NAUZELIN Fine Granules 1% (Domperidone)多潘立酮細粒1%,ナウゼリン細粒1%
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作成又は改訂年月
**2012年7月改訂(下線部分)〈第9版〉
*2009年11月改訂(薬事法改正に伴う「指定医薬品」の規制区分の廃止)
日本標準商品分類番号
872399
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1990年9月
薬効分類名
消化管運動改善剤
承認等
販売名
ナウゼリン細粒1%
販売名コード
2399005C1020
承認・許可番号
承認番号
16200AMZ00111
欧文商標名
NAUZELIN Fine Granules 1%
薬価基準収載年月
1987年10月
販売開始年月
1987年10月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
組成
有効成分
1g中日局ドンペリドン10mg
添加物
ソルビタン脂肪酸エステル、日局トウモロコシデンプン、日局乳糖水和物、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリビニルアルコール(部分けん化物)
性状
外観
白色・細粒
におい
無臭
味
無味
一般的名称
ドンペリドン細粒
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
3.
消化管出血、機械的イレウス、消化管穿孔の患者[症状が悪化するおそれがある。]
4.
プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者[抗ドパミン作用によりプロラクチン分泌を促す。]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
成人:
○慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
○抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
成人:
通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
小児:
○周期性嘔吐症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時
小児:
通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。
なお、年令、体重、症状により適宜増減する。
ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。
また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
小児[「小児等への投与」の項参照]
2.
肝障害又は腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
本剤の投与により、間脳の内分泌機能調節異常、錐体外路症状等の副作用があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、有効性と安全性を十分考慮のうえ使用すること。
2.
眠気、めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に注意させること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
フェノチアジン系精神神経用剤(プロクロルペラジン、クロルプロマジン、チエチルペラジン等)、ブチロフェノン系製剤(ハロペリドール等)、ラウオルフィアアルカロイド製剤(レセルピン等)
臨床症状・措置方法
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなる。
機序・危険因子
フェノチアジン系精神神経用剤、ブチロフェノン系製剤は中枢性の抗ドパミン作用を有し、ラウオルフィアアルカロイド製剤は中枢でカテコールアミンを枯渇させる。一方、本剤は血液-脳関門を通過しにくいが強い抗ドパミン作用を有する。
2. 薬剤名等
ジギタリス製剤(ジゴキシン等)
臨床症状・措置方法
ジギタリス製剤飽和時の指標となる悪心、嘔吐、食欲不振症状を不顕化することがある。ジギタリス製剤の血中濃度のモニターを行う。
機序・危険因子
本剤は制吐作用を有する。
3. 薬剤名等
抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、チキジウム臭化物、チメピジウム臭化物水和物等)
臨床症状・措置方法
本剤の胃排出作用が減弱することがある。症状により一方を減量、中止する。又は必要に応じて間隔をあけて投与する。
機序・危険因子
抗コリン剤の消化管運動抑制作用が本剤の消化管運動亢進作用と拮抗する。
4. 薬剤名等
制酸剤、H2受容体拮抗剤(シメチジン、ラニチジン等)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等)
臨床症状・措置方法
本剤の効果が減弱するおそれがあるので、両剤の投与時間を考慮する。
機序・危険因子
胃内pHの上昇により、本剤の消化管吸収が阻害される。
副作用
副作用等発現状況の概要
〈成人〉(主として錠剤、細粒による)
承認時及び使用成績調査において、26,605例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は227例(発現率0.9%)で、257件であった。主な副作用は下痢、便秘、胸やけ、嘔吐等の消化器系102件(0.4%)、乳汁分泌、女性化乳房等の内分泌系48件(0.2%)等であった。(再審査終了時)
〈小児〉(主としてドライシロップによる)
承認時及び使用成績調査において、3,502例中、副作用の発現例は19例(発現率0.5%)で、24件であった。主な副作用は下痢9件(0.3%)、錐体外路障害、眠気、発疹各2件(0.06%)等であった。(再審査終了時)
重大な副作用
1.
ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、口唇浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
後屈頸、眼球側方発作、上肢の伸展、振戦、筋硬直等の錐体外路症状(0.03%)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、これらの症状が強い場合には、抗パーキンソン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
3.
意識障害、痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 肝臓
0.1%未満
肝機能異常〔AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP, ビリルビン, Al-P, LDH上昇等〕
2. 内分泌
0.1%未満
女性化乳房、プロラクチン上昇、乳汁分泌、乳房膨満感、月経異常
3. 消化器
0.1~5%未満
下痢
4. 消化器
0.1%未満
便秘、腹痛、腹部圧迫感、口渇、胸やけ、悪心、嘔吐、腹部膨満感
5. 消化器
頻度不明
腹部不快感、腹鳴、腸痙攣
6. 循環器
0.1%未満
心悸亢進
7. 皮膚
0.1%未満
蕁麻疹、発疹、そう痒
8. その他
0.1%未満
口内のあれ、発汗、眠気、動揺感、めまい・ふらつき
上記のような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
なお、太字で記載の副作用については投与を中止すること。
高齢者への投与
一般的に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット)で骨格、内臓異常等の催奇形作用が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には大量投与を避けること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
小児において錐体外路症状、意識障害、痙攣が発現することがあるため、特に1才以下の乳児には用量に注意し、3才以下の乳幼児には7日以上の連用を避けること。
また、脱水状態、発熱時等では特に投与後の患者の状態に注意すること。
過量投与
錐体外路症状、めまい、見当識障害が起こるおそれがある(特に小児では起きやすい)。過量服用時には活性炭投与等適切な処置を行い、一般的な支持・対症療法を実施する。
錐体外路症状に対しては抗パーキンソン剤を投与するなど適切な処置を行う。
**その他の注意
外国において本剤による重篤な心室性不整脈及び突然死が報告されている。特に高用量を投与している患者又は高齢の患者で、これらのリスクが増加したとの報告がある。
薬物動態
1. 吸収1)
健常成人14名にドンペリドン10mg(細粒剤)を単回経口投与した場合の血漿中濃度の推移は下図のとおりである。主薬の濃度はradioimmunoassay法により測定した。(薬物動態の表1参照)
2. 分布
●体組織への分布(参考:ラットでのデータ)3)
ラットに14C-ドンペリドン2.5mg/kgを経口及び静脈内投与したときの組織内分布はいずれも腸管組織、肝臓、膵臓等に高濃度に分布したが、脳への分布は極めて低かった。また、蓄積性も認められなかった。
●通過性・移行性(参考:ラットでのデータ)3)
血液-脳関門通過性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgをラットに経口投与したところ、脳内放射能濃度は投与後0.25~1時間で最高となり、その後定常状態に達した時点では血漿中放射能の約1/5であった。
血液-胎盤関門通過性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgを妊娠ラットに静脈内又は経口投与したところ、胎盤内放射能は投与1時間後に最高となり、母体血漿中放射能に比べ静脈内投与では2.7倍、経口投与では2倍であった。
母乳中への移行性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgを授乳ラットに投与したところ、乳汁中放射能は静脈内投与後30分、経口投与後1~2時間で最高に達した。
●蛋白結合率(参考:ベルギーでのin vitro試験データ)2)
薬物動態の表2参照。
3. 代謝・排泄(参考:ベルギーでのin vitro試験データ及び試験成績)4)5)
in vitro試験において、本剤の代謝には、肝チトクロームP-450(CYP 3A4)が約50%関与することが示された。
健常成人3名に14C-ドンペリドン40mgを経口投与した場合、4日以内に総放射能の約95%が排泄された。なお、尿中と糞中への排泄の割合は約3:7であった。
尿中への排泄は、投与後24時間以内に大部分が排泄され、24時間後の尿中排泄率は投与量の29.5%であった。
一方、糞中には投与量の約66%が投与後4日以内に排泄された。
尿中の主代謝物は酸化的N-脱アルキル化で生じた2, 3-dihydro-2-oxo-1H-benzimidazole-1-propanoic acidとその抱合体であり、ドンペリドン未変化体の尿中排泄率は投与量のわずか0.39%であった。
糞中の主な代謝物は水酸化ドンペリドンであり、未変化体は投与量の約10%であった。
表1 薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL) |
Tmax(hr)※ |
AUC0~24hr(ng・hr/mL) |
T1/2(hr)α※ |
T1/2(hr)β※ |
Vd(L)※※ |
CLtotal(mL/min)※※ |
13.79±5.92 |
0.5±0.2 |
44.88±20.52 |
0.58±0.13 |
3.69±1.40 |
439±67.7 |
947±256 |
mean±S.D.
※Tmax、T1/2は実測値より別途算出。〔T1/2(α):n=6、T1/2(β):n=12〕。
※※Vd、CLtotalはベルギーでの試験成績(ドンペリドン10mg i.v.)2)。
表2 蛋白結合率(参考:ベルギーでのin vitro試験データ)
添加濃度(ng/mL) |
10 |
100 |
血漿蛋白結合率(%) |
91.8 |
93.0 |
臨床成績
〈成人〉6)~8)
(1) 消化器系疾患に伴う不定愁訴
国内6施設で121症例について実施された臨床試験で69.4%(84/121)の有効率を示した。
(2) 薬剤投与時に伴う不定愁訴
○抗悪性腫瘍剤投与時
国内4施設で80症例について実施された臨床試験で58.8%(47/80)の有効率を示した。
○レボドパ製剤投与時
国内3施設で47症例について実施された臨床試験で87.2%(41/47)の有効率を示した。
〈小児〉9)10)
国内29施設で総計236例について実施された経口剤(錠剤、ドライシロップ)の臨床試験における消化器系不定愁訴に対する有効率は、周期性嘔吐症83.1%(49/59)、上気道感染症89.7%(52/58)、抗悪性腫瘍剤投与時61.5%(8/13)であった。
薬効薬理
上部消化管並びにCTZに作用し、抗ドパミン作用により薬効を発現する。なお、生化学的実験等により血液-脳関門を通過しにくいことが確かめられている。
(1) 消化管運動に及ぼす作用
1) 胃運動促進作用11)
収縮頻度やトーヌスに影響を及ぼさず、胃の律動的な収縮力を長時間(約2時間)増大する。(イヌ)
2) 胃・十二指腸協調運動促進作用12)
胃の自動運動を増大させると同時に、胃前庭部-十二指腸協調運動を著明に促進する。(モルモット摘出胃)
3) 胃排出能の正常化作用13)14)
各種上部消化管疾患患者を対象とした試験で、胃排出能遅延例(胃潰瘍症例を含む)に対しては促進的に、逆に亢進例に対しては抑制的に作用し、障害されている胃排出能を正常化することが認められている。
4) 下部食道括約部圧(LESP)の上昇作用15)16)
本剤のLESP上昇作用はガストリンやコリン作動性薬剤に比べて長時間持続する。(イヌ、ヒト)
(2) 選択的な制吐作用17)~19)
第4脳室底に位置するCTZ(化学受容器引き金帯)の刺激を介して誘発される各種薬物(アポモルフィン、レボドパ、モルヒネ等)による嘔吐を低用量で抑制する(イヌ)。なお、条件回避反応等の中枢神経系に対する作用のED50と制吐作用のED50との間には極めて大きな分離が認められ、選択的な制吐作用を示す。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ドンペリドン Domperidone
化学名
5-Chloro-1-{1-[3-(2-oxo-2,3-dihydro-1H-benzoimidazol-1-yl)propyl]piperidin-4-yl}-1,3-dihydro-2H-benzoimidazol-2-one
分子式
C22H24ClN5O2 = 425.91
化学構造式
性状
白色~微黄色の結晶性の粉末又は粉末である(においはなく、わずかに苦味を呈する)。
溶解性
酢酸(100)に溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、2-プロパノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
約243℃(分解)
分配係数
logP′OCT=3.20
〔測定法:フラスコシェイキング法、n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液〕
包装
ナウゼリン細粒1%:[バラ]500g
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:宇治康明,他;細粒剤と錠剤のヒトにおける生物学的同等性について
2)
Heykants J., et al.:Eur. J. Drug Metab. Pharmacokin., 6, (1), 61, (1981)
3)
Michiels M., et al.:Eur. J. Drug Metab. Pharmacokin., 6, (1), 37, (1981)
4)
社内資料:ドンペリドンの代謝について
5)
Meuldermans W., et al.:Eur. J. Drug Metab. Pharmacokin., 6, (1), 49, (1981)
6)
森口寿徳, 他:新薬と臨床, 35, (5), 809, (1986)
7)
中島 洋, 他:新薬と臨床, 35, (5), 835, (1986)
8)
福西勇夫, 他:新薬と臨床, 35, (5), 814, (1986)
9)
岩波文門,他:小児科臨床,34, (4), 931, (1981)
10)
前田和一,他:新薬と臨床,29, (11), 1845, (1980)
11)
藤井一元,他:日本平滑筋学会雑誌,16, (1), 37, (1980)
12)
Schuurkes J. A. J., et al.:Scand. J. Gastroenterol., 16, (suppl. 67), 33, (1981)
13)
Harasawa S., et al.:内科宝函,28, (3), 67, (1981)
14)
原沢 茂,他:臨床成人病,13, (11), 2313, (1983)
15)
本郷道夫,他:医学と薬学,4, (5), 665, (1980)
16)
白羽 誠,他:医学と薬学,4, (4), 533, (1980)
17)
周藤勝一,他:応用薬理,21, (2), 179, (1981)
18)
Shuto K., et al.:J. Pharm. Dyn., 3, (12), 709, (1980)
19)
Niemegeers C. J.E., et al.:Arch. Int. Pharmacodyn., 244, (1), 130, (1980)
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
協和発酵キリン株式会社 くすり相談室
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