ジェービックV,Dry cell culture Japanese Nao inflammation chi ku wa nn
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作成又は改訂年月
**2014年8月改訂(第12版)
*2013年11月改訂
日本標準商品分類番号
876313
薬効分類名
ウイルスワクチン類
承認等
販売名
ジェービックV
販売名コード
631340ND1022
承認・許可番号
承認番号
22100AMX00439000
薬価基準収載年月
適用外
販売開始年月
2009年6月
貯法・使用期限等
貯法
遮光して、10℃以下に保存(【取扱い上の注意】参照)
有効期間
製造日から3年(最終有効年月日は外箱等に表示)
基準名
生物学的製剤基準
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン
規制区分
生物由来製品
劇薬
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
製法の概要及び組成・性状
製法の概要
**本剤は日本脳炎ウイルス北京株をVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)で増殖させ、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化した後、硫酸プロタミンで処理し、超遠心法で精製し、安定剤を加え充填した後、凍結乾燥したものである。
なお、本剤は製造工程で、ウシの血液由来成分(血清)、乳由来成分(エリスロマイシンラクトビオン酸塩、ラクトース)、ウシ及びヒツジの胆汁由来成分(デオキシコール酸ナトリウム)、ブタの膵臓由来成分(トリプシン)を使用している。
組成
本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解した時、液剤0.5mL中に次の成分を含有する。
有効成分
不活化日本脳炎ウイルス北京株 参照品(力価)と同等以上
安定剤
乳糖水和物 17.86mg(乳糖水和物:ウシの乳由来成分。)
ホルマリン(ホルムアルデヒド換算) 0.01mg
L-グルタミン酸ナトリウム 3.57mg
等張化剤
塩化ナトリウム 0.83mg以下
塩化カリウム 0.02mg以下
緩衝剤
リン酸二水素カリウム 0.02mg以下
リン酸水素ナトリウム水和物 0.30mg以下
希釈剤
TCM-199 0.11mL
性状
本剤は、白色の乾燥製剤である。
添付の溶剤を加えると、速やかに溶解して無色の澄明又はわずかに白濁した液剤となる。
pH
6.8~7.6
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
1.0±0.2
一般的名称
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン
接種不適当者
(次の患者には投与しないこと)
(予防接種を受けることが適当でない者)
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
(1)
明らかな発熱を呈している者
(2)
重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
(3)
本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
(4)
上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
効能又は効果
本剤は、日本脳炎の予防に使用する。
用法及び用量
本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解する。
◎初回免疫:通常、0.5mLずつを2回、1~4週間の間隔で皮下に注射する。ただし、3歳未
満の者には、0.25mLずつを同様の用法で注射する。
◎追加免疫:通常、初回免疫後おおむね1年を経過した時期に、0.5mLを1回皮下に注射する。ただし、3歳未満の者には、0.25mLを同様の用法で注射する。
用法及び用量に関連する接種上の注意
1. 基礎免疫、追加免疫及び免疫の保持
初回免疫として2回接種を行い、さらに第1回の追加免疫を行うことにより基礎免疫ができる。その後の追加免疫のときの接種量は第1回目の追加免疫に準ずることとし、接種間隔は地域における日本脳炎ウイルスの汚染状況などに応じて実施すること。
2. 定期接種対象者と標準的接種年齢
(1)
第1期は、生後6月から90月に至るまでの間に行う。初回免疫は3歳に達した時から4歳に達するまでの期間、追加免疫は4歳に達した時から5歳に達するまでの期間を標準的な接種年齢とする。
(2)
第2期の予防接種は、9歳以上13歳未満の者に行う。9歳に達した時から10歳に達するまでの期間を標準的な接種年齢とする。
(3)
平成7年4月2日生まれから平成19年4月1日生まれの者のうち、7歳6カ月以上9歳未満の者及び13歳以上20歳未満の者についても定期の予防接種の対象とする。
なお、本剤の定期の予防接種への使用については、予防接種実施規則によること。
3. *他のワクチン製剤との接種間隔
生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。
ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。
接種上の注意
接種要注意者
(次の患者には慎重に投与すること)
(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
(1)
心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
(2)
予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
(3)
過去にけいれんの既往のある者
(4)
過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5)
本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者
重要な基本的注意
1.
本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
2.
被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
3.
被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
副反応
副反応等発現状況の概要
承認時までの臨床試験:
第1期初回及び第1期追加接種において、本剤を接種された生後6月以上90月未満の小児123 例中49 例(39.8%)に副反応が認められた。主なものは発熱(18.7%)、咳嗽(11 .4%)、鼻漏(9.8%)、注射部位紅斑(8.9%)であり、これらの副反応のほとんどは接種3日後までにみられた。
臨床研究1):
第1期追加接種において、第1期初回接種でマウス脳由来日本脳炎ワクチンを接種された4~9歳で第1期初回接種後おおむね1年を経過した小児81例中8例9件(注射部位紅斑、注射部位腫脹各2件、発疹、咳、嘔吐、下痢、鼻汁各1件)の副反応が認められた。第2期相当追加接種において、第1期初回及び第1期追加接種で本剤を接種された7~12歳の小児46例中10例13件の副反応が認められた。その内訳は、注射部位紅斑6件、注射部位腫脹3件、発熱2件、咳、頭痛各1件であった。第2期相当追加接種において、第1期初回及び第1期追加接種でマウス脳由来日本脳炎ワクチンを接種された7~13歳の小児161例中30例48件の副反応が認められた。主な副反応は、注射部位紅斑17件、注射部位腫脹14件であった。
使用成績調査(第6回定期報告時):
第1期初回接種症例3161例中919例(29.1%)に副反応が認められた。その主なものは注射部位紅斑526件(16.6%)、発熱188件(5.9%)、注射部位腫脹163件(5.2%)、注射部位疼痛142件(4.5%)、注射部位そう痒感120件(3.8%)、咳嗽49件(1.6%)、鼻漏37件(1.2%)であった。
特定使用成績調査(第6回定期報告時):
第1期追加接種症例945例中344例(36.4%)に副反応が認められた。その主なものは注射部位紅斑238件(25.2%)、注射部位腫脹143件(15.1%)、注射部位疼痛126件(13.3%)、注射部位そう痒感55件(5.8%)、発熱21件(2.2%)、頭痛、倦怠感各10件(1.1%)であった。
第2期接種(第1期本剤接種)症例22例中7例(31.8%)に副反応が認められた。発現した副反応は注射部位紅斑、注射部位疼痛各3件(13.6%)、注射部位そう痒感、注射部位腫脹、頭痛各1件(4.5%)であった。
第2期接種(第1期マウス脳由来ワクチン接種)症例396例中153例(38.6%)に副反応が認められた。その主なものは注射部位疼痛72件(18.2%)、注射部位紅斑65件(16.4%)、注射部位腫脹46件(11.6%)、注射部位そう痒感14件(3.5%)、頭痛、倦怠感各10件(2.5%)、発熱8件(2.0%)、口内炎4件(1.0%)であった。
第2期接種(第1期接種未完了)症例271例中96例(35.4%)に副反応が認められた。その主なものは注射部位紅斑64件(23.6%)、注射部位疼痛47件(17.3%)、注射部位腫脹38件(14.0%)、注射部位そう痒感10件(3.7%)、倦怠感7件(2.6%)、頭痛4件(1.5%)であった。
重大な副反応
1.
ショック、アナフィラキシー(0.1%未満):ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
2.
急性散在性脳脊髄炎2, 3)(0.1%未満):急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
3.
けいれん(頻度不明):けいれんがあらわれることがある。通常、接種直後から数日ごろまでにけいれん症状があらわれる。本症が疑われる場合には、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
4.
血小板減少性紫斑病(頻度不明):血小板減少性紫斑病があらわれることがある。通常、接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれる。本症が疑われる場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
5.
脳炎・脳症(頻度不明):脳炎・脳症があらわれることがある。接種後、 発熱、四肢麻痺、けいれん、意識障害等の症状があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI 等で診断し、適切な処置を行うこと。
その他の副反応
局所症状(注射部位)
5%以上
紅斑
局所症状(注射部位)
0.1~5%未満
腫脹,疼痛,そう痒感,発疹,蕁麻疹,内出血,出血
局所症状(注射部位)
頻度不明
硬結
精神神経系
頻度不明
*頭痛,失神・血管迷走神経反応
呼吸器
5%以上
咳嗽,鼻漏
呼吸器
0.1~5%未満
咽頭紅斑,咽喉頭疼痛
消化器
0.1~5%未満
嘔吐,下痢,食欲不振
消化器
頻度不明
*腹痛,嘔気
皮膚
0.1~5%未満
発疹,蕁麻疹
皮膚
頻度不明
紅斑,そう痒症
その他
5%以上
発熱
その他
頻度不明
倦怠感,悪寒,四肢痛,関節痛
高齢者への接種
一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、接種に当たっては、予診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への接種
妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
接種時の注意
1. 接種時
(1)
接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。
(2)
本剤の溶解に当たっては、容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、添付の溶剤で均一に溶解して、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用してはならない。
(3)
注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(4)
注射針及び注射筒は、被接種者ごとに取り換えなければならない。
2. 接種部位
接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。なお、同一接種部位に反復して接種することは避けること。
臨床成績
1. 治験時の成績
生後6月以上90月未満の健康小児123例(男児67例、女児56例)を対象として、日本脳炎ワクチンの第1期予防接種スケジュールに準じて臨床試験を実施した。臨床試験の概要は次のとおりである。
本剤の初回2回接種後の中和抗体陽転率を主要評価とし、抗体陽転は接種前中和抗体価(log10)が陰性(1.3未満)から陽性(1.3以上)になった場合とした。有効性評価対象例数は122例であり、抗体陽転率は99.2%、接種後平均中和抗体価(log10)は2.4±0.5であった。3回接種では抗体陽転率は100.0%であり、接種後平均中和抗体価(log10)は3.8±0.3と抗体価の上昇がみられた。
2. 製造販売後の成績
第1期初回免疫に2回マウス脳由来ワクチン接種を受けた4~9歳の児81例に、本剤を第1期追加免疫として接種したところ平均中和抗体価(log10)の上昇(接種前:2.0±0.5→接種後:3.8±0.5)がみられた。
第1期に3回マウス脳由来ワクチン接種を受けた7~13歳の児161例に、第2期相当に本剤を追加接種したところ平均中和抗体価(log10)の上昇(接種前:2.6±0.5→接種後:3.7±0.3)がみられた。
また、第1期に3回本剤接種を受けた7~12歳の児46例に、第2期相当に本剤を追加接種したところ平均中和抗体価(log10)の上昇(接種前:3.1±0.4→接種後:3.9±0.3)がみられた。1)
薬効薬理
日本脳炎ウイルスは、ウイルスに感染したコガタアカイエカの穿刺により感染する。本ウイルスは局所のリンパ組織で増殖した後、ウイルス血症を起こし、血液・脳関門を通って中枢神経系に運ばれると、日本脳炎を発症すると考えられている。あらかじめ本剤の接種により、日本脳炎ウイルスに対する能動免疫、特に中和抗体による液性免疫が獲得されていると、感染したウイルスの増殖は抑制され、発症は阻止される。
<参考>
受動免疫したマウスへの感染実験では、血中に10倍の中和抗体価があれば、105MLD50(50%マウス致死量)の日本脳炎ウイルス感染を防御するとの成績が示されている。蚊の1回の穿刺により、注入されるウイルスは103~104MLD50とされている。これらの成績から、血中に10倍の中和抗体価があると、ウイルス感染が阻止されるものと考えられている4)。
取扱い上の注意
1. 接種前
溶解時に内容をよく調べ、沈殿及び異物の混入、その他異常を認めたものは使用しないこと。
2. 接種時
本剤の溶解は接種直前に行い、一度溶解したものは直ちに使用すること。
承認条件
本剤は、製造販売後、可及的速やかに重篤な副反応に関するデータを収集し、段階的に評価を行うとともに、その結果を踏まえ、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
瓶入 1人分 1本
溶剤(日本薬局方注射用水) 0.7mL 1本添付
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
岡部信彦 他:乾燥細胞日本脳炎ワクチンの追加接種の有効性安全性に関する検討、厚生労働科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)、平成22年度総括・分担研究報告書
2)
予防接種ガイドライン等検討委員会 監修.予防接種ガイドライン:(2009年3月改訂版)
3)
森内浩幸 他:予防接種制度に関する文献集,(18):287(昭和63年11月)
4)
Oya, A.:Acta Paediatr. Jpn., 30:175(1988)
文献請求先
一般財団法人 阪大微生物病研究会 学術課
〒565-0871 吹田市山田丘3番1号
電話 0120-280-980
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区北浜2-6-18
電話 0120-753-280
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
一般財団法人 阪大微生物病研究会
香川県観音寺市八幡町二丁目9番41号
販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区北浜2-6-18