THAM Injection SET(Trometamol)氨丁三醇, *サム点滴静注セット
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作成又は改訂年月
** 2011年4月改訂(_部、第9 版)
* 2009年9月改訂
日本標準商品分類番号
87 3399
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
1990年3月
薬効分類名
アシドーシス治療剤
承認等
販売名
*サム点滴静注セット
販売名コード
3399400X1035
承認・許可番号
承認番号
*22100AMX00590
商標名
*THAM Injection SET
薬価基準収載年月
*2009年9月
販売開始年月
1978年7月
貯法・使用期限等
貯法:
室温保存
使用期限:
容器に表示の使用期限内に使用すること。
使用時及び保管:
取扱い上の注意の項参照
規制区分
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
本剤はその使用に応じて適宜濃度及びpH を調整できるよう次の3 種の薬剤が1つのセットになっている。
*サム点滴静注(50mL)
1 管(50mL)中
トロメタモール(THAM)
18.17 g
塩化ナトリウム
0.875g
塩化カリウム
0.185g
サム希釈液(450mL)
日本薬局方 注射用水
サム補正液(20mL)
氷酢酸
6.2 g
0.3 モル溶液
〔*サム点滴静注50mL +サム希釈液450mL〕
pH
約10.7
電解質濃度
Na+
30mEq/L
K+
5mEq/L
Cl-
35mEq/L
0.3 モル溶液(pH 修正)
〔*サム点滴静注50mL +サム希釈液450mL+サム補正液20mL〕
pH
約8.0
電解質濃度
Na+
29mEq/L
K+
5mEq/L
Cl-
34mEq/L
性状
*サム点滴静注(50mL)
無色~微黄色澄明な液である。
pH 10.5 ~ 11.5
サム補正液(20mL)
無色澄明の液で、刺激性の特異なにおい及び酸味がある。
調製液
*サム点滴静注50mL +サム希釈液450mL
pH
約10.7
*サム点滴静注50mL +サム希釈液450mL +サム補正液20mL
pH
約8.0
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
代謝性及び呼吸性アルカローシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.
無尿、尿毒症などの腎機能障害のある患者[水分、電解質代謝異常が悪化するおそれがある。]
効能又は効果
代謝性アシドーシス(アシデミアを認めるとき)
体外循環、低体温による手術及び保存血大量注入によるアシドーシスの治療
用法及び用量
投与に当たっては、まず投与量の半量から投与を開始し、必要に応じて、適宜追加補正することが望ましい。
通常成人の投与量は一般に次式による。
投与量(mEq)= 不足塩基量(Base Deficit mEq/L)×0.3 ×体重(kg)
トロメタモールの0.3 モル溶液の場合は次式による。
投与量(mL) = 不足塩基量(Base Deficit mEq/L)×体重(kg)
投与はなるべく太い静脈に直接又は静脈カテーテルを用いて0.2mL/kg/ 分以下の速度で注射する。
なお、投与量、投与速度は年齢、症状、細胞外液量等に応じて適宜増減する。
〔調製方法〕
添付の希釈液(注射用水)を用いて用時希釈し、通常トロメタモールの0.3 モル溶液として使用する。
*本剤(サム点滴静注)50mLに対し、添付希釈液(サム希釈液)450mL の割合で希釈すると、0.3 モル溶液500mL(pH 約10)ができる。
また、pH を修正する必要がある場合は、この0.3 モル溶液500mL に対し、添付の補正液(サム補正液)20mL の割合で添加すると、pH 約8 となる。
添付のラベルは、pH 約10 で使用するときはpH = 8 の部分を切り取り、pH 約8 で使用するときはpH = 10 の部分を切り取って希釈液の瓶に貼る。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
新生児(「小児等への投与」の項参照)。
重要な基本的注意
1.
本剤及び本剤の補正液は濃厚液のため、そのまま注射しないこと。必ず希釈して使用すること。
2.
呼吸の抑制があらわれることがあるので、使用にあたっては人工呼吸器等の準備が望ましい。
副作用
副作用等発現状況の概要
5,016 症例中、副作用が報告されたのは2 例(0.04%)で、黄疸、心不全が各1 例であった(副作用調査終了時、1975 年)。
大量・急速投与
(頻度不明)
呼吸の抑制、低血圧、低血糖等
注射部位注)
細い血管
(頻度不明)
血管痙攣、静脈炎等
注射部位注)
血管外漏出
(頻度不明)
組織の炎症、壊死等
電解質異常
(頻度不明)
浸透圧性利尿作用による血清電解質の減少、腎障害や乏尿のある患者では高カリウム血症等
第二次再評価結果その34、1990 年
注):本剤の補正液で pH8 に修正したものはその症状を軽減できる。
副作用等発現状況の概要の注意
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
小児等への投与
新生児への投与で、出血性肝壊死が報告されている1)。
適用上の注意
1. 投与経路:
静脈内にのみ投与すること。
2. 調製時:
本剤は用時調製し、調製液は速やかに使用すること。
3. 投与前:
(1) アンプルカット時:
アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
その際、カット部分で手指を傷つけないよう十分に注意すること。
〈参考:アンプルのカット方法〉
・サム補正液(20mL)
・*サム点滴静注(50mL)は全周カットアンプルのため、どの方向からもカットできる。
(2)
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
(3)
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
(4)
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
4. 投与時:
(1)
注射に際しては血管外に漏出させないよう注意すること。
(2)
ゆっくり静脈内に投与すること。
薬物動態
(参考)ウサギ
ウサギに14C‐THAM を含む本剤を静注した。その結果、血中濃度は投与6 時間後までに急速に減少し、48 時間後にはほとんど残存していなかった。また、24 時間内に投与量の52 ~ 76%が尿中に排泄された2)。
臨床成績
1.
心臓手術患者13 例に本剤を投与し、その前後の動脈血pH 及びBase Excess を測定した。
全症例において、動脈血pH の上昇とBase Excess の増加が認められた3)。
2.
人工心肺による体外循環施行中の患者52 例に本剤を投与し、体外循環後に発生するアシドーシスに対する効果を検討した。
Base Excess では91%、動脈血pH では89%が有効以上であった4)。
薬効薬理
1. THAM の酸、炭酸ガスとの反応
トロメタモール(THAM)は酸(HA)の存在下で次のような反応をする。
(CH2OH)3C-NH2 + HA ←→(CH2OH)3C-NH3++ A-
また、血中の炭酸ガスと反応して
(CH2OH)3C-NH2 + CO2 +H2O ←→(CH2OH)3C-NH3++HCO3-
すなわち、THAM は血中の酸やCO2 と反応して、これらを減少させる5)。
2. アシドーシス改善効果
塩酸負荷による実験的代謝性アシドーシスのウサギにおいて、本剤はBase Excess を直ちに回復させ、pH を改善した6)。
また、実験的出血性ショック犬においては、本剤の投与により代謝性アシドーシスの指標となる過剰乳酸値の低下が認められた7)。
本剤のpH 上昇作用は、重曹液投与に比較して長く持続することが臨床試験で確認されている8,9)。
3. 細胞内アシドーシス改善効果
本剤を静注したヒトにおいて、赤血球内pH の著明な上昇が認められ、細胞外液のみならず細胞内液のアシドーシスの改善効果が示唆された9)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
トロメタモール(Trometamol)
化学名:
tris (hydroxymethyl) aminomethane (THAM)
構造式:
分子式:
C4H11NO3
分子量:
121.14
融点:
168 ~ 172℃
性状:
白色の結晶性の粉末で、においはない。
水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノールにやや溶けにくい。
取扱い上の注意
内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
包装
*サム点滴静注(50mL) 1 管
サム希釈液(450mL) 1 本 PLABOTTLE
サム補正液(20mL)1 管
PLABOTTLE は、弊社の開発したプラスチック製輸液用ボトルである。
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Goldenberg,V. E.,et al.:J. Am. Med. Assoc. 1968;205:81-84
2)
藤井節郎,他:社内資料(薬物動態)
3)
五十川久士:新潟医学会雑誌 1967;81:228-243
4)
田中 孝,他:麻酔 1967;16:343-347
5)
Nahas,G.G.:Clin. Pharm. & Therap 1963;4:784-803
6)
梶本義衛,他:社内資料(薬効薬理)
7)
水野 明,他:社内資料(薬効薬理)
8)
桑原茂夫,他:麻酔 1968;17:155-159
9)
三村 久,他:麻酔 1969;18:486-491
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
**株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
**〒101‐0048 東京都千代田区神田司町2‐2
**TEL:0120-719-814
**FAX:03‐5296‐8400
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9
製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115