他:臨床成人病 24(3):395,1994[MIL-0007]
-
7)
-
尾本良三 他:外科診療 36(2):243,1994[MIL-0079]
-
8)
-
佐藤修一 他:薬理と臨床 6(6):1073,1996[MIL-0173]
-
9)
-
田中秀行 他:薬理と臨床 4(1):41,1994[MIL-0050]
-
10)
-
齋藤みのり 他:基礎と臨床 30(5):999,1996[MIL-0121]
-
11)
-
石川 淳 他:薬理と臨床 3(12):2247,1993[MIL-0052]
-
12)
-
石川 淳 他:薬理と臨床 4(1):47,1994[MIL-0053]
-
13)
-
Sato, S. et al.:Jpn.J.Pharmacol.71(Suppl.1):227,1996[MIL-0186]
-
14)
-
佐藤修一 他:薬理と臨床 3(12):2257,1993[MIL-0057]
-
15)
-
橋本敬太郎 他:Coronary 7(4):445,1990[MIL-0056]
-
16)
-
佐藤修一 他:薬理と臨床 4(1):55,1994[MIL-0061]
-
17)
-
田口克成 他:薬理と臨床 3(12):2265,1993[MIL-0062]
-
18)
-
葛西智恵子 他:基礎と臨床 27(15):5875,1993[MIL-0063]
-
19)
-
葛西智恵子 他:基礎と臨床 27(15):5885,1993[MIL-0064]
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
**アステラス製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
*〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
0120-189-371
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
-
アステラス製薬株式会社
-
*東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号
-
提携
-
SANOFI