Omepral Injection20(Omeprazole Sodium Hydrate)奥美拉唑钠水合物,オメプラール注用20
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作成又は改訂年月
**2015年1月改訂(第15版)
*2012年10月改訂
日本標準商品分類番号
872329
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2010年6月
国際誕生年月
1987年4月
薬効分類名
プロトンポンプ・インヒビター
承認等
販売名
オメプラール注用20
販売名コード
YJコード
2329403D1025
承認・許可番号
承認番号
21300AMZ00389
欧文商標名
Omepral Injection20
薬価基準収載年月
2001年6月
販売開始年月
2001年6月
使用期限等
貯 法:
しゃ光して室温保存
有効期間:
3年
規制区分
処方箋医薬品:
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含量(1瓶中)
オメプラゾール20mg(オメプラゾールナトリウム水和物として22.3mg)
添加物
pH調節剤(適量)
性状
剤形
用時溶解して用いる注射剤
色・形状
白色の塊又は粉末
pH
9.5~11.0:水20mLに溶解時
浸透圧比
約1:生理食塩液20mLに溶解時
一般的名称
オメプラゾールナトリウム水和物注射剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.
*アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能・効果
1.
経口投与不可能な下記の疾患:出血を伴う胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性ストレス潰瘍及び急性胃粘膜病変
2.
経口投与不可能なZollinger-Ellison症候群
用法・用量
通常、成人には、オメプラゾールとして1回20mgを、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液に混合して1日2回点滴静注する、或いは日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液20mLに溶解して1日2回緩徐に静脈注射する。
用法・用量に関連する使用上の注意
1.
本剤を、「経口投与不可能な、出血を伴う胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性ストレス潰瘍及び急性胃粘膜病変」に対して投与した場合、3日間までの成績で高い止血効果が認められているので、内服可能となった後は経口投与に切りかえ、漫然と投与しないこと。(「臨床成績」の項参照)
2.
国内臨床試験において、本剤の7日間を超える使用経験はない。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
薬物過敏症の既往歴のある患者
2.
肝障害のある患者[肝代謝性であり、血中濃度が高くなるおそれがある。]
3.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
治療にあたっては経過を十分に観察し、病状に応じ治療上必要最小限の使用にとどめ、本剤で効果がみられない場合には、他の療法に切りかえる。なお、血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。
2.
動脈性の急激な出血や露出血管を認めるなど急激な出血の危険性のある場合は、ヒータープローブやクリッピング等の適切な処置を行うこと。
3.
緊急の場合以外には、静脈注射を避け点滴静注によることが望ましい。
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主として肝代謝酵素CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝される。また、本剤の胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を上昇又は低下させることがある。
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)
臨床症状・措置方法
アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下することがある。
2.
薬剤名等
*リルピビリン塩酸塩
*(エジュラント)
臨床症状・措置方法
*リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
*本剤の胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下することがある。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
ジアゼパム
フェニトイン
シロスタゾール
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用を増強することがある。
機序・危険因子
本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)
2. 薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
抗凝血作用を増強し、出血に至るおそれがある。プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。
機序・危険因子
本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)
3. 薬剤名等
タクロリムス水和物
臨床症状・措置方法
タクロリムスの血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
相互作用の機序は不明である。
4. 薬剤名等
ジゴキシン
メチルジゴキシン
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用を増強することがある。
機序・危険因子
本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある。
5. 薬剤名等
イトラコナゾール
臨床症状・措置方法
イトラコナゾールの作用を減弱することがある。
機序・危険因子
本剤の胃酸分泌抑制作用によりイトラコナゾールの溶解性が低下し、イトラコナゾールの血中濃度が低下することがある。
6. 薬剤名等
チロシンキナーゼ阻害剤
ゲフィチニブ
エルロチニブ
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。
機序・危険因子
本剤の胃酸分泌抑制作用によりこれらの薬剤の溶解性が低下し、吸収が低下することがある。
7. 薬剤名等
ボリコナゾール
臨床症状・措置方法
本剤のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。
機序・危険因子
ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を阻害することが考えられる。
8. 薬剤名等
ネルフィナビルメシル酸塩
臨床症状・措置方法
ネルフィナビルの血中濃度が低下するおそれがある。
機序・危険因子
相互作用の機序は不明である。
9. 薬剤名等
サキナビルメシル酸塩
臨床症状・措置方法
サキナビルの血中濃度が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
相互作用の機序は不明である。
10. 薬剤名等
クロピドグレル硫酸塩
臨床症状・措置方法
クロピドグレル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤がCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する。
11. 薬剤名等
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある。
機序・危険因子
セイヨウオトギリソウが本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を誘導することが考えられる。
12. 薬剤名等
メトトレキサート
臨床症状・措置方法
メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある。高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること。
機序・危険因子
相互作用の機序は不明である。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内臨床試験の総症例数850例中、副作用が報告されたのは11例(1.3%)であった。その主な症状は嘔気3件(0.4%)、下痢3件(0.4%)、血管痛2件(0.2%)等であった。臨床検査値の変動としてAST(GOT)上昇793例中20件(2.5%)、ALT(GPT)上昇788例中24件(3.0%)等がみられた。(承認時の集計)
特定使用成績調査の総症例数1,130例中、副作用が報告されたのは17例(1.5%)であった。その主な症状は肝機能異常3件(0.3%)、発疹2件(0.2%)であった。(再審査終了時の集計)
重大な副作用
1.
ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(血管浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明):汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(いずれも頻度不明):劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明):中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
視力障害(頻度不明):視力障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.
間質性腎炎、急性腎不全(いずれも頻度不明):間質性腎炎、急性腎不全があらわれることがあるので、腎機能検査値(BUN、クレアチニン等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
低ナトリウム血症(頻度不明):低ナトリウム血症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.
間質性肺炎(0.1%未満):間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
9.
横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
10.
錯乱状態(頻度不明):せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦燥、攻撃性等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症注1)
0.1~5%未満
発疹
2. 過敏症注1)
頻度不明
蕁麻疹、そう痒感、多形紅斑、光線過敏症
3. 消化器
0.1~5%未満
下痢・軟便、悪心、腹部膨満感
4. 消化器
頻度不明
便秘、嘔吐、鼓腸放屁、カンジダ症、口渇、腹痛、口内炎、舌炎、顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis、lymphocytic colitis)
5. 肝臓
0.1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇
6. 肝臓
頻度不明
LDH上昇
7. 血液
0.1%未満
白血球数減少、血小板数減少
8. 血液
頻度不明
貧血
9. 精神神経系
0.1%未満
頭痛、めまい、不眠(症)
10. 精神神経系
頻度不明
眠気、しびれ感、振戦、傾眠、異常感覚、うつ状態
11. その他
0.1~5%未満
血管痛
12. その他
0.1%未満
発熱、味覚異常
13. その他
頻度不明
霧視、浮腫、女性化乳房、脱毛、倦怠感、関節痛、頻尿、動悸、月経異常、筋肉痛、発汗、筋力低下、及びBUN、クレアチニン、尿酸、トリグリセライド、血清カリウム、総コレステロールの上昇、低マグネシウム血症
注1) このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いので、慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(ウサギ経口138mg/kg)で胎児毒性(死亡吸収胚率の増加)が報告されている。]
2.
授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物実験(ラット経口5mg/kg)で、母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
徴候、症状:オメプラゾールの過量投与により、悪心、嘔吐、めまい、腹痛、下痢、頭痛等が報告されている。
処置:症状に応じて適切な処置を行うこと。
適用上の注意
投与時:
日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液以外の溶解液、輸液、補液及び他剤との混合注射は避けること。
その他の注意
1.
ラットに1.7mg/kg以上を2年間経口投与した毒性試験で、胃にカルチノイドの発生がみられたとの報告がある。このカルチノイドの発生にはラットに種特異性が認められている。
2.
本剤の投与が、胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認して投与すること。
3.
因果関係は明らかではないが、本剤の国内臨床試験において難聴がみられたとの報告がある。
4.
海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されている。特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。
5.
*海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
薬物動態
1. 血漿中濃度1),2),3),4),5)
オメプラゾールの代謝には遺伝的多型があるため(「代謝」の項参照)、血漿からの消失の速やかな個体群(Extensive metabolizer:EM)と緩やかな個体群(Poor metabolizer:PM)とに区分して解析した。日本人健康成人男子にオメプラゾールとして20mgを1日2回、6日間反復静脈内投与したときの血漿中濃度(実測値、推定曲線)及び薬物動態パラメータは以下の通りである1)。
図 日本人健康成人男子にオメプラゾールナトリウム(オメプラゾールとして20mg)を1日2回、6日間反復静脈内投与時の血漿中濃度1)
表 日本人健康成人男子にオメプラゾールナトリウム(オメプラゾールとして20mg)を1日2回、6日間反復静脈内投与時の薬物動態パラメータ1)参照
オメプラゾールの消失半減期は、EMで約1時間、PMで約3時間であった。AUCは、EMに比してPMで約2~5倍大きかった1)。日本人健康成人男子に、オメプラゾールとして10~80mg(承認外の用量を含む)を静脈内投与後のAUCは、投与量に比例して増加した2)。外国人のデータでは、健康高齢者(75~79歳)3)及び腎機能障害患者4)に、オメプラゾール(20mg)を静脈内投与後の消失半減期は、それぞれ約1時間、0.6時間で若年健康成人との間に顕著な差はみられなかった。また、肝硬変患者におけるオメプラゾールの消失半減期は、約2.8時間に延長した5)。
2. 蛋白結合6)
オメプラゾールの血漿蛋白との結合率は、0.2~20μmol/Lの濃度範囲で一定であり、約96%であった。
3. 代謝
外国人のデータでは、健康成人にオメプラゾールを経口投与したとき、血漿中の主代謝物はオメプラゾールスルホン及びヒドロキシオメプラゾールで、これらの代謝物はいずれも胃酸分泌抑制作用をほとんど示さなかった7),8)。また、ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験の結果から、ヒドロキシ体及びスルホン体の生成にはそれぞれ主にCYP2C19及びCYP3A4が関与し、ヒドロキシ体への代謝クリアランスはスルホン体の4倍であると報告されている9)。CYP2C19には遺伝多型が存在し、遺伝学的にCYP2C19の機能を欠損する個体(PM)は日本人を含むモンゴル系人種で13~20%、コーカサス系人種で3~4%と報告されている10)。PMにおけるオメプラゾールの緩やかな代謝は、他のプロトンポンプ阻害剤11),12)と同様である。
4. 排泄13)
外国人のデータでは、14C標識オメプラゾールナトリウム10mgを健康成人に静脈内投与したとき、96時間後までに尿中には投与量の78%、糞中には19%の放射能が排泄され、主排泄経路は尿中であった。
5. 相互作用
外国人のデータでは、ジアゼパム、ワルファリン、フェニトインがCYP2C19により代謝されるため、EMにおいては、本剤との併用によってジアゼパム14)及びフェニトイン15)のクリアランスは、それぞれ27%及び15%低下し、ワルファリン16)の血中濃度は12%上昇したとの報告がある。
薬物動態の表
表 日本人健康成人男子にオメプラゾールナトリウム(オメプラゾールとして20mg)を1日2回、6日間反復静脈内投与時の薬物動態パラメータ1)
群(例数) |
投与回数 |
投与終了時の血漿中濃度(μg/mL) |
消失半減期(h) |
AUC0-∞(μg・h/mL) |
EM(7) |
初回 |
1.83±0.83 |
0.66±0.24 |
1.00±0.27 |
EM(7) |
最終回 |
2.15±0.75 |
1.22±0.47 |
2.51±0.92※ |
PM(3) |
初回 |
2.00±0.38 |
2.52±0.52 |
4.87±2.08 |
PM(3) |
最終回 |
1.65±0.35 |
3.50±1.01 |
5.88±2.74※ |
※:AUC0-12 平均値±標準偏差
臨床成績
1. 上部消化管出血17),18),19),20),21),22),23),24)
本剤1回20mg、1日2回静脈内投与で3日間以内に止血が認められた症例は、90.8%(314例/346例)であり、内視鏡的な前処置を行わずに3日間以内に止血が認められた症例は90.6%(154例/170例)及び4~7日間で止血が認められた症例は4.1%(7例/170例)であった。
2. Zollinger-Ellison症候群25),26)
経口剤による治療が不可能な2例に対しオメプラゾールとして1回20mgを1日2回3日間及び4日間、静脈内投与され、自他覚症状の消失、内視鏡所見の改善が認められた。
薬効薬理
1. 作用機序27),28)
胃腺の壁細胞基底膜上の受容体へ、各種酸分泌刺激物質が結合することにより、壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素H+,K+-ATPaseが働いている。オメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害するため、各種酸分泌刺激物質による胃酸分泌を強く抑制する。胃酸は血小板凝集を抑制し、上部消化管出血を増悪するため、オメプラゾールの強力な胃酸分泌抑制作用により、上部消化管出血が抑制されるものと考えられる。
2. 効力を裏付ける薬理試験
(1) H+,K+-ATPase阻害作用27),29)
ウサギ及びヒトの胃粘膜H+,K+-ATPaseに対し阻害作用を示した。
(2) 胃酸分泌抑制作用29),30),31),32)
ヒト分離胃底腺において、オメプラゾールは、ヒスタミン、dibutyryl cyclic AMP及びK+のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても抑制作用を示した。オメプラゾールは、静脈内投与により、麻酔ラットにおけるヒスタミン刺激、迷走神経切断ラットにおけるペンタガストリン刺激、Heidenhain pouch犬におけるヒスタミン刺激のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても強い抑制作用を示した。また、Heidenhain pouch犬への7日間反復静脈内投与により、オメプラゾールの胃酸分泌抑制作用は増強した。
(3) 実験的胃出血、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍に対する抑制作用30),32),33)
オメプラゾールは、静脈内投与により、寒冷拘束ラットにおける胃出血及び胃酸分泌を抑制した。その他、経口投与により、ラットにおける水浸拘束ストレス、幽門結紮、インドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン、エタノール及び酢酸胃潰瘍、並びに、メピリゾール及び酢酸十二指腸潰瘍など、いずれの実験的潰瘍においても潰瘍発生抑制あるいは治癒促進作用が認められた。
3. 臨床薬理試験
(1) 胃酸分泌抑制作用34)
健康成人男子12例を対象にオメプラゾールとして10mg、20mg、30mg単回静脈内投与し、テトラガストリン刺激胃酸分泌に対する作用を検討したところ、胃液量、酸度、酸分泌量のいずれにおいても10mg群の抑制効果は弱く、20mg群と30mg群の抑制効果はほぼ同程度であった。テトラガストリン刺激酸分泌量に対する抑制率は、オメプラゾール10mg、20mg、30mgの単回静脈内投与で各々61%、93%、94%であった。
(2) 胃内pH35),36)
健康成人男子6例へのオメプラゾールとして1日2回20mg又は30mgのいずれの静脈内投与においても24時間にわたり胃内pH上昇効果が認められた。また、健康成人男子及び胃、十二指腸潰瘍患者(合わせて11例)へのオメプラゾールとして1日20mg又は40mgの静脈内又は点滴投与のいずれにおいても、投与後12時間の胃内pH4以上維持の胃酸分泌抑制効果に差はみられなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:オメプラゾールナトリウム水和物(Omeprazole Sodium Hydrate)(JAN)
化学名:(RS)-Monosodium 5-methoxy-2-[(4-methoxy-3,5-dimethyl-2-pyridyl)methyl sulfinyl]benzimidazolate monohydrate
構造式:
分子式:C17H18N3NaO3S・H2O
分子量:385.42
性状 :オメプラゾールナトリウム水和物は白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくい。水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
包装
オメプラール注用20:[バイアル]10バイアル(20mg×10瓶)
主要文献及び文献請求先
主要文献
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Larsson, H., et al.:Gastroenterology, 85, 900, 1983
32)
芳賀慶一郎 他:日薬理誌, 92, 39, 1988
33)
Yamamoto, O., et al.:Dic. Dis. Sci., 29, 394, 1984
34)
森 治樹 他:薬理と治療, 23(Suppl.8), 21, 1995
35)
社内資料(24時間胃内pH検討 -1日2回投与試験-, 2001)
36)
社内資料(24時間胃内pH検討 -静注/点滴投与試験-, 2001)
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