考福新达普酸酯盐酸盐注射剂Adehl for I.V. Infusion(Colforsin daropate hydrochloride)アデール点滴静注用5mg/アデール点滴静注用10mg
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作成又は改訂年月
**2014年8月 改訂9
*2009年12月 改訂8
日本標準商品分類番号
872119
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
*2009年12月
国際誕生年月
1998年10月
薬効分類名
急性心不全治療剤
承認等
販売名
アデール点滴静注用5mg
販売名コード
2119409D1033
承認・許可番号
承認番号
22100AMX01745
欧文商標名
Adehl for I.V. Infusion 5mg
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
1999年1月
貯法・使用期限等
〈貯法〉
遮光、室温保存
〈使用期限〉
3年(バイアル及び外箱に記載)
〈取扱い上の注意〉
溶解後はできるだけすみやかに使用すること。
規制区分
毒薬
処方箋医薬品※
※注意-医師等の処方箋により使用すること。
組成
アデール点滴静注用5mgは、1バイアル中に次の成分を含有する。
有効成分・含有量
コルホルシンダロパート塩酸塩 5mg
添加物・含有量
キシリトール 2.5mg
リン酸
pH調整剤
性状
アデール点滴静注用5mgは、白色の凍結乾燥注射剤である。
pH(本剤1バイアルを生理食塩液5mL又は10mLに溶解時)
4.3~4.6
pH(本剤1バイアルを注射用水5mL又は10mLに溶解時)
4.4~4.9
浸透圧比(本剤1バイアルを生理食塩液5mL又は10mLに溶解時)
約1
(浸透圧比:生理食塩液に対する比)
浸透圧比(本剤1バイアルを注射用水5mL又は10mLに溶解時)
約0.02~0.08
(浸透圧比:生理食塩液に対する比)
販売名
アデール点滴静注用10mg
販売名コード
2119409D2030
承認・許可番号
承認番号
22100AMX01746
欧文商標名
Adehl for I.V. Infusion 10mg
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
1999年1月
貯法・使用期限等
〈貯法〉
遮光、室温保存
〈使用期限〉
3年(バイアル及び外箱に記載)
〈取扱い上の注意〉
溶解後はできるだけすみやかに使用すること。
規制区分
毒薬
処方箋医薬品※
※注意-医師等の処方箋により使用すること。
組成
アデール点滴静注用10mgは、1バイアル中に次の成分を含有する。
有効成分・含有量
コルホルシンダロパート塩酸塩 10mg
添加物・含有量
キシリトール 5mg
リン酸
pH調整剤
性状
アデール点滴静注用10mgは、白色の凍結乾燥注射剤である。
pH(本剤1バイアルを生理食塩液5mL又は10mLに溶解時)
4.3~4.6
pH(本剤1バイアルを注射用水5mL又は10mLに溶解時)
4.4~4.9
浸透圧比(本剤1バイアルを生理食塩液5mL又は10mLに溶解時)
約1
(浸透圧比:生理食塩液に対する比)
浸透圧比(本剤1バイアルを注射用水5mL又は10mLに溶解時)
約0.02~0.08
(浸透圧比:生理食塩液に対する比)
一般的名称
コルホルシンダロパート塩酸塩製剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
肥大型閉塞性心筋症のある患者
[流出路閉塞が悪化する可能性がある。]
2.
高度の大動脈弁狭窄又は僧帽弁狭窄等のある患者
[血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある。]
効能又は効果
急性心不全で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合
用法及び用量
本剤は、用時生理食塩液等で溶解し、コルホルシンダロパート塩酸塩として通常成人には1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。
なお、点滴投与量は、病態に応じて1分間あたり0.75μg/kgを上限として心血行動態、心電図をモニターしながら適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期を脱した場合)には、他の治療法に変更すること。
2.
0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与することにより、動悸・頻脈、不整脈等の副作用の発現頻度が高まるので、本剤を0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与する場合には副作用発現に留意し、必要により減量又は投与を中止すること。
3.
本剤は長時間投与の使用経験は少なく、長時間投与における安全性は確認されていないことから、原則として72時間を超える長時間投与は避けること。十分な効果が得られ、やむを得ず長時間投与が必要と判断される場合には、効果が認められた用量を長く維持することなく、血行動態等を観察しながら漸減すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
重篤な頻脈性不整脈のある患者
[不整脈が悪化することがある。]
2.
重篤な冠動脈疾患のある患者
[高度な動脈硬化病変を有している患者では本剤による冠血流量増加が期待できない可能性がある。さらに本剤は陽性変力作用を有するため、急性心筋梗塞などの冠動脈疾患を増悪させるおそれがある。]
3.
大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄等がある患者
[血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある。]
4.
腎機能障害のある患者
[副作用(心室性頻拍、心房細動等)の発現率が高くなる。]
5.
重篤な肝機能障害のある患者
[血中濃度が高くなるおそれがあるので、投与量を減ずること。]
6.
著しく血圧の低い患者
[血圧がさらに低下することがある。]
7.
高齢者
[「高齢者への投与」の項参照]
8.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮すること。
2.
本剤はアデニル酸シクラーゼに直接作用することにより作用発現をもたらすものであることから、アデニル酸シクラーゼの活性化に伴う各種ホルモン作用の発現に留意すること。
3.
本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。
4.
本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等患者の状態を観察しながら行うこと。
5.
本剤の投与中に過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
6.
本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行うこと。
7.
投与前に心房細動等の心電図異常のある患者では、動悸・頻脈、不整脈の発現が高まる可能性があるので注意すること。
相互作用
本剤は主として肝代謝酵素CYP3Aで代謝される。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
カテコラミン系の強心薬
ドパミン塩酸塩
ドブタミン塩酸塩 等
PDE阻害薬
アムリノン
ミルリノン
オルプリノン塩酸塩水和物 等
cAMP製剤
ブクラデシンナトリウム
臨床症状・措置方法
心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させるおそれがある。
機序・危険因子
ともに強心作用を有する。
薬剤名等
利尿薬
フロセミド 等
臨床症状・措置方法
心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させるおそれがある。
機序・危険因子
フロセミド等の利尿薬は電解質失調を引きおこし、不整脈を誘発する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
*総症例231例中86例(37.2%)に副作用が認められ、主な副作用は動悸・頻脈 16.9%、心室性期外収縮 10.8%、頭痛・頭重感 5.6%、熱感 5.2%等であった。また、臨床検査値異常は230例中54例(23.5%)に認められ、主な臨床検査値の異常はLDH上昇 7.6%、尿たん白増加 5.1%、血小板減少 5.1%等であった。〔承認時〕
使用成績調査548例における副作用及び臨床検査値異常の発現率は21.4%であり、主なものは心室性頻拍4.9%、LDH上昇3.5%、AST(GOT)上昇2.7%、心房細動2.0%等であった。〔再審査終了時〕
重大な副作用
心室性頻拍(3.0%)、心室細動(頻度不明)
心室性頻拍、心室細動があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が発現した場合には減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
その他の副作用
循環器注)
5%以上
動悸・頻脈(16.9%)、心室性期外収縮(10.8%)
循環器注)
1~5%未満
上室性頻拍、心房細動、心房粗動、血圧低下
消化器
1~5%未満
悪心・嘔吐
肝臓
5%以上
LDH上昇
肝臓
1~5%未満
直接ビリルビン上昇、総ビリルビン上昇、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇
腎臓
5%以上
尿たん白増加
腎臓
1~5%未満
BUN上昇、血清クレアチニン上昇、尿酸上昇
血液
5%以上
血小板減少
血液
1~5%未満
赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少、白血球増加、リンパ球減少
その他
5%以上
頭痛・頭重感、熱感
その他
1~5%未満
尿ウロビリノーゲン増加、総たん白減少、CK(CPK)上昇、尿糖増加
その他
1%未満
全身倦怠感、呼吸困難、血清K低下
注)観察を十分に行い、異常が認められた場合は減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、動悸・頻脈、不整脈等の副作用が発現しやすいと推定されるので、患者の状態を十分観察しながら、慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[動物実験(ラット)で出生児の体重減少が認められている。]
2.
本剤投与中は授乳を避けること。
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
1. 調製時:
(1)
調製後はすみやか(1日以内)に使用すること。
(2) 配合変化:
現在までに、下記の注射剤と配合変化を起こすことが確認されているので、混合しないこと。
アミノフィリン水和物、カンレノ酸カリウム、アセタゾラミドナトリウム
(アルカリ性の注射液と混合した場合、混濁・沈殿を生じることがあるので注意すること。)
2. 投与時:
他の注射剤と混合せずに用いることが望ましい。
[患者の病態に応じて、本剤の点滴静脈内投与速度を調節する必要がある。]
その他の注意
本剤との因果関係は明らかでないが、本剤投与後に、AST(GOT)、ALT(GPT)等の異常増加を呈し、劇症肝炎と診断され、血漿交換等の処置を実施した症例が1例報告されている。
薬物動態
1. 血漿中濃度
健康成人男子に本剤を静脈内持続投与(0.0125~0.8μg/kg/分、1時間)したとき、未変化体は投与終了時にCmaxを示し、その後二相性で消失した。0.2及び0.6μg/kg/分を投与したときの未変化体の血漿中濃度曲線を下図に、薬物動態パラメータを下表に示す。未変化体のCmax及びAUCは投与量に比例して増加し、線形性が認められた。

健康成人男子に本剤を1時間静脈内持続投与したときの未変化体の血漿中濃度(平均値±標準偏差)
(表参照)
2. 血漿たん白結合
C14-コルホルシンダロパート塩酸塩のin vitroにおける血漿たん白結合率は54.2%であり、結合は可逆的であると考えられた。また、結合たん白種としてアルブミン及びα1-酸性糖たん白が確認された。
3. 代謝
本剤の主要代謝部位は肝臓であり、ヒト肝ミクロソーム画分及びヒトチトクロームP450発現系を用いた実験で、本剤のN-脱メチル化及び水酸化反応に関与する代謝酵素はCYP3Aであることが示唆された。
4. 排泄
健康成人男子に本剤を静脈内持続投与(0.0125~0.8μg/kg/分、1時間)したときの24時間後までの未変化体の尿中排泄率は、10.8~17.8%であった。
(参考)
ラットにおいて主排泄経路は胆汁を介した糞排泄(90.2%)であり、また、腸肝循環が示唆された。
薬物動態の表
投与量(μg/kg/分) |
0.2(n=4) |
0.6(n=5) |
Cmax(ng/mL) |
4.36 |
11.65 |
T1/2α(時間) |
0.07 |
0.08 |
T1/2β(時間) |
2.81 |
1.86 |
臨床成績
本剤における臨床試験成績の概要は次のとおりである。1~5)
(1)
急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)に対する改善率(改善以上)は 55.1%(109/198)であった。
(2)
本剤は急性心不全患者の肺動脈楔入圧、全身血管抵抗及び肺血管抵抗を減少させ、心係数及び1回心拍出係数を増加させた。また、呼吸困難等の自覚症状及び四肢冷感等の身体所見を改善させた。
薬効薬理
1. 陽性変力作用及び血管拡張作用6~13)
(1)
臨床薬理試験の結果から、本剤の心機能改善には、心収縮性及び左室弛緩能の改善作用並びに前負荷軽減作用及び後負荷軽減作用が関与することが明らかとなった。
(2)
モルモット及びラットの摘出心筋において、濃度依存的な陽性変力作用を示した。また、β受容体脱感作ラット心臓標本において陽性変力作用は減弱しなかった。
(3)
イヌの摘出血管標本において、濃度依存的な弛緩作用を示し、特に冠動脈、脳底動脈、腎動脈に対し強い弛緩作用を示した。また、ウサギ摘出血管標本において、大腿動脈及び静脈で同程度の収縮抑制作用を示した。
(4)
麻酔イヌにおいて、用量依存的に心収縮力、心拍出量、心拍数、冠血流量及び大腿動脈血流量を増加させ、血圧、肺動脈圧及び全末梢血管抵抗を低下させた。
2. 実験的心不全に対する作用6~13)
(1)
イヌ心肺標本においてペントバルビタール、プロプラノロール及びベラパミルで誘発した実験的心不全を用量依存的に改善した。
(2)
麻酔イヌの冠動脈結紮及び僧帽弁腱索切断によって作成した急性心不全モデルにおいて、心機能を改善した。
3. 作用機序
本剤はβ受容体を介さずに、cAMP合成酵素であるアデニル酸シクラーゼを活性化し、陽性変力作用と血管拡張作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
コルホルシンダロパート塩酸塩
(Colforsin daropate hydrochloride)
化学名:
(+)-(3R ,4aR ,5S ,6S ,6aS ,10S ,10aR ,10bS )-5-acetoxy-6-(3-dimethylaminopropionyloxy)-dodecahydro-10,10b-dihydroxy-3,4a,7,7,10a-pentamethyl-3-vinyl-1H -naphtho[2,1-b ]pyran-1-one monohydrochloride
分子量:
546.09
分子式:
C27H43NO8・HCl
構造式:
性状:
コルホルシンダロパート塩酸塩は白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水及び酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
包装
5mg:5バイアル
10mg:5バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
百村 伸一 他: 臨牀と研究, 72, 1251(1995)
2)
高野 照夫 他: 臨床薬理, 28, 563(1997)
3)
細田 瑳一 他: 臨床薬理, 28, 583(1997)
4)
川名 正敏 他: 臨牀と研究, 74, 955(1997)
5)
柳瀬 治 他: 臨牀と研究, 72, 1518(1995)
6)
森 益規 他: 臨牀と研究, 72, 1004(1995)
7)
百村 伸一 他: 臨牀と研究, 72, 1529(1995)
8)
細野 誠 他: 薬理と臨床, 6, 1061(1996)
9)
石塚 修 他: 日薬理誌, 108, 23(1996)
10)
姫田 美穂子 他: 薬理と治療, 26, 775(1998)
11)
Hosono M.,et al.: J. Cardiovasc.Pharmacol., 19, 625(1992)
12)
Fujita A., et al.: Jpn. J. Pharmacol., 58, 375(1992)
13)
高平 孝 他: 循環制御, 16, 196(1995)
文献請求先
**日本化薬株式会社 医薬事業本部
営業本部 医薬品情報センター
(住所)〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号
(TEL)0120-505-282(フリーダイヤル)
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
**製造販売元
日本化薬株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号