ARTCEREB Irrigation and Perfusion Solution for Cerebrospinal Surgery()アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液
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作成又は改訂年月
** 2015年5月改訂(_部、第4版)
* 2011年4月改訂
日本標準商品分類番号
87 339
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
**2015年3月
薬効分類名
脳脊髄手術用洗浄・灌流液
承認等
販売名
アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液
販売名コード
3399500G1025
承認・許可番号
承認番号
21900AMX01763
商標名
ARTCEREB Irrigation and Perfusion Solution for Cerebrospinal Surgery
薬価基準収載年月
2008年4月
販売開始年月
2008年5月
貯法・使用期限等
貯法:
室温保存
使用期限:
容器に表示の使用期限内に使用すること。
使用時及び保管:
取扱い上の注意の項参照
規制区分
**処方箋医薬品注)
**注)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
本剤の上室液(糖・電解質液)及び下室液(電解質液)は次の成分を含有する。
■上室液(糖・電解質液)
成分(150mL中)
ブドウ糖
0.305g
塩化ナトリウム
1.200g
塩化カルシウム水和物
0.085g
塩化マグネシウム
0.110g
■下室液(電解質液)
成分(350mL中)
炭酸水素ナトリウム
0.970g
塩化ナトリウム
2.375g
塩化カリウム
0.065g
リン酸二水素カリウム
0.075g
■混合時
<電解質>
Na+
145 mEq/L
K+
2.8 mEq/L
Mg2+
2.2 mEq/L
Ca2+
2.3 mEq/L
Cl-
129 mEq/L
HCO3-
23.1 mEq/L
P
1.1 mmol/L
<糖質>
ブドウ糖
0.61g/L
性状
<上室液>
性状
無色澄明な液
pH
約4.4(製造直後の平均実測値)
4.0~4.8(規格値)
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
<下室液>
性状
無色澄明な液
pH
約7.3(製造直後の平均実測値)
7.0~7.8(規格値)
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
<混合時>
性状
無色澄明な液
pH
約7.3(製造直後の平均実測値)
-(規格値)
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
効能又は効果
穿頭・開頭手術時の洗浄、脊髄疾患手術時の洗浄及び神経内視鏡手術時の灌流
用法及び用量
穿頭・開頭手術時の洗浄、脊髄疾患手術時の洗浄及び神経内視鏡手術時の灌流を目的として使用する。
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合する。
使用量は通常、適量を使用し、術式及び手術時間等により適宜増減する。
なお、上限量は下記を目安とする。
穿頭・開頭手術及び神経内視鏡手術
4000mL
脊髄疾患手術
3000mL
使用上の注意
重要な基本的注意
1.
本剤は、点滴静注として使用してはならない。穿頭・開頭手術時の洗浄、脊髄疾患手術時の洗浄及び神経内視鏡手術時の灌流に限って原則閉鎖系※にて使用すること。
※本剤をステンレス製ビーカー等の別容器に移し替えないで直接手術部位に使用すること。シリンジ又はシリンジに類似した洗浄器具を用いて洗浄する場合は、本剤を輸液ライン等から採取して手術部位に使用すること。
2.
シバリング等が発現する可能性があるため、外袋を開封せずに体温程度に加温し、24 時間以内に閉鎖系にて使用することを原則とする。
3.
混合液は、開放状態ではpHが上昇するため、原則ステンレス製ビーカー等の別容器に移し替えないで使用すること。ただし、短時間に大量の洗浄液が必要と判断し、やむを得ず、移し替えて使用する場合は以下の点に注意すること。
(1)
常温(15 ~ 25℃)で使用し、加温は避けること。
(2)
ステンレス製ビーカー等の液量が容器容量の半量以上になるように随時本剤を追加すること。
(3)
移し替えて6 時間が経過した場合は残液を廃棄して、新しい液を使用すること。
(4)
シャーレのような底の浅い容器への移し替えは避けること。
4.
本剤を穿頭・開頭手術時における術野からの空気の排除の際に洗浄液として使用する場合、脊髄疾患の手術時の洗浄液として使用する場合及び神経内視鏡手術時の灌流液として使用する場合、脳圧が上昇する可能性があるため、投与速度、出入量のバランス等に十分注意して使用すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
**承認時までの臨床試験で、国内17施設で穿頭・開頭手術患者138例及び神経内視鏡手術患者19例を対象として実施した臨床第II相試験及び臨床第III相試験において、神経内視鏡手術患者19例中2例(10.5%)に、術後早期における軽度の体温上昇が副作用として認められた。
また、臨床検査値に関しては、試験実施施設の基準値(健常人の基準値)を逸脱したものを有害事象と定義し、因果関係が否定できないものを副作用として取り扱ったところ、穿頭・開頭手術患者の138例中2例(1.4%)において、軽度のAl-P低下が副作用として認められた(承認時、2007 年)。
承認後の使用成績調査において、安全性解析対象症例1,383例中15例(1.1%)に副作用が認められた(穿頭・開頭手術症例:1,082例中8例(0.7%)、脊髄疾患手術症例:150例中3例(2.0%)、神経内視鏡手術症例:151例中4例(2.6%))。
その他の副作用
**消化器
(0.1~1%未満)
嘔吐※1
**臨床検査
(1~5%未満)
血中アルカリホスファターゼ減少
**臨床検査
(0.1~1%未満)
白血球数増加※1
**臨床検査
(0.1%未満)
血中アルカリホスファターゼ増加※1、血中クレアチニン減少※1、血中ブドウ糖増加※1
**その他
(1~5%未満)
体温上昇
**その他
(0.1~1%未満)
悪寒※1
**その他
(0.1%未満)
創合併症※1
**※1 : 発生頻度は、承認後の使用成績調査の結果に基づく。
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の使用に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
小児等への投与
**低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
1. 調製前:
(1)
外袋を開封する前にインジケーターの色を確認し、紫色の場合は使用しないこと。
(2)
外袋は使用直前に開封すること。
2. 調製方法:
(1)
用時に外袋を開封し、必ず隔壁を開通して上室液と下室液を十分に混合すること(上室液又は下室液は単独で使用しないこと)。
(2)
外袋開封後はpH が上昇するため、速やかに調製し、使用すること。
混合方法(必ず混合すること)
必ず下室を押して隔壁を開通すること。上室を押すと開通確認カバーが開かない。
[開封]

(1)バッグを外袋より取り出す。
[開通]

(2)すぐに下室を両手で押して隔壁を開通する。開通と同時に開通確認カバーが開く。
[混合]

(3)開いた開通確認カバーを外し、上室と下室を交互に押して、よく混合する。
3. 使用前:
(1)
隔壁が開通していることを必ず確認すること。
(2)
使用に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具の消毒)。
4. 使用時:
原則閉鎖系にて使用し、ステンレス製ビーカー等の別容器に移し替えないで直接手術部位に使用すること。
シリンジ又はシリンジに類似した洗浄器具を用いて洗浄する場合は、本剤を輸液ライン等から採取して手術部位に使用すること。
5. 使用後:
使用後の残液は廃棄すること(保存剤を含有していないので、二次汚染のおそれがある)。
薬物動態
(参考)ラット
側脳室‐大槽灌流モデルラットに本剤を持続灌流し、灌流域の確認、電解質出納及びブドウ糖の薬物動態について検討した。
本剤での灌流中、血液中のK+、Na+及びCl-濃度はほぼ一定の濃度で推移した1)。いずれの電解質も注入した本剤と同程度の量が灌流排出液中に回収された1)。14C 標識イヌリンを添加した本剤で灌流すると、放射能は脳脊髄液腔内全域、脳及び鼻腔の篩状板に認められ、本剤による灌流域が確認された2)。一方、14C 標識ブドウ糖を含む本剤で灌流すると、放射能は主に脳脊髄液腔全域、鼻腔内の篩状板、脳脊髄の実質及びハーダー腺に分布し、脳脊髄液腔より組織への移行が認められた3)。また、14C 標識ブドウ糖由来の放射能は主に呼気中へCO2として排泄された4)。
臨床成績
全国17 施設で総計157 例の穿頭・開頭手術患者及び神経内視鏡手術患者を対象として実施した臨床試験の概要は次のとおりである。
(1) 臨床第II相試験5)
穿頭・開頭手術患者40例及び神経内視鏡手術患者4例の計44症例を対象に臨床試験を実施した。有効性として術後合併症(有害事象)に基づいて臨床結果(clinical outcome)を評価した結果、発現したいずれの術後合併症にも治験薬との因果関係は認められなかった。また、洗浄液及び灌流液の性能に問題があるか否かを評価した結果、いずれの性能にも問題がないことを確認した。
(2) 臨床第III相試験6)
穿頭・開頭手術患者98例及び神経内視鏡手術患者15例の計113症例を対象に臨床試験を実施し、有効性として洗浄液及び灌流液の性能を評価した。洗浄液の評価は、術野の洗浄、術野からの空気の排除及び手術凝固装置に対する影響を性能として評価した結果、問題は認められず、「良好」以上が100%であった。
また、灌流液の評価は、清明な視野の確保、灌流液のベトツキ感及び手術凝固装置に対する影響を性能として評価した結果、問題は認められず、「良好」以上が100%であった。
薬効薬理
ラットを用いて側脳室- 大槽灌流し、脳波を観察した結果、生理食塩液では全例に突発性異常脳波を認め、5例中1例が死亡したが、本剤ではこのような異常は認められなかった7)。
ラットの脳創傷部を本剤により4時間洗浄した。脳組織の比重を比較すると、本剤を用いた場合は乳酸リンゲル液及び生理食塩液に比し脳浮腫の程度が軽度であった8)。静脈内投与したエバンスブルーの脳組織中への漏出量の比較から、本剤では乳酸リンゲル液及び生理食塩液に比し脳血管透過性の亢進が少なかった8)。2,3,5-triphenyltetrazoliumchloride(TTC)に対する染色性より細胞障害の程度を評価すると、本剤は乳酸リンゲル液及び生理食塩液に比べて軽度であった8)。
取扱い上の注意
1.
外袋は使用直前まで開封しないこと(薬液のpH上昇を抑制するため、ガスバリア性のフィルムで包装している)。
2.
外袋を開封する前にインジケーターの色を確認し、紫色の場合は使用しないこと。
3.
万一、上室液と下室液の混合が起こっている場合や隔壁が白色化し(隔壁の溶着が剥離すると白色化する)、白色化部分が両室に通じている場合には使用しないこと。
4.
導入針はゴム栓の大きな○の穴にまっすぐ刺すこと。
5.
包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
6.
容器の目盛りはおよその目安として使用すること。
包装
アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液 500mL 20 袋 ソフトバッグ入り
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
森岡雄二朗,他:社内資料(薬物動態)
2)
森岡雄二朗,他:社内資料(薬物動態)
3)
森岡雄二朗,他:社内資料(薬物動態)
4)
森岡雄二朗,他:社内資料(薬物動態)
5)
塩原隆造,他:新薬と臨床 2007;56(9):1404-1456
6)
塩原隆造,他:新薬と臨床 2007;56(9):1458-1523
7)
藤田泰毅,他:社内資料(薬効薬理)
8)
Doi K, et al. : Surg Neurol. 2006;66:565-572
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
*株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
*〒101‐0048 東京都千代田区神田司町2‐2
*TEL:0120-719-814
*FAX:03‐5296‐8400
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9
製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115