PROSTANDIN(Alprostadil Alfadex) **プロスタンディン注射用20μg
--------------------------------------------------------------------------------
作成又は改訂年月
** 2012年6月改訂(第14版)
* 2011年12月改訂
日本標準商品分類番号
87219
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1988年1月
(注射用プロスタンディン)
効能又は効果追加承認年月(最新)
2011年2月
(注射用プロスタンディン20)
国際誕生年月
1979年8月
薬効分類名
プロスタグランジンE1製剤
承認等
販売名
**プロスタンディン注射用20μg
販売名コード
2190402D3064
承認・許可番号
承認番号
**22400AMX00134
商標名
PROSTANDIN
薬価基準収載年月
**2012年6月
販売開始年月
**2012年7月
貯法・使用期限等
貯法
遮光、室温保存
使用期限
外箱に表示(3年)
規制区分
劇薬
処方せん医薬品注)
注)処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1バイアル中)
アルプロスタジル20μgをアルプロスタジル アルファデクスとして含有する。
添加物(1バイアル中)
マルトース水和物 50mg
性状
剤形
注射剤(バイアル)
pH
4.0~6.0(本品5バイアルを生理食塩液3mLに溶かした液)
浸透圧比
1.1~1.2(本品1バイアルを生理食塩液5mLに溶かした液)
性状
白色の塊又は粉末、凍結乾燥品
一般的名称
注射用アルプロスタジル アルファデクス
警告
1.
動脈管依存性先天性心疾患に投与する場合には、本剤投与により無呼吸発作が発現することがあるので、呼吸管理設備の整っている施設で投与すること。
2. 勃起障害の診断で投与する場合
(1)
本剤投与により4時間以上の勃起の延長又は持続勃起症(6時間以上持続する勃起)が発現することがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、速やかに適切な処置を行うこと。持続勃起症に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがある。
(2)
本剤投与により勃起の延長又は持続勃起症、不整脈、一過性の低血圧等が発現することがあるので、本剤を用いた勃起障害の診断は、勃起障害の診断及び治療に精通し、本剤投与時の副作用への対処が可能な医師が、緊急時の対応が可能な状況で行うこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な心不全、肺水腫のある患者(ただし、動脈管依存性先天性心疾患の患者は除く)〔心不全、肺水腫を増悪させることがある。〕
2.
出血(頭蓋内出血、出血性眼疾患、消化管出血、喀血等)している患者〔出血を助長するおそれがある。〕
3.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
4.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
1. 動脈内投与
慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
2. 静脈内投与
(1)
振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
(2)
血行再建術後の血流維持
(3)
動脈内投与が不適と判断される慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
(4)
動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存
3. 陰茎海綿体内投与
勃起障害の診断
用法及び用量
1. 動脈内投与
慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
1)
本品1バイアル(アルプロスタジル20μg)を生理食塩液5mLに溶かし、通常成人1日量アルプロスタジルとして10~15μg(およそ0.1~0.15ng/kg/分)をシリンジポンプを用い持続的に動脈内へ注射投与する。
2)
症状により0.05~0.2ng/kg/分の間で適宜増減する。
2. 静脈内投与
(1)
振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
(2)
血行再建術後の血流維持
(3)
動脈内投与が不適と判断される慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
1)
通常成人1回量本品2~3バイアル(アルプロスタジル40~60μg)を輸液500mLに溶解し、2時間かけて点滴静注する(5~10ng/kg/分)。
なお、投与速度は体重1kg2時間あたり1.2μgをこえないこと。
2)
投与回数は1日1~2回。
3)
症状により適宜増減する。
(4) 動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存
通常、アルプロスタジルとして50~100ng/kg/分の速度で静脈内投与を開始し、症状に応じて適宜増減し、有効最小量で持続投与する。
3. 陰茎海綿体内投与
勃起障害の診断
本品1バイアル(アルプロスタジル20μg)を生理食塩液1mLに溶かし、通常、成人1回量アルプロスタジルとして20μgを陰茎海綿体へ注射する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
動脈管依存性先天性心疾患に対し投与する場合は、観察を十分行い慎重に投与量の調整を行うこと。効果が得られた場合には減量し、有効最小量で投与を持続すること。動脈管開存の維持には10ng/kg/分でも有効な場合がある。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
心不全のある患者〔心不全の増強傾向があらわれるとの報告があるので、循環状態に対する観察を十分に行い、慎重に投与すること。〕
2.
重症糖尿病患者〔網膜症等、脆弱血管からの出血を助長することがある。〕
3.
出血傾向のある患者〔出血を助長するおそれがある。〕
4.
胃潰瘍の合併症及び既往歴のある患者〔出血を助長するおそれがある。〕
5.
抗血小板剤、血栓溶解剤、抗凝血剤を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
6.
緑内障、眼圧亢進のある患者〔動物実験(ウサギ)で眼圧上昇が報告されている。1)〕
7.
腎不全の患者〔腎不全を増悪することがある。〕
8.
高齢者(「重要な基本的注意」の項参照)
9.
勃起障害の診断で投与する場合には、陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者〔陰茎痛を伴うおそれがある。〕
10.
勃起障害の診断で投与する場合には、持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者
重要な基本的注意
・振動病、血行再建術後の血流維持、慢性動脈閉塞症
(1)
本剤による治療は対症療法であり投与中止後再燃することがあるので注意すること。
(2)
心不全、肺水腫、胸水があらわれることがあるので、輸液量に留意するとともに、循環状態(血圧、脈拍等)を十分に観察すること。また、動悸、胸苦しさ、呼吸困難、浮腫等の症状があらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。特に高齢者は心機能等生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(3)
慢性動脈閉塞症における四肢潰瘍の改善を治療目的とする場合、静脈内投与は動脈内投与に比し治療効果がやや劣るので、動脈内投与が非適応と判断される患者(高位血管閉塞例等)又は動脈内投与操作による障害が、期待される治療上の効果を上まわると判断される患者に行うこと。
・動脈管依存性先天性心疾患
(1)
本剤による治療は対症療法であり投与中止後症状が悪化することがあるので注意すること。
(2)
本剤の投与を継続しても、状態の改善がみられなければ、緊急手術等、適切な処置を行うこと。
(3)
本剤の高用量投与により、副作用発現率が高まるおそれがあるため、有効最小量にて使用すること。
(4)
本剤の長期投与により長管骨膜に肥厚、多毛及び脱毛がみられるとの報告があるので観察を十分に行い、必要以上の長期投与は避けること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
抗血小板剤(アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール)
血栓溶解剤(ウロキナーゼ)
抗凝血剤(ヘパリン、ワルファリン)
臨床症状・措置方法
これらの薬剤と併用することにより出血傾向の増強をきたすおそれがある。
観察を十分に行い、用量を調節するなど注意すること。
機序・危険因子
本剤は血小板凝集能を抑制するため、類似の作用を持つ薬剤を併用することにより作用を増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
〈動脈内投与〉
承認時の臨床試験及び市販後調査において副作用集計の対象となった465例中220例(47.3%)に408件の副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主なものは注射部位では浮腫・腫脹145件(31.2%)、鈍痛・疼痛115件(24.7%)、発赤57件(12.3%)、熱感・発熱51件(11.0%)、及び注射部位以外では発熱11件(2.4%)等であった。(承認時及び1982年10月までの副作用頻度報告結果)
〈静脈内投与〉
・振動病、血行再建術後の血流維持、慢性動脈閉塞症
承認時の臨床試験及び市販後調査において副作用集計の対象となった2,200例中221例(10.0%)に318件の副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主なものは注射部位では血管痛77件(3.5%)、静脈炎13件(0.6%)、疼痛16件(0.7%)、発赤97件(4.4%)、及び注射部位以外では悪心・嘔吐16件(0.7%)、頭痛・頭重11件(0.5%)等であった。(再審査終了時)
・動脈管依存性先天性心疾患
承認時までの調査及び市販後調査において無呼吸発作は23.0%(53/230例)に認められた。無呼吸発作以外では、副作用集計の対象となった343例中75例(21.9%)に114件の副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、主なものは発熱31件(9.0%)、低ナトリウム血症9件(2.6%)、CRP上昇6件(1.7%)、頻脈4件(1.2%)等であった。(承認時及び2007年9月の特別調査報告結果)
〈陰茎海綿体内投与〉
本対象疾患については、副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、海外からの自発報告、国内及び海外の文献等を参考にした。(承認時)
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、発疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 心不全、肺水腫
心不全、肺水腫、胸水(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、動悸、胸苦しさ、呼吸困難、浮腫等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
3. 脳出血、消化管出血
脳出血(頻度不明※)、消化管出血(0.05%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
4. 心筋梗塞
心筋梗塞(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸痛、胸部圧迫感、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 無顆粒球症、白血球減少
無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
7. 間質性肺炎
間質性肺炎(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
8. 無呼吸発作
動脈管依存性先天性心疾患に投与した場合、無呼吸発作(23.0%)があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。なお、発現した場合は、人工呼吸器の装着、皮膚への刺激等、適切な処置を行うこと。
注)動脈管依存性先天性心疾患への投与において、上記等の副作用が発現した場合には、患者の状態を観察し、本剤の投与継続の必要性について考慮した上で、適切な処置を行うこと。
9. 持続勃起症
勃起障害の診断で投与した場合、持続勃起症(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発現した場合にはα刺激剤の投与、脱血と生理食塩水による洗浄等、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
〈動脈内投与〉
(1) 注射部(10~35%未満)
疼痛、腫脹、発赤、発熱
(2) 注射部(3%未満)
脱力感、そう痒
(3) その他(3%未満)
頭痛、発熱、動悸
(4) その他(頻度不明※)
血漿蛋白分画の変動
〈静脈内投与〉
・振動病、血行再建術後の血流維持、慢性動脈閉塞症
1) 過敏症注)(0.5%未満)
そう痒
2) 過敏症注)(頻度不明※)
発疹、蕁麻疹
3) 循環器注)(0.5%未満)
胸部絞扼感、血圧降下、顔面潮紅、動悸、発赤
4) 出血傾向注)(頻度不明※)
眼底出血、皮下出血
5) 注射部(0.5~5%未満)
血管痛、静脈炎、疼痛、発赤
6) 注射部(0.5%未満)
腫脹、そう痒
7) 呼吸器(頻度不明※)
咳嗽、喘息注)
8) 消化器(0.5~5%未満)
悪心・嘔吐
9) 消化器(0.5%未満)
胃部不快感、食欲不振、下痢、腹痛
10) 精神神経系(0.5%未満)
発熱、めまい
11) 精神神経系(頻度不明※)
悪寒
12) 肝臓(0.5%未満)
AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇等
13) 腎臓注)(頻度不明※)
腎不全の増悪
14) 血液注)(頻度不明※)
血小板減少、貧血
15) その他(0.5~5%未満)
頭痛・頭重
16) その他(0.5%未満)
熱感、浮腫、乳房硬結、四肢疼痛(増強を含む)
17) その他(頻度不明※)
関節痛、しびれ、CRP上昇、低ナトリウム血症
注):発現した場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
・動脈管依存性先天性心疾患
本剤の投与により副作用が発現した場合には、患者の状態を観察しながら、適切な処置を行うこと。
1) 循環器(1~10%未満)
頻脈、浮腫、発赤
2) 循環器(1%未満)
低血圧、徐脈
3) 循環器(頻度不明※)
肺動脈中膜の菲薄化
4) 中枢神経系(1~10%未満)
発熱、多呼吸
5) 中枢神経系(頻度不明※)
痙攣、振戦
6) 注射部(頻度不明※)
血管痛、静脈炎、疼痛、発赤、腫張、そう痒
7) その他(1~10%未満)
低ナトリウム血症、低クロール血症、CRP上昇
8) その他(1%未満)
胃粘膜肥厚、下痢、骨膜肥厚、低カリウム血症、口腔内・気道分泌液の増加、出血傾向、アシドーシス
9) その他(頻度不明※)
脱毛、多毛、腹水
〈陰茎海綿体内投与〉
本剤の投与により副作用が発現した場合には、患者の状態を観察しながら、適切な処置を行うこと。
(1) 過敏症(頻度不明※)
発疹、そう痒
(2) 泌尿・生殖器(頻度不明※)
勃起の延長、陰茎痛、陰茎腫脹
(3) 注射部(頻度不明※)
疼痛、血腫、出血、腫脹、灼熱感、発赤、そう痒
(4) 循環器(頻度不明※)
低血圧、胸部絞扼感、発赤
(5) 消化器(頻度不明※)
悪心、嘔吐、腹痛
(6) その他(頻度不明※)
めまい、発熱、頭痛、悪寒
※:頻度不明は自発報告又は文献等の報告による。
高齢者への投与
一般に高齢者では、心機能等生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔アルプロスタジルには子宮収縮作用が認められている。2)〕
小児等への投与
動脈管依存性先天性心疾患以外の低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
1. 投与速度
本剤投与により、副作用があらわれた場合には、すみやかに投与速度を遅くするか又は投与を中止すること。
2. 調製方法
シリンジポンプ使用に際しては、シリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。
その他の注意
1.
本剤の投与により脳梗塞がみられたとの報告がある。
2.
適応外であるが、勃起障害の治療目的でPGE1製剤を複数回投与した症例において、陰茎海綿体の線維化が生じたとの報告がある。
3.
適応外であるが、勃起障害の治療目的でPGE1製剤をパパベリン等の勃起不全治療剤と併用投与した症例において、勃起の延長又は持続勃起症があらわれたとの報告がある。
薬物動態
〈静脈内投与〉
心カテーテル中の3例に3H-PGE1 0.03ng/kg/分を静脈内投与した実験では全血代謝クリアランス率は2,686±654L/日/m2であり、肺での代謝は投与量の67.8±6.8%であった。すなわち、人では静注されたPGE1は肺で完全に代謝されることなく、およそ、その1/3は全身循環すると考えられる。3)
〈陰茎海綿体内投与〉
(1)
勃起障害患者にPGE1 20μgを陰茎海綿体投与後、PGE1及び代謝物15-keto-13,14 dihydro-PGE1濃度は陰茎海綿体で上昇したが、速やかに減少した。4)
(2)
勃起障害患者にPGE1 20μgを陰茎海綿体投与後、PGE1濃度は末梢血で投与4.8分後をピークに上昇したが速やかに減少し、投与60分以内に投与前まで減少した。5)
(参考)動物における吸収・分布・代謝・排泄〔ラット〕
3H標識PGE1・14C標識CDをラットに動脈又は静脈内に投与を行った実験では、いずれもPGE1血中濃度は2相性を示し、6分で血中から速やかに消失する。
静脈内投与5分後の主要臓器内のPGE1は、肺12%、腎16%、肝25%であり、投与24時間以内に投与量の30~40%が尿中に、25~30%が糞中に排泄される。この時の主代謝物は8-[(1R,2R,5R)-2-(2-Carboxyeth-1-yl)-5-hydroxy-3-oxocyclopentyl]-6-oxooctanoic acidである。一方、CDは代謝を受けずに、そのままの形で90~100%が尿中に排泄される。なお、7日間連続静脈内投与した場合、PGE1及びCDとも各臓器への蓄積は認められない。6)
臨床成績
〈動脈内投与〉
(1)
慢性動脈閉塞症患者を対象として二重盲検比較試験を行い、本剤による治療効果が認められている。7)
(2)
二重盲検比較試験を含む臨床試験161例において、患肢の冷感や安静時疼痛の軽減、潰瘍の治癒あるいは縮小が認められ、有効率67.5%を示す。8)
〈静脈内投与〉
(1) 慢性動脈閉塞症
四肢に虚血性潰瘍を有する慢性動脈閉塞症196例において、虚血性潰瘍の改善率は64.3%、安静時疼痛の改善率は78.1%を示す。9)
(2) 振動病
1)
振動病患者を対象として二重盲検比較試験を行い、本剤による治療効果が認められている。10)
2)
二重盲検比較試験を含む臨床試験266例において、自覚症状の改善と末梢循環・神経・運動機能障害の回復が認められ、有効率57.5%を示す。11)
(3) 血行再建術後の補助療法
慢性動脈閉塞症で動脈血行再建術施行52例において、血行再建部血管の開存率は退院時で91%、術後7カ月経過時で83%である。12)
(4) 動脈管依存性先天性心疾患
1)
国内文献で動脈管依存性先天性心疾患患者において、有効であったとの報告がある。13)
2)
動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存に対して、維持用量として10ng/kg/分以下でも有効なことがある。13,14)
〈陰茎海綿体内投与〉
勃起障害の診断
海外文献で勃起障害患者において、勃起反応による診断で有用であったとの報告がある。15)
薬効薬理
1. 作用機序
PGE1は血管平滑筋弛緩作用を有し血流量を増加させ、さらに、血小板凝集抑制作用を示し、慢性動脈閉塞症、振動病、及び血行再建時に効果が認められている。また、PGE1は動脈管拡張作用を有し、動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存に有効であることが認められている。
勃起障害の診断においては、陰茎海綿体平滑筋弛緩作用が認められている。
2. 薬理作用
(1) 血管平滑筋に対する作用(血流量に対する作用)
ウサギの摘出血管平滑筋に対してPGE1は大動脈のような太い血管では収縮、腸管動脈のような細い血管では低用量(PGE1・CDをPGE1として10-7~5×10-6g/mL)で弛緩、高用量(PGE1・CDをPGE1として10-5g/mL以上)で収縮の2相性の作用を示す(in vitro)。2)
イヌでは血管平滑筋を直接弛緩し、用量に依存した血流量の増加が認められるが、血圧が著しく下降する高用量では灌流圧の低下により血流量の増加率は小さくなる(in vivo)。16)
1) 動脈内投与
1.
大腿動脈内への1回投与において、用量(PGE1・CDをPGE1として10-6~102ng/kg)に依存した後肢血流量の増加が認められている。また、持続動注においても用量(PGE1・CDをPGE1として10-2~7ng/kg/分)に依存した血流量の増加が認められている(イヌ)。17)
2.
後肢の皮膚及び筋血流量の増加が認められている(イヌ、PGE1・CDをPGE1として1~30ng/kg)。18)
3.
血流量増加作用はアトロピン、プロプラノロール、ジフェンヒドラミン等により影響を受けず、交感神経節切除によっても影響されない(イヌ)。18)
4.
慢性動脈閉塞症患者の前脛骨筋血流量の増加が認められている(PGE1・CDをPGE1として0.1ng/kg/分)。19)
2) 静脈内投与
1.
持続静注により大腿動脈血流量は用量(PGE1・CDをPGE1として10~300ng/kg/分)に依存した増加が認められている。100ng/kg/分以下では血圧の下降は10mmHgの範囲内である(イヌ)。20)
2.
持続静注により交感神経刺激時の皮膚血流量の減少を抑制する(イヌ、PGE1・CDをPGE1として50~200ng/kg/分)。20)
3.
持続静注により慢性動脈閉塞症患者の足背及び後脛骨動脈血流量の増加が認められている(PGE1・CDをPGE1として5~8ng/kg/分)。21)
(2) 血小板凝集抑制作用
1)
PGE1は種々の凝集剤によるヒト血小板凝集を抑制する。
ADP、トロンビン、コラーゲン凝集に対するPGE1・CDの50%抑制濃度はそれぞれ19、3、61ng/mLである(in vitro)。18)
2)
動脈内投与(PGE1・CDをPGE1として0.1~1.0ng/kg/分)により末梢動脈閉塞症患者の局所静脈血中の血小板凝集能の抑制が認められている。22)
3)
静脈内投与(PGE1・CDをPGE1として5~10ng/kg/分)により慢性閉塞性動脈疾患患者の血小板凝集能の抑制が認められている。23)
(3) 動脈管拡張作用
1)
ラット新生児及びウサギ新生児に対し、PGE1はそれぞれ200~1,000μg/kg及び1,000μg/kgの投与により、動脈管拡張作用が認められている。24)
2)
ラット新生児に対し、PGE1を1~1,000μg/kgの投与により、動脈管拡張作用が認められている。25)
(4) 陰茎海綿体平滑筋弛緩作用
1)
ヒトの摘出陰茎海綿体及び陰茎海綿体動脈標本に対して、PGE1はノルアドレナリンやPGF2αによる収縮を減少させる(in vitro)。26)
2)
ヒトの摘出陰茎海綿体標本に対して、PGE1 2.0μg/mLの用量により弛緩作用が認められている(in vitro)。27)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アルプロスタジル アルファデクス(Alprostadil Alfadex)
化学名
7-{(1R,2R,3R)-3-Hydroxy-2-〔(1E,3S)-3-hydroxyoct-1-en-1-yl〕-5-oxocyclopentyl}heptanoic acid-α-cyclodextrin
構造式
分子式
C20H34O5・χC36H60O30
分子量
354.48(アルプロスタジルとして)
性状
本品は白色の粉末で、水に溶けやすく、エタノール(95)、酢酸エチル又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は吸湿性である。
融点
114~118℃(アルプロスタジルとして)
包装
**プロスタンディン注射用20μg:10バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Chiang T.S.et al.:Arch.Ophthal.,88:418,1972
2)
川崎晃義ほか:応用薬理,17:859,1979
3)
Golub M.et al.:J.Clin.Invest.,56:1404,1975
4)
Ahlen H. et al.:J.Urol.,151:1227,1994
5)
Cawello W. et al.:J.Urol.,158:1403,1997
6)
宮本 積ほか:現代医療,10:589,1978
7)
阪口周吉ほか:VASA,7:263,1978
8)
小野薬品工業:動脈内投与〈慢性動脈閉塞症〉臨床成績集計(社内資料)
9)
小野薬品工業:静脈内投与〈慢性動脈閉塞症〉臨床成績集計(社内資料)
10)
阿岸祐幸ほか:現代医療,13:839,1981
11)
小野薬品工業:静脈内投与〈振動病〉臨床成績集計(社内資料)
12)
田辺達三ほか:外科,42:152,1980
13)
佐地 勉ほか:日本小児循環器学会雑誌,20:663,2004
14)
小川 潔ほか:日本小児科学会雑誌,109:990,2005
15)
Linet O.I. et al.:Clin.Investig.,72:139,1994
16)
西村昭男ほか:現代医療,11:1491,1979
17)
三島好雄:代謝,12:1727,1975
18)
川崎晃義ほか:応用薬理,17:1043,1979
19)
塩野谷恵彦ほか:外科治療,34:213,1976
20)
桶川忠夫ほか:現代医療,13:2132,1981
21)
本間浩樹ほか:現代医療,13:445,1981
22)
西島早見:現代医療,9:195,1977
23)
原田英之ほか:外科,44:1069,1982
24)
Sharpe G.L.et al.:Prostaglandins,9:703,1975
25)
門間和夫ほか:日本新生児学会雑誌,21:396,1985
26)
Hedlund H. et al.:J.Urol.,134:1245,1985
27)
Tamura M. et al.:Int.J.Impoten.Res.,2(Suppl.1):141,1990
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
*小野薬品工業株式会社 医薬情報部 くすり相談室
〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
電話 0120-626-190
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
小野薬品工業株式会社
大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号