PULMOZYME(Dornase Alfa(Genetical Recombination))阿法脱氧核糖核酸吸入液 プルモザイム吸入液2.5mg
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作成又は改訂年月
**2013年6月改訂(第4版 「投薬期間制限医薬品に関する情報」削除)
*2012年5月改訂
日本標準商品分類番号
87229
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
1993年9月
薬効分類名
遺伝子組換えヒトDNA分解酵素製剤
承認等
販売名
プルモザイム吸入液2.5mg
販売名コード
2290704G1024
承認・許可番号
承認番号
22400AMX00668
商標名
PULMOZYME
薬価基準収載年月
*2012年5月
販売開始年月
*2012年6月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光、2~8℃保存
使用期限
2年(外箱、ピロー包装及びアンプルに表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
生物由来製品
処方せん医薬品注1)
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含有量[1アンプル(2.5mL)中]:有効成分
ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え)注2) 2.50mg
成分・含有量[1アンプル(2.5mL)中]:添加物
塩化カルシウム水和物 0.38mg
塩化ナトリウム 21.93mg
注2)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。セルバンク調製時には、ブタの膵臓由来成分(トリプシン)、ウシの血清由来成分(ウシ胎仔血清)を使用している。また、製造工程において、培地成分としてウシの脾臓及び心臓、ウマの脛及び脾臓並びにブタのペプシン、パンクレアチン及びラードウォーター由来成分(ペプトン)を使用している。
性状
剤形
吸入液
性状
無色~微黄色の澄明の液
pH
5.6~7.0
一般的名称
ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え)吸入液
特殊記載
本剤は、セルバンク調製時に米国又はカナダ産を含むウシ胎仔血清を、また、製造工程の培地成分としてウシの脾臓由来成分を用いて製造されたものである。ウシ由来成分を製造工程に使用しており、本剤による伝達性海綿状脳症(TSE)の潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、本剤を投与すること(「重要な基本的注意」の項参照)。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
嚢胞性線維症における肺機能の改善
用法及び用量
通常、ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え)として2.5mgを1日1回ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、患者の状態に応じて1回2.5mgを1日2回まで吸入投与することができる。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤はジェット式ネブライザーを用いた吸入にのみ使用すること(「適用上の注意」の項参照)。
2.
海外臨床試験において21歳以上では本剤1日1回投与に比べ本剤1日2回投与の方が気道感染発現の抑制効果が高いことが示唆されていること(「臨床成績」の項参照)、また、加齢と肺病変の進行との関連が知られていることから、患者の年齢、肺病変の重症度等を考慮し、1日2回投与の必要性を検討すること。
3.
本剤の効果を持続するためには継続的な投与が必要である(「その他の注意」の項参照)。
使用上の注意
重要な基本的注意
1.
本剤の作用は、DNAを多く含む膿性分泌物の粘稠性を低下させるものであることから、標準的な肺理学療法を含め、痰の排出促進等を目的とした通常の治療は継続して行うこと。
2.
重度の肺機能低下を伴う嚢胞性線維症患者を対象とした海外臨床試験において、本剤投与群ではプラセボ群と比較し呼吸困難の発現率が高い傾向が認められているため、重度の肺機能低下を伴う嚢胞性線維症患者に対する本剤の投与に際しては特に注意深く患者の状態を観察すること。
3.
本剤は、セルバンク調製時に米国又はカナダ産を含むウシ胎仔血清を使用しているが、セルバンク調製時点では米国及びカナダにおける牛海綿状脳症感染牛の発生は認められていなかった。また、製造工程の培地成分としてウシの脾臓由来成分を使用しているが、この成分は、欧州の公的機関である欧州薬局方委員会(EDQM)の評価に適合している。このウシの原産国はオーストラリア及びニュージーランドであり、現時点で両国での牛海綿状脳症感染牛の発生は確認されていない。本剤の投与によりTSEがヒトに伝播したとの報告はない。このことから、本剤によるTSE伝播のリスクは極めて低いものと考えられるが、理論的リスクは完全に否定し得ないため、その旨を患者へ説明することを考慮すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
海外で行われた第III相臨床試験における総症例643例中306例(47.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、咽頭炎93例(14.5%)、発声障害53例(8.2%)、鼻炎52例(8.1%)、呼吸困難50例(7.8%)、発熱23例(3.6%)、胸痛21例(3.3%)等であった。(承認時)
その他の副作用
1. 呼吸器
5%以上
咽頭炎(非感染性)(14.5%)、発声障害(非感染性)、鼻炎(非感染性)、呼吸困難(非感染性)
2. 呼吸器
5%未満
喉頭炎(非感染性)、肺機能検査値低下
3. 胃腸障害
5%未満
消化不良
4. 皮膚
頻度不明注3)
蕁麻疹
5. 皮膚
5%未満
発疹
6. 眼
5%未満
結膜炎
7. 全身
5%未満
胸痛(胸膜炎性・非心臓性)、発熱
その他の副作用の注意
注3)海外での自発報告等において認められている副作用については頻度不明とした。
高齢者への投与
高齢者に対する安全性は確立していない。一般に高齢者では生理機能が低下しているので副作用の発現に注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。本剤のヒトにおける乳汁中への移行は不明であるが、動物実験(サルへの静脈内投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、5歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児、新生児に対しては使用経験がない。乳児、5歳未満の幼児に対しては使用経験が少ない。]
適用上の注意
本剤の投与にあたっては、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して以下の注意事項を十分に説明し、指導すること。
(1) 投与経路
本剤はジェット式ネブライザーを用いた吸入にのみ使用すること(本剤は酵素製剤であるため、超音波式ネブライザーでは、加熱により本剤の活性が失われるおそれがある。また、メッシュ式ネブライザーで本剤を吸入したときの臨床成績はない)。また、注射用、点眼用として使用しないこと。
(2) 使用時
1)
吸入時には新しいアンプル1本を使用し、残液は使用しないこと。
2)
希釈したり、他の薬剤又は溶液と混合したりしないこと。
(3) 保管時
1)
本剤は2~8℃で保管すること。
2)
未使用のアンプルは、光を避けて保管すること。
3)
小児の手の届かないところに保管すること。
その他の注意
1.
本剤に対する抗体の産生が本剤の有効性及び安全性に与える影響は明確ではない。なお、海外臨床試験においては、本剤投与患者の5%未満に抗ドルナーゼ アルファ抗体の産生が認められたが、いずれの患者も抗ドルナーゼ アルファIgE抗体は検出されなかった。また、同試験においては抗ドルナーゼ アルファ抗体が産生された患者においても肺機能検査値の改善が認められた。
2.
承認用法・用量とは異なる用法・用量で実施された(本剤1回10mgを1日2回、2週間連日投与後、2週間休薬を1サイクルとし、6サイクル実施された)海外臨床試験において、本剤の休薬により2週間以内に肺機能改善効果が消失することが示唆された。
薬物動態
血清中濃度
(1) 単回投与時(日本人における成績)1)
健康成人男性24例にプラセボあるいは本剤2.5mg、5mg又は7.5mgをネブライザーを用いて単回吸入投与したときの血清中濃度のAUC及びCmaxは、以下のとおりであった。血清中濃度のAUC及びCmaxに吸入投与量間での有意な差は認められなかった。
(2) 反復投与時(外国人における成績)
健康成人、嚢胞性線維症患者等を対象に本剤最大20mg(1回吸入投与量)を1日2回、最大6日間反復吸入投与したときの血清中濃度は12ng/mL以下であった2)。また、嚢胞性線維症患者を対象に本剤1回2mg、6mg又は10mgを1日3回、5日間吸入投与したときの最終投与前の喀痰中濃度(2mg群:174.4±64.3ng/mL、6mg群:435.5±119.8ng/mL、10mg群:1431.3±317.3ng/mL)は、ほぼ吸入量に依存した濃度を示した。これらの値は血清中濃度の100から400倍を示した3)。
注)承認された用法・用量は、「通常、ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え)として2.5mgを1日1回ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、患者の状態に応じて1回2.5mgを1日2回まで吸入投与することができる。」である。
薬物動態の表
単回吸入投与時の血清中濃度
吸入量
(mg) |
AUC
(ng・hr/mL) |
Cmax
(ng/mL) |
プラセボ |
62.01±12.54 |
3.4±0.9 |
2.5 |
65.38±19.45 |
3.6±1.1 |
5 |
96.07±35.87 |
5.3±1.7 |
7.5 |
74.94±23.08 |
4.0±1.2 |
(n=6、mean±SD)
臨床成績
〈外国人における成績〉
(1) 軽度から中等度の肺機能低下を伴う嚢胞性線維症患者の有効性4)
軽度から中等度の肺機能低下(努力肺活量(FVC)が予測値の40%以上)を伴う5歳以上の嚢胞性線維症患者968例(プラセボ群325例、本剤2.5mg1日1回群322例、本剤2.5mg1日2回群321例)を対象とした二重盲検比較試験において、投与後6カ月間の「非経口抗生物質の投与を必要としたすべての気道感染の発症率」及び「非経口抗生物質の投与を必要とした治験実施計画書で定義#された気道感染の発症率」は、それぞれ以下のとおりであった。
表1、表2
投与後6カ月間において、「非経口抗生物質の投与を必要としたすべての気道感染」及び「非経口抗生物質の投与を必要とした治験実施計画書で定義#された気道感染」に最初に罹患するまでの期間のKaplan‐Meier曲線は、それぞれ以下のとおりであった。


また、投与後6カ月間の「一秒量(FEV1)のベースラインからの平均変化率」は、本剤1日1回群が5.8%の増加、本剤1日2回群が5.6%の増加であり、それぞれプラセボ群に対する優越性が示された(それぞれP<0.001、FisherのLSD法)。
#:[1]喀痰産生の変化(量・色調又は粘度)[2]新たな喀血(又はその増加)[3]咳の増加[4]呼吸困難の増悪[5]けん怠感・疲労又は嗜眠[6]38℃超の発熱[7]食欲不振又は体重減少[8]副鼻腔の疼痛又は圧痛[9]副鼻腔分泌物の変化[10]FEV1又はFVCの前回記録値から10%の低下[11]肺感染を示唆するX線像の変化[12]胸部聴診音の変化のいずれか4つ以上。
##:log‐rank検定
(2) 重度の肺機能低下を伴う嚢胞性線維症患者の有効性
重度の肺機能低下(FVCが予測値の40%未満)を伴う5歳以上の嚢胞性線維症患者70例(プラセボ群35例、本剤2.5mg1日2回群35例)を対象とした二重盲検比較試験において、投与14日後のFEV1のベースラインからの変化率は、プラセボ群が4.2%の増加、本剤2.5mg1日2回群が1.4%の増加であり、プラセボ群に対する本剤群の優越性は示されなかった5)。
重度の肺機能低下(FVCが予測値の40%未満)を伴う7歳以上の嚢胞性線維症患者320例(プラセボ群162例、本剤2.5mg1日1回群158例)を対象とした二重盲検比較試験において、投与12週間後のFEV1のベースラインからの変化率は、プラセボ群が2.1%の増加、本剤2.5mg1日1回群が9.4%の増加であり、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示された(P<0.001、Student's t検定)。気道感染の悪化リスクについてはプラセボ群に対する本剤群の優越性は示されなかった6)。
臨床成績の表
表1 非経口抗生物質の投与を必要としたすべての気道感染の発症率
プラセボ群
n=325 |
1日1回群
n=322 |
1日2回群
n=321 |
気道感染を1回以上発現した患者の全体の割合(発現例数/全例数) |
43%
(140/325) |
34%
(109/322) |
33%
(105/321) |
群間比較(v.s.プラセボ):ハザード比 |
- |
0.73 |
0.71 |
群間比較(v.s.プラセボ):95%信頼区間 |
- |
0.57-0.94 |
0.55-0.91 |
群間比較(v.s.プラセボ):P値## |
- |
0.015 |
0.007 |
気道感染を1回以上発現した患者の年齢別の割合(発現例数/全例数):5~20歳 |
42%
(85/201) |
25%
(50/199) |
28%
(51/184) |
気道感染を1回以上発現した患者の年齢別の割合(発現例数/全例数):21歳以上 |
44%
(55/124) |
48%
(59/123) |
39%
(54/137) |
表2 非経口抗生物質の投与を必要とした治験実施計画書で定義#された気道感染の発症率
|
プラセボ群
n=325 |
1日1回群
n=322 |
1日2回群
n=321 |
気道感染を1回以上発現した患者の全体の割合(発現例数/全例数) |
27%
(89/325) |
22%
(71/322) |
19%
(61/321) |
群間比較(v.s.プラセボ):ハザード比 |
- |
0.78 |
0.66 |
群間比較(v.s.プラセボ):95%信頼区間 |
- |
0.57-1.06 |
0.48-0.91 |
群間比較(v.s.プラセボ):P値## |
- |
0.110 |
0.012 |
気道感染を1回以上発現した患者の年齢別の割合(発現例数/全例数):5~20歳 |
25%
(51/201) |
17%
(34/199) |
18%
(33/184) |
気道感染を1回以上発現した患者の年齢別の割合(発現例数/全例数):21歳以上 |
31%
(38/124) |
30%
(37/123) |
20%
(28/137) |
薬効薬理
本剤はDNAを選択的に加水分解する酵素であり、DNAを多量に含む膿性分泌物の粘稠性を低下させる作用を有する7)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え)
(Dornase Alfa(Genetical Recombination))(JAN)
本 質
ドルナーゼ アルファは、遺伝子組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼIであり、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される。ドルナーゼ アルファは、260個のアミノ酸残基(分子式:C1321H1995N339O396S9)からなる糖タンパク質である。
分子量
約37,000
承認条件
日本人での投与経験が極めて限られていることから、再審査期間中は、本剤投与症例全例を登録して安全性及び有効性に関する製造販売後調査を実施すること。その中で、長期投与時の安全性及び有効性について十分に検討すること。
包装
プルモザイム吸入液2.5mg:30アンプル(アルミピロー包装1袋6アンプル入り×5袋)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:国内第I相試験(J3027‐01試験)
2)
社内資料:海外第I相試験(Z0197g試験)
3)
社内資料:海外第I相試験(Z0196g試験)
4)
社内資料:海外第III相試験(Z0342g/Z0343g試験)
5)
Shah PI, et al.:Eur Respir J:8, 954(1995)
6)
McCoy K, et al.:Chest:110, 889(1996)
7)
Shak S, et al.:Proc Natl Acad Sci U S A:87, 9188(1990)
文献請求先
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製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
中外製薬株式会社
東京都中央区日本橋室町2-1-1