EPADEL CAPSULES 300(Ethyl Icosapentate)エパデールカプセル300
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作成又は改訂年月
**2013年10月改訂(第9版)
*2012年6月改訂
日本標準商品分類番号
873399
872189
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2009年3月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1994年10月
薬効分類名
EPA製剤
承認等
販売名
エパデールカプセル300
販売名コード
3399004M1026
承認・許可番号
承認番号
(02AM)第0642号
商標名
EPADEL CAPSULES 300
薬価基準収載年月
1990年5月
販売開始年月
1990年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示
注意
「取扱い上の注意」の項参照
組成
成分・含量
1カプセル中 日局 イコサペント酸エチル 300mg
添加物
トコフェロール
添加物(カプセル本体)
ゼラチン、コハク化ゼラチン、濃グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル
性状
色調・剤形
淡黄色透明・軟カプセル剤
外形(mm)
識別コード
MO207(PTP に表示)
一般的名称
イコサペント酸エチル
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[止血が困難となるおそれがある。]
効能・効果/用法・用量*
効能・効果閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
用法・用量イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回600mg(2カプセル)を1日3回、毎食直後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
効能・効果高脂血症
用法・用量イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回900mg(3カプセル)を1日2回又は1回600mg(2カプセル)を1日3回、食直後に経口投与する。
ただし、トリグリセリドの異常を呈する場合には、その程度により、1回900mg(3カプセル)、1日3回まで増量できる。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
月経期間中の患者
2.
出血傾向のある患者
3.
手術を予定している患者
[1.~3. 出血を助長するおそれがある。]
4.
抗凝血剤あるいは血小板凝集を抑制する薬剤を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
重要な基本的注意
1.
本剤を閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善に用いる場合、治療にあたっては経過を十分に観察し、本剤で効果がみられない場合には、投与を中止し、他の療法に切り替えること。また、本剤投与中は定期的に血液検査を行うことが望ましい。
2.
本剤を高脂血症に用いる場合には、次の点に十分留意すること。
(1)
適用の前に十分な検査を実施し、高脂血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
(2)
あらかじめ高脂血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮すること。
(3)
投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
抗凝血剤(ワルファリン等)
血小板凝集を抑制する薬剤(アスピリン、インドメタシン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール等)
臨床症状・措置方法
出血傾向をきたすおそれがある。
機序・危険因子
イコサペント酸エチルは抗血小板作用を有するので、抗凝血剤、血小板凝集を抑制する薬剤との併用により相加的に出血傾向が増大すると考えられる。
**,*副作用
閉塞性動脈硬化症患者及び高脂血症患者を対象とした国内臨床試験及び製造販売後の使用成績調査において、本剤を使用した14,605例中、647例(4.4%)に副作用が認められている。(再審査終了時)
血清中トリグリセリドが高値の患者を対象とした二重盲検比較試験における、1回900mg 1日2回投与あるいは1回600mg 1日3回投与において、それぞれ241例中9例(3.7%)及び235例中9例(3.8%)に副作用が認められている。(用法・用量追加承認時)
重大な副作用
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDH、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
過敏症注1)
0.1~5%未満
発疹、そう痒感等
出血傾向注2)
0.1%未満
皮下出血、血尿、歯肉出血、眼底出血、鼻出血、消化管出血等
血液
0.1~5%未満
貧血等
消化器
0.1~5%未満
悪心、腹部不快感、下痢、腹痛、胸やけ
消化器
0.1%未満
嘔吐、食欲不振、便秘、口内炎、口渇、腹部膨満感、鼓腸等
肝臓注2)
0.1~5%未満
AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・γ-GTP・LDH・ビリルビンの上昇等の肝機能障害
腎臓
0.1%未満
BUN・クレアチニンの上昇
呼吸器注2)
0.1%未満
咳嗽
呼吸器注2)
頻度不明
呼吸困難
精神神経系
0.1%未満
頭痛・頭重感、めまい、ふらつき、眠気、不眠、しびれ
筋骨格系
0.1%未満
関節痛
筋骨格系
頻度不明
筋肉痛、四肢痛、筋痙攣(こむら返り等)
その他
0.1~5%未満
CK(CPK)の上昇
その他
0.1%未満
顔面潮紅、ほてり、発熱、動悸、浮腫、頻尿、尿酸上昇、全身倦怠感、血圧上昇
その他
頻度不明
女性化乳房、耳鳴、発汗、ざ瘡
発現頻度は承認時(用法・用量追加承認時を含む)までの臨床試験及び使用成績調査の結果を合わせて算出した。
注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
妊婦・産婦・授乳婦等への投与
1.
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 服用時
(1)
本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるので食直後に服用させること。
(2)
本剤は噛まずに服用させること。
2. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
その他の注意
コントロール不良の高血圧症を有し、他の抗血小板剤を併用した症例において、脳出血があらわれたとの報告がある。
*薬物動態
1.
*血漿中濃度
健常成人男子に本剤1,800mgあるいは2,700mg*を食直後に単回経口投与したところ、投与6時間後に最高血漿中濃度に達し、24時間後にはほぼ前値のレベルに戻った。また、1回600mgあるいは900mgを1日3回、毎食直後に連日4週間経口投与したところ、血漿中濃度はおよそ投与開始1週間後に定常状態に達した。
本剤1回900mgを1日2回(朝・夕)あるいは1回600mgを1日3回(朝・昼・夕)、食直後に8日間反復経口投与したときの薬物動態は類似しており、血漿中濃度は投与日数に従い徐々に上昇し、いずれの群においても投与5~6日目に定常状態に達した1)。
*:本剤の承認された1回用量は、900mgまでである。
2.
排泄(参考)
雄ラットに14C標識EPA-Eを経口投与したところ、投与168時間までの尿中への排泄は2.7%、糞中へは16.7%であった。なお、呼気中へ放射活性の44.4%が排泄された2)。
*臨床成績
1.
閉塞性動脈硬化症
二重盲検比較試験を含む臨床試験3~6)において、末梢血流障害による潰瘍、安静時疼痛及び冷感を有する閉塞性動脈硬化症に対する有用性は、有用以上55.9%(52/93)、やや有用以上88.2%(82/93)であった。
2.
*高脂血症
二重盲検比較試験を含む臨床試験7~12)において、高脂血症に対する全般改善度は、改善以上43.8%(163/372)、軽度改善以上68.0%(253/372)であった。
長期投与試験(24~52週間)8~12)では、血清総コレステロール(投与前値220mg/dL以上 137例)は3~6%、血清トリグリセリド(投与前値150mg/dL以上 97例)は14~20%それぞれ低下し、その作用は安定したものであった。
血清中トリグリセリドが高値の患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤1回900mgを1日2回(朝・夕)あるいは1回600mgを1日3回(朝・昼・夕)、食直後に12週間投与したとき、1日2回投与(230例、血清TGの投与前値256.7mg/dL)及び1日3回投与(224例、血清TGの投与前値249.4mg/dL)の最終評価時の血清TG変化率は、それぞれ-12.62%及び-10.65%であり、事前に設定した非劣性限界値10%を下回ったことから、1日2回投与の1日3回投与に対する有効性(血清TG変化率)の非劣性が確認されている1)。
3.
市販後調査:JELIS
既に食事指導を行い、血清総コレステロール値が250mg/dL以上で、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が必要とされる高脂血症患者(安定している虚血性心疾患合併患者を含む)を、HMG-CoA還元酵素阻害剤(プラバスタチン10mg/日又はシンバスタチン5mg/日)とエパデール1,800mg/日の併用による治療(エパデール群)又はHMG-CoA還元酵素阻害剤のみによる治療(対照群)に無作為に割り付けた。非盲検下で平均4.6年追跡した有効性評価対象18,645例(エパデール群:9,326例、対照群:9,319例)において、心血管イベント(突然心臓死、致死性及び非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、心血管再建術)は、エパデール群で262例(2.8%)、対照群で324例(3.5%)に認められ、ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.69-0.95、以下同様)であり、エパデール群で有意に減少した。心血管死(突然心臓死又は致死性心筋梗塞)は、エパデール群で29例(0.3%)、対照群で31例(0.3%)、ハザード比は0.94(0.57-1.56)、総死亡は、エパデール群で286例(3.1%)、対照群で265例(2.8%)、ハザード比は1.09(0.92-1.28)であり、いずれも有意差は認められなかった13)。
薬効薬理
1. 血清脂質低下作用
(1)
高脂血症患者の血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを有意に低下させる7~12,14)。
(2)
高コレステロール飼料飼育誘発高脂血症動物(ラット、ウサギ)、カゼイン含有飼料誘発あるいはトライトン誘発高脂血症ラット、更には、普通食飼育動物(ラット、ハムスター)において血中脂質低下作用を示す15~17)。
(3)
ラットに経口投与すると、リポ蛋白中EPA含量が増加し、また、リポ蛋白の血中からの消失が促進される18,19)。
(4)
コレステロールの腸管からの吸収抑制、肝での生合成活性抑制、胆汁中への異化排泄促進などの作用を示す(ラット)18)。
(5)
トリグリセリドの腸管からの吸収抑制や肝での生合成活性抑制及び肝からの分泌抑制、更には、血漿リポ蛋白リパーゼ(LPL)活性亢進などの作用を示す(ラット)19,20)。
2. 抗血小板作用
(1)
各種血栓性、動脈硬化性疾患患者において、種々の凝集惹起剤による血小板凝集を抑制し、血小板粘着能も同様に抑制する14)。
(2)
主として血小板膜リン脂質中のEPA含量を増加させ、血小板膜からのアラキドン酸代謝を競合的に阻害することによりトロンボキサンA2産生を抑制し、血小板凝集を抑制すると考えられる21)。
(3)
コラーゲンによる血小板凝集を抑制する(ウサギ、ex vivo)21)。
(4)
ラット、ウサギ及びヒトにおいて、コラーゲン、ADP、アラキドン酸による血小板凝集を抑制する(in vitro)21)。
(5)
ラット胸部大動脈血管壁でのプロスタサイクリン様物質産生の不変ないし増加が認められている22)。
3. 動脈の伸展性保持作用
(1)
高コレステロール食飼育ウサギにおける摘出大動脈の伸展性の低下に対して抑制作用を示し、普通食飼育ウサギの大動脈と同等の伸展性を保つ23)。
(2)
高コレステロール食飼育ウサギの胸部大動脈及び大腿動脈の脈波速度(PWV)の増大を抑制し、そのPWV値は普通食飼育ウサギとほぼ同程度である24)。
(3)
高コレステロール食飼育ウサギ大動脈の中膜平滑筋細胞密度及びエラスチン含量の低下、並びに平滑筋中の遊離コレステロールの蓄積を抑制し24)、更に、内膜平滑筋細胞の増殖を抑制する。
4. 各種動脈閉塞性病態モデルに及ぼす作用
経口投与により、アラキドン酸静注による血栓形成に基づく突然死(ラット)25)を抑制し、動静脈シャントの血栓性閉塞(ラット)25)、エラジン酸誘発血栓(ウサギ)26)に対し、血栓形成を抑制する。また、ラウリン酸誘発末梢壊疽(ラット)26)の進行を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イコサペント酸エチル(Ethyl Icosapentate)
化学名
Ethyl(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-icosa-5,8,11,14,17-pentaenoate
構造式
分子式
C22H34O2
分子量
330.50
性状
イコサペント酸エチルは無色~微黄色の澄明な液で、わずかに特異なにおいがある。本品はエタノール(99.5)、酢酸(100)、ヘキサンと混和する。水又はエチレングリコールにほとんど溶けない。
**取扱い上の注意
開封後は、高温・湿気・光を避けて保存すること。高温・高湿下ではカプセルが軟化することがある。
包装
PTP:100カプセル、500カプセル、1,000カプセル、1,050カプセル
主要文献及び文献請求先
**,*主要文献
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