Revlimid Capsules(Lenalidomide Hydrate)来那度胺胶囊 レブラミドカプセル5mg
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作成又は改訂年月
**2013年7月改訂(第8版、下線部分)
*2013年6月改訂
日本標準商品分類番号
87429
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
2010年8月
国際誕生年月
2005年12月
薬効分類名
抗造血器悪性腫瘍剤
承認等
販売名
レブラミドカプセル5mg
販売名コード
4291024M1024
承認・許可番号
承認番号
22200AMX00381000
商標名
Revlimid Capsules
薬価基準収載年月
2010年7月
販売開始年月
2010年7月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
3年(包装に表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
毒薬
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量
1カプセル中レナリドミド5mg含有(レナリドミド水和物として5.174mg)
添加物
無水乳糖、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、酸化チタン
性状
色・剤形
白色(不透明)の硬カプセル剤
外形

カプセル号数
2号
長径
18.0mm
短径
6.35mm
一般的名称
レナリドミド水和物カプセル
警告
1.
本剤はサリドマイド誘導体である。本剤はヒトにおいて催奇形性を有する可能性があるため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性患者には決して投与しないこと。[「禁忌」、「重要な基本的注意」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
2.
本剤の胎児への曝露を避けるため、本剤の使用については、適正管理手順1)(以下、「本手順」)が定められているので、関係企業、医師、薬剤師等の医療関係者、患者やその家族等の全ての関係者が本手順を遵守すること。[「禁忌」の項参照]
3.
妊娠する可能性のある女性患者に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。また、投与開始予定4週間前から投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認するとともに定期的に妊娠検査を行うこと。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに本剤の投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。[「重要な基本的注意」の項参照]
4.
本剤は精液中へ移行することから投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性患者は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないこと。
5.
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族等に有効性及び危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。
6.
深部静脈血栓症及び肺塞栓症の発現が報告されているので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「重大な副作用」の項参照]
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性患者[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
2.
適正管理手順を遵守できない患者
3.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
再発又は難治性の多発性骨髄腫
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
効能又は効果に関連する使用上の注意
再発又は難治性の多発性骨髄腫
本剤による治療は少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とし、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
1.
IPSS※によるリスク分類の中間-2リスク及び高リスクに対する有効性及び安全性は確立していない。
2.
「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
※International prognostic scoring system(国際予後判定システム)
用法及び用量
再発又は難治性の多発性骨髄腫
デキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはレナリドミドとして1日1回25mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
通常、成人にはレナリドミドとして1日1回10mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
再発又は難治性の多発性骨髄腫では、本剤を含むがん化学療法は、「臨床成績」の項の内容、特に、用法・用量を十分に理解した上で行うこと。
2.
再発又は難治性の多発性骨髄腫では、本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
3.
腎機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇することが報告されているため、投与量及び投与間隔の調節を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
[「薬物動態」の項参照]
4.
高脂肪食摂取後の投与によってAUC及びCmaxの低下が認められることから、本剤は高脂肪食摂取前後を避けて投与することが望ましい。
[「薬物動態」の項参照]
5.
Grade 3※又は4※の副作用(血小板減少又は好中球減少を除く)が発現した場合には、本剤の休薬か中止を考慮すること。投与の再開は、患者の状態に応じて判断すること。
※ CTCAE V 3.0
6.
血小板減少又は好中球減少が発現した場合には、下表を参照し休薬等を考慮すること。


使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
腎機能障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)また、腎機能障害が悪化することがある。]
2.
深部静脈血栓症のリスクを有する患者[本剤により症状が発現、増悪することがある。]
3.
骨髄抑制のある患者[重篤な好中球減少症及び血小板減少症が発現することがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
4.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
5.
サリドマイドによる重篤な過敏症の既往歴のある患者
*重要な基本的注意
1.
本剤はヒトにおいて催奇形性を有する可能性があることから、妊娠する可能性のある女性患者に本剤を投与する場合は、本剤投与開始4週間前及び本剤投与開始3日前から投与開始直前までに妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認後に投与を開始すること。また、本剤の治療中は4週間を超えない間隔で、本剤の投与終了の際は本剤投与終了時及び本剤投与終了4週間後に妊娠検査を実施すること。
2.
本剤投与開始から投与中止4週間後までは、献血、精子・精液の提供をさせないこと。
3.
本剤の投与により重篤な好中球減少症及び血小板減少症が発現することがあるため、定期的に血液学的検査を行うとともに必要に応じて本剤の減量、休薬等適切な処置を行うこと。また、本剤の投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用も考慮すること。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」の項参照]
4.
海外臨床試験において、疲労、めまい、傾眠、霧視が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう注意すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
ジギタリス製剤(ジゴキシン等)
臨床症状・措置方法
ジゴキシンの血漿中濃度が増加するとの報告があるので、併用する場合には注意すること。
機序・危険因子
機序不明
副作用
治療歴のある多発性骨髄腫患者を対象とした国内第I相臨床試験の安全性評価症例(15例)及び5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群患者を対象とした国内第II相臨床試験の安全性評価症例(11例)において、合計26例中26例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少症23例(88.5%)、好中球減少症22例(84.6%)、白血球減少症21例(80.8%)、リンパ球減少症15例(57.7%)、便秘12例(46.2%)、発疹8例(30.8%)、貧血6例(23.1%)、好酸球増加症6例(23.1%)、そう痒症6例(23.1%)であった。(効能追加承認時)
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした外国第III相臨床試験〔MM-009試験(二重盲検期間2005年6月7日データカットオフ)及びMM-010試験(二重盲検期間2005年8月3日データカットオフ)の併合〕の本剤及びデキサメタゾン併用投与群の安全性評価症例において、353例中323例(91.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、好中球減少症135例(38.2%)、疲労92例(26.1%)、便秘78例(22.1%)、筋痙攣73例(20.7%)、不眠症63例(17.8%)、血小板減少症62例(17.6%)、無力症61例(17.3%)、貧血53例(15.0%)、下痢50例(14.2%)、末梢性ニューロパシー44例(12.5%)、悪心40例(11.3%)、筋脱力40例(11.3%)、振戦40例(11.3%)、発疹40例(11.3%)、末梢性浮腫38例(10.8%)、浮動性めまい36例(10.2%)であった。
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群患者を対象とした外国第III相臨床試験〔MDS-004試験(二重盲検期間2008年6月26日データカットオフ)〕の安全性評価症例において、10mg群69例中66例(95.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。10mg群での主な副作用は、好中球減少症52例(75.4%)、血小板減少症33例(47.8%)、そう痒症18例(26.1%)、下痢13例(18.8%)、便秘9例(13.0%)、疲労7例(10.1%)であった。
骨髄異形成症候群患者では多発性骨髄腫患者より骨髄抑制が高い割合で認められた。
重大な副作用
1.
深部静脈血栓症、肺塞栓症:
深部静脈血栓症(6.6%)注1)、肺塞栓症(2.4%)注1)が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
脳梗塞、一過性脳虚血発作(頻度不明)注2):
脳梗塞、一過性脳虚血発作があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3.
骨髄抑制:
好中球減少症(44.3%)注1)、血小板減少症(22.5%)注1)、貧血(13.3%)注1)等骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、血小板減少が生じた結果、消化管出血等の出血に至った症例も報告されている。
4.
感染症(頻度不明)注2):
肺炎、敗血症等の重篤な感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrosis: TEN)(頻度不明)注3):
皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.
腫瘍崩壊症候群(頻度不明)注3):
腫瘍崩壊症候群が報告されているので、腫瘍量の多い患者では、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行い、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
7.
間質性肺疾患:
間質性肺疾患(0.2%)注4)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.
心筋梗塞、心不全、不整脈:
心筋梗塞(0.5%)注1)、心不全(0.7%)注1)、心房細動(2.4%)注1)等の不整脈が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
9.
末梢神経障害:
末梢性ニューロパシー(10.7%)注1)、筋脱力(9.5%)注1)、錯感覚(7.1%)注1)、感覚減退(5.0%)注1)等末梢神経障害が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10.
甲状腺機能低下症:
甲状腺機能低下症(0.9%)注1)が報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.
消化管穿孔(頻度不明)注3):
消化管穿孔が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
12.
起立性低血圧:
起立性低血圧(0.9%)注1)が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
13.
痙攣(頻度不明)注3):
痙攣が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
14.
肝機能障害、黄疸(頻度不明)注2):
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
15.
重篤な腎障害(頻度不明)注2):
腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注1) 外国臨床試験(二重盲検期間)
注2) 国内での報告
注3) 外国での報告
注4) 外国臨床試験(二重盲検期間を含む全試験期間)
重大な副作用(類薬)(頻度不明)
類薬で催奇形性が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
その他の副作用
本剤の投与により次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
消化器
(10%以上)
便秘、下痢、悪心
消化器
(5~10%未満)
腹痛、消化不良
消化器
(5%未満)
嘔吐、口内乾燥、口内炎
循環器
(5%未満)
低血圧、高血圧、潮紅
血管
(5%未満)
血管浮腫
呼吸器
(5~10%未満)
呼吸困難、咽頭炎
呼吸器
(5%未満)
咳嗽、気管支炎、嗄声
筋骨格
(10%以上)
筋痙攣
筋骨格
(5%未満)
筋痛、四肢痛、ミオパシー、背部痛
代謝
(5~10%未満)
高血糖、食欲不振、体重減少
代謝
(5%未満)
低カリウム血症、体重増加、低カルシウム血症
精神・神経系
(10%以上)
不眠症
精神・神経系
(5~10%未満)
浮動性めまい、振戦、味覚異常、頭痛
精神・神経系
(5%未満)
うつ病、傾眠、気分動揺、錯乱状態、易刺激性、不安
皮膚
(10%以上)
発疹
皮膚
(5~10%未満)
そう痒症
皮膚
(5%未満)
皮膚乾燥、紅斑
眼
(5~10%未満)
霧視
眼
(5%未満)
白内障
その他
(10%以上)
疲労、無力症
その他
(5~10%未満)
末梢性浮腫、発熱、浮腫
その他
(5%未満)
クッシング症候群、多汗
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[「慎重投与」の項参照]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[カニクイザルでの生殖発生毒性試験では、妊娠中にレナリドミドを投与された母動物の胎児に奇形が認められた。レナリドミドはヒトで催奇形性を有する可能性がある。]
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[安全性が確立していない。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
外国において、本剤を1日225mg服用した症例で汎血球減少症や肺塞栓症等が発現したという報告がある。過量投与したときは、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
適用上の注意
調剤時
調剤時には脱カプセルをしないこと。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
服用時
カプセルを噛み砕いたり、又は開けずに服用するように患者を指導すること。
その他の注意
未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした3つの海外臨床試験2)において、本剤投与群で対照群と比較して悪性腫瘍の発現割合が高く、本剤投与群で、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、B細胞性悪性腫瘍及び固形癌等の悪性腫瘍が発現した。
また、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした2つの海外臨床試験3)において、本剤投与群で対照群と比較して悪性腫瘍の発現割合が高く、本剤投与群で、基底細胞癌、有棘細胞癌及び固形癌等の悪性腫瘍が発現した。
薬物動態
1.吸収・血漿中濃度
(1)血漿中濃度の推移4)
<健康成人:単回投与>
健康成人(日本人、n=7)に本剤3用量(5mg、10mg、20mg)を単回経口投与した時、血漿中未変化体濃度は投与約0.5~1時間後に最高値に達し、消失半減期(t1/2)は約2~3時間であった。(表1参照)
<多発性骨髄腫患者:単回投与及び反復投与>
再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者に本剤10mg(n=3)、25mg(n=6)を単回投与及び反復投与した時、血漿中未変化体濃度は投与約0.5~1時間後に最高値に達し、消失半減期(t1/2)は約2~3時間であった。また、反復投与による蓄積性は認められなかった。(表2参照)
<骨髄異形成症候群患者:単回投与及び反復投与>
5番染色体長腕部q31q33欠失を有し低リスク又は中間-1リスクの骨髄異形成症候群による貧血症状を伴う日本人骨髄異形成症候群患者に本剤10mgを単回投与(n=6)及び反復投与(n=5)した時、血漿中未変化体濃度は投与2.5時間及び2.9時間後にそれぞれ最高値に達し、消失半減期(t1/2)はそれぞれ3.3時間及び3.7時間であった。また、反復投与による蓄積性は認められなかった。(表3参照)
(2)食事による影響5)
健康成人(n=17)に本剤25mgを高脂肪・高カロリー食の食後に投与した時のAUC、Cmaxは空腹時に投与した時と比べてそれぞれ約20%、約50%低下し、tmaxは約1.6時間延長した(外国人の成績)。
2.分布
(1) 血漿蛋白結合率
レナリドミドの平均血漿蛋白結合率は約30%であった(外国人の成績)。
(2)精液移行6)
健康成人(n=24)に本剤25mgを反復経口投与した時、精液中にレナリドミドは、最終投与から24時間後に検出されたが、最終投与から72時間後には精液中にレナリドミドは検出されなかった。
3.代謝、排泄7)
In vitro試験ではレナリドミドはヒト肝ミクロソーム及び肝細胞のいずれでも酸化や抱合等の代謝は受けなかった。レナリドミドの代謝は未変化体での排泄がほとんどである。健康成人に[14C]レナリドミドを単回投与した時、投与量のおよそ82%の放射能が未変化体として尿中に排泄された(外国人の成績)。
4.腎機能障害患者での薬物動態8)
腎機能障害患者(外国人)に本剤25mgを単回経口投与した時、AUCは増加した〔中等症~重症(透析必要)腎障害で約3~5倍〕。また、腎機能の低下に伴いレナリドミドの経口クリアランス(CL/F)、腎クリアランス(CLR)は減少した。(表4参照)
腎機能に障害のある患者に本剤を投与する場合は、下表に示すクレアチニンクリアランス値を参考値として本剤投与量及び投与間隔の調節を考慮すること。(表5参照)
表1 健康成人(日本人、n=7)に本剤を単回経口投与した時の薬物動態パラメータ(平均値±SD)
用量(mg) |
5 |
10 |
20 |
Cmax(ng/mL) |
113±35 |
227±46 |
521±195 |
AUC∞(ng・hr/mL) |
345±59 |
727±115 |
1462±174 |
tmax(hr) |
1.0
(0.50, 2.5) |
1.0
(0.50, 1.0) |
0.50
(0.50, 1.5) |
t1/2(hr) |
2.28±0.48 |
2.36±0.41 |
2.24±0.42 |
平均値は算術平均値
最高濃度到達時間(tmax)は中央値(最小、最大)として示した。
表2 再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者に本剤を単回経口投与及び反復経口投与した時の薬物動態パラメータ(平均値±SD)
用量(mg) |
10(n=3) |
10(n=3) |
25(n=6) |
25(n=6) |
投与方法 |
単回投与 |
反復投与 |
単回投与 |
反復投与 |
Cmax(ng/mL) |
330±116 |
316±69 |
642±163 |
721±109 |
AUCτ(ng・hr/mL) |
1063±300 |
1050±300 |
2835±1059 |
2892±952 |
tmax(hr) |
0.93
(0.50, 1.0) |
0.5
(0.45, 1.0) |
1.0
(0.43, 2.0) |
0.97
(0.45, 1.5) |
t1/2(hr) |
2.57±0.65 |
2.45±0.42 |
3.20±0.83 |
3.26±1.02 |
平均値は算術平均値
最高濃度到達時間(tmax)は中央値(最小、最大)として示した。
表3 日本人骨髄異形成症候群患者に本剤10mgを単回経口投与及び反復経口投与した時の薬物動態パラメータ(平均値±SD)
投与方法 |
単回投与
(n=6) |
反復投与
(n=5) |
Cmax(ng/mL) |
145±56.0 |
155±46.6 |
AUCτ(ng・hr/mL) |
925±344† |
936±355 |
tmax(hr) |
2.52
(1.00,5.95) |
2.93
(1.00,4.00) |
t1/2(hr) |
3.33±0.81† |
3.70±1.20 |
平均値は算術平均値
tmaxは中央値(最小、最大)として示した。
†:n=5
表4 腎機能障害患者に本剤を単回経口投与した時の薬物動態パラメータ(平均値±SD)
腎機能 |
正常
(n=7) |
軽症
(n=5) |
中等症
(n=6) |
重症
(透析不要)
(n=6) |
重症
(透析必要)
(n=6) |
Cmax(ng/mL) |
605±246 |
691±110 |
592±177 |
765±81.3 |
552±140 |
AUC∞
(ng・hr/mL) |
2181±703 |
2767±1094 |
6021±847 |
8191±1317 |
11121±2133 |
tmax(hr) |
1.0
(0.50, 2.0) |
1.0
(1.0, 1.0) |
1.0
(0.50, 1.5) |
1.5
(0.50, 2.0) |
1.3
(1.0, 2.0) |
t1/2(hr) |
3.34±0.88 |
3.67±0.70 |
10.6±3.33 |
9.22±2.44 |
15.6±1.14 |
平均値は算術平均値
最高濃度到達時間(tmax)は中央値(最小、最大)として示した。
腎機能別クレアチニンクリアランス(CLcr)実測値 正常:83~145mL/min、軽症:57~74mL/min、中等症:33~46mL/min、重症:17~29mL/min
表5 腎機能障害患者に投与する際の開始用量の目安
腎機能
(クレアチニンクリアランス:CLcr) |
用法・用量 |
用法・用量 |
|
再発又は難治性の多発性骨髄腫 |
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群 |
中等症腎機能障害
30≦CLcr<60mL/min |
本剤10mgを1日1回投与で開始し、2サイクル終了後忍容可能な場合は15mgに増量できる。 |
本剤5mgを1日1回投与 |
重症腎機能障害(透析不要)
CLcr<30mL/min |
本剤15mgを2日に1回投与 |
本剤5mgを2日に1回投与 |
重症腎機能障害(透析必要)
CLcr<30mL/min |
本剤5mgを1日1回投与
(透析日は透析後に投与) |
本剤5mgを週3回投与
(透析日は透析後に投与) |
用法・用量はシミュレーションに基づき算出
臨床成績
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再発又は難治性の多発性骨髄腫
<外国臨床試験成績9)>
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相二重盲検比較試験(MM-009試験)を実施し、本剤25mg注5)+デキサメタゾン40mg注6)併用療法の有効性をデキサメタゾン40mg注6)単独療法と比較した。その結果、本剤+デキサメタゾン群では、無増悪期間(TTP)、全生存期間(OS)のいずれの評価に対しても、デキサメタゾン単独群と比べて有意に優れた延長効果が認められた。(表6参照)
注5)本剤の用法・用量は28日を1サイクルとし、1日1回25mgを21日間経口投与する。なお、症状に応じ適宜減量する。
注6)デキサメタゾンの用法・用量は28日を1サイクルとし、デキサメタゾン40mgを1日1回、1~4日、9~12日、17~20日目に経口投与する。これを4サイクル繰り返す。5サイクル目以降は、デキサメタゾンとして40mgを1日1回、各サイクルの1~4日目に経口投与する。なお、症状に応じ適宜減量する。
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5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群患者を対象注7)とした外国第III相試験(MDS-004試験)を実施し、赤血球輸血依存からの離脱注8)を評価した。その結果、プラセボ群の51例中3例(5.9%)、5mg群の46例中19例(41.3%)、10mg群の41例中23例(56.1%)が赤血球輸血依存からの離脱に成功した。5mg群、10mg群で赤血球輸血依存から離脱した患者の割合はプラセボ群での割合と比べて有意に高かった。(表7参照)
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注7)MDS-004試験対象患者の詳細
・5番染色体長腕部q31欠失の細胞遺伝学的異常を有する(他の付加的細胞遺伝学的異常の有無は問わない)
・IPSS分類で低リスク又は中間-1リスク
・赤血球輸血依存性貧血を伴う〔過去112日間(16週間)で、赤血球輸血していない最長期間が56日未満〕
・骨髄異形成症候群の診断はFAB分類で実施
・白血球数12,000/μL以上の慢性骨髄単球性白血病患者は対象外
注8)連続182日(26週)以上赤血球輸血を必要とせず、最大ヘモグロビン濃度がベースライン値に比べて1g/dL以上増加
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5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
<外国臨床試験成績10)>
表6 外国第III相臨床試験(MM-009試験)の有効性成績の要約
〔二重盲検期間:2005年6月7日データカットオフ〕
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本剤+デキサメタゾン群
(n=177) |
デキサメタゾン単独群
(n=176) |
無増悪期間(TTP) |
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イベント発生者数(%) |
73(41.2) |
120(68.2) |
中央値†(週)
[95%信頼区間]‡ |
60.1
[41.1,80.0] |
20.1
[16.1,21.1] |
ハザード比
[95%信頼区間]§ |
0.285
[0.210,0.386] |
0.285
[0.210,0.386] |
p値(Log-rank検定) |
<0.001 |
<0.001 |
全生存期間(OS) |
|
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死亡患者数(%) |
37(20.9) |
60(34.1) |
中央値†(週)
[95%信頼区間]‡ |
NE
[NE] |
103.7
[82.6,NE] |
ハザード比
[95%信頼区間]§ |
0.499
[0.330,0.752] |
0.499
[0.330,0.752] |
p値(Log-rank検定) |
<0.001 |
<0.001 |
表7 赤血球輸血依存から連続182日以上離脱した患者の割合
割付け群
(有効性評価症例) |
プラセボ群
(n=51) |
5mg群
(n=46) |
10mg群
(n=41) |
赤血球輸血依存から連続182日
以上離脱した患者数(%) |
3例
(5.9%) |
19例
(41.3%) |
23例
(56.1%) |
薬効薬理
1. 薬理作用11、12)
In vitro試験
(1) 種々のヒト多発性骨髄腫細胞に対して増殖抑制作用を示し、その作用はデキサメタゾンとの併用で増強した。
(2) ヒト末梢血単核球におけるTNF-α、IL-1β、IL-6及びIL-12などの炎症性サイトカイン産生を阻害し、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を促進した。また、ヒトT細胞におけるIL-2産生及びIFN-γ産生を促進した。
(3) 血管内皮細胞の遊走や微小血管の形成を抑制することにより血管新生を阻害した。
(4) 5番染色体長腕部を欠失している造血器腫瘍細胞の増殖を抑制した。また、CD34陽性造血幹細胞の分化誘導時に胎児ヘモグロビンの発現を促進した。
In vivo試験
ヒト多発性骨髄腫細胞(NCI-H929)を移植した重症複合免疫不全マウスにおいて、用量依存的な腫瘍増殖抑制作用を示した。
2.作用機序
レナリドミドは、サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用を持つと考えられる。しかし、詳細な作用機序は解明されていない。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
レナリドミド水和物 Lenalidomide Hydrate(JAN)、lenalidomide(INN)
化学名
(3RS)-3-(4-amino-1-oxo-1, 3-dihydro-2H-isoindol-2-yl)piperidine-2, 6-dione hemihydrate
分子式
C13H13N3O3・1/2H2O
分子量
268.27
化学構造式
性状
黄白色~淡黄色の粉末である。水、エタノール(95)又は2-プロパノールに極めて溶けにくく、アセトニトリル又はメタノールに溶けにくい。
融点
265~270℃
分配係数
P=0.46(1-オクタノール/水)
取扱い上の注意
1.
薬剤管理は適正管理手順1)を厳守し、徹底すること。
2.
開封後、直射日光及び高温・高湿を避けて保存すること。
承認条件
1.
本剤の製造販売・管理・使用等にあたっては、「レブラミド適正管理手順」を適正に遵守すること。また、本手順の変更については、あらかじめ、厚生労働省の了解を受けなければならないこと。
2.
本剤の投与が、緊急時に十分対応できる医療施設において、十分な知識・経験を有する医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者又はその家族に有効性及び危険性が文書をもって説明され、文書による同意を得てから初めて投与されるよう、厳格かつ適正な措置を講じること。
3.
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
レブラミドカプセル5mg:40カプセル(10カプセル×4)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
セルジーン株式会社:RevMate(レブラミド適正管理手順)
2)
社内資料:レナリドミドの外国臨床試験(未治療の多発性骨髄腫患者)
3)
社内資料:レナリドミドの外国臨床試験(再発又は難治性の多発性骨髄腫患者)
4)
社内資料:レナリドミドの薬物動態の検討(健康成人・患者)
5)
社内資料:レナリドミドの薬物動態の検討(食事の影響)
6)
Chen N. et al.:J Clin Pharmacol., 50:767-774, 2010
7)
社内資料:レナリドミドの薬物動態の検討(代謝、排泄)
8)
社内資料:レナリドミドの薬物動態の検討(腎機能別)
9)
社内資料:レナリドミドの外国第III相臨床試験(多発性骨髄腫)
10)
社内資料:レナリドミドの外国臨床試験(骨髄異形成症候群)
11)
社内資料:レナリドミドの薬理作用の検討
12)
Gandhi AK. et al.:Curr Cancer Drug Targets, 10:155-167, 2010
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
セルジーン株式会社 おくすり相談室
〒100-7010 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
TEL:フリーダイヤル 0120-786702
FAX:フリーダイヤル 0120-786703
受付時間 9:00~18:00(土・日・祝日・弊社休日を除く)
セルジーン株式会社ホームページ http://www.celgene.co.jp
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
**製造販売元
セルジーン株式会社
〒100-7010 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
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†:中央値はKaplan-Meier法による推定値
‡:中央値の95%信頼区間
§:デキサメタゾン単独群のハザード率に対する本剤+デキサメタゾン群のハザード率の比
NE:Not Estimable(推定不可)