阿昔洛韦点滴静注用 ゾビラックス点滴静注用250(Aciclovir)
ゾビラックス点滴静注用250 阿昔洛韦点滴静注用 ゾビラックス点滴静注用250(Aciclovir)
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作成又は改訂年月
-
** 2014年11月改訂 (第15版)(下線:改訂箇所)
-
* 2013年11月改訂 (第14版)
日本標準商品分類番号
-
87625
日本標準商品分類番号等
-
再審査結果公表年月(最新)
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1992年6月
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効能又は効果追加承認年月(最新)
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2010年6月
薬効分類名
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抗ウイルス化学療法剤
承認等
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販売名
-
ゾビラックス点滴静注用250
販売名コード
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6250401F1155
承認・許可番号
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承認番号
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21800AMX10232
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商標名
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Zovirax for I.V. infusion 250
薬価基準収載年月
-
2006年6月
販売開始年月
-
1985年8月
貯法・使用期限等
-
貯法
-
室温保存
-
使用期限
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包装に表示
基準名
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日本薬局方
-
注射用アシクロビル
規制区分
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処方箋医薬品
-
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
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成分・含量
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1バイアル中に日局アシクロビル250mgを含有
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添加物
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水酸化ナトリウム
性状
-
性状
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本剤は、白色~微黄白色の軽質の塊又は粉末を注射用バイアルに充てんした注射剤である。本剤1バイアルを日局生理食塩液100mLに溶かしたときのpH、浸透圧比は、次のとおりである。
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pH
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約10.4
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浸透圧比
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約1.1
一般的名称
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アシクロビル
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Aciclovir
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
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本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者
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効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
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単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する下記感染症
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免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹
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脳炎・髄膜炎
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新生児単純ヘルペスウイルス感染症
用法及び用量
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新生児単純ヘルペスウイルス感染症
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通常、新生児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり10mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、10日間点滴静注する。
なお、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。
-
〈注射液の調製法〉
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1バイアル(アシクロビル250mgを含有)を日局注射用水又は日局生理食塩液10mLに溶解し、投与量に相当する量を1バイアル当たり100mL以上の補液で希釈する(用時調製)。
-
-
免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹
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脳炎・髄膜炎
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[成人]
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通常、成人にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。
なお、脳炎・髄膜炎においては、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり10mgまでとする。
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[小児]
-
通常、小児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。
なお、必要に応じて増量できるが、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。
さらに、脳炎・髄膜炎においては、投与期間の延長もできる。
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新生児単純ヘルペスウイルス感染症
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通常、新生児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり10mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、10日間点滴静注する。
なお、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。
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〈注射液の調製法〉
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1バイアル(アシクロビル250mgを含有)を日局注射用水又は日局生理食塩液10mLに溶解し、投与量に相当する量を1バイアル当たり100mL以上の補液で希釈する(用時調製)。
用法及び用量に関連する使用上の注意
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腎障害のある患者又は腎機能の低下している患者、高齢者では、精神神経系の副作用があらわれやすいので、投与間隔を延長するか又は減量するなど注意すること。なお、本剤の投与間隔及び減量の標準的な目安は下表のとおりである(参考)注)(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「高齢者への投与」、「過量投与」及び「薬物動態」の項参照)。
-
クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2):>50
-
標準1回投与量に対応する百分率(%):100
投与間隔(時間):8
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クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2):25~50
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標準1回投与量に対応する百分率(%):100
投与間隔(時間):12
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クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2):10~25
-
標準1回投与量に対応する百分率(%):100
投与間隔(時間):24
-
クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2):0~10
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標準1回投与量に対応する百分率(%):50
投与間隔(時間):24
-
-
注)外国人における成績である。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
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1.
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*腎障害のある患者[精神神経症状等があらわれやすい。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)]
-
2.
-
肝障害のある患者[肝障害が増悪するおそれがある。]
-
3.
-
*高齢者[精神神経症状等があらわれやすい。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」、「高齢者への投与」及び「薬物動態」の項参照)]
重要な基本的注意
-
1.
-
点滴静注によってのみ投与すること。
-
2.
-
本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。
-
3.
-
**本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者においては、本剤の投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「過量投与」の項参照)
-
4.
-
腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者等の脱水症状をおこしやすいと考えられる患者では、本剤の投与中は適切な水分補給を行うこと(「高齢者への投与」の項参照)。
-
5.
-
*意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
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1. 薬剤名等
**プロベネシド
-
臨床症状・措置方法
-
本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある1)。注)
-
機序・危険因子
-
プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる(「薬物動態」の項参照)。
-
2. 薬剤名等
**シメチジン
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臨床症状・措置方法
-
アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)2)。注)
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機序・危険因子
-
シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる(「薬物動態」の項参照)。
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3. 薬剤名等
**ミコフェノール酸 モフェチル
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臨床症状・措置方法
-
本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある3)。注)
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機序・危険因子
-
本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。
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4. 薬剤名等
**テオフィリン
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臨床症状・措置方法
-
本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある4)。
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機序・危険因子
-
機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。
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注)特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
-
-
-
総症例4951例中、228例(4.60%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告されている。その主なものは、ALT(GPT)上昇51例(1.03%)、AST(GOT)上昇41例(0.82%)、嘔気22例(0.44%)、嘔吐15例(0.30%)であった(再審査終了時)。
重大な副作用
次のような症状がまれにあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1. *アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難(0.06%)、血管浮腫等)
2. 汎血球減少(頻度不明注1))、無顆粒球症(頻度不明注1))、血小板減少(頻度不明注1))、播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.02%)、血小板減少性紫斑病(頻度不明注1))
3. 急性腎不全(頻度不明注1))
4. 精神神経症状
意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等(0.2%)
5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(いずれも頻度不明注1))
6. 呼吸抑制(頻度不明注1))、無呼吸(0.02%)
7. 間質性肺炎
(頻度不明注1))
8. 肝炎、肝機能障害、黄疸
(いずれも頻度不明注1))
9. 急性膵炎
(頻度不明注1))
その他の副作用
-
次のような症状があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
-
1. 過敏症注2)
-
0.1%~5%未満
-
発熱、発疹、紅斑、蕁麻疹
-
2. 過敏症注2)
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0.1%未満
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そう痒
-
3. 過敏症注2)
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頻度不明注1)
-
水疱、固定薬疹、光線過敏症
-
4. 血液
-
0.1%~5%未満
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貧血
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5. 血液
-
0.1%未満
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紫斑、血小板減少、顆粒球減少、好酸球増多、リンパ球増多
-
6. 血液
-
頻度不明注1)
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出血、白血球増多、好塩基球増多、リンパ球減少、血小板増多
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7. 肝臓
-
0.1%~5%未満
-
肝機能検査値異常(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇)
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8. 肝臓
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頻度不明注1)
-
肝腫大
-
9. **腎臓・泌尿器
-
0.1%~5%未満
-
BUN上昇、血清クレアチニン値上昇
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10. **腎臓・泌尿器
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0.1%未満
-
蛋白尿、血尿、尿円柱
-
11. **腎臓・泌尿器
-
頻度不明注1)
-
乏尿、膿尿、結晶尿、尿閉、排尿困難
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12. 消化器
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0.1%~5%未満
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嘔気、嘔吐、腹痛、胃痛、心窩部痛、胃不快感
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13. 消化器
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0.1%未満
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下痢、軟便、食欲不振
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14. 消化器
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頻度不明注1)
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胃炎、消化不良、舌炎、口渇、便秘、鼓腸放屁
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15. 精神神経系
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0.1%未満
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意識障害、傾眠、見当識障害、情動失禁、そう状態、多弁、不安、れん縮、しびれ感、振戦、めまい、眠気
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16. 精神神経系
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頻度不明注1)
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感情鈍麻、うつ状態、集中力障害、徘徊、離人症、興奮、健忘、不眠、言語障害、独語、異常感覚、運動失調、歩行異常、不随意運動、眼振等
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17. 循環器
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0.1%~5%未満
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胸痛
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18. 循環器
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0.1%未満
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頻脈、動悸、血圧上昇
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19. 循環器
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頻度不明注1)
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不整脈、血圧低下
-
20. 筋骨格
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頻度不明注1)
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関節痛、筋肉痛
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21. 全身症状
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0.1%~5%未満
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全身けん怠感、発熱、頭痛
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22. 全身症状
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0.1%未満
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蒼白、ほてり、悪寒
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23. 全身症状
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頻度不明注1)
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失神、浮腫、脱力感、筋力低下
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24. 適用部位
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0.1%未満
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注射部壊死
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25. 適用部位
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頻度不明注1)
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注射部炎症
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26. その他
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0.1%未満
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呼吸困難、血清トリグリセライド値上昇、血清コレステロール値上昇、血清蛋白低下、尿糖
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27. その他
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頻度不明注1)
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肺炎、咽頭炎、喘鳴、胸水、疼痛、難聴、結膜炎、視力異常、味覚障害、脱毛、発汗、低ナトリウム血症、血清アルブミン低下、AG比低下、血清カリウム値上昇
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注1)自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
-
注2)このような場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
-
-
本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあるので、投与間隔又は投与量を調節し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)。また、本剤の投与中は適切な水分補給を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
-
1.
-
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている5)。]
-
2.
-
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中への移行が報告されている(「薬物動態」の項参照)。]
過量投与
-
徴候、症状
-
本剤の過量投与の場合は、血清クレアチニン及びBUNの上昇に続き腎不全の発現が認められている。また、過量静脈内投与後に、精神神経症状(錯乱、幻覚、興奮、てんかん発作、昏睡等)が認められている。
-
処置
-
患者の状態を注意深く観察すること。血液透析により、アシクロビルを血中より効率的に除去することができるので、過量投与により症状が発現した場合は、処置の一つとして血液透析を考慮すること(「薬物動態」の項参照)。
適用上の注意
-
1. 投与時
-
点滴静注に際し、ときに投与部位の血管痛を訴えたり、血管の脆弱化(血管外へ漏れやすくなる)があらわれることがあるので、薬液が血管外へ漏れないように慎重に投与すること。
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2. 調製方法
-
溶液の調製後は速やかに使用し、使用残りの溶液は廃棄すること。なお、補液で希釈する際、補液によっては白濁あるいは結晶が析出する場合があるのでそのような場合には使用しないこと。希釈溶液を含め、調製溶液の冷却は結晶の析出をまねきやすいので冷却しないこと。
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3. 調製時
-
本剤はアルカリ性を呈し、pH等の変化により配合変化が起こりやすいので、他剤との混注は可能な限り避けること。
その他の注意
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1.
-
骨髄小核試験において、高用量(マウス腹腔内投与、180mg/kg以上)で染色体異常の誘発性を疑わせる所見が得られている。
[Ames試験、マウス優性致死試験等では陰性であったが、マウスに180,360,720mg/kgを腹腔内1回投与した骨髄小核試験では、小核出現頻度に用量相関性の有意な増加が認められた。]
-
2.
-
高度の肥満を有する女性7例(標準体重の203±20.6%)に5mg/kgを投与したところ標準体重の女性5例(標準体重の96.3±15.4%)に比しアシクロビル血中濃度(Cmax及び投与後12時間値)が約2倍となったが、体重あたりのアシクロビルの全身クリアランス及び分布容積をそれぞれ標準体重で補正した値は両者間に差がなかった。このような高度の肥満患者に本剤を投与する場合には、標準体重に基づいた用量で投与すべきとの報告がある6)。
薬物動態
-
1. 吸収
-
健康成人への5又は10mg/kg1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約2.5時間、全身クリアランスは、336.6±26.9mL/min、定常状態の分布容積は、47.0±3.7Lであった7)。
1日3回、8時間毎の1時間点滴静注終了時における血漿中濃度は、5又は10mg/kgでそれぞれ5.6~9.2又は8.3~13.9μg/mL、また各回点滴開始後8時間の濃度はそれぞれ0.5又は0.8~1.3μg/mLであった。
薬物動態は、外国人とほぼ同等であった。(参照:5.小児等における薬物動態)
-
(1)
-
ヘルペス群ウイルス感染症の患者への投与では、水疱液中のアシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であり8)、髄液中濃度は血漿中濃度の約1/2であった9)。
-
(2)
-
アシクロビル200mgの1日5回経口投与後、乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍を示し、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった10)。
-
3. **代謝・排泄
-
健康成人へ5又は10mg/kgを1時間点滴静注した時、48時間以内にそれぞれ68.6%又は76.0%が未変化体として尿中排泄された7)。主たる尿中代謝体は9-カルボキシメトキシメチルグアニン(投与量の約7%)であった。
In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1又はOAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった11)~14)。
-
4. 腎機能障害者における薬物動態(外国人における成績)
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重症腎機能障害患者への2.5mg/kg1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約19.5時間であった。また、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した15)。
腎機能障害のある患者では、点滴静注時にアシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた。これらの結果から、患者の腎機能に対応する本剤の投与間隔及び減量の標準的な目安を算出した9)(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
-
5. 小児等における薬物動態(外国人における成績)9),16)
-
小児と成人の薬物動態の比較は下表に示したとおりである。小児患者へ、250又は500mg/m2(約5又は10mg/kgに相当)1時間点滴静注時の最高血漿中濃度は10.3又は20.7μg/mLであり、薬物動態は成人とほぼ同等であった。新生児患者では、血漿中半減期は成人や小児の約1.5倍であり、やや長かったが、最高血漿中濃度は、5又は10mg/kgを1時間点滴静注時に、6.8 又は13.8μg/mLであり、成人や小児とほぼ同等であった。
小児と成人の薬物動態の比較
|
症例数 |
投与量
(mg/kg/回) |
半減期
(hr) |
全身クリアランス
(mL/min/1.73m2) |
Vdss
(L/1.73m2) |
新生児
(0~3ヵ月) |
11 |
5,10 |
4.05±1.22 |
105±42 |
28.8±9.3 |
小児
1~2才 |
4 |
5,10 |
1.86±0.42 |
325±76 |
31.6±4.2 |
小児
2~7才 |
5 |
5,10 |
2.16±1.08 |
366±101 |
42.0±13.0 |
小児
7~12才 |
6 |
5,10 |
2.81±1.10 |
353±142 |
51.2±18.3 |
小児
12~17才 |
3 |
5,10 |
3.58±0.59 |
263±95 |
53.6±14.6 |
成人
(平均58才) |
14 |
2.5~15 |
2.63±0.52 |
292±82 |
46.6±8.5 |
-
Vdss:定常状態の分布容積
臨床成績
-
(1)
-
免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹、水痘、帯状疱疹に対する有効率は、それぞれ85.1%(40/47)、94.4%(68/72)、90.6%(144/159)であった。
-
(2)
-
単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する脳炎及び髄膜炎に対する有効率は、それぞれ68.4%(13/19)、90.0%(9/10)であった。
-
(1) 小児
-
国内で実施された511例の内、小児での有効率は91.5%(183/200)であった21),22)。
その内訳は、1才未満86.7%(13/15)、1~3才90.2%(37/41)、4~6才89.3%(50/56)、7~9才94.3%(33/35)、10~12才96.9%(31/32)、13~14才90.5%(19/21)で、副作用は3.2%(7/219)にみられた。
-
1) 国内19),21)~23)
-
新生児患者10例(1日~1ヵ月齢、体重1.6~4.0kg)に対し、5mg/kg(7例)、10mg/kg(2例)、11mg/kg→5.5mg/kg(1例)、1日3回、3~12日間の投与が行われた。
この内、単純ヘルペスウイルスに起因する全身感染症には4/5、重症の水痘には2/2が有効であった。
副作用は、全身感染症の1例に一過性のAST(GOT)、ALT(GPT)の上昇がみられた。
-
2) 外国(外国人における成績)24)
-
低出生体重児を含む9例の新生児患者(4日~60日齢、体重0.88~4.55kg)に対し、5~15mg/kg、1日3回、5~10日間投与された。
単純ヘルペスウイルスに起因する全身感染症においては3/4 が有効であった。
本剤に起因する副作用は認められなかった。
薬効薬理
-
(1) 単純ヘルペスウイルスに対する作用
-
アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった25),26)。また、ウサギの角膜に単純ヘルペスウイルス1型を接種して脳炎を発生させ、6日目から10日間アシクロビル15mg/kgを1日2回静脈内投与した実験では、30日目における生存率はアシクロビル投与群90%(9/10)、対照(生理食塩液)群30%(3/10)であり、また、アシクロビル投与による眼及び神経症状の改善が認められた。
-
(2) 水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用
-
アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった27)~29)。
-
2. 作用機序27),30)~34)
-
アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する。
アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
-
一般名
-
アシクロビル(Aciclovir)
-
化学名
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2-Amino-9-[(2-hydroxyethoxy)methyl]-1,9-dihydro-6H-purin-6-one
-
分子式
-
C8H11N5O3
-
分子量
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225.20
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構造式
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性状
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白色~微黄白色の結晶性の粉末である。水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液又は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
包装
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ゾビラックス点滴静注用250:250mg×5バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
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1)
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**Laskin OL,et al.:Antimicrob Agents Chemother,21,804-807(1982)
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2)
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**De Bony F,et al.:Antimicrob Agents Chemother,46,458-463(2002)
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3)
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**Bullingham RES,et al.:Clin Pharmacokinet,34,429-455(1998)
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4)
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**Maeda Y,et al.:Biol Pharm Bull,19,1591-1595(1996)
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5)
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6)
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7)
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8)
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9)
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10)
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11)
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**Cheng Y,et al.:Drug Metab Dispos,40,617-624(2012)
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14)
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**Tanihara Y,et al.:Biochem Pharmacol,74,359-371(2007)
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15)
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17)
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正岡 徹ほか:臨床とウイルス,11,263-271(1983)
-
18)
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正岡 徹ほか:癌と化学療法,10(PARTI),944-952(1983)
-
19)
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正岡 徹ほか:臨床とウイルス,11,272-278(1983)
-
20)
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大谷杉士ほか:臨床とウイルス,11,282-295(1983)
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21)
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辻野儀一ほか:小児科,25,393-397(1984)
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西村昂三ほか:小児科診療,46,1151-1156(1983)
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23)
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増田英子ほか:小児科診療,46,253-257(1983)
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Biron KK,et al.:Antimicrob Agents Chemother,18,443-447(1980)
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武藤茂生ほか:小児科臨床,36,2785-2790(1983)
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32)
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33)
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St Clair MH,et al.:Antimicrob Agents Chemother,18,741-745(1980)
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34)
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Miller WH,et al.:J Biol Chem,255,7204-7207(1980)
文献請求先
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グラクソ・スミスクライン株式会社
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〒151-8566 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
カスタマー・ケア・センター
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TEL:0120-561-007(9:00~18:00/土日祝日及び当社休業日を除く)
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FAX:0120-561-047(24時間受付)
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
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グラクソ・スミスクライン株式会社
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東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
http://glaxosmithkline.co.jp
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