Palux inj.(alprostadil)パルクス注5μg/パルクス注10μg
ダウンロード
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作成又は改訂年月
** 2009年6月改訂第13版、有効期間及び規制区分の変更
* 2009年2月改訂使用上の注意及び再審査結果に伴う改訂
日本標準商品分類番号
87219
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
*2008年12月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1998年6月
薬効分類名
プロスタグランジンE1製剤
承認等
販売名
パルクス注5μg
販売名コード
2190406A1055
承認・許可番号
承認番号
21300AMZ00688000
商標名
Palux inj. 5μg
薬価基準収載年月
2001年9月
販売開始年月
1988年10月
貯法・使用期限等
貯法
凍結を避け5℃以下にしゃ光して保存する。
**有効期間
1年2ヵ月(使用期限をアンプル及び外箱に表示)
基準名
日本薬局方
アルプロスタジル注射液
規制区分
**
劇薬
処方せん医薬品
処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1管中の容量
1mL
成分・含量
日局アルプロスタジル 5μg
添加物・含量
精製大豆油 100mg
高度精製卵黄レシチン 18mg
オレイン酸 2.4mg
濃グリセリン 22.1mg
水酸化ナトリウム 適量
性状
剤形
アンプル
性状
白色の乳濁液で、わずかに粘性があり、特異なにおいがある
pH
4.5~6.0
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
販売名
パルクス注10μg
販売名コード
2190406A2051
承認・許可番号
承認番号
21300AMZ00687000
商標名
Palux inj. 10μg
薬価基準収載年月
2001年9月
販売開始年月
1988年10月
貯法・使用期限等
貯法
凍結を避け5℃以下にしゃ光して保存する。
**有効期間
1年2ヵ月(使用期限をアンプル及び外箱に表示)
基準名
日本薬局方
アルプロスタジル注射液
規制区分
**
劇薬
処方せん医薬品
処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1管中の容量
2mL
成分・含量
日局アルプロスタジル 10μg
添加物・含量
精製大豆油 200mg
高度精製卵黄レシチン 36mg
オレイン酸 4.8mg
濃グリセリン 44.2mg
水酸化ナトリウム 適量
性状
剤形
アンプル
性状
白色の乳濁液で、わずかに粘性があり、特異なにおいがある
pH
4.5~6.0
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
一般的名称
アルプロスタジル注射液
警告
動脈管依存性先天性心疾患(新生児)に投与する場合には、本剤投与により無呼吸発作が発現することがあるので、呼吸管理設備の整っている施設で投与すること。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な心不全の患者[心不全の増強があらわれるとの報告がある。]
2.
出血(頭蓋内出血、消化管出血、喀血等)している患者[出血を助長するおそれがある。]
3.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照。]
4.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
○慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
○下記疾患における皮膚潰瘍の改善
進行性全身性硬化症
全身性エリテマトーデス
○糖尿病における皮膚潰瘍の改善
○振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
効能又は効果毎の用法及び用量
通常、成人1日1回1~2mL(アルプロスタジルとして5~10μg)をそのまま又は輸液に混和して緩徐に静注、又は点滴静注する。なお、症状により適宜増減する。
○動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存
効能又は効果毎の用法及び用量
輸液に混和し、開始時アルプロスタジル5ng/kg/minとして持続静注し、その後は症状に応じて適宜増減して有効最小量とする。
○経上腸間膜動脈性門脈造影における造影能の改善
効能又は効果毎の用法及び用量
通常、成人には1回1mL(アルプロスタジルとして5μg)を生理食塩液で10mLに希釈し、造影剤注入30秒前に3~5秒間で経カテーテル的に上腸間膜動脈内に投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤を輸液以外の他の薬剤と混和使用しないこと。ただし血漿増量剤(デキストラン、ゼラチン製剤等)との混和は避けること。なお、持続投与を行う場合には、ライン内での凝集を防ぐため、必ず単独ラインで投与すること。
2.
経上腸間膜動脈性門脈造影に用いる場合には、凝集・クリーミングを起こす可能性があるため、造影剤と直接混和しないこと。また、本剤を投与した後、カテーテル内を生理食塩液で洗浄してから造影剤を投与すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
心不全の患者[心不全の増強傾向があらわれることがある。]
2.
緑内障、眼圧亢進のある患者[眼圧を亢進させるおそれがある。]
3.
胃潰瘍の合併症及び既往歴のある患者[既往のある患者に胃出血をおこすおそれがある。]
4.
間質性肺炎の患者[間質性肺炎を増悪することがある。]
5.
腎不全の患者[腎不全を増悪することがある。]
6.
出血傾向のある患者[出血を助長するおそれがある。]
7.
抗凝血剤(ワルファリンカリウム等)あるいは血小板機能を抑制する薬剤(アスピリン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ等)を投与中の患者[「相互作用」の項参照。]
8.
経上腸間膜動脈性門脈造影に用いる場合、重度の食道静脈瘤が認められている患者[門脈圧を上昇させるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)、進行性全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、振動病、糖尿病における皮膚潰瘍の患者に適用する場合には、次の事項を考慮すること。
(1)
本剤による治療は対症療法であり、投与中止後再燃することがあるので注意すること。
(2)
心不全、肺水腫、胸水があらわれることがあるので、循環状態(血圧、脈拍等)を十分に観察すること。また、動悸、胸苦しさ、呼吸困難、浮腫等が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。特に高齢者は心機能等生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
2.
糖尿病における皮膚潰瘍の患者に適用する場合には、次の事項を考慮すること。
(1)
糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法、経口血糖降下剤、インスリン等の治療を行った上での適用を考慮すること。
(2)
外用の糖尿病性潰瘍治療剤では十分な効果が期待されない患者に対して適用を考慮すること。
(3)
投与中は経過を十分に観察し、4週間連日投与して効果が認められない場合には、他の適切な治療に切り替えること。
3.
経上腸間膜動脈性門脈造影に適用する場合には、次の事項を考慮すること。
肝硬変がある場合には、十分な造影能が得られない可能性がある。
4.
動脈管依存性先天性心疾患の新生児に適用する場合には、次の事項を考慮すること。
(1)
重篤な疾患を有する新生児への投与なので、観察を十分に行い慎重に投与すること。なお、副作用が発現した場合は、投与中止、注入速度の減速など適切な処置を講ずること。
(2)
過量投与により副作用発現率が高まるおそれがあるため、有効最小量で維持すること。
(3)
長期投与により長管骨膜に肥厚がみられるとの報告があるので観察を十分に行い、必要以上の長期投与は避けること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
抗凝血剤
ワルファリンカリウム等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強をきたすおそれがある。
機序・危険因子
本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、抗凝血剤(ワルファリンカリウム等)との併用によりその作用を増強するおそれがある。
薬剤名等
血小板機能を抑制する薬剤
アスピリン
チクロピジン塩酸塩
シロスタゾール等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強をきたすおそれがある。
機序・危険因子
本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、血小板機能を抑制する薬剤(アスピリン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール等)との併用によりその作用を増強するおそれがある。
薬剤名等
血栓溶解剤
ウロキナーゼ等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強をきたすおそれがある。
機序・危険因子
本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、血栓溶解剤(ウロキナーゼ等)との併用によりその作用を増強するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
*成人対象疾患
(1) 慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)、進行性全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、振動病、糖尿病における皮膚潰瘍
承認時:総症例856例中103例(12.03%)143件の副作用が認められた。その主なものは血管痛33件(3.86%)、肝機能異常16件(1.87%)、注射部発赤11件(1.29%)、血管炎9件(1.05%)等であった。
再審査終了時:市販後の使用成績調査において総症例6,017例中203例(3.37%)328件の副作用が認められた。その主なものは血管痛40件(0.66%)、注射部発赤24件(0.40%)、頭痛23件(0.38%)、下痢17件(0.28%)、嘔気16件(0.27%)等であった。
(2) 経上腸間膜動脈性門脈造影
承認時:総症例429例中14例(3.26%)18件の副作用が認められた。その主なものは嘔気5件(1.17%)、腹部膨満感・不快感4件(0.93%)、嘔吐3件(0.70%)、腹痛2件(0.47%)等であった。
再審査終了時:市販後の使用成績調査において総症例6,730例中269例(4.00%)460件の副作用が認められた。その主なものは肝機能異常93件(1.38%)、腹痛75件(1.11%)、嘔気67件(1.00%)、発熱36件(0.53%)、血圧降下32件(0.48%)等であった。
新生児対象疾患
承認時:総症例89例中26例(29.21%)34件の副作用が認められた。その主なものは無呼吸発作11件(12.36%)、下痢7件(7.87%)、発熱5件(5.62%)、低ナトリウム血症5件(5.62%)等であった。
再審査終了時:市販後の使用成績調査において総症例516例中122例(23.64%)180件の副作用が認められた。その主なものは無呼吸発作63件(12.21%)、発熱51件(9.88%)、低ナトリウム血症18件(3.49%)、下痢14件(2.71%)等であった。
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー様症状
いずれも頻度不明
ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、蕁麻疹、喉頭浮腫、呼吸困難、チアノーゼ、血圧低下等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 意識消失
頻度不明
血圧低下に伴い一過性の意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 心不全、肺水腫
いずれも頻度不明
心不全(増強を含む)、肺水腫、胸水があらわれることがあるので、動悸、胸苦しさ、呼吸困難、浮腫等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(「重要な基本的注意」の項参照)。
4. 間質性肺炎
頻度不明
間質性肺炎(増悪を含む)があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
5. 心筋梗塞
頻度不明
心筋梗塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸痛、胸部圧迫感、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 脳出血、消化管出血
いずれも頻度不明
脳出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
7. 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
いずれも頻度不明
無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8. 肝機能障害、黄疸
いずれも頻度不明
AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
9. 無呼吸発作
12.23%
新生児に投与した場合、無呼吸発作があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。なお、発現した場合は、減量、注入速度の減速、投与中止など適切な処置を行うこと。
その他の副作用
消化器注1)
0.1~1%未満
嘔気
腹痛
嘔吐
下痢
腹部膨満感・不快感
消化器注1)
0.1%未満
食欲不振
便秘
口腔腫脹感
消化器注1)
頻度不明
口内炎(アフタを含む)
循環器注1)
0.1~1%未満
血圧降下注2)
血管炎
顔面潮紅
胸部絞扼感注2)
循環器注1)
0.1%未満
発赤
胸痛注2)
動悸
頻脈
循環器注1)
頻度不明
血圧上昇注2)
呼吸器注1)
頻度不明
咳嗽
呼吸困難
喘息注2)
血液注1)
0.1%未満
好酸球増多
中枢神経系注1)
0.1~1%未満
発熱
頭痛
中枢神経系注1)
0.1%未満
めまい
けん怠感
しびれ(感)
中枢神経系注1)
頻度不明
悪寒
振戦
痙攣
皮膚注1)
0.1~1%未満
発疹
そう痒感
皮膚注1)
0.1%未満
蕁麻疹
皮膚注1)
頻度不明
発汗
腎臓注1)
頻度不明
腎不全の増悪注2)
注射部位注1)
0.1~1%未満
血管痛
発赤
注射部位注1)
0.1%未満
こわばり
そう痒感
*出血傾向注1),2)
頻度不明
出血(鼻出血、眼底出血、結膜出血、皮下出血、血尿等)
その他注1)
0.1~1%未満
熱感
その他注1)
0.1%未満
四肢疼痛(増強を含む)
気分不良
浮腫
視力低下
脱毛
*その他注1)
頻度不明
低ナトリウム血症
四肢腫脹
新生児への投与
新生児への投与にあたっては、上記に記載した副作用のほか、低クロール血症(1.32%)、低カルシウム血症(0.50%)、高脂血症(0.17%)があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。
その他の副作用の注意
注1)このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い発現した場合には、減量、投与中止など適切な処置を行うこと。
注2)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット、in vitro)で子宮収縮作用が報告されており、またヒトにおける妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
動脈管依存性先天性心疾患以外の小児に対する安全性は確立していない。
適用上の注意
1. 投与時
(1)
本剤投与により副作用があらわれた場合には、投与の中止、投与速度の変更など適切な処置を講ずること。
(2)
イヌにPGE1として0.1~1.0μg/kgを前腸間膜動脈内投与したところ、投与1分以後に腸管運動が促進された。この腸管運動の促進が血管造影に影響を与える可能性が否定できないため、経上腸間膜動脈性門脈造影に適用する場合、本剤を造影剤注入30秒前に投与すること。
2. 調製時
(1)
凍結したものは使用しないこと。
(2)
本剤を輸液に混和し使用する場合は混和後24時間以内に使用し残液は廃棄すること。
3. アンプルカット時
本剤の容器はワンポイントカットアンプルを使用しているので、丸印を上にして下方向へ折ること。なお、アンプルカット時の異物混入を避けるため、エタノール綿等で清拭しカットすること。
4. その他
(1)
ポリ塩化ビニル製の輸液セット等を使用した場合、可塑剤であるDEHP[di-(2-ethylhexyl) phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)]が製剤中に溶出することが報告されている。
特に動脈管依存性先天性心疾患の新生児への投与に際しては、持続静注によりDEHPの総溶出量が増加するので、ポリ塩化ビニル製の輸液セット等の使用を避けることが望ましい。
(2)
本剤は脂肪乳剤を含有しているため、ポリカーボネート製の延長チューブ等を使用した場合、そのコネクター部分にひび割れが発生し、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性があるので注意すること。
その他の注意
本剤の投与により脳梗塞がみられたとの報告がある。
薬物動態
1. ヒトにおける薬物動態(健康成人)
本剤点滴静注直後の血中PGE1をRIA2抗体法にて測定したが、微量定量であること、その代謝が速いこと等の理由により信頼性の高い数値を得ることはできなかった。
2. 〈参考〉動物における薬物動態(ラット、イヌ)1),2)
(1) 血液、血漿中濃度
3Hで標識した本剤(5μgPGE1/kg)のラット静脈内投与後の血液、血漿中放射能濃度は、投与後30秒でそれぞれ24.74ng eq.PGE1/mL、39.82ng eq.PGE1/mLを示した後、いずれも4相性の推移で消失し、投与後8時間には30秒の濃度の1%以下であった。また、イヌでもほぼ同様な推移が認められた。
(2) 分布
3Hで標識した本剤のラット静脈内投与後の組織内放射能濃度は大部分の組織において5分以内に最高濃度を示し、その後の消失は血漿に比べやや緩慢であった。高濃度を示した組織は、腎、肝及び肺であり、中枢神経系、眼球及び精巣は最も低かった。また、反復投与しても特定組織への残存は認められなかった。自然発症高血圧ラットへの静脈内投与後の血管内分布は、病変血管において3H-PGE1に比べ有意に高かった。
(3) 代謝、排泄
3Hで標識した本剤のラット静脈内投与後の血漿中PGE1未変化体の割合は、3H-PGE1-CD(PGE1-CD:アルプロスタジルアルファデクス)投与時に比べ有意に高かった。
主な代謝物は13,14-dihydro-15-keto-PGE1であった。排泄経路は主に尿中であり、投与後168時間までに尿中へ59%、糞中へ24%、呼気中へ約8%が回収された。胆汁中へは、48時間までに投与量の約28%が排泄され、その一部は腸肝循環することが示された。
臨床成績
承認時に実施された成人対象疾患の二重盲検比較試験及び一般臨床試験、また、新生児対象疾患の一般臨床試験、糖尿病の皮膚潰瘍及び経上腸間膜動脈性門脈造影の造影能に対する臨床試験の概要は次のとおりである。3)~8)
臨床成績の表
疾患名 |
改善率(%)【改善以上】 |
慢性動脈閉塞症における四肢潰瘍、安静時疼痛の改善 |
52.1( 75/144) |
進行性全身性硬化症、全身性エリテマトーデスにおける皮膚潰瘍の改善 |
75.3( 55/ 73) |
糖尿病における皮膚潰瘍の改善 |
72.5( 50/ 69) |
振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善、末梢循環・神経・運動機能障害の回復 |
31.8( 27/ 85) |
動脈管依存性先天性心疾患の新生児における動脈管の開存 |
74.2( 66/ 89) |
経上腸間膜動脈性門脈造影における造影能の改善 |
86.1(142/165) |
薬効薬理
1. 血管拡張作用9)~11)
血流増加作用、血圧降下作用を指標に血管拡張作用をPGE1-CDと比較検討した結果は次のとおりである。
(1)
正常ラット及びストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいて、PGE1-CDより強い血流増加作用を示し、その作用は糖尿病ラットにおいてより顕著であった。
(2)
イヌにおいては、著明な血圧降下作用を示さない用量でPGE1-CDより強い血流増加作用を示した。
(3)
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット及び自然発症高血圧ラットにおいて、PGE1-CDより著明な強い血圧降下作用を示した。これは病態の進行あるいは慢性化に伴いより顕著となった。
(4)
ラット新生児動脈管に対し、PGE1-CDより強く持続的な動脈管拡張作用を示した。
2. 血小板凝集抑制作用12)~14)
(1)
ハムスター頬袋微小血管でのADP誘発血栓形成に対して、正常又は損傷血管のいずれにおいてもPGE1より強い血栓形成抑制作用及び持続性を示した。
(2)
ラットのラウリン酸による末梢動脈閉塞症モデルにおいて、PGE1-CDより強い病態進行の抑制を示した。
(3)
ラットex vivo系において、cyclic-AMP量を増加させPGE1-CDより強い血小板凝集抑制作用を示した。
3. 作用機序1),2),12),15),16)
(1)
本剤の有効成分はアルプロスタジル(PGE1)であるが、脂肪粒子を薬物担体とすることにより、次のような特徴が認められた。
1)
ハムスター頬袋微小血管を損傷させた後、本剤を投与した時の方が、損傷前に投与した時より顕著で持続的な血栓形成抑制作用を示した。
2)
薬物担体としての脂肪粒子が正常及び糖尿病ラットの腸間膜細動脈、毛細血管内皮細胞及び自然発症高血圧ラットの胸部病変大動脈内皮細胞に付着し、エンドサイトーシスされていることが電顕的に観察された。
3)
3Hで標識した本剤は3H-PGE1に比し自然発症高血圧ラットの病変血管に高い放射能分布を示した。
4)
ラットにおいて、3Hで標識した本剤の静脈内投与後の血漿中PGE1未変化体濃度は、3H-PGE1-CD投与時に比べ有意に高かった。
(2) 経上腸間膜動脈性門脈造影能に対する作用
1)
イヌにおいて、前腸間膜動脈内投与により、用量依存的な門脈血流量の増加作用が認められた。
2)
イヌにおいて、前腸間膜動脈内投与により、造影剤注入時における造影剤の漏れの減少及び門脈本幹への到達時間の短縮、門脈造影径の増大並びに門脈分枝の識別性の改善が認められた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アルプロスタジル(JAN)
alprostadil(JAN, INN)
化学名
7-{(1R, 2R, 3R)-3-Hydroxy-2-[(1E, 3S)-3-hydroxyoct-1-en-1-yl]-5-oxocyclopentyl}heptanoic acid
構造式

分子式
C20H34O5
分子量
354.48
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。エタノール(99.5)又はテトラヒドロフランに溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
114~118℃
包装
パルクス注5μg:1mL×1管、1mL×5管、1mL×10管
パルクス注10μg:2mL×1管、2mL×5管、2mL×10管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
名倉一晶ほか:基礎と臨床,20 (10), 5195 (1986)
2)
江角凱夫ほか:基礎と臨床,20 (9), 4399 (1986)
3)
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4)
塩川優一ほか:炎症,6 (3), 311 (1986)
5)
豊田隆謙ほか:医学のあゆみ,155 (11・12), 749 (1990)
6)
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浜野哲夫ほか:基礎と臨床,20 (10), 5145 (1986)
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13)
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15)
内田武ほか:基礎と臨床,29 (6), 1483 (1995)
16)
山崎隆三郎ほか:基礎と臨床,29 (6), 1501 (1995)
文献請求先
大正富山医薬品株式会社 お客様相談室
〒170-8635 東京都豊島区高田3-25-1
電話 03-3985-5599
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
発 売
大正富山医薬品株式会社
東京都豊島区高田3-25-1
製造販売
大正製薬株式会社
東京都豊島区高田3-24-1