ザイティガ錠250mg 醋酸阿比特龙片 ZYTIGA (abiraterone acetate) ザイティガ錠
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作成又は改訂年月
2014年9月作成 (第1版)
日本標準商品分類番号
87429
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2011年4月
薬効分類名
前立腺癌治療剤(CYP17阻害剤)
承認等
販売名
ザイティガ錠250mg
販売名コード
4291033F1024
承認・許可番号
承認番号
22600AMX00749000
商標名
ZYTIGA tablets
薬価基準収載年月
2014年9月
販売開始年月
2014年9月
貯法・使用期限等
貯法
遮光、室温保存
使用期限
包装に表示
規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含量
(1錠中)
アビラテロン酢酸エステル250mg含有
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸
性状
色・剤形
白色の素錠
外形
表面

裏面

側面

大きさ
長径(mm)
15.88
短径(mm)
9.52
厚さ(mm)
6.2
重量(g)
0.715
識別記号
AA250
一般的名称
アビラテロン酢酸エステル錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
重度の肝機能障害患者(Child-PughスコアC)[「薬物動態」の項参照]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
去勢抵抗性前立腺癌
効能又は効果に関連する使用上の注意
「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。
用法及び用量
プレドニゾロンとの併用において、通常、成人にはアビラテロン酢酸エステルとして1日1回1,000mgを空腹時に経口投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤は食事の影響によりCmax及びAUCが上昇するため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。[「薬物動態」の項参照]
2.
プレドニゾロンの投与に際しては、「臨床成績」の項の内容を熟知し、投与すること。
3.
本剤投与中に肝機能検査値の上昇が認められた場合は、以下の基準を参考に、休薬、減量又は中止すること。
検査項目
ALT(GPT)、AST(GOT)値>施設正常値上限の5倍又はビリルビン値>施設正常値上限の3倍
用法・用量変更の目安
検査値が投与前値若しくはALT(GPT)、AST(GOT)値が施設正常値上限の2.5倍以下かつビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍以下に回復するまで休薬する。回復後は750mgに減量して投与を再開する。
肝機能検査値異常が再発した場合、検査値が投与前値若しくはALT(GPT)、AST(GOT)値が施設正常値上限の2.5倍以下かつビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍以下に回復するまで休薬する。回復後は500mgに減量して投与を再開する。検査値が再度悪化した場合は投与を中止する。
検査項目
ALT(GPT)、AST(GOT)値>施設正常値上限の20倍又はビリルビン値>施設正常値上限の10倍
用法・用量変更の目安
投与を中止する。
4.
外科的又は内科的去勢術と併用しない場合の有効性及び安全性は確立していない
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
心血管疾患のある患者又はその既往歴のある患者[本剤の17α-hydroxylase/C17,20-lyase(CYP17)阻害作用に伴う鉱質コルチコイド濃度の上昇により、高血圧、低カリウム血症及び体液貯留があらわれる可能性がある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
2.
中等度の肝機能障害患者(Child-PughスコアB)[血漿中濃度が上昇するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
重要な基本的注意
1.
血圧の上昇、低カリウム血症、体液貯留があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血圧測定、血液検査、体重の測定等を行い、患者の状態を十分に観察すること。
必要に応じて降圧剤の投与、カリウムの補給を行うなど、適切な処置を行うこと。
2.
ALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[「重大な副作用」の項参照]
3.
本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
相互作用
アビラテロンはCYP3A4の基質である。また、in vitro試験において、アビラテロン酢酸エステルはP-gpを阻害し、アビラテロンはCYP2C8、CYP2D6及びOATP1B1を阻害することが示されている。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP2D6基質(デキストロメトルファン、プロパフェノン、フレカイニド、ハロペリドール等)臨床症状・措置方法
CYP2D6により代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
2. 薬剤名等
CYP3A4誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、フェノバルビタール等)臨床症状・措置方法
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性があるので、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
機序・危険因子
これらの薬剤のCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの国内第II相臨床試験における安全性評価対象症例95例中46例(48.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、AST(GOT)増加13例(13.7%)、ALT(GPT)増加12例(12.6%)、低カリウム血症8例(8.4%)、高脂血症7例(7.4%)、高血圧4例(4.2%)であった。
海外第III相臨床試験における安全性評価対象症例1,333例中991例(74.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、疲労328例(24.6%)、ほてり202例(15.2%)、低カリウム血症188例(14.1%)、悪心179例(13.4%)、末梢性浮腫160例(12.0%)、高血圧125例(9.4%)、便秘108例(8.1%)、下痢101例(7.6%)、嘔吐92例(6.9%)、浮動性めまい81例(6.1%)、AST(GOT)増加69例(5.2%)、ALT(GPT)増加68例(5.1%)であった。(承認時)
重大な副作用
1. 心障害
頻度不明注)
心不全等の重篤な心障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害
AST(GOT)増加(13.7%)、ALT(GPT)増加(12.6%)、ビリルビン上昇(2.1%)等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 感染症
5%未満
尿路感染
2. 血液
5%未満
リンパ球減少症
3. 内分泌
頻度不明注)
副腎不全
4. 代謝・栄養
5%以上
高脂血症
5. 代謝・栄養
5%未満
高アミラーゼ血症、脱水、糖尿病、低アルブミン血症
6. 電解質
5%以上
低カリウム血症
7. 電解質
5%未満
高カリウム血症、高マグネシウム血症
8. 精神神経系
5%未満
味覚異常、頭痛
9. 眼
5%未満
眼精疲労、羞明
10. 循環器
5%未満
高血圧、徐脈、右脚ブロック、心室性頻脈
11. 循環器
頻度不明注)
狭心症、不整脈、心房細動、頻脈
12. 呼吸器
5%未満
胸膜炎
13. 呼吸器
頻度不明注)
アレルギー性胞隔炎
14. 消化器
5%未満
便秘、胃潰瘍、膵炎
15. 消化器
頻度不明注)
消化不良
16. 肝臓
5%未満
Al-P増加、LDH増加
17. 筋骨格
頻度不明注)
骨折、骨粗鬆症
18. 腎臓・泌尿器
頻度不明注)
血尿
19. 生殖器
5%未満
精巣上体炎
20. 全身
5%未満
顔面浮腫、疲労、倦怠感、浮腫
21. 全身
頻度不明注)
末梢性浮腫
22. その他
5%未満
ほてり、体重増加、膵管内乳頭粘液性腫瘍、血中尿酸減少、高比重リポ蛋白増加
注)頻度は国内第II相臨床試験の集計結果による。国内第II相臨床試験で認められておらず、海外で報告された副作用については頻度不明とした。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いことから、患者の状態を観察しながら投与すること。
過量投与
過量投与により、低カリウム血症及びそれに伴う無力症、悪心、嘔吐等の症状が発現することがある。
本剤の特異的な解毒剤はない。過量投与の場合は、本剤を休薬し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 吸収・血漿中濃度1),2)
健康成人に本剤250mg、500mg及び1,000mg注)を絶食下で単回経口投与したとき、アビラテロンの血漿中濃度は投与後1.5~2.0時間(中央値)に最高濃度に達し、14.2~16.6時間(平均値)の消失半減期で消失した(図1)。血漿中アビラテロンのCmax及びAUC∞は、用量比を若干下回る増加を示した。

図1 健康成人に本剤250mg~1,000mgを単回経口投与したときの血漿中アビラテロン濃度-時間推移(平均値+標準偏差、n=30)
(表1参照)
前立腺癌患者に、本剤250mg、500mg及び1,000mg注)を食事の1時間以上前又は食事の2時間以上後に反復経口投与したとき、血漿中アビラテロン濃度は用量によらず、投与後7日目までに定常状態に達した。反復経口投与による累積率は用量によらず1.3~1.7であった。また、プレドニゾロン併用投与時の血漿中アビラテロンのCmax及びAUC24は、用量によらず、本剤単剤投与時と大きく異ならなかった。
(表2参照)
食事の影響3),4)
外国人健康成人に本剤1,000mg注)を食後(低脂肪食又は高脂肪食)に単回経口投与したとき、絶食時投与と比較して、血漿中アビラテロンのCmax及びAUC∞は、それぞれ7倍及び5倍(低脂肪食)、17倍及び10倍(高脂肪食)増加した。
日本人及び外国人健康成人に本剤1,000mgを、食事1時間前(投与法B:投与4時間後に食事摂取)及び食事の2時間後(投与法C:投与2時間後に食事摂取、投与法D:投与4時間後に食事摂取)に単回経口投与したとき、空腹時投与(投与法A)と比較して、血漿中アビラテロンのCmax及びAUC∞は、それぞれ2及び1.6倍、12及び7.5倍、10及び7倍増加した。
2. 分布5),6)
アビラテロンの血漿蛋白結合率は99.8%であった(in vitro、平衡透析法)。みかけの分布容積は4,150Lであった。
3. 代謝(外国人成績)7)
健康成人に14C-アビラテロン酢酸エステルを単回経口投与注)したとき、アビラテロン酢酸エステルは速やかにアビラテロンに加水分解された。アビラテロンは主として肝臓で代謝され、血漿中総放射能の92%はアビラテロンの代謝物であった。血漿中の主要な代謝物は、アビラテロン硫酸抱合体及びN-オキシドアビラテロン硫酸抱合体であり、それぞれ血漿中総放射能の43%を占めた。
4. 排泄(外国人成績)7)
健康成人に14C-アビラテロン酢酸エステルを単回経口投与注)したとき、投与後264時間までに投与した放射能の88%が糞中に、5%が尿中に排泄された。糞中には、主にアビラテロン酢酸エステル及びアビラテロンとして排泄され、それぞれ投与量の55%及び22%を占めた。
5. 肝機能障害患者(外国人成績)8),9)
軽度(Child-PughスコアA)及び中等度(Child-PughスコアB)の肝機能障害患者に、本剤1,000mgを単回経口投与したとき、血漿中アビラテロンのAUCは、肝機能正常被験者と比較してそれぞれ11%及び260%増加した。
(表3参照)
重度(Child-PughスコアC)の肝機能障害患者に、アビラテロン酢酸エステル懸濁液125mg(錠剤62.5mgに相当)注)を単回経口投与したとき、肝機能正常被験者[懸濁液2,000mg(錠剤1,000mgに相当)]注)と比較して、用量で規格化した血漿中アビラテロンのAUC∞は597%増加した。
6. 腎機能障害患者(外国人成績)10)
血液透析を受けている末期腎疾患を有する被験者に、本剤1,000mgを単回経口投与したとき、血漿中アビラテロンのCmax及びAUClastは腎機能正常被験者と比較して増加しなかった。
7. 薬物相互作用(in vitro及び外国人成績)
In vitroにおいて、アビラテロン酢酸エステルはP-gpを阻害し11)、アビラテロン及びその主要代謝物は肝取り込みトランスポーターであるOATP1B1を阻害した12)。
<テオフィリン>13)
転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者に本剤1,000mg(プレドニゾン併用)とCYP1A2の基質であるテオフィリンを併用投与したとき、テオフィリンのCmax及びAUClastはテオフィリン単剤投与時と同様であった。
<デキストロメトルファン>13)
mCRPC患者に本剤1,000mg(プレドニゾン併用)とCYP2D6の基質であるデキストロメトルファンを併用投与したとき、デキストロメトルファン単剤投与時と比較して、デキストロメトルファンのAUClastは200%増加した。また、デキストロメトルファンの活性代謝物であるデキストルファンのAUCは33%増加した。
<リファンピシン>14)
健康成人にCYP3A4の誘導作用を有するリファンピシンを6日間反復投与後、本剤1,000mgを単回経口投与したとき、アビラテロンのAUC∞は55%減少した。
<ケトコナゾール>15)
健康成人にCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾールを本剤1,000mgと併用投与したとき、アビラテロンのCmax及びAUClastは本剤単剤投与時と同様であった。
<ピオグリタゾン>16)
健康成人にCYP2C8の基質であるピオグリタゾンを本剤1,000mgと併用投与したとき、ピオグリタゾンのAUCは46%増加し、その活性代謝物であるM-III、M-IVのAUCはそれぞれ10%減少した。
注)承認用法・用量はプレドニゾロンとの併用において、本剤1,000mgを空腹時に1日1回経口投与
表1 健康成人に本剤250mg~1,000mgを単回経口投与したときの血漿中アビラテロンの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
薬物動態
パラメータ |
250mg |
500mg |
1,000mg |
n |
30 |
30 |
30 |
Cmax
(ng/mL) |
53.2(48.6) |
90.5(75.0) |
172.1(150.4) |
AUC∞
(ng・h/mL) |
294(290) |
494(434) |
822(616) |
tmax
(h) |
2.0[1.0-4.0] |
2.0[1.0-4.0] |
1.5[1.0-4.0] |
t1/2
(h) |
14.2(5.1) |
15.1(6.1) |
16.6(6.9) |
表2 前立腺癌患者に本剤250mg~1,000mgを反復経口投与したときの血漿中アビラテロンの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
投与量(mg) |
250 |
500 |
1,000 |
1,000 |
投与時期 |
食事の1時間以上前又は
食事の2時間以上後 |
食事の1時間以上前又は
食事の2時間以上後 |
食事の1時間以上前 |
食事の2時間以上後 |
n |
9 |
6 |
6 |
6 |
Cmax
(ng/mL)
1日目
(本剤単独) |
121.3
(37.9) |
385.7
(181.5) |
185.7
(104.4) |
788.8
(343.2) |
Cmax
(ng/mL)
7日目
(本剤単独) |
183.6
(69.8) |
625.5
(253.2) |
205.4
(97.2) |
949.5
(338.1) |
Cmax
(ng/mL)
15日目
(プレドニゾロン併用) |
168.8
(83.0) |
542.2
(231.4) |
166.4
(70.9) |
999.7
(386.2) |
tmax
(h)
1日目
(本剤単独) |
3.00
[1.97-5.92] |
2.95
[2.00-3.95] |
2.00
[0.57-2.95] |
2.50
[0.98-3.97] |
tmax
(h)
7日目
(本剤単独) |
2.97
[1.77-3.05] |
1.99
[1.98-5.98] |
2.00
[1.03-4.05] |
2.46
[1.98-3.25] |
tmax
(h)
15日目
(プレドニゾロン併用) |
2.08
[0.97-10.30] |
2.46
[1.97-3.22] |
1.98
[0.95-2.95] |
2.97
[1.95-4.02] |
AUC24
(ng・h/mL)
1日目
(本剤単独) |
516.0
(114.4) |
1,698.0
(830.1) |
869.7
(523.9) |
2,724.7
(1109.8) |
AUC24
(ng・h/mL)
7日目
(本剤単独) |
708.8
(164.7) |
2,348.8
(774.8) |
1,137.6
(524.4) |
3,924.6
(1137.2) |
AUC24
(ng・h/mL)
15日目
(プレドニゾロン併用) |
673.2
(131.7) |
2,235.8
(1100.2) |
964.8
(375.1) |
3,955.7
(1260.0) |
表3 肝機能正常被験者並びに軽度及び中等度肝機能障害患者に本剤1,000mgを単回経口投与したときの血漿中アビラテロンの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
薬物動態
パラメータ |
肝機能正常
被験者 |
軽度
肝機能障害患者 |
中等度
肝機能障害患者 |
n |
8 |
8 |
8 |
tmax
(h) |
1.75[1.0-3.0] |
2.0[0.5-3.0] |
1.5[1.0-2.0] |
Cmax
(ng/mL) |
85.7(46.6) |
71.9(40.2) |
297(258) |
AUClast
(ng・h/mL) |
321(166) |
355(191) |
1,530(1,350) |
tmax:中央値[範囲]
tmax:中央値[範囲]
tmax:中央値[範囲]
臨床成績
1. 海外臨床試験(第III相試験:COU-AA-302試験)17)
無症候性又は軽度の症状注1)を伴う化学療法歴のない転移性去勢抵抗性前立腺癌患者注2)を対象に、プレドニゾン注3)5mgの1日2回経口投与との併用下で、プラセボを対照として、本剤1,000mgを1日1回食事の1時間以上前又は食事の2時間以上後に連日経口投与した(有効性解析対象例は1,088例)。主要評価項目は、画像判定(中央判定)による無増悪生存期間(radiographic progression free survival、rPFS)及び全生存期間(OS)と設定された。rPFSの中央値は、本剤群では推定不能、プラセボ群では8.3カ月であり、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示された(ハザード比0.425、95%信頼区間:0.347-0.522、p値<0.0001、層別ログランク検定)。また、OSに関する中間解析(目標イベント数である773イベントの43%のイベントが発生した時点)の結果、中央値は、本剤群では推定不能、プラセボ群では27.2カ月であった(ハザード比0.752、95%信頼区間:0.606-0.934、p値=0.0097、層別ログランク検定)。
注1)Brief Pain Inventory-Short Form(BPI-SF)の項目3のスコアが0~1(無症候性)又は2~3(軽度の症状)
注2)肝臓等の実質臓器への転移を有する患者は除外された。
注3)国内未承認
2. 海外臨床試験(第III相試験:COU-AA-301試験)18)
2レジメン以内で、かつ少なくとも一つはドセタキセル水和物による化学療法歴を有する転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、プレドニゾン注)5mgの1日2回経口投与との併用下で、プラセボを対照として、本剤1,000mgを1日1回食事の1時間以上前又は食事の2時間以上後に連日経口投与した(有効性解析対象例は1,195例)。主要評価項目であるOSの中間解析(目標イベント数である797イベントの69%のイベントが発生した時点)の結果、中央値は、本剤群で14.8カ月、プラセボ群で10.9カ月であり、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示された(ハザード比0.646、95%信頼区間:0.543-0.768、p値<0.0001、層別ログランク検定)。
注)国内未承認
3. 国内臨床試験(第II相試験:JPN-201試験)19)
化学療法歴のない転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、プレドニゾロン5mgの1日2回経口投与との併用下で、本剤1,000mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食事の2時間以上後に連日経口投与した。治療開始12週時点までのPSA奏効率(PSA値がベースラインから50%以上低下し、その時点から4週間以降の測定においてもPSA値の50%以上低下が確認された患者の割合)(12週時のPSA奏効率)は60.4%(29/48例、90%信頼区間:47.5%-72.3%)であった。
4. 国内臨床試験(第II相試験:JPN-202試験)20)
ドセタキセル水和物による化学療法歴を有する転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、プレドニゾロン5mgの1日2回経口投与との併用下で、本剤1,000mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食事の2時間以上後に連日経口投与した。12週時のPSA奏効率は28.3%(13/46例、90%信頼区間:17.6%-41.1%)であり、90%信頼区間の下限値は閾値奏効率(20%)を下回った。
薬効薬理
1. 作用機序21),22),23),24),25)
アビラテロン酢酸エステルは生体内で速やかにアビラテロンへ加水分解され、アンドロゲン合成酵素である17α-hydroxylase/C17,20-lyase(CYP17)活性を阻害する。
In vitroにおいて、アビラテロンはヒト副腎皮質由来腫瘍細胞株(NCI-H295R)におけるテストステロンの合成を阻害した。マウス及びラットにおいてアビラテロン酢酸エステル(反復腹腔内又は経口投与)は血漿中テストステロン濃度を低下させた。
2. 抗腫瘍効果26)
ヒト去勢抵抗性前立腺癌患者由来の腫瘍組織片(LuCaP23CR及びLuCaP35CR)を移植した去勢マウスにおいて、アビラテロン酢酸エステルの反復腹腔内投与は腫瘍内のテストステロン及びジヒドロテストステロン含量を低下させ、腫瘍の増殖を抑制し、無増悪生存期間を延長した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アビラテロン酢酸エステル(JAN)
Abiraterone Acetate(JAN)
化学名
17-(Pyridin-3-yl)androsta-5,16-dien-3β-yl acetate
分子式
C26H33NO2
分子量
391.55
化学構造式

性状
白色の粉末
溶解性(20℃)
ジクロロメタン >300mg/mL
酢酸エチル 98mg/mL
エタノール 52mg/mL
水 <0.01mg/mL
融点
147~148℃
分配係数
Log P=5.12(1-オクタノール/水)
包装
100錠(10錠×10)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
健康成人におけるアビラテロンの薬物動態の検討(社内資料)
2)
患者におけるアビラテロンの薬物動態の検討(社内資料)
3)
アビラテロンの薬物動態に対する食事の影響の検討(社内資料)
4)
アビラテロンの薬物動態に対する食事のタイミングの影響の検討(社内資料)
5)
アビラテロンの血漿蛋白結合の検討(社内資料)
6)
アビラテロンの母集団薬物動態解析による検討(社内資料)
7)
アビラテロンのマスバランスの検討(社内資料)
8)
軽度及び中等度肝機能障害患者におけるアビラテロンの薬物動態の検討(社内資料)
9)
重度肝機能障害患者におけるアビラテロンの薬物動態の検討(社内資料)
10)
腎機能障害患者におけるアビラテロンの薬物動態の検討(社内資料)
11)
アビラテロンの排出トランスポーターを介した相互作用の検討(社内資料)
12)
アビラテロンのOATP1B1阻害に関する検討(社内資料)
13)
テオフィリン又はデキストロメトルファンとアビラテロンの相互作用の検討(社内資料)
14)
リファンピシンとアビラテロンの相互作用の検討(社内資料)
15)
ケトコナゾールとアビラテロンの相互作用の検討(社内資料)
16)
ピオグリタゾンとアビラテロンの相互作用の検討(社内資料)
17)
Ryan CJ., et al.: N Engl J Med., 368(2), 138, 2013
18)
de Bono JS., et al.:N Engl J Med., 364(21), 1995, 2011
19)
化学療法未治療患者を対象とした国内第II相臨床試験成績(社内資料)
20)
ドセタキセルを含む化学療法既治療患者を対象とした国内第II相臨床試験成績(社内資料)
21)
Potter GA., et al.:J Med Chem., 38, 2463, 1995
22)
Haidar S., et al.:J Steroid Biochem Mol Biol., 84, 555, 2003
23)
細胞内ステロイド合成阻害作用(社内資料)
24)
Barrie SE., et al.:J Steroid Biochem Mol Biol., 50, 267, 1994
25)
Duc I. et al.:J Steroid Biochem Mol Biol., 84, 537, 2003
26)
Mostaghel EA. et al.:Clin Cancer Res., 17, 5913, 2011
文献請求先
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