Protopic Ointment 0.03% for Pediatric (Tacrolimus Hydrate)他克莫司水合物, プロトピック軟膏0.03%小児用
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作成又は改訂年月
**2014年4月改訂(第13版)
*2014年3月改訂
日本標準商品分類番号
872699
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
1993年4月
薬効分類名
アトピー性皮膚炎治療剤(免疫抑制外用剤)
承認等
販売名
プロトピック軟膏0.03%小児用
販売名コード
YJ(医情研)コード
2699709M2024
承認・許可番号
承認番号
21500AMZ00458
商標名
Protopic Ointment 0.03% for Pediatric
薬価基準収載年月
2003年12月
販売開始年月
2003年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
ケース等に表示(製造後2年)
規制区分
劇薬
処方箋医薬品注)
注) 注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含量(1g中)
日局タクロリムス水和物 0.31mg(タクロリムスとして0.3mg)
添加物
炭酸プロピレン、サラシミツロウ、流動パラフィン、パラフィン、白色ワセリン
性状
性状
白色~微黄色の軟膏剤
一般的名称
タクロリムス水和物 軟膏
Tacrolimus Hydrate
警告
1.
本剤の使用は、小児のアトピー性皮膚炎の治療法に精通している医師のもとで行うこと。
2.
マウス塗布がん原性試験において、高い血中濃度の持続に基づくリンパ腫の増加が認められている。また、本剤使用例において関連性は明らかではないが、リンパ腫、皮膚がんの発現が報告されている。本剤の使用にあたっては、これらの情報を患者又は代諾者に対して説明し、理解したことを確認した上で使用すること。
3.
潰瘍、明らかに局面を形成している糜爛に使用する場合には、血中濃度が高くなり、腎障害等の副作用が発現する可能性があるので、あらかじめ処置を行い、潰瘍、明らかに局面を形成している糜爛の改善を確認した後、本剤の使用を開始すること。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
(次の場合には使用しないこと)
1.
潰瘍、明らかに局面を形成している糜爛への使用(「警告」の項参照)
2.
高度の腎障害、高度の高カリウム血症のある患者〔腎障害、高カリウム血症が増悪する可能性がある。〕
3.
魚鱗癬様紅皮症を呈する疾患(Netherton症候群等)の患者〔経皮吸収が高く、本剤の血中濃度が高くなり、腎障害等の副作用が発現する可能性がある。〕
4.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への使用」の項参照)
5.
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児〔使用経験がなく、安全性は確立していない。〕
6.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
7.
PUVA療法等の紫外線療法を実施中の患者 (「その他の注意」の項の1参照)
原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
(次の場合には使用しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に使用すること)
皮膚感染症を伴う患者〔皮膚感染症が増悪するおそれがある。〕(「重要な基本的注意」の項参照)
効能又は効果
アトピー性皮膚炎
効能又は効果に関連する使用上の注意
ステロイド外用剤等の既存療法では効果が不十分又は副作用によりこれらの投与ができないなど、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用する。
用法及び用量
通常、小児には1日1~2回、適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとするが、年齢により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
1回あたりの最大塗布量については、以下の表を目安にする。
参考:臨床試験時の用量(「臨床成績」の項参照)
2.
皮疹の増悪期には角質層のバリア機能が低下し、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤の使用にもかかわらず2週間以内に皮疹の改善が認められない場合には使用を中止すること。また、皮疹の悪化をみる場合にも使用を中止すること。
3.
症状改善により本剤塗布の必要がなくなった場合は、速やかに塗布を中止し、漫然と長期にわたって使用しないこと。
4.
密封法及び重層法での臨床使用経験はないので、密封法及び重層法は行わないこと。
5.
1日2回塗布する場合はおよそ12時間間隔で塗布すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(次の患者には慎重に使用すること)
1.
腎障害、高カリウム血症のある患者〔腎障害、高カリウム血症が増悪する可能性がある。〕
2.
高度の肝障害のある患者〔薬物代謝能が低下し、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。〕
3.
全身に皮疹を認める紅皮症のある患者〔経皮吸収が高く、広範囲の使用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。〕
重要な基本的注意
1.
重度の皮疹もしくは塗布面積が広範囲にわたる場合は、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤使用開始の2~4週間後に1回、その後は必要に応じて適宜腎機能検査を行い、異常が認められた場合には、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
本剤使用時は日光への曝露を最小限にとどめること。また、日焼けランプ/紫外線ランプの使用を避けること。(「その他の注意」の項の1参照)
3.
2年以上の長期使用時の局所免疫抑制作用(結果として、感染症を増加させたり、皮膚がんの誘因となる可能性がある)については、臨床試験成績がなく不明である。
4.
皮膚感染症を伴うアトピー性皮膚炎患者には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する場合には、感染部位を避けて使用するか、又はあらかじめ適切な抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤による治療を行う、もしくはこれらとの併用を考慮すること。
5.
使用後、一過性に皮膚刺激感(灼熱感、ほてり感、疼痛、そう痒感等)が高頻度に認められるが、通常、皮疹の改善とともに発現しなくなるので、皮膚刺激感があることについて患者に十分説明すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
本剤使用中にPUVA療法等の紫外線療法を行わないこと。(「その他の注意」の項の1参照)
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの臨床試験では、小児356例中220例(61.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は疼痛130例(36.5%)、熱感58例(16.3%)、毛嚢炎30例(8.4%)、そう痒感28例(7.9%)、伝染性膿痂疹18例(5.1%)であった。(承認時:2003年7月)
その他の副作用
適用部位の皮膚刺激感注1)
5%以上
熱感(灼熱感、ほてり感等)(17.8%)、疼痛(ヒリヒリ感、しみる等)(16.8%)
適用部位の皮膚刺激感注1)
0.1~5%未満
そう痒感
皮膚感染症注2)
0.1~5%未満
細菌性感染症(毛嚢炎、伝染性膿痂疹等)、ウイルス性感染症(単純疱疹、カポジ水痘様発疹症等)、真菌性感染症(白癬等)
その他の皮膚症状注3)
0.1~5%未満
ざ瘡、ざ瘡様皮疹、丘疹、皮膚乾燥、接触性皮膚炎、紅斑
その他の皮膚症状注3)
頻度不明
酒さ様皮膚炎、適用部位浮腫
皮膚以外の症状
0.1%未満
皮膚以外の感染症(上気道炎、リンパ節炎等)注4)、頭痛、頭重感
副作用の頻度は、承認時までの臨床試験(成人1,230例、小児356例)及び市販後の調査(5,383例)の成績を合算して算出している。
その他の副作用の注意
注1)刺激感は入浴時に増強することがある。通常、塗布後一過性に発現し、皮疹の改善とともに発現しなくなるが、ときに使用期間中持続することがある。高度の刺激感が持続する場合は、休薬もしくは中止すること。
注2)このような症状があらわれた場合には、適切な抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、本剤の使用を中止すること。
注3)このような症状があらわれた場合には、その部位への使用を中止すること。
注4)皮膚以外の感染症が発現し、遷延する場合には本剤の使用を中止すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への使用
1. 妊婦等:
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には使用しないこと。〔動物実験(ウサギ、経口投与)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告がある。〕
2. 授乳婦:
母乳中へ移行する可能性があるので使用中の授乳は避けさせること。
小児等への使用
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児では使用経験がなく、安全性は確立していないので使用しないこと。
適用上の注意
適用部位:
皮膚以外の部位(粘膜等)及び外陰部には使用しないこと。また、眼の周囲に使用する場合には眼に入らないように注意すること。万一、眼に入った場合には刺激感を認めることがあるので直ちに水で洗い流すこと。また、洗い流した後にも刺激感が持続する場合は、医療機関を受診し治療を受けるよう指導すること。
その他の注意
1.
アルビノ無毛マウスに40週間にわたりUVA及びUVBを照射し、その後12週間無処置期間を設けて観察すると試験動物のすべてに皮膚腫瘍が発生するが、この試験系において紫外線照射と並行して本剤を塗布すると皮膚腫瘍の発生時期が早まることが示されている。
2.
マウス塗布がん原性試験で高い血中濃度の持続に基づいたリンパ腫の増加が認められた。
3.
ラット(1.0~3.0mg/kg、皮下投与)で、精子数の減少及び精子運動能の低下が、また高用量群では繁殖能の軽度低下が認められた。
薬物動態
血中濃度
1.
小児アトピー性皮膚炎患者39例を塗布面積により3群に分け、0.1%軟膏を1日2回、14日間反復塗布したところ、塗布後の全身移行性は低く、全測定試料中92%で血中濃度は1ng/mL以下であり、17%は定量限界(0.025ng/mL)以下であった。またタクロリムスの全身移行性は塗布面積とともに増加する傾向にあったが、薬物動態パラメータの経時的な比較から蓄積はないと考えられた1)。(外国人データ)(「薬物動態の表」表1参照)
2.
小児アトピー性皮膚炎患者104例に0.03%軟膏を1回最大5g、1日1~2回塗布し52週後まで血中濃度を測定したところ以下のとおりであった2)。(「薬物動態の表」表2参照)
薬物動態の表
表1 反復塗布a)時の薬物動態パラメータ
塗布面積
範囲(cm2) |
例数 |
測定日
(日) |
塗布量
(g) |
Cmax
(ng/mL) |
C0b)
(ng/mL) |
AUC0-24h
(ng・h/mL) |
≦1500 |
16 |
1 |
2.3±1.2 |
0.44±0.76 |
― |
5.17±8.82 |
≦1500 |
16 |
4 |
― |
― |
0.29±0.28 |
― |
≦1500 |
16 |
14 |
2.1±1.0 |
0.20±0.19 |
0.16±0.16 |
3.34±2.50 |
>1500
≦3000 |
14 |
1 |
3.8±1.3 |
0.99±1.37 |
― |
17.48±25.74 |
>1500
≦3000 |
14 |
4 |
― |
― |
0.96±0.90 |
― |
>1500
≦3000 |
14 |
14 |
3.7±1.1 |
0.83±1.34 |
0.67±1.12 |
15.44±28.80 |
>3000
≦5000 |
9 |
1 |
4.8±1.1 |
1.03±1.13 |
― |
11.03±11.88 |
>3000
≦5000 |
9 |
4 |
― |
― |
0.96±1.58 |
― |
>3000
≦5000 |
9 |
14 |
4.2±1.0 |
0.98±1.03 |
0.32±0.30 |
11.35±8.66 |
(平均値±S.D.)
a)初日及び14日目は1日1回、2日目から13日目までは1日2回塗布
b)塗布前血中濃度
(注)小児で承認された製剤は、0.03%軟膏である。
表2 長期使用時の血中濃度
測定時期 |
測定例数 |
血中濃度(ng/mL):平均値±S.D. |
血中濃度(ng/mL):最小値~最大値 |
4日目 |
52 |
0.07±0.26 |
N.D.~1.50 |
1週後 |
104 |
0.04±0.17 |
N.D.~1.39 |
2週後 |
101 |
0.03±0.13 |
N.D.~0.93 |
12週後 |
98 |
0.01±0.06 |
N.D.~0.59 |
28週後 |
96 |
0.02±0.12 |
N.D.~0.86 |
52週後 |
97 |
0.01±0.05 |
N.D.~0.54 |
N.D.:定量限界(0.50ng/mL)未満
臨床成績
小児アトピー性皮膚炎患者を対象にした軟膏基剤との比較試験3)及び長期観察試験2)における成績は表3のとおりであった。なお、患者の体重区分ごとに定めた1回塗布量の上限は表4のとおりである。(「臨床成績の表」表3、表4参照)
臨床成績の表
表3 比較試験及び長期観察試験における成績
塗布方法・期間 |
塗布部位 |
著明改善以上/症例数(%) |
比較試験 |
1日2回・3週間 |
すべての皮疹部位 |
48/72(66.7)※ |
長期観察試験 |
1日1~2回・52週間 |
本剤による治療を必要とする皮疹部位 |
61/98(62.2)※※ |
※:躯幹・四肢での評価
※※:塗布部位全体での評価(52週時判定)
表4 1回塗布量の
体重区分 |
1回塗布量の上限 |
20kg未満 |
1g |
20kg以上30kg未満 |
2g |
30kg以上40kg未満 |
3g |
40kg以上50kg未満 |
4g |
50kg以上 |
5g |
薬効薬理
1.
実験的アレルギー性皮膚炎抑制作用
(1)
ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した病態を形成するラット皮膚炎及びNCマウス自然発症皮膚炎における皮膚局所炎症反応、真皮での炎症性細胞の増加を抑制する4)5)。
(2)
IV型アレルギー反応(遅延型アレルギー反応)を強く抑制する6)7)。
(3)
I型アレルギー反応の即時型反応には無効であるが、遅発型反応に対しては軽度の抑制効果を有する6)8)。
2.
作用機序
(1) サイトカイン産生抑制作用9)
ヒト・ヘルパーT細胞によるIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、インターフェロンγ、GM-CSF等のサイトカインの産生をステロイドと同等もしくはより強く抑制する(in vitro)。
(2) 肥満細胞脱顆粒抑制作用10)11)
抗IgE抗体刺激によるヒト肥満細胞からのヒスタミン遊離をステロイドより強く抑制する(in vitro)。
(3) 好酸球脱顆粒抑制作用12)
カルシウムイオノフォア刺激によるヒト好酸球からの塩基性蛋白(ECP)の遊離をステロイドより強く抑制する(in vitro)。
(4) 抗原提示能抑制作用13)
ヒト皮膚ランゲルハンス細胞をタクロリムスで前処理することにより、ランゲルハンス細胞を抗原提示細胞とする混合リンパ球反応を抑制する(in vitro)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
タクロリムス水和物(Tacrolimus Hydrate)
化学名
(3S,4R,5S,8R,9E,12S,14S,15R,16S,18R,19R,26aS )-5,19-Dihydroxy-3-{(1E )-2-[(1R,3R,4R )-4-hydroxy-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethenyl}-14,16-dimethoxy-4,10,12,18-tetramethyl-8-(prop-2-en-1-yl)-15,19-epoxy-5,6,8,11,12,13,14,15,16,17,18,19,24,25,26,26a-hexadecahydro-3H -pyrido[2,1-c][1,4]oxaazacyclotricosine-1,7,20,21(4H,23H )-tetrone monohydrate
構造式
分子式
C44H69NO12・H2O
分子量
822.03
融点
130~133℃
分配係数
1000以上(1-オクタノール/水系)
性状
タクロリムス水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、N,N -ジメチルホルムアミド又はエタノール(95)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
承認条件
本剤の長期使用例について、免疫抑制作用に伴う有害事象の発現状況を調査すること。
包装
チューブ:5g×10
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内報告書 (小児アトピー性皮膚炎患者・薬物動態)[G3050002]
2)
川島 眞 他:臨床医薬 19(6):597,2003[G3051533]
3)
大槻マミ太郎 他:臨床医薬 19(6):569,2003[G3051532]
4)
藤井康友 他:基礎と臨床 31(8):2693,1997[G3050947]
5)
Hiroi, J. et al.:Jpn. J. Pharmacol. 76(2):175,1998[G3050968]
6)
仙石隆則 他:日本薬理学雑誌 112(3):221,1998[G3050988]
7)
Meingassner, J.G. et al.:Int. Arch. Allergy Immunol. 99(2-4):486,1992[G3050863]
8)
Katayama, I. et al.:Int. Arch. Allergy Immunol. 109:390,1996[G3050944]
9)
Sakuma, S. et al.:Int. Immunopharmacol. 1(6):1219,2001[G3051182]
10)
de Paulis, A. et al.:J. Invest. Dermatol. 99(6):723,1992[G3050859]
11)
Cohan, V.L. et al.:Am. Rev. Respir. Dis. 140:951,1989[G3052157]
12)
社内報告書(ヒト好酸球・薬理作用) [G3050010]
13)
Panhans-Groβ, A. et al.:J. Allergy Clin. Immunol. 107(2):345,2001[G3051133]
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