Tykerb Tablets(Lapatinib Tosilate Hydrate)甲苯磺酸拉帕替尼,タイケルブ錠250mg
ダウンロード
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作成又は改訂年月
** 2015年9月改訂(第6版)(下線:改訂箇所)
* 2013年10月改訂(第5版)
日本標準商品分類番号
874291
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2007年3月
薬効分類名
抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤
承認等
販売名
タイケルブ錠250mg
販売名コード
4291022F1026
承認・許可番号
承認番号
22100AMX00647
商標名
Tykerb Tablets 250mg
薬価基準収載年月
2009年6月
販売開始年月
2009年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示
規制区分
劇薬
処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
成分・含量
1錠中にラパチニブトシル酸塩水和物405mg(ラパチニブとして250mg)を含有する。
添加物
結晶セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、ポリソルベート80、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
性状
本剤は黄色楕円形のフィルムコーティング錠であり、識別コード及び形状は以下のとおりである。
識別コード
GS XJG
表

長径:19.1mm
短径:10.5mm
裏

**側面

厚さ:6.5mm
質量
927.0mg
一般的名称
ラパチニブトシル酸塩水和物
Lapatinib Tosilate Hydrate
警告
1.
本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2.
重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
3.
間質性肺炎、肺臓炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
なお、本剤の使用にあたっては、本剤及び併用薬剤の添付文書を熟読すること。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
「臨床成績」の項の内容を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
2.
十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2過剰発現が確認された患者に投与すること。
3.
本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブ(遺伝子組換え)による化学療法後の増悪もしくは再発例を対象とすること。
4.
本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.
初回化学療法における本剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用療法に関して、有効性及び安全性は確立していない。
用法及び用量
カペシタビンとの併用において、通常、成人にはラパチニブとして1250mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤を含むがん化学療法は、「臨床成績」の項の内容、特に、用法・用量及び用量調節方法を十分に理解した上で行うこと。
2.
本剤を単剤で使用した場合の有効性及び安全性は確立していない。
3.
食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の前後1時間以内の服用は避けること。(「薬物動態」の項参照)
4.
1回の投与量を1日2回に分割投与した場合、AUCが上昇するとの報告があるので、分割投与しないこと。
5.
副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮すること。
<海外臨床試験(EGF100151試験)における本剤の休薬、減量及び中止基準>
駆出率低下及び間質性肺炎による休薬、減量及び中止基準(※A)
有害事象:無症候性の駆出率低下注1)
発現回数:1回目
処置:投与継続(1~2週後に再検)
回復:投与継続
有害事象:無症候性の駆出率低下注1)
発現回数:1回目
処置:投与継続(1~2週後に再検)
持続:休薬(3週以内に再検)
回復:1000mg/日に減量して再開可能
有害事象:無症候性の駆出率低下注1)
発現回数:1回目
処置:投与継続(1~2週後に再検)
持続:休薬(3週以内に再検)
持続:中止
有害事象:無症候性の駆出率低下注1)
発現回数:2回目(減量前)
処置:1回目に準じる
有害事象:無症候性の駆出率低下注1)
発現回数:2回目(減量後)
処置:中止
有害事象:症候性の駆出率低下(Grade 3、4)
発現回数:-
処置:中止
有害事象:間質性肺炎(Grade 3、4)
発現回数:-
処置:中止
注1)LVEFがベースラインから20%以上低下かつ施設基準値を下回った場合
肝機能検査値異常による休薬、減量及び中止基準(※B)
有害事象
総ビリルビン:>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%注2))
ALT:>3.0×ULN
処置:中止
有害事象
総ビリルビン:>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%注2))以外
ALT:>8.0×ULN
処置:休薬(2週後に再検)
有効性が得られている場合、1000mg/日に減量して再開可能
有害事象
総ビリルビン:>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%注2))以外
ALT:>5.0×ULN注3)(無症候性にて2週間継続)
処置:休薬(2週後に再検)
有効性が得られている場合、1000mg/日に減量して再開可能
有害事象
総ビリルビン:>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%注2))以外
ALT:>3.0×ULN(症候性注4))
処置:休薬(2週後に再検)
有効性が得られている場合、1000mg/日に減量して再開可能
有害事象
総ビリルビン:>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%注2))以外
ALT:>3.0×ULN(無症候性)
処置:継続(1週間ごとに再検)
ALT>3.0×ULNが4週間継続した場合は中止
有害事象
総ビリルビン:-
ALT:≦3.0×ULN
処置:継続
注2)測定していない場合は>35%とみなす
注3)ALT>5.0×ULN発現時点で3日以内に再検し、その後1週間毎に検査
注4)肝炎又は過敏症の徴候・症状(疲労、嘔気、嘔吐、右上腹部の痛みあるいは圧痛、発熱、発疹又は好酸球増加)のいずれかの発現もしくは増悪
好中球数、血小板数、ヘモグロビン、クレアチニン及びクレアチニンクリアランス検査値異常による休薬、減量及び中止基準(※C)
有害事象
500/mm3≦Neu<1000/mm3
25000/mm3≦Pt<75000/mm3
6.5g/dL≦Hb<9.0g/dL注5)
1.5mg/dL<Cre≦6×ULN
CCr<40mL/min
処置
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
1回目:減量せず再開
2~3回目:減量せず又は1000mg/日に減量して再開
有害事象
Neu<500/mm3
Pt<25000/mm3
Hb<6.5g/dL注5)
Cre>6×ULN
処置
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
減量、継続、再開等は事象毎に判断
注5)輸血時は輸血後の数値
上記※A~※C以外の有害事象発現時の休薬、減量及び中止基準
有害事象
Grade 2
処置
1~2回目:減量せず継続
3回目:減量せず又は1000mg/日に減量して継続
4回目:1000mg/日に減量して継続
有害事象
Grade 3
処置
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
発現回数にかかわらず、減量せず又は1000mg/日に減量して再開可能
有害事象
Grade 4
処置
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
減量、継続、再開等は事象毎に判断
GradeはNCI CTCAE1)(ver3.0)による。
ULN:施設基準値上限
カペシタビンの用量調節基準については「臨床成績」の項参照
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝機能障害のある患者[肝機能障害が悪化するおそれがある。ラパチニブは主として肝臓で代謝されるので、AUCが増加するおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
2.
間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者[間質性肺疾患が増悪するおそれがある。](「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
3.
心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者[症状が悪化するおそれがある。](「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
4.
左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者[症状が悪化するおそれがある。](「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
*AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビン等の著しい上昇を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P及びビリルビン等)を行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」及び「その他の注意」の項参照)
2.
間質性肺炎、肺臓炎等の間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
3.
心不全等の重篤な心障害があらわれることがあるので、必ず本剤投与開始前には心機能検査を行い、患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行う等、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には休薬、減量又は中止し、適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
4.
QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心電図検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には休薬、減量又は中止し、適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
相互作用
本剤は、主としてCYP3Aにより代謝される。また、P-糖蛋白質及びBCRPの基質である。更に本剤のCYP3A4、CYP2C8、P-糖蛋白質、BCRP及びOATP1B1に対する阻害作用が示されている。(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A4を阻害する薬剤等(イトラコナゾール等)
臨床症状・措置方法
健康成人において、ケトコナゾールとの併用により本剤のAUCが約3.6倍に増加し、半減期が1.7倍に延長したとの報告がある。
CYP阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が阻害されることにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
2. 薬剤名等
CYP3A4を阻害する薬剤等(グレープフルーツ(ジュース))
臨床症状・措置方法
本剤投与時はグレープフルーツ(ジュース)を摂取しないよう注意すること。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が阻害されることにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
3. 薬剤名等
CYP3A4を誘導する薬剤(カルバマゼピン、リファンピシン、フェニトイン等)
臨床症状・措置方法
健康成人において、カルバマゼピンとの併用により本剤のAUCが約72%減少したとの報告がある。
CYP誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用に際しては、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が誘導されることにより、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する可能性がある。
4. 薬剤名等
治療域が狭くCYP3A4で代謝される薬剤(ミダゾラム(経口剤:国内未発売)等)
臨床症状・措置方法
ミダゾラムとの併用により、ミダゾラムのAUCが経口投与では約45%及び静脈内投与では約14%増加したとの報告がある。
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用が示されている。経口投与製剤では本剤が消化管でのCYP3A4による代謝を阻害すると考えられる。
5. 薬剤名等
治療域が狭くCYP3A4又はCYP2C8で代謝される薬剤(ビノレルビン等)
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、本剤との併用は避けることが望ましいが、併用する場合には、副作用の発現・増強に注意し、減量等を考慮すること。
機序・危険因子
本剤のCYP3A4とCYP2C8に対する阻害作用が示されている。
6. 薬剤名等
治療域が狭くCYP3A4又はCYP2C8で代謝される薬剤(パクリタキセル)
臨床症状・措置方法
パクリタキセルとの併用により、本剤のAUCが約21%、パクリタキセルのAUCが約23%増加したとの報告がある。また、臨床試験において、パクリタキセル単独投与時と比較して、本剤とパクリタキセル併用時に下痢と好中球数減少の発現率及び重症度が増加した。
機序・危険因子
本剤のCYP3A4とCYP2C8に対する阻害作用が示されている。また、パクリタキセルはP-糖蛋白質の基質であるため、その寄与の可能性もある。
7. 薬剤名等
P-糖蛋白質を阻害する薬剤(ベラパミル、イトラコナゾール、キニジン、シクロスポリン、エリスロマイシン等)
P-糖蛋白質を誘導する薬剤等(リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度や分布に影響を与える可能性がある。
機序・危険因子
本剤はP-糖蛋白質の基質であることが示されている。
8. 薬剤名等
P-糖蛋白質の基質薬剤(ジゴキシン等)
臨床症状・措置方法
経口投与のジゴキシンとの併用により、ジゴキシンのAUCが約98%増加したとの報告がある。
機序・危険因子
本剤のP-糖蛋白質に対する阻害作用が示されている。
9. 薬剤名等
*パゾパニブ塩酸塩
臨床症状・措置方法
本剤との併用によりパゾパニブ塩酸塩のAUC及びCmaxは、それぞれ約59%及び51%増加した。
機序・危険因子
本剤はCYP3A4、P-糖蛋白質及びBCRPの基質であり阻害作用を有することによる。
10. 薬剤名等
イリノテカン
臨床症状・措置方法
FOLFIRIレジメンの一部として投与した時、イリノテカンの活性代謝物であるSN-38のAUCが約40%増加したとの報告がある。
機序・危険因子
機序は不明である。
11. 薬剤名等
プロトンポンプ阻害剤(エソメプラゾール等)
臨床症状・措置方法
エソメプラゾールとの併用により、本剤のAUCが約15%減少したとの報告がある。
機序・危険因子
胃内pHの上昇により、本剤の溶解度が低下し吸収が低下する可能性がある。
12. 薬剤名等
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(イミプラミン、ピモジド等)
抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド等)
臨床症状・措置方法
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがある。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用により作用が増強する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
<カペシタビン併用療法での成績>
本剤とカペシタビンの併用による国内臨床試験において、調査例数6例中6例(100%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、疲労5例(83%)、下痢4例(67%)、そう痒4例(67%)であった。(承認時)
本剤とカペシタビンの併用による海外臨床試験(EGF100151試験)において、併用群198例中172例(87%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、下痢119例(60%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群97例(49%)、悪心80例(40%)であった。(承認時)
<単独投与での成績>
本剤の単独投与による国内臨床試験において、調査例数88例中86例(98%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、下痢64例(73%)、発疹(ざ瘡様皮膚炎を含む)59例(67%)、口内炎31例(35%)であった。(承認時)
重大な副作用
1. *肝機能障害
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P及び血中ビリルビン等の著しい増加を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがある(25%注1)、10%注2))ので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「その他の注意」の項参照)
2. 間質性肺疾患
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎等)(0%注1)、0%注2))があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照)
3. 心障害
左室駆出率低下があらわれ(8%注1)、4%注2))、心不全等の重篤な心障害があらわれることがあるため、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどし、適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照)
4. 下痢
下痢があらわれ(73%注1)、60%注2))、脱水症状をきたすことがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には早期に止瀉剤などによる治療を考慮すること。重度の下痢が認められた場合には、電解質又は輸液投与及び本剤の投与中止や休薬を行うなど適切な処置を行うこと。
5. QT間隔延長
QT間隔延長(0%注1)、0%注2))があらわれることがあるので、心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、必要に応じて減量、休薬又は投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
注1)本剤の単独投与による国内臨床試験でみられたNCI CTCAE1) Grade1以上の発現頻度
注2)カペシタビンとの併用による海外臨床試験でみられたNCI CTCAE1) Grade1以上の発現頻度
その他の副作用
次のような症状があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1. カペシタビンとの併用時注3)
1. 胃腸障害
10%以上
下痢注4)、悪心、嘔吐、口内炎
2. 胃腸障害
1~10%未満
消化不良、腹痛、口腔内潰瘍形成、上腹部痛、便秘、胃食道逆流性疾患、鼓腸、口内乾燥、口唇水疱、口唇炎、口唇乾燥、歯肉痛、舌痛、腹部膨満、嚥下障害
3. *胃腸障害
1%未満
アフタ性口内炎、レッチング、胃炎、口唇のひび割れ、口唇潰瘍、消化管潰瘍、歯肉炎、痔核、消化器痛、大腸炎
4. 皮膚及び皮下組織障害注5)
10%以上
手掌・足底発赤知覚不全症候群、発疹
5. 皮膚及び皮下組織障害注5)
1~10%未満
皮膚乾燥、ざ瘡、爪の障害、紅斑、そう痒症、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、皮膚色素過剰、爪甲離床症、斑状皮疹、皮膚疼痛、爪破損、ひび・あかぎれ、乾皮症、水疱、剥脱性発疹、皮膚亀裂、皮膚潰瘍、皮膚病変、皮膚変色
6. 皮膚及び皮下組織障害注5)
1%未満
紅斑性皮疹、手掌紅斑、色素沈着障害、全身性皮疹、多汗症、多形紅斑、爪毒性、斑状丘疹状皮疹、皮膚炎、皮膚刺激、皮膚障害、皮膚剥脱、皮膚肥厚、毛髪成長異常、痂皮
7. 全身障害及び投与局所様態
10%以上
疲労、粘膜の炎症
8. 全身障害及び投与局所様態
1~10%未満
無力症、発熱、悪寒、顔面浮腫、治癒不良、末梢性浮腫
9. 全身障害及び投与局所様態
1%未満
壊死、浮腫、疼痛、腋窩痛
10. 神経系障害
1~10%未満
頭痛、味覚異常、嗜眠、末梢性ニューロパシー、錯感覚、感覚鈍麻、知覚過敏、浮動性めまい、末梢性感覚ニューロパシー、嗅覚錯誤
11. 神経系障害
1%未満
異常感覚、血管迷走神経性失神、神経痛、神経毒性
12. 代謝及び栄養障害
10%以上
食欲不振
13. 代謝及び栄養障害
1~10%未満
食欲減退、脱水、低カリウム血症、低ナトリウム血症
14. 代謝及び栄養障害
1%未満
ラクトース不耐性、低蛋白血症
15. 筋骨格系及び結合組織障害
1~10%未満
四肢痛、筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛
16. 筋骨格系及び結合組織障害
1%未満
関節硬直、筋骨格硬直、骨痛、重感、殿部痛
17. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
1~10%未満
鼻出血、呼吸困難、咳嗽、鼻潰瘍、鼻漏
18. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
1%未満
アレルギー性鼻炎、肺塞栓症、鼻乾燥、鼻部不快感、副鼻腔障害、労作性呼吸困難、喘息
19. 感染症及び寄生虫症
1~10%未満
限局性感染、爪囲炎、口腔カンジダ症、上気道感染、爪感染、鼻炎
20. 感染症及び寄生虫症
1%未満
耳感染、真菌感染、真菌性皮疹、足部白癬、大腸菌性敗血症、尿路感染、皮膚感染、鼻咽頭炎、膀胱炎
21. 臨床検査
1~10%未満
駆出率減少、ヘモグロビン減少、血中アルカリホスファターゼ増加、腎クレアチニン・クリアランス減少、体重減少
22. 臨床検査
1%未満
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
23. 眼障害注6)
1~10%未満
流涙増加、結膜炎、眼乾燥、眼刺激
24. 眼障害注6)
1%未満
角膜炎、眼球乾燥、眼瞼浮腫、視覚障害、霧視
25. 血液及びリンパ系障害
1~10%未満
貧血、好中球減少症(好中球数減少を含む)、血小板減少症(血小板数減少を含む)、白血球減少症(白血球数減少を含む)
26. 血液及びリンパ系障害
1%未満
リンパ球減少症、血液毒性
27. 精神障害
1~10%未満
不眠症
28. 精神障害
1%未満
うつ病、気分変動、抑うつ気分
29. 肝胆道系障害
1~10%未満
高ビリルビン血症(血中ビリルビン増加を含む)
30. 肝胆道系障害
1%未満
肝毒性、胆嚢炎
31. 生殖系及び乳房障害
1%未満
女性生殖器痛、生殖器の炎症、膣の炎症、膣出血、膣分泌物
32. 血管障害
1%未満
ほてり、蒼白、低血圧
33. 心臓障害
1%未満
プリンツメタル狭心症、心室機能不全、動悸
34. その他
1~10%未満
回転性めまい、排尿困難
35. その他
1%未満
急性骨髄性白血病、皮膚の新生物、皮膚裂傷
2. 単独投与時注7)
1. 胃腸障害
10%以上
下痢、口内炎、悪心、嘔吐
2. 胃腸障害
2~10%未満
便秘、口唇炎、胃不快感、上腹部痛、鼓腸、歯肉炎、腹痛、胃炎、口内乾燥、消化不良
3. 胃腸障害
2%未満
胃腸出血、下腹部痛、血便排泄、口の錯感覚、口唇のひび割れ、口唇びらん、歯肉出血、心窩部不快感、舌炎、舌障害、舌苔、嚥下障害、肛門出血
4. 皮膚及び皮下組織障害注8)
10%以上
発疹、皮膚乾燥、そう痒症、爪の障害、脂漏性皮膚炎、皮膚剥脱
5. 皮膚及び皮下組織障害注8)
2~10%未満
ざ瘡、湿疹、皮膚反応、ざ瘡様皮膚炎、ひび・あかぎれ、紅斑、接触性皮膚炎、脱毛症、剥脱性発疹、嵌入爪、色素沈着障害
6. 皮膚及び皮下組織障害注8)
2%未満
過角化、丘疹、紅色汗疹、水疱、多形紅斑、爪痛、皮脂欠乏性湿疹、皮膚炎
7. 全身障害及び投与局所様態
10%以上
疲労
8. 全身障害及び投与局所様態
2~10%未満
けん怠感、発熱、胸部不快感
9. 全身障害及び投与局所様態
2%未満
胸痛、口渇、熱感、浮腫、末梢性浮腫、冷感
10. 神経系障害
10%以上
頭痛
11. 神経系障害
2~10%未満
味覚異常、浮動性めまい
12. 神経系障害
2%未満
傾眠、錯感覚、体位性めまい
13. 代謝及び栄養障害
10%以上
食欲不振
14. 代謝及び栄養障害
2~10%未満
高血糖、高カリウム血症(血中カリウム増加を含む)、高尿酸血症(血中尿酸増加を含む)、低アルブミン血症(血中アルブミン減少を含む)、低ナトリウム血症(血中ナトリウム減少を含む)、高カルシウム血症(血中カルシウム増加を含む)
15. 代謝及び栄養障害
2%未満
食欲減退、低クロール血症
16. 筋骨格系及び結合組織障害
2~10%未満
筋痙縮、四肢痛、背部痛
17. 筋骨格系及び結合組織障害
2%未満
筋骨格痛
18. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
10%以上
鼻出血
19. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
2~10%未満
咳嗽、呼吸困難、咽喉頭疼痛、鼻乾燥、鼻漏
20. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
2%未満
発声障害、鼻部不快感、鼻閉
21. 感染症及び寄生虫症
10%以上
爪囲炎
22. 感染症及び寄生虫症
2~10%未満
鼻炎
23. 感染症及び寄生虫症
2%未満
咽頭炎、感染、帯状疱疹、単純ヘルペス、爪感染、爪白癬、尿路感染、肺感染、鼻咽頭炎、蜂巣炎、毛包炎
24. 臨床検査
10%以上
リンパ球数減少、血中アルカリホスファターゼ増加、体重減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
25. 臨床検査
2~10%未満
白血球数減少、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加、ヘモグロビン減少、赤血球数減少、ヘマトクリット減少、駆出率減少、好中球数減少、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、C-反応性蛋白増加、好塩基球数増加、好酸球百分率増加、好中球数増加、総蛋白減少、脳性ナトリウム利尿ペプチド上昇、白血球数増加
26. 臨床検査
2%未満
リンパ球数増加、血小板数減少、血中クレアチニン増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血中コレステロール増加、血中乳酸脱水素酵素減少、血中乳酸脱水素酵素増加、好塩基球百分率増加、好酸球数増加、単球百分率減少、尿中ケトン体陽性、尿比重増加
27. 眼障害注9)
2~10%未満
眼の異常感、角膜炎、眼そう痒症
28. 眼障害注9)
2%未満
角膜びらん、眼乾燥、眼部不快感、霧視、羞明、霰粒腫
29. 肝胆道系障害
10%以上
高ビリルビン血症(血中ビリルビン増加を含む)
30. 血管障害
2~10%未満
潮紅
31. 血管障害
2%未満
ほてり
32. 心臓障害
2~10%未満
心室機能不全
33. 心臓障害
2%未満
上室性期外収縮、洞性頻脈
34. その他
10%以上
血尿(尿中血陽性を含む)
35. その他
2~10%未満
蛋白尿(尿蛋白を含む)
36. その他
2%未満
過敏症注10)
注3)海外臨床試験(EGF100151)でみられた全副作用(2006年4月3日時点でのカペシタビン併用群198例の集計結果)
注4)下痢は、下痢、排便回数増加を含む。
注5)必要に応じて、皮膚科を受診するよう患者を指導すること。
注6)眼の異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行い、適切な処置を行うこと。
注7)国内臨床試験(EGF10020、EGF100642)でみられた全副作用(ただし過敏症は除く)
注8)必要に応じて、皮膚科を受診するよう患者を指導すること。
注9)眼の異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行い、適切な処置を行うこと。
注10)海外のみで報告されている副作用
高齢者への投与
高齢者では一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら注意して投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、妊娠可能な婦人には、本剤投与中は適切な避妊を行い妊娠しないよう指導すること。[動物実験では、ラットで生後21日までに出生児生存率の低値(60mg/kg/日以上)、母動物毒性及び軽度な胎児異常(骨化促進)(120mg/kg/日)が認められた。また、ウサギで母動物毒性、胎児体重の低値及び軽度な骨格変異(60mg/kg/日以上)、流産(120mg/kg/日)が認められた。]
2.
授乳中の婦人に投与する場合には授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)でラパチニブを授乳動物に投与したとき、乳児への移行が認められている。]
小児等への投与
小児等に対する有効性及び安全性は確立されていない(使用経験がない)。
過量投与
徴候・症状
本剤の過量投与により観察された症状は下痢、悪心・嘔吐、食欲不振等の「副作用」の項に挙げる症状の他、洞性頻脈、注意力障害であった。
処置
本剤の過量投与時の特別な解毒剤はない。また、本剤は腎排泄がほとんどなく血漿蛋白結合が強いため、血液透析は有効な除去法ではないと考えられる。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
*海外で実施されたプラセボ対照無作為化比較試験での本剤単独投与群において、HLA遺伝子型が特定された患者のうち、HLA-DQA1*02:01又はDRB1*07:01の保有者での重篤な肝機能障害(ALTが>5.0×ULN)の発現頻度は7.7%(それぞれ19/247例及び19/247例)であり、非保有者での発現頻度は0.5%(それぞれ4/855例及び4/857例)であったとの報告がある2)。
なお、これらのHLA遺伝子型の保有率は、白人、アジア系、アフリカ系などの人種では概ね15~30%であるが、日本人では2%未満との報告がある3)。
2.
ラットを用いた104週間の経口投与によるがん原性試験では、雌で腎梗塞(AUCはヒトの約6倍)及び腎乳頭壊死(AUCはヒトの約8倍)がみられたが、これらの所見のヒトへの外挿性は不明である。
薬物動態
1. 血漿中濃度4)
本剤を日本人固形癌患者に21日間反復経口投与したときのラパチニブの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。ラパチニブの血漿中濃度はばらつきが大きかった。ラパチニブの最高血漿中濃度は投与約4時間後にみられ、血漿中半減期は約24時間であった。(表-1参照)
2. 分布
ラパチニブのヒト血漿蛋白結合率は99%を超えていた5)。
In vitro試験において、ラパチニブはトランスポーターのP-糖蛋白質(ABCB1)及びBCRP(ABCG2)の基質であることが示された。また、in vitro試験において、ラパチニブはトランスポーターのP-糖蛋白質、BCRP及びOATP1B1を臨床血漿中濃度付近で阻害した6)。
ラットに14C-ラパチニブ10mg/kgを単回経口投与したときには、中枢神経系への移行が認められた6)。
3. 代謝
ラパチニブは主にCYP3A4及びCYP3A5で、一部CYP2C19及びCYP2C8で代謝された7)。代謝物として多くの種類の酸化体が血漿及び糞中に検出されたが、いずれの代謝物も血漿中では未変化体濃度の10%未満、糞中では投与量の14%以下であった。また、in vitro試験において、CYP3A4活性(Ki値:0.6~2.3μg/mL)及びCYP2C8活性(Ki値:0.3μg/mL)を阻害した8,9)。
4. 排泄10)
健康成人に14C-ラパチニブ250mgを単回経口投与したとき、投与されたラパチニブの大部分は糞中に排泄され(投与後168時間までに放射活性の92%)、尿中排泄率は2%未満であった。糞中へのラパチニブ未変化体の排泄率は投与量の約27%であった。(外国人のデータ)
5. 食事の影響11)
癌患者にラパチニブ1500mgを単回経口投与したとき、低脂肪食(5%脂肪[500カロリー])及び高脂肪食(50%脂肪[1000カロリー])とともに投与するとラパチニブの全身曝露量(AUC0-∞)は、空腹時と比べそれぞれ3及び4倍に増加し、最高血漿中濃度はそれぞれ2.5及び3倍に増加した。(外国人のデータ)
6. 腎機能障害患者での薬物動態
ラパチニブの薬物動態に及ぼす腎障害の影響及び腎透析の影響は検討されていない。
7. 肝機能障害患者での薬物動態12)
肝障害患者にラパチニブ100mgを単回経口投与したとき、健康成人に比し、ラパチニブの全身曝露量(AUC0-∞)は、中等度障害患者において56%、重度障害患者において85%増加し、重度障害患者における消失半減期は3倍に延長した。(外国人のデータ)
表-1 21日間反復経口投与後の薬物動態パラメータ
投与量
(例数) |
Cmax注1)
(ng/mL) |
Tmax注2)
(h) |
AUC0-24注1)
(ng・h/mL) |
t1/2注1)
(h) |
900mg
(n=6) |
1895
(1319,2721) |
3.99
(3.00-5.97) |
29272
(21618,39638) |
21.05
(13.08,33.89) |
1200mg
(n=6) |
1715
(965,3048) |
3.59
(3.00-7.93) |
25680
(13728,48038) |
19.41
(14.09,26.72) |
1600mg
(n=6) |
3111
(1937,4996) |
5.05
(0.93-8.02) |
51099
(28674,91062) |
26.93
(16.38,44.28) |
1800mg
(n=5) |
2333
(927,5870) |
3.92
(2.98-7.32) |
39451
(14909,104391) |
28.46
(11.49,70.46) |
注1)幾何平均値(95%信頼区間)
注2)中央値(範囲)
臨床成績
1. 国内臨床試験13)
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブによる前治療後のカペシタビンによる前治療歴のないHER2過剰発現を示す進行性又は転移性乳癌(n=6)を対象として、本剤とカペシタビン併用療法によるオープン試験を実施した。ラパチニブは1日1回1250mgを朝食の前後1時間以内を避けて連日経口投与し、カペシタビンは1000mg/m2を1日2回14日間投与し7日間休薬するレジメンにより投与した。その結果、2サイクル終了時点におけるNew Guidelines to eva luate the Response to Treatment in Solid Tumors(RECIST)判定による抗腫瘍効果は、PR(30%以上の腫瘍縮小効果)が1例、SDが5例であった。(2007年9月時点の中間解析結果)
2. 海外臨床試験14)
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブによる前治療後のカペシタビンによる前治療歴のないHER2過剰発現を示す進行性又は転移性乳癌を対象として、カペシタビン単独療法を対照群(n=161)とし、本剤とカペシタビン併用療法(n=160)による無作為化比較試験を実施した。本剤とカペシタビン併用療法では、ラパチニブ1250mgを朝食の前後1時間を避けて連日経口投与し、カペシタビン1000mg/m2を1日2回14日間投与し7日間休薬するレジメンで併用した。カペシタビンの休薬・減量及び中止は表-2を基準とし、1段階減量する際は750mg/m2を1日2回(25%減量)、2段階減量する際は500mg/m2を1日2回(50%減量)とする用量が用いられた15)。カペシタビン単独療法は、カペシタビン1250mg/m2を1日2回14日間投与し7日間休薬するレジメンであった。本試験の2005年11月15日カットオフデータに基づく解析の結果、本剤とカペシタビン併用療法はカペシタビン単独療法に比べ、無増悪期間(Time to progression:TTP)を有意に延長させた。中央値は本剤とカペシタビン併用療法で36.9週間、カペシタビン単独療法で19.7週間であった。ハザード比は、カペシタビン単独療法に対して0.51(95%信頼区間:0.35~0.74、Log-rank検定p=0.00032)であった。(2005年11月時点の中間解析結果)

図-1 TTPのカプランマイヤー曲線(海外臨床試験)
表-2 有害事象発現時のカペシタビン休薬、減量及び中止基準
有害事象 |
処置 |
Grade 2
以下に規定する事象以外 |
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
1回目:減量せず又は1段階減量して再開
2回目:1段階減量して再開
3回目:2段階減量して再開
4回目:中止 |
Grade 2、3
500/mm3≦Neu<1000/mm3
25000/mm3≦Pt<75000/mm3
6.5g/dL≦Hb<9.0g/dL注1)
1.5mg/dL<Cre≦6×ULN
CCr<40mL/min |
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
1回目:減量せず又は1段階減量して再開
2回目:1段階減量して再開
3回目:2段階減量して再開
4回目:中止 |
Grade 3
上記に規定する事象以外 |
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
1回目:1段階減量して再開
2回目:2段階減量して再開
3回目:中止 |
Grade 4 |
休薬(Grade1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
減量、継続、再開等は事象毎に判断 |
注1)輸血時は輸血後の数値
GradeはNCI CTCAE1)(ver3.0)による。
ULN:施設基準値上限
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果
(1)
In vitro試験において、HER2過剰発現細胞(BT474ヒト乳管癌及びN87ヒト胃癌)及びEGFR過剰発現細胞(HN5ヒト頭頸部扁平上皮癌)の増殖を抑制する16)。また、5-FUとの併用により、MDA-MB-468ヒト乳癌、A549ヒト肺癌、NCI-H1299ヒト肺癌及びColo205ヒト結腸癌細胞の増殖を相加的に抑制する17)。
(2)
BT474ヒト乳管癌又はHN5ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞を用いたマウス異種移植モデルにおいて、それぞれHER2又はEGFRチロシン自己リン酸化を阻害し、腫瘍増殖を抑制する16)。
2. 作用機序
EGFR及びHER2チロシン自己リン酸化を選択的かつ可逆的に阻害することにより、その結果としてアポトーシスを誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制する16)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ラパチニブトシル酸塩水和物(Lapatinib Tosilate Hydrate)
化学名
N-{3-Chloro-4-[(3-fluorobenzyl)oxy]phenyl}-6-[5-({[2-(methylsulfonyl)ethyl]amino}methyl)furan-2-yl]quinazolin-4-amine bis(4-methylbenzenesulfonate)monohydrate
分子式
C29H26ClFN4O4S・2C7H8O3S・H2O
分子量
943.48
構造式

性状
黄色の粉末である。
分配係数(log P)
6.0(1-オクタノール/水)
包装
タイケルブ錠250mg:100錠(10錠×10)両面アルミニウムPTP
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Common Terminology Criteria for Adverse Events(National Cancer Institute,http://ctep.cancer.gov)
2)
*社内資料:海外臨床試験(EGF105485)
3)
*The Allele Frequency (http://www.allelefrequencies.net/)
4)
社内資料:国内第I相試験(EGF10020)
5)
社内資料:分布に関する試験
6)
Polli,J.W.,et al.:Drug Metab Dispos,36,695-701(2008)
7)
社内資料:代謝に関する試験(1)
8)
社内資料:代謝に関する試験(2)
9)
社内資料:代謝に関する試験(3)
10)
社内資料:海外臨床薬理試験(EGF10019)
11)
社内資料:海外臨床薬理試験(EGF10032)
12)
社内資料:海外臨床薬理試験(EGF10014)
13)
社内資料:国内第I/II相試験(EGF109749)
14)
Geyer,C.E.,et al.:N Engl J Med,355,2733-2743(2006)
15)
タイケルブ適正使用ガイド
16)
Rusnak,D.W.,et al.:Mol Cancer Ther,1,85-94(2001)
17)
社内資料:薬効薬理試験
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
グラクソ・スミスクライン株式会社
〒151-8566 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
カスタマー・ケア・センター
TEL:0120-561-007(9:00~18:00/土日祝日及び当社休業日を除く)
FAX:0120-561-047(24時間受付)
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
グラクソ・スミスクライン株式会社
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
http://glaxosmithkline.co.jp