Metreleptin「SHIONOGI」Metreleptin(Genetical Recombination) メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」
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作成又は改訂年月
2013年3月作成(第1版)
日本標準商品分類番号
872499
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2013年3月
薬効分類名
遺伝子組換え型ヒトレプチン製剤
承認等
販売名
メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」
販売名コード
YJコード
2499414D1023
承認・許可番号
承認番号
22500AMX00885
欧文商標名
Metreleptin「SHIONOGI」
薬価基準収載年月
2013年5月
販売開始年月
2013年7月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光・2~8℃で保存
使用期限
外箱等に表示(使用期間3年)
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1) 注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1瓶中)
メトレレプチン(遺伝子組換え)11.25mg
添加物
グリシン 45.0mg
精製白糖 22.5mg
ポリソルベート20 0.225mg
L-グルタミン酸 3.310mg
水酸化ナトリウム
性状
性状・剤形
白色の軽質の塊である。(注射剤)
pH
4.05~4.45
本剤1瓶に注射用水2.2 mLを加え溶解した場合
浸透圧比〔生理食塩液に対する比〕
約1
本剤1瓶に注射用水2.2 mLを加え溶解した場合
一般的名称
注射用メトレレプチン(遺伝子組換え)
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
脂肪萎縮症
効能・効果に関連する使用上の注意
1. 本剤は,インスリン抵抗性を有する脂肪萎縮症と診断された患者にのみ使用すること。
2. 糖尿病,高インスリン血症又は高トリグリセライド血症を有しない脂肪萎縮症患者に対する有効性は確立していない。
3. HIVに関連する脂肪萎縮症における有効性は確立していない。
用法・用量
通常,メトレレプチンとして,男性には0.04mg/kg,18歳未満の女性には0.06mg/kg,18歳以上の女性には0.08mg/kgを1日1回皮下注射する。
投与はそれぞれ0.02mg/kg,0.03mg/kg,0.04mg/kgから投与開始し,1ヵ月程度をかけ,上記投与量まで増量する。
なお,症状に応じて適宜減量する。
用法・用量に関連する使用上の注意
性別及び年齢別の投与量:
開始用量
維持用量
男性
0.02mg/kg
0.04mg/kg
女性(18歳未満)
0.03mg/kg
0.06mg/kg
女性(18歳以上)
0.04mg/kg
0.08mg/kg
注射液の調製法:本剤11.25mg(1瓶)に注射用水2.2mLを加えて溶解すること。溶解後は速やかに使用すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1. 重度の血液異常(好中球減少症等)のある患者[海外臨床試験において,T細胞性リンパ腫が報告されている。(「重要な基本的注意」の項参照)]
2. 膵炎及び高トリグリセライド血症の既往のある患者[海外臨床試験において,本剤の突然の中止後に急性膵炎が起きたとの報告がある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
3. 腎機能障害のある患者[主に腎で排泄されると考えられるため,高い血中濃度が持続するおそれがある。]
4. 次に掲げる低血糖を起こすおそれのある患者又は状態
(1) 下垂体機能不全又は副腎機能不全
(2) 栄養不良状態,飢餓状態,不規則な食事摂取,食事摂取量の不足又は衰弱状態
(3) 激しい筋肉運動
(4) 過度のアルコール摂取者
(5) 「相互作用」の項に示す血糖降下作用を増強する薬剤との併用
5. 低血糖を起こすと事故につながるおそれのある患者(高所作業,自動車の運転等の作業に従事している患者等)
6. 高齢者[「高齢者への投与」の項参照。また,低血糖をおこすおそれがある。]
重要な基本的注意
1. 海外臨床試験において,膵炎及び高トリグリセライド血症の既往歴のある患者で,本剤の突然の中止後に急性膵炎が起きたとの報告がある。投与を中止する場合には,持続する重度の腹痛,背部への放散痛等の症状を十分に観察し,徐々に減量するなど慎重に行うこと。また,血中トリグリセライドの推移を観察するとともに,必要に応じて脂質異常症治療薬の投与開始あるいは用量調節を行うこと。
2. 本剤の使用にあたっては,患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。臨床試験において,インスリン製剤を併用した場合に低血糖が報告されている。インスリン製剤又は糖尿病用薬と併用する場合には,血糖値の推移を観察するとともに,必要に応じてインスリン製剤又は糖尿病用薬を減量すること。
3. 本剤の適用はあらかじめ食事療法,運動療法を十分に行った上で考慮すること。
4. 患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるので,食事摂取量,臨床検査値等に留意の上,常に投与継続の可否,他の薬剤の併用の必要性等に注意すること。
5. 脂肪萎縮症の治療に精通した医師のもとで治療を行うこと。
6. 在宅自己注射を行う場合は,患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
(1) 自己投与の適用については,医師がその妥当性を慎重に検討し,十分な教育訓練を実施した後,患者自ら確実に投与できることを確認した上で,医師の管理指導のもとで実施すること。また,溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。 適用後,本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には,直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
(2) 使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
(3) すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に,使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
(4) 在宅自己注射を行う前に,本剤の「在宅自己注射説明書」を必ず読むよう指導すること。
7. 海外臨床試験において,後天性脂肪萎縮症患者にT細胞性リンパ腫が報告されている。本剤との因果関係は不明であるが,T細胞性リンパ腫等の発現には注意すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
糖尿病用薬
インスリン製剤
スルホニルウレア系薬剤
速効型インスリン分泌促進剤
ビグアナイド系薬剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害剤
GLP-1アナログ
臨床症状・措置方法
インスリン製剤との併用により低血糖が起こることがあり,その他の糖尿病用薬との併用でも低血糖のおそれがあるため,注意すること。
機序・危険因子
共に血糖降下作用を有する。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時における国内の安全性評価対象例15例中,副作用(臨床検査値異常変動を含む)は13例(87%)に認められた。主なものは,腫脹・疼痛・そう痒・発赤等の注射部位反応8例(53%)であった。
重大な副作用
過敏症(頻度不明※):蕁麻疹,全身性発疹を含む過敏症があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には,必要に応じて,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
精神神経系
15%未満
頭痛
注射部位
15%以上
腫脹・疼痛・そう痒・発赤等の注射部位反応
その他
15%未満
低血糖
その他
頻度不明※
悪心,疲労感,腟出血,脱毛,体重減少
※:海外臨床試験において認められた副作用に基づき記載した。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,慎重に投与すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。マウスで出生児数の減少,出生児の生存率低下,体重低下,発育遅延が報告されている。]
2. 授乳中の婦人には,本剤投与中は授乳を避けさせること。[本剤の乳汁中への移行は不明である。]
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児又は6歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]
適用上の注意
1. 投与経路:皮下注射にのみ使用すること。
2. 投与部位:皮下注射は,腹部,大腿,上腕,臀部等に行うこと。注射部位は毎回変更すること。
その他の注意
1. 本剤投与後,本剤に対する抗体が発現することがある。海外臨床試験において,脂肪萎縮症患者22例で本剤に対する抗体を評価したところ,ベースライン時に抗体陰性であった20例のうち,12例(60%)に抗体が発現した。抗体陽性患者において,中和活性は認められなかった。
2. イヌの反復皮下投与毒性試験で,臨床試験における血漿中濃度(AUC0-24h)の約10倍で強膜及び膀胱粘膜の出血,1倍以下で歯肉の局所出血がみられ,薬理作用との関連性が示唆されている。
薬物動態
1. 血中濃度
脂肪萎縮症患者4例にメトレレプチン(0.01~0.08mg/kg)を1日1回反復皮下投与したときの薬物動態パラメータを表1に示す。なお,血中レプチン濃度には,内因性レプチンとメトレレプチンが含まれる1)。
表1 薬物動態パラメータ参照
2. 排泄
(参考)
マウスに単回静脈内投与したデータから,本剤は主に腎臓から排泄されることが示唆されている2)。
薬物動態の表
表1 薬物動態パラメータ
症例No. |
性別
年齢 |
投与量
(mg/kg) |
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(hr) |
AUC0-τ
(ng・hr/mL) |
T1/2,z
(hr) |
CL/F
(L/hr/kg) |
1 |
女
18歳 |
0.02a)
0.04b)
0.08c) |
6.5
12.5
134 |
3.8
2.8
6.0 |
84.98
181.8
1541 |
14.7
7.47
4.45 |
0.235
0.220
0.0519 |
2 |
女
23歳 |
0.02a)
0.04b)
0.08c) |
19.8
133
241 |
1.8
1.8
3.9 |
193.9
1029
3385 |
8.07
5.28
11.3 |
0.103
0.0389
0.0236 |
3 |
女
11歳 |
0.015a)
0.03b)
0.06c) |
6.3
18.4
70.4 |
1.9
2.0
2.8 |
53.56
125.2
546.7 |
16.1
11.5
8.43 |
0.280
0.240
0.110 |
4 |
男
6歳 |
0.01a)
0.02b)
0.04c) |
3.2
14.2
36.4 |
1.1
2.9
5.8 |
37.23
204.9
582.6 |
17.9
17.2
23.3 |
0.269
0.0976
0.0687 |
a) 投与開始から4週後までの投与量(投与開始後4週時点での結果)
b) 投与4週後から8週後までの投与量(投与量変更後4週時点での結果)
c) 投与8週後から20週後までの投与量(投与量変更後12週時点での結果)
臨床成績
1. 国内の医師主導治験
国内の脂肪萎縮症患者4例を対象に,本剤(0.01~0.08mg/kg)を1日1回5ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(JDS値),トリグリセライドの経時変化を表2に示す。HbA1cは投与前に比べすべての症例で低下した。トリグリセライドも投与前に比べ,正常値まで低下したが,症例No.4では副腎皮質ステロイド投与により一時的に上昇した。なお,症例No.3は投与前後ともに正常値であった。また,糖尿病治療薬及び(又は)高脂血症治療薬が本剤投与開始前から投与された3例の患者では,投与開始2ヵ月以内にそれら治療薬の投与が中止された1)。
表2 国内の医師主導治験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化参照
2. 国内の臨床研究 (参考:承認外用法・用量を含む)
国内の脂肪萎縮症患者11例を対象に,本剤(0.01~0.08 mg/kg)を1日2回に分割し,12ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(JDS値,平均値),トリグリセライド(平均値)の経時変化を表3に示す。本剤投与により,HbA1c及びトリグリセライドは,投与前に比べ,投与4,8及び12ヵ月後のすべての時点で有意に低下した3)。
表3 国内の臨床研究でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化参照
3. 海外の臨床試験 (参考:承認外用法・用量を含む)
米国の脂肪萎縮症患者54例を対象に,本剤(0.01~0.08 mg/kg)を1日2回分割,又は1日1回12ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(NGSP値,平均値),トリグリセライド(平均値)の経時変化を表4に示す。本剤投与により,HbA1c(NGSP値,平均値)及びトリグリセライド(平均値)は投与前値より低下した4)。
表4 海外の臨床試験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化参照
臨床成績の表
表2 国内の医師主導治験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化
症例No. |
年齢 |
HbA1c(%)(JDS値)
投与前 |
HbA1c(%)(JDS値)
3ヵ月 |
HbA1c(%)(JDS値)
4ヵ月 |
HbA1c(%)(JDS値)
5ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
投与前 |
トリグリセライド(mg/dL)
3ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
4ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
5ヵ月 |
1 |
18歳 |
8.6 |
5.5 |
4.8 |
4.8 |
210 |
55 |
55 |
62 |
2 |
23歳 |
7.7 |
5.6 |
5.9 |
6.4 |
246 |
51 |
144 |
204 |
3 |
11歳 |
5.8注1 |
5.1 |
5.1 |
5.4 |
59 |
46 |
60 |
77 |
4 |
6歳 |
5.8 |
5.0 |
5.1 |
5.2 |
180 |
83 |
131 |
382 |
注1:登録時にはHbA1c = 6.1
表3 国内の臨床研究でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化
項目 |
HbA1c(%)(JDS値)
投与前 |
HbA1c(%)(JDS値)
4ヵ月 |
HbA1c(%)(JDS値)
8ヵ月 |
HbA1c(%)(JDS値)
12ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
投与前 |
トリグリセライド(mg/dL)
4ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
8ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
12ヵ月 |
例数 |
11 |
10 |
9 |
9 |
11 |
10 |
9 |
9 |
平均値 |
8.74 |
6.01* |
5.89* |
5.83* |
395.4 |
102.2* |
100.4* |
88.7* |
S.E. |
0.62 |
0.41 |
0.24 |
0.31 |
185.9 |
16.4 |
21.9 |
13.4 |
*:p<0.05(対応のあるt検定:投与前値との比較)
表4 海外の臨床試験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化
項目 |
HbA1c(%)(NGSP値)
投与前 |
HbA1c(%)(NGSP値)
4ヵ月 |
HbA1c(%)(NGSP値)
8ヵ月 |
HbA1c(%)(NGSP値)
12ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
投与前 |
トリグリセライド(mg/dL)
4ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
8ヵ月 |
トリグリセライド(mg/dL)
12ヵ月 |
例数 |
54 |
40 |
41 |
38 |
54 |
40 |
42 |
39 |
平均値 |
8.49 |
7.25 |
6.91 |
7.03 |
1185 |
489 |
391 |
349 |
S.E. |
0.29 |
0.28 |
0.25 |
0.27 |
317 |
150 |
92 |
62 |
薬効薬理
糖尿病や高トリグリセライド血症,脂肪肝を特徴とする脂肪萎縮症では,脂肪組織の消失及び血中レプチンの欠乏が認められる5),6)。レプチンは,脂肪組織より分泌されるホルモンであり,マウス及びラットを用いた試験で,摂食抑制,エネルギー消費亢進,インスリン感受性亢進,脂質代謝亢進をもたらし,糖代謝又は脂質代謝において重要な役割を果たしていることが示唆されている7),8)。メトレレプチンはヒトレプチンのN末端にメチオニンが1残基付加された遺伝子組換え型ヒトレプチン製剤である。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:メトレレプチン(遺伝子組換え)(JAN)
Metreleptin(Genetical Recombination)
分子式:C714H1167N191O221S6
分子量:16155.44
化学構造式:アミノ酸147個からなるポリペプチドである。
性状:無色澄明の液である。
承認条件
国内での治験症例が極めて限られていることから,製造販売後,一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は,全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより,本剤使用患者の背景情報を把握するとともに,本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し,本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
メトレレプチン皮下注用11.25 mg「シオノギ」:1瓶
主要文献
〔文献請求番号〕
1)
社内資料(国内の医師主導治験)〔201300220〕
2)
社内資料(両側腎摘出マウスにおける単回静脈内投与時の血清中メトレレプチン濃度)〔201300223〕
3)
社内資料(国内の臨床研究)〔201300221〕
4)
社内資料(海外の臨床試験)〔201300222〕
5)
Javor,E.D.et al.:Diabetes.,2005,54,1994〔201300224〕
6)
Ebihara,K.et al.:J.Clin.Endocrinol.Metab.,2007,92,532〔201300225〕
7)
Farooqi,I.S.et al.:Am.J.Clin.Nutr.,2009,89(3),980S〔201300226〕
8)
Friedman,J.M.:Am.J.Clin.Nutr.,2009,89(3),973S〔201300227〕
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
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