GEMCITABINE(Gemcitabine Hydrochloride)ゲムシタビン点滴静注用200mg「サワイ」/ゲムシタビン点滴静注用1g「サワイ」
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作成又は改訂年月
**2013年10月改訂(第3版)
*2013年2月改訂
日本標準商品分類番号
874224
日本標準商品分類番号等
*効能又は効果追加承認年月(最新)
2013年2月
薬効分類名
代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤
承認等
販売名
ゲムシタビン点滴静注用200mg「サワイ」
販売名コード
4224403D1103
承認・許可番号
承認番号
22300AMX01059000
商標名
GEMCITABINE
薬価基準収載年月
2011年11月
販売開始年月
2011年11月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱等に表示
規制区分
劇薬
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成及び性状の表
有効成分・含量 |
添加物 |
剤形・性状 |
pH# |
浸透圧比#(生理食塩液に対する比) |
1バイアル中
ゲムシタビン塩酸塩 228mg
(ゲムシタビンとして200mg) |
D-マンニトール 200mg
酢酸ナトリウム水和物 20.7mg
pH調節剤 |
白色の軽質の塊又は粉末、凍結乾燥品
用時溶解して用いる注射剤 |
約3(ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液)
約3(ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液) |
約2(ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液)
約3(ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液) |
#ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液:平均的な体表面積から換算した投与量を100mLに希釈した時の濃度(ゲムシタビン1600mg相当量/100mL生理食塩液)
ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液:用法・用量における溶解時最高濃度(ゲムシタビン200mg相当量/5mL生理食塩液又はゲムシタビン1g相当量/25mL生理食塩液)
販売名
ゲムシタビン点滴静注用1g「サワイ」
販売名コード
4224403D2100
承認・許可番号
承認番号
22300AMX01060000
商標名
GEMCITABINE
薬価基準収載年月
2011年11月
販売開始年月
2011年11月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱等に表示
規制区分
劇薬
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成及び性状の表
有効成分・含量 |
添加物 |
剤形・性状 |
pH# |
浸透圧比#(生理食塩液に対する比) |
1バイアル中
ゲムシタビン塩酸塩 1140mg
(ゲムシタビンとして1000mg) |
D-マンニトール 1000mg
酢酸ナトリウム水和物 103.7mg
pH調節剤 |
白色の軽質の塊又は粉末、凍結乾燥品
用時溶解して用いる注射剤 |
約3(ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液)
約3(ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液) |
約2(ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液)
約3(ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液) |
#ゲムシタビン16mg相当量/mL生理食塩液:平均的な体表面積から換算した投与量を100mLに希釈した時の濃度(ゲムシタビン1600mg相当量/100mL生理食塩液)
ゲムシタビン40mg相当量/mL生理食塩液:用法・用量における溶解時最高濃度(ゲムシタビン200mg相当量/5mL生理食塩液又はゲムシタビン1g相当量/25mL生理食塩液)
一般的名称
注射用ゲムシタビン塩酸塩
警告
1.
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2.
週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。〔外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されている。〕
3.
「禁忌」、「慎重投与」の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
4.
高度な骨髄抑制のある患者には投与しないこと。〔骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある。骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が報告されている。〕
5.
胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者には投与しないこと。〔間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。〕
6.
放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。〔外国の臨床試験において、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。(「相互作用」の項参照)〕
7.
投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
高度な骨髄抑制のある患者〔骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。〕
2.
胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者〔症状が増悪し、致命的となることがある。〕
3.
胸部への放射線療法を施行している患者〔外国の臨床試験で本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。(「相互作用」の項参照)〕
4.
重症感染症を合併している患者〔感染症が増悪し、致命的となることがある。〕
5.
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
6.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用及び胎児致死作用が報告されている。〕
*効能又は効果
非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫
効能又は効果に関連する使用上の注意
胆道癌の場合
本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
尿路上皮癌の場合
本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
手術不能又は再発乳癌の場合
1.
本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
2.
本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の増悪若しくは再発例を対象とすること。
がん化学療法後に増悪した卵巣癌の場合
本剤の投与を行う場合には、白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし、白金製剤に対する感受性を考慮して本剤以外の治療法を慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
*用法及び用量
1. 非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
2. 手術不能又は再発乳癌の場合
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
尿路上皮癌及び手術不能又は再発乳癌に本剤を使用する場合には、「臨床成績」の項の内容を十分に理解した上で投与方法を選択すること。
(注射液の調製法)
本剤の200mgバイアルは5mL以上、1gバイアルは25mL以上の生理食塩液に溶解して用いること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
骨髄抑制のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
2.
間質性肺炎又は肺線維症の既往歴又は合併症がある患者〔間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがある。〕
3.
肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者〔肝機能の悪化を引き起こすことがある。〕
4.
腎障害のある患者〔腎機能が低下しているので、副作用があらわれやすくなることがある。〕
5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
6.
心筋梗塞の既往のある患者〔心筋梗塞がみられることがある。〕
重要な基本的注意
1.
腫瘍の明らかな増大、新病変の出現等、病態の進行が認められた場合には投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること。
2.
骨髄抑制、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査を行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
(1) 骨髄抑制
本剤の投与にあたっては、白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与当日の白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、前治療により、骨髄機能が低下している患者では、骨髄抑制が強くあらわれることがあるので、これらの患者では投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分注意すること。本剤を週1回3週連続投与した場合、白血球数及び好中球数の最低値は投与開始平均約2~3週間後にあらわれ、最低値発現日から約1週間で回復する。
(2) 間質性肺炎等の肺毒性
本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。間質性肺炎等の肺毒性の発症あるいは急性増悪が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。
3.
感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
4.
過敏症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
本剤投与時に傾眠が認められることがあるので、このような症状が発現しないことが確認されるまで、自動車の運転等は行わないように注意すること。
6.
動物実験(マウス、ウサギ)において、生殖毒性(先天性異常、胚胎発育、妊娠経過、周産期発育あるいは生後発育に対する影響等)が報告されているので、生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には生殖器に対する影響を考慮すること。
7.
*卵巣癌、悪性リンパ腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(卵巣癌)」、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(再発・難治性悪性リンパ腫)」等)を熟読すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
胸部放射線照射 外国の臨床試験で本剤(1000mg/m2/日を週1回放射線照射前に投与)と胸部への根治的放射線療法(2Gy/日を週5回)を6週連続して併用した場合に、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。放射線照射を併用した場合の本剤の至適用量は確立されていないので、放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。 基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
腹部放射線照射 |
腹部放射線療法(体外照射)と同時併用する場合、重篤となる局所の合併症が発現することがある。なお、術中放射線照射と併用した際の本剤の安全性は確認されていない。 |
基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。 |
他の抗悪性腫瘍剤
アルキル化剤
代謝拮抗剤
抗生物質
アルカロイド
等 |
骨髄抑制が増強されることがある。 |
両剤とも骨髄抑制を有している。 |
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
(頻度不明)
1.
骨髄抑制:白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血(ヘモグロビン減少、赤血球減少)等があらわれることがあるので、血液学的検査を頻回に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等適切な処置を行うこと。なお、高度な白血球減少に起因したと考えられる敗血症による死亡例が報告されている。
2.
間質性肺炎:間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。
3.
**アナフィラキシー:呼吸困難、血圧低下、発疹等の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
心筋梗塞:心筋梗塞がみられることがある。
5.
うっ血性心不全:うっ血性心不全があらわれることがある。
6.
肺水腫:肺水腫があらわれることがある。
7.
気管支痙攣:気管支痙攣があらわれることがある。
8.
成人呼吸促迫症候群(ARDS):成人呼吸促迫症候群(ARDS)があらわれることがある。
9.
腎不全:腎不全があらわれることがある。
10.
溶血性尿毒症症候群:溶血性尿毒症症候群があらわれることがあるので、血小板減少、ビリルビン上昇、クレアチニン上昇、BUN上昇、LDH上昇を伴う急速なヘモグロビン減少等の微小血管症性溶血性貧血の兆候が認められた場合には、投与を中止すること。腎不全は投与中止によっても不可逆的であり、透析療法が必要となることもある。
11.
皮膚障害:重篤な皮膚障害(紅斑、水疱、落屑等)があらわれることがある。
12.
肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
13.
**白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む):白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)があらわれることがあるので、高血圧、痙攣、頭痛、視覚異常、意識障害等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 |
循環器 |
頻脈、血圧上昇、血圧低下、狭心痛、動悸、心室性期外収縮、発作性上室頻拍、心電図異常(ST上昇) |
呼吸器 |
呼吸困難、高炭酸ガス血症、低酸素血、咳嗽、PIE(肺好酸球浸潤)症候群、喘鳴、喀痰、息切れ |
腎臓 |
総蛋白低下、電解質異常、アルブミン低下、BUN上昇、蛋白尿、血尿、クレアチニン上昇、乏尿 |
消化器 |
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、便秘、口内炎、胃部不快感、歯肉炎 |
肝臓 |
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、A/G比低下、γ-GTP上昇、ウロビリン尿 |
精神神経系 |
頭痛、めまい、不眠、知覚異常、嗜眠、しびれ |
皮膚 |
発疹、脱毛、そう痒感、蕁麻疹 |
注射部位 |
注射部位反応(静脈炎、疼痛、紅斑) |
血管障害 |
末梢性血管炎、末梢性壊疽 |
その他 |
疲労感、発熱、インフルエンザ様症状(倦怠感、無力症、発熱、頭痛、悪寒、筋痛、発汗、鼻炎等)、放射線照射リコール反応、血小板増加、体重減少、尿糖陽性、好酸球増多、関節痛、悪寒、味覚異常、鼻出血、倦怠感、浮腫、CRP上昇、体重増加、疼痛、ほてり、胸部不快感、眼底出血、体温低下、耳鳴り、眼脂、無力症、顔面浮腫 |
上記のような副作用が認められた場合には、臨床所見等の重篤度に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
尿路上皮癌におけるシスプラチンとの併用時の安全性情報
外国で実施されたゲムシタビン塩酸塩とシスプラチンとの併用投与による、尿路上皮癌の化学療法初回治療例に対する第III相試験において203例が割り付けられ、これらの症例に認められた有害事象は以下のとおりであった。(ジェムザール注射用200mg・1gの添付文書による)
項目 |
グレード3
(%) |
グレード4
(%) |
血液毒性 |
貧血 |
23.5 |
3.5 |
血小板減少 |
28.5 |
28.5 |
好中球減少 |
41.2 |
29.9 |
非血液毒性 |
粘膜炎 |
1.0 |
0 |
悪心/嘔吐 |
22.0 |
0 |
脱毛 |
10.5 |
0 |
感染 |
2.0 |
0.5 |
下痢 |
3.0 |
0 |
肺毒性 |
2.5 |
0.5 |
血尿 |
4.5 |
0 |
便秘 |
1.5 |
0 |
出血 |
2.0 |
0 |
意識状態異常
(State of consciousness) |
0.5 |
0 |
注)WHO毒性基準により判定し、いずれかの投与群において2%を超えた事象のみ記載
高齢者への投与
高齢者では腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、骨髄抑制等の副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。〕
2.
授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立されていない(使用経験がない)。
適用上の注意
1.
30分間で点滴静脈内投与し、皮下、筋肉内には投与しないこと。
2.
溶解後は速やかに投与すること。溶液を冷蔵庫に保存すると結晶が析出することがあるので、保存する場合でも室温(15~30℃)で保存し、24時間以内に使用すること。溶解した残液は使用しないこと。
3.
皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
その他の注意
変異原性試験のうち、マウスリンフォーマ細胞を用いたin vitro遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験において、いずれも陽性の結果が報告されている。
臨床成績
○尿路上皮癌
腫瘍縮小効果及び生存期間
外国で実施された局所進行又は遠隔転移を有する尿路上皮癌の化学療法初回治療例(Stage IV)に対して、ゲムシタビン塩酸塩とシスプラチンとの併用投与(GC療法;4週間を1コースとして、ゲムシタビン1000mg/m2を1日目、8日目及び15日目に、シスプラチン70mg/m2を2日目に投与)をM-VAC療法(メトトレキサート、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチン併用療法)と比較した第III相試験において、GC群203例、M-VAC群202例が割り付けられ、得られた結果は以下のとおりであった。(ジェムザール注射用200mg・1gの添付文書による)
(表1参照)
○手術不能又は再発乳癌
腫瘍縮小効果及び生存期間
外国で実施された術前又は術後にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬を投与された切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者を対象注)にゲムシタビン塩酸塩とパクリタキセルとの併用投与(GT群:3週を1コースとして、1日目にゲムシタビン1250mg/m2及びパクリタキセル175mg/m2を投与し、8日目にゲムシタビン1250mg/m2を投与)をパクリタキセル単独投与(T群:3週を1コースとして、1日目にパクリタキセル175mg/m2を投与)と比較した第III相試験を実施した。その結果は以下のとおりであった。(ジェムザール注射用200mg・1gの添付文書による)
(表2参照)
注)臨床的にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の使用が禁忌で他の1レジメンの化学療法剤による術前・術後補助化学療法後の手術不能又は再発乳癌患者も対象患者に含まれている。
表1
GC群 |
M-VAC群 |
HR(95%CI) |
p値 |
生存期間中央値 |
12.8ヵ月 |
14.8ヵ月 |
1.08(0.84-1.40) |
0.55※1 |
腫瘍増大までの期間中央値 |
7.4ヵ月 |
7.6ヵ月 |
1.02(0.82-1.28) |
0.84※1 |
奏効率(例数) |
49.4%
(81/164例) |
45.7%
(69/151例) |
- |
0.51※2 |
※1:log-rank検定、※2:カイ2乗検定
表2
|
GT群 |
T群 |
HR(95%CI) |
p値 |
生存期間 |
18.6ヵ月※1 |
15.8ヵ月※1 |
0.817
(0.667-1.000) |
0.0489※2 |
無増悪生存期間 |
5.3ヵ月※1 |
3.4ヵ月※1 |
0.74
(0.62-0.88) |
0.0008※2 |
奏効率 |
41.4%
(110/266) |
26.2%
(69/263) |
奏効率の差※3:15.1%
(95%CI:7.1-23.2) |
※1 中央値、※2 log-rank検定、※3 奏効率の差:GT群-T群
薬効薬理
ゲムシタビンはデオキシシチジンの誘導体で、細胞内に取り込まれた後に活性型のゲムシタビン二リン酸(dFdCDP)及びゲムシタビン三リン酸(dFdCTP)に代謝される。dFdCTPはデオキシシチジン三リン酸(dCTP)と競合してDNA鎖へ取り込まれることで直接的にDNA合成を阻害し、dFdCDPはDNA合成経路に関わるリボヌクレオチドレダクターゼを抑制することでdCTP濃度を低下させて間接的にDNA合成阻害作用を増強すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ゲムシタビン塩酸塩(Gemcitabine Hydrochloride)
略号
GEM
化学名
(+)-2´-Deoxy-2´,2´-difluorocytidine monohydrochloride
分子式
C9H11F2N3O4・HCl
分子量
299.66
構造式

性状
ゲムシタビン塩酸塩は白色~微黄白色の粉末又は結晶性の粉末である。水にやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)又はアセトンにほとんど溶けない。
取扱い上の注意
・安定性試験
バイアルに充てんしたものを用いた加速試験(40℃75%RH、6ヶ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。1)、2)
承認条件
膵癌に対する本剤の国内における臨床的有効性及び安全性をより明確にすることを目的として、国内で適切な市販後臨床試験を行い、その結果を含めた市販後調査結果を報告すること。
包装
ゲムシタビン点滴静注用200mg「サワイ」:1バイアル
ゲムシタビン点滴静注用1g「サワイ」:1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]
2)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]
文献請求先
〔主要文献(社内資料を含む)は下記にご請求下さい〕
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
TEL:0120-381-999
FAX:06-6394-7355
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30