クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL/クラビット点滴静注500mg/20mL
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作成又は改訂年月
-
**2013年11月改訂(第4版)
-
*2011年8月改訂
日本標準商品分類番号
-
876241
日本標準商品分類番号等
-
国際誕生年月
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1993年10月
薬効分類名
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ニューキノロン系注射用抗菌製剤
承認等
-
販売名
-
クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL
販売名コード
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6241402G1024
承認・許可番号
-
承認番号
-
22200AMX00962
-
商標名
-
CRAVIT INTRAVENOUS DRIP INFUSION
薬価基準収載年月
-
2010年12月
販売開始年月
-
2011年1月
貯法・使用期限等
-
貯法
-
室温保存
-
使用期限
-
包装に表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
-
処方せん医薬品※
-
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
-
1バッグ中に次の成分を含有
-
有効成分
-
レボフロキサシン水和物(日局) 512.5mg/100mL
(レボフロキサシンとして500mg/100mL)
-
添加物
-
塩化ナトリウム900mg、pH調節剤
性状
-
pH
-
3.8~5.8
-
浸透圧比(生理食塩液対比)
-
1.0~1.2
-
外観
-
黄色~帯緑黄色の澄明な液
-
販売名
-
クラビット点滴静注500mg/20mL
販売名コード
-
6241402A1021
承認・許可番号
-
承認番号
-
22200AMX00963
-
商標名
-
CRAVIT INTRAVENOUS DRIP INFUSION
薬価基準収載年月
-
2010年12月
販売開始年月
-
2011年1月
貯法・使用期限等
-
貯法
-
室温保存
-
使用期限
-
包装に表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
-
処方せん医薬品※
-
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
-
1バイアル中に次の成分を含有
-
有効成分
-
レボフロキサシン水和物(日局) 512.5mg/20mL
(レボフロキサシンとして500mg/20mL)
-
添加物
-
pH調節剤
性状
-
pH
-
3.8~5.8
-
浸透圧比(生理食塩液対比)
-
約0.9注)
注)本品20mLを生理食塩液80mLで希釈時。なお、希釈しない場合、本品の浸透圧比は約0.3である。
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外観
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黄色~帯緑黄色の澄明な液
一般的名称
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レボフロキサシン水和物注
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
-
1.
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本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.
-
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
-
3.
-
小児等(「小児等への投与」及び「その他の注意」の項参照)
-
-
ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対しては、炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。
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効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
-
〈適応菌種〉
-
レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、チフス菌、パラチフス菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、ペスト菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
-
〈適応症〉
-
肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、腸チフス、パラチフス、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱
-
-
通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回、約60分間かけて点滴静注する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
-
1.
-
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
-
2.
-
腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして(経口剤に切り替えた場合には経口剤の投与期間も含め)14日間投与すること。
-
3.
-
炭疽の発症及び進展の抑制には、欧州医薬品庁(EMA)が60日間の投与を推奨している。症状が緩解した場合には、経口投与に切り替えること(「薬物動態」の項参照)。
-
4.
-
長期投与が必要となる場合には、経過観察を十分に行うこと。
-
5.
-
本剤は点滴静注にのみ使用すること。
-
6.
-
腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、下記の用法及び用量を目安として、必要に応じて投与量を減じ、投与間隔をあけて投与することが望ましい(「薬物動態」の項参照)。
-
-
腎機能 Ccr(mL/min)
20≦Ccr<50
用法及び用量
初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。
-
-
腎機能 Ccr(mL/min)
Ccr<20
用法及び用量
初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
-
1.
-
高度の腎機能障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている(「用法及び用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)。]
-
2.
-
うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者[バッグ製剤には塩化ナトリウムが含まれている。]
-
3.
-
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
-
4.
-
キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者
-
5.
-
重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすことがある。]
-
6.
-
重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある。]
-
7.
-
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
-
1.
-
**本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
-
(1)
-
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
-
(2)
-
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
-
(3)
-
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に投与開始直後は注意深く観察すること。
-
2.
-
**意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
-
1. 薬剤名等
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
フルルビプロフェン等
-
臨床症状・措置方法
-
痙攣を起こすおそれがある。
-
機序・危険因子
-
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
-
2. 薬剤名等
クマリン系抗凝固薬
ワルファリン
-
臨床症状・措置方法
-
ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。
-
機序・危険因子
-
ワルファリンの肝代謝を抑制、又は蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
副作用
副作用等発現状況の概要
-
-
承認時までに国内で実施された臨床試験で、安全性評価対象症例342例中164例(48.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、注射部位反応(20.2%)、ALT(GPT)上昇(10.2%)、AST(GOT)上昇(8.5%)であった。
重大な副作用
1. **ショック、アナフィラキシー
(頻度不明注))
ショック、アナフィラキシー(初期症状:紅斑、悪寒、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(頻度不明注))
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 痙攣
(頻度不明注))
痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. *QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)
(頻度不明注))
QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 急性腎不全、間質性腎炎
(頻度不明注))
急性腎不全、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
(頻度不明注))
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7. 汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少
(頻度不明注))
汎血球減少症、無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、ヘモグロビン尿等を伴う溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8. 間質性肺炎(1%未満)、好酸球性肺炎(頻度不明注))
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
9. 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
(頻度不明注))
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
10. 横紋筋融解症
(頻度不明注))
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11. 低血糖
(頻度不明注))
低血糖があらわれることがあり、低血糖性昏睡に至る例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病患者(特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
12. アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害
(頻度不明注))
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。60歳以上の患者、コルチコステロイド剤を併用している患者、臓器移植の既往のある患者であらわれやすい。
13. 錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状
(頻度不明注))
錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
14. 過敏性血管炎
(頻度不明注))
過敏性血管炎があらわれることがあるので、発熱、腹痛、関節痛、紫斑、斑状丘疹や、皮膚生検で白血球破砕性血管炎等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
15. 重症筋無力症の悪化
(頻度不明注))
重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
注)同一成分含有の製剤又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
その他の副作用
-
1. 過敏症
-
1%未満
-
そう痒症、発疹
-
2. 過敏症
-
頻度不明注)
-
蕁麻疹、光線過敏症
-
3. 精神神経系
-
1%以上
-
不眠
-
4. 精神神経系
-
1%未満
-
めまい、頭痛、しびれ感、幻覚
-
5. 精神神経系
-
頻度不明注)
-
傾眠、振戦、ぼんやり、意識障害、末梢神経障害、錐体外路障害
-
6. 泌尿器
-
1%未満
-
血尿、尿蛋白陽性
-
7. *泌尿器
-
頻度不明注)
-
クレアチニン上昇、BUN上昇、尿閉、無尿、頻尿
-
8. 肝臓
-
1%以上
-
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、ALP上昇
-
9. 肝臓
-
1%未満
-
LDH上昇、血中ビリルビン増加
-
10. 肝臓
-
頻度不明注)
-
肝機能異常
-
11. 血液
-
1%以上
-
好酸球数増加
-
12. 血液
-
1%未満
-
好中球数減少、白血球数減少
-
13. 血液
-
頻度不明注)
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血小板数減少、リンパ球数減少、貧血
-
14. 消化器
-
1%以上
-
下痢、便秘
-
15. 消化器
-
1%未満
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悪心、嘔吐、食欲不振、腹部不快感、腹痛、口渇、腹部膨満、舌炎
-
16. 消化器
-
頻度不明注)
-
消化不良、胃腸障害、口内炎
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17. 感覚器
-
1%未満
-
耳鳴
-
18. 感覚器
-
頻度不明注)
-
視覚異常、味覚消失、味覚異常、無嗅覚、嗅覚錯誤
-
19. 循環器
-
頻度不明注)
-
動悸、低血圧、頻脈
-
20. 注射部位反応
-
1%以上
-
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射部位腫脹、注射部位疼痛
-
21. 注射部位反応
-
1%未満
-
注射部位硬結、注射部位熱感、静脈炎、血管炎、注射部位不快感、血管障害、穿刺部位疼痛
-
22. その他
-
1%以上
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尿中ブドウ糖陽性
-
23. その他
-
1%未満
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関節痛、倦怠感、CK(CPK)上昇、発熱
-
24. *その他
-
頻度不明注)
-
胸部不快感、胸痛、四肢痛、咽喉乾燥、熱感、浮腫、筋肉痛、脱力感、関節障害、発汗、高血糖
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上記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
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注)同一成分含有の製剤又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
高齢者への投与
-
本剤は、主として腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので投与量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること(「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
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1.
-
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
-
2.
-
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[オフロキサシンでヒト母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
-
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していないので、投与しないこと(「その他の注意」の項参照)。
適用上の注意
-
1. 投与経路:
-
本剤は点滴静注にのみ使用すること。
-
2. 調製方法:
-
本剤のバイアル製剤は、生理食塩液等で希釈することが望ましい(「臨床成績」の項参照)。なお、調製後は速やかに使用すること(希釈液については「取扱い上の注意」の項参照)。
-
(1)
-
本剤を他剤と配合した時に、沈殿、混濁が認められた場合には、投与しないこと。
-
(2)
-
本剤はヘパリンナトリウムと配合変化が認められているので、静脈内カテーテル留置を行う際、ヘパリンナトリウムによる血液凝固防止(ヘパリンロック)前後は、ルート内を生理食塩液で洗浄(フラッシング)すること。
-
(3)
-
同一の点滴ルートを使用し、本剤と他剤を連続して投与する場合は、本剤と配合変化(沈殿、混濁等)が認められる薬剤があるため、配合変化試験データを参照すること1)。
その他の注意
-
動物実験[幼若犬、若い成犬(13ヵ月齢)、幼若ラット]で関節異常が認められている。
薬物動態
-
(1) 血漿中濃度の推移
-
国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。
レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の血漿中濃度推移

(表1参照)
-
(2) 高齢者における体内動態
-
国内において健康高齢者(65~79歳)及び健康非高齢者(20~45歳)にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合の薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
(表2参照)
-
(3) 血漿蛋白結合率
-
国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを単回点滴静注した場合、ex vivo での血漿蛋白結合率は、点滴開始1~12時間後において限外ろ過法で約29~33%であった。
-
2. 分布
-
国内において慢性呼吸器病変の二次感染患者にレボフロキサシン1回500mgを60分間で点滴静注した場合、最高喀痰中濃度は、点滴開始0.5~4時間後に9.76~26.02μg/mL(n=6)を示した。最高喀痰中濃度と最高血漿中濃度の比は0.45~1.54(n=5)であり、中央値は1.09であった。
海外において健康成人又は患者にレボフロキサシン500mgを単回経口投与した場合の各組織対血漿中濃度比は、肺組織では投与2.28~25.43時間後に1.06~9.98、気管支粘膜では投与0.5~8時間後に0.9~1.8、気管支肺胞洗浄液では投与0.5~8時間後に1.1~3.0、肺マクロファージでは投与0.5~24時間後に4.1~18.9であった。
-
3. 代謝
-
国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを1日1回7日間反復投与(60分間点滴静注)した場合、投与量に対する投与後24時間後までの代謝物(脱メチル体及びN -オキサイド体)の尿中排泄率は、いずれも投与量の1%未満であった。
-
4. 排泄
-
国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、投与量に対する投与後72時間までの未変化体の尿中排泄率は、93.9%であった。
-
5. 経口投与との比較
-
国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合又は単回経口投与した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
(表3参照)
-
6. 腎機能障害患者での体内動態
-
母集団薬物動態パラメータを用い、レボフロキサシンを腎機能低下患者に推奨される用法及び用量で、7日間反復点滴静注した場合の薬物動態パラメータを推定した。腎機能低下患者に血漿中濃度の上昇は認められず、投与7日目のAUC0-24hは腎機能正常者に500mg1日1回反復点滴静注した場合と大きな差は認められなかった。なお、血液透析又はCAPDは、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり2,3,4)、透析後の追加投与は不要と考えられる。
(表4参照)
-
7. シメチジン、プロベネシドによる影響
-
国内において健康成人にシメチジン400mgを1日2回3日間又はプロベネシド500mgを1日4回5日間投与し、シメチジン投与1日目又はプロベネシド投与3日目にレボフロキサシン500mgを60分間で点滴静注したところ、シメチジンの併用によって、AUC0-72hrは1.3倍に上昇し、t1/2は7.6時間から11.7時間に延長した。またプロベネシドの併用によって、AUC0-72hrは1.5倍に上昇し、t1/2は7.6時間から12.4時間に延長した。一方、Cmax及び累積尿中排泄率(投与後0~72時間)にシメチジン又はプロベネシド併用による大きな差は認められなかった。
表1 レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の薬物動態パラメータ
(ノンコンパートメント解析、n=8、mean±SD)
|
n |
Tmax
(hr) |
Cmax
(μg/mL) |
t1/2
(hr) |
AUC0-72hr
(μg・hr/mL) |
500mg点滴静注 |
8 |
1.00±0.00 |
9.79±1.05 |
8.05±1.54 |
51.96±4.96 |
表2 (ノンコンパートメント解析、n=48、mean±SD)
群 |
n |
Tmax
(hr) |
Cmax
(μg/mL) |
AUC0-24hr
(μg・hr/mL) |
高齢者 |
24 |
1.00±0.00 |
11.19±2.26 |
75.98±11.51 |
非高齢者 |
24 |
1.00±0.00 |
9.25±1.94 |
56.63±10.89 |
表3 (ノンコンパートメント解析、n=48、mean±SD)
|
n |
Tmax
(hr) |
Cmax
(μg/mL) |
t1/2
(hr) |
AUC0-72hr
(μg・hr/mL) |
500mg点滴静注 |
8 |
1.00±0.00 |
9.79±1.05 |
8.05±1.54 |
51.96±4.96 |
500mg経口投与 |
40 |
0.99±0.54 |
8.04±1.98 |
7.89±1.04 |
50.86±6.46 |
表4
腎機能
(Ccr mL/min) |
用法及び用量の目安 |
母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注1)
Cmax(μg/mL) |
母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注1)
AUC0-24h(μg・h/mL)注2) |
50≦Ccr |
500mgを1日1回投与 |
Cmax≦12.26 |
AUC0-24h≦111.75 |
20≦Ccr<50 |
初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与 |
6.13<Cmax≦8.15 |
55.87<AUC0-24h≦106.36 |
10≦Ccr<20 |
初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与 |
6.24<Cmax≦7.15 |
53.18<AUC0-24h≦76.11 |
-
t1/2:終末相の消失半減期
注1)体重60kgとした場合
注2)隔日投与ではAUC0-48h×1/2
臨床成績
国内において呼吸器感染症患者を対象にレボフロキサシン1日1回500mg(5mg/mL溶液)を点滴静注した第II相及び第III相臨床試験の疾患別有効率は、次のとおりである。また参考として、レボフロキサシン1日1回500mg経口投与による国内及び中国での第III相臨床試験の菌種別菌消失率(呼吸器感染症)を示す。
1.疾患別有効率
疾患名 |
有効率(%)〔有効症例/総症例〕
注射剤500mg×1
日本 |
市中肺炎(非定型肺炎を含む) |
92.8〔232/250〕 |
マイコプラズマ肺炎 |
100.0〔17/17〕 |
クラミジア肺炎 |
100.0〔4/4〕 |
レジオネラ肺炎 |
100.0〔1/1〕 |
慢性呼吸器病変の二次感染 |
94.3〔33/35〕 |
2.菌種別菌消失率(呼吸器感染症)
菌種・菌属 |
菌消失率(%)
注射剤500mg×1
日本 |
菌消失率(%)
(参考)経口剤500mg×1
日本 |
菌消失率(%)
(参考)経口剤500mg×1
中国 |
ブドウ球菌属 |
93.3〔14/15〕 |
100.0〔1/1〕 |
100.0〔20/20〕 |
肺炎球菌 |
98.3〔59/60〕 |
100.0〔18/18〕 |
95.7〔22/23〕 |
ペニシリン耐性肺炎球菌注) |
100.0〔5/5〕 |
100.0〔2/2〕 |
- |
レンサ球菌属 |
100.0〔2/2〕 |
- |
100.0〔2/2〕 |
モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス |
100.0〔11/11〕 |
100.0〔7/7〕 |
100.0〔7/7〕 |
大腸菌 |
- |
- |
83.3〔5/6〕 |
クレブシエラ属 |
100.0〔9/9〕 |
100.0〔1/1〕 |
98.4〔62/63〕 |
エンテロバクター属 |
100.0〔2/2〕 |
- |
50.0〔2/4〕 |
セラチア属 |
- |
- |
100.0〔3/3〕 |
インフルエンザ菌 |
100.0〔57/57〕 |
100.0〔17/17〕 |
96.9〔31/32〕 |
緑膿菌 |
66.7〔4/6〕 |
- |
57.1〔8/14〕 |
アシネトバクター属 |
- |
- |
94.7〔18/19〕 |
レジオネラ属 |
100.0〔1/1〕 |
- |
- |
-
注)ペニシリン耐性肺炎球菌:ベンジルペニシリン(PCG)のMIC≧2.0μg/mL
薬効薬理
-
-
レボフロキサシンは、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性(-)-(S )体である。
-
(1) 抗菌作用
-
レボフロキサシンは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、インフルエンザ菌、レジオネラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)などに強力な抗菌活性を示した。
また、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)に対しても抗菌力を示した5~18)。
実験的マウス感染防御試験及び感染治療試験において、レボフロキサシンは、優れた防御及び治療効果を示した7)。
-
(2) 作用機序
-
レボフロキサシンは、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIV阻害活性は、オフロキサシンの約2倍の強さであった8,19~23)。抗菌作用は殺菌的であり6,8)、MIC付近の濃度で溶菌が認められた24)。
有効成分に関する理化学的知見
-
1. 一般名
-
レボフロキサシン水和物(Levofloxacin Hydrate)
-
2. 略名
-
LVFX
-
3. 化学名
-
(3S )-9-Fluoro-3-methyl-10-(4-methylpiperazin-1-yl)-7-oxo-2,3-dihydro-7H -pyrido[1,2,3-de ][1,4]benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate
-
4. 分子式
-
C18H20FN3O4・1/2H2O
-
5. 分子量
-
370.38
-
6. 構造式
-

-
7. 性状
-
淡黄白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
光によって徐々に暗淡黄白色になる。
-
8. 融点
-
約226℃(分解)
-
9. 分配係数
-
n-オクタノール-Sorensen緩衝液(pH7.0);0.553(37℃)
取扱い上の注意
-
1.
-
バッグ製剤
-
(1)
-
製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
-
(2)
-
外袋が破損しているときや内容液が漏出しているときは使用しないこと。
-
(3)
-
残液は使用しないこと。
-
(4)
-
通気針は不要である。
-
(5)
-
容器の目盛りはおよその目安として使用すること。
-
2.
-
バイアル製剤
-
(1)
-
使用は1回限りとし、使用後の残液は使用しないこと。
-
(2)
-
製品の品質を保持するため、バイアルの紙箱は使用時まで開封しないこと。
-
(3)
-
希釈液として24時間以内に配合変化のないことが確認されている輸液を示す。

包装
-
クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL (100mL) 10袋
-
クラビット点滴静注500mg/20mL (20mL) 1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
-
1)
-
社内資料:配合変化試験
-
2)
-
社内資料:Effects of Renal Dysfunction
-
3)
-
梅田 優ほか:日本透析医学会雑誌 1997;30(2):109-115
-
4)
-
Kanamori M, et al.:臨床薬理 2001;32(3):91-99
-
5)
-
社内資料:Legionella 属に対するin vitro 抗菌活性
-
6)
-
Une T, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1988;32(9):1336-1340
-
7)
-
Tanaka M, et al.:J. Antimicrob Chemother. 1990;26(5):659-666
-
8)
-
Fujimoto T, et al.:Chemotherapy 1990;36:268-276
-
9)
-
五島瑳智子ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):14-26
-
10)
-
渡辺邦友ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):57-63
-
11)
-
西野武志ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):36-50
-
12)
-
山口惠三ほか:Jpn J Antibiotics 2009;62(4):346-370
-
13)
-
Frean JA, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1996;40(11):2646-2647
-
14)
-
Urich SK, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2008;52(6):2276-2278
-
15)
-
Tanyel E, et al.:Saudi Med J. 2007;28(8):1239-1242
-
16)
-
Cavallo JD, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2002;46(7):2307-2309
-
17)
-
Andoh M, et al.:Microbiol Immunol. 2004;48(9):661-664
-
18)
-
広瀬健二ほか:病原微生物検出情報 2005;26:89-90
-
19)
-
Imamura M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1987;31(2):325-327
-
20)
-
Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(2):309-312
-
21)
-
Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1994;38(11):2623-2627
-
22)
-
Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(7):1489-1491
-
23)
-
Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1997;41(11):2362-2366
-
24)
-
Tanaka M, et al.:Arzneimittel-Forsch/Drug Res. 1989;39(II)(7):750-754
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
-
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
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〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
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