Certican(Everolimus Tablets)依维莫司片,サーティカン錠0.25mg/サーティカン錠0.5mg/サーティカン錠0.75mg
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依维莫司(Everolimus)由瑞士诺华公司(Novartis)首先研制开发成功,于2009年3月美国FDA批准其在美国上市销售,用于舒尼替尼或索拉非尼治疗无效的晚期肾癌患者(商品名:Afinitor)。2010年4月FDA 批准其用于预防有轻中度免疫排斥风险的肾脏移植患者出现的肾脏移植的排异反应(商品名:Zortress)。2011年,FDA批准依维莫司扩大其适应证,用于治疗不宜手术的罕见遗传性疾病脑部良性肿瘤室管膜下巨细胞星形细胞瘤(SEGA)。
依维莫司(Everolimus)是一种大环内酯类药物,结构上属于雷帕霉素(rapamycin)的衍生物,故又称为40-O-(2-羟乙基)-雷帕霉素,功能上其属于mTOR激酶抑制剂,作用机制主要是与细胞内蛋白FKBP-12结合形成抑制复合物,从而抑制mTOR激酶的活性,降低mTOR的下游效应物S6核糖体蛋白激酶(S6K1)和真核延伸因子4E结合蛋白(4E-BP)的活性,干扰癌细胞的生长、分化和代谢,发挥抗肿瘤效应。
研究显示,依维莫司具有免疫抑制作用、抗肿瘤作用、抗病毒作用、血管保护作用等。目前,临床上依维莫司主要用来预防预防有轻中度免疫排斥风险的肾脏移植患者出现的肾脏移植的排异反应,以及用于舒尼替尼或索拉非尼治疗无效的晚期肾癌患者。此外,除了肾细胞癌,依维莫司也正在进行对神经内分泌肿瘤、淋巴瘤、其他癌症以及结节性硬化症的研究,可作为单一制剂或者与现有的癌症治疗方法合用。
依维莫司相对于目前已上市药物具有以下几个特点:
(1)高效作用:临床研究显示,依维莫司比常规的酪氨酸激酶抑制剂具有更加高效的抗肿瘤作用,可用于治疗舒尼替尼或索拉非尼无效的晚期肾癌患者。
(2)毒副作用轻微: 与酪氨酸激酶抑制剂舒尼替尼或索拉非尼用于抗肿瘤治疗相比,依维莫司具有更加轻微的毒副作用。临床研究显示,本品可预防器官排异,保护肾功能,同时与钙调素抑制剂麦考酚酸酯相比,其可使环孢菌素的用量降低60%,提示联用本品可在保持同等疗效的情况下降低钙调素抑制剂的不良反应。
(3)优越的药物动力学性质:与雷帕霉素相比,其具有更加优越的药物动力学性质。
作成又は改訂年月
** 2013年10月改訂(第8版)
* 2012年8月改訂
日本標準商品分類番号
873999
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
2011年12月
国際誕生年月
2003年7月
薬効分類名
免疫抑制剤(mTOR阻害剤)
承認等
販売名
サーティカン錠0.25mg
販売名コード
3999022F1028
承認・許可番号
承認番号
21900AMX00043000
商標名
Certican Tablets
薬価基準収載年月
2007年3月
販売開始年月
2007年3月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること
規制区分
劇薬
処方せん医薬品
(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
組成
成分・含量
1錠中エベロリムス0.25mg
添加物
ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、ヒプロメロース、クロスポビドン
性状
性状
白色~黄色のまだらをもつ素錠
外形
識別コード
NVR C
大きさ(約)
直径:6.0mm 厚さ:2.4mm 質量:0.08g
販売名
サーティカン錠0.5mg
販売名コード
3999022F2024
承認・許可番号
承認番号
21900AMX00044000
商標名
Certican Tablets
薬価基準収載年月
2007年3月
販売開始年月
2007年3月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること
規制区分
劇薬
処方せん医薬品
(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
組成
成分・含量
1錠中エベロリムス0.5mg
添加物
ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、ヒプロメロース、クロスポビドン
性状
性状
白色~黄色のまだらをもつ素錠
外形
識別コード
NVR CH
大きさ(約)
直径:7.0mm 厚さ:2.8mm 質量:0.125g
販売名
サーティカン錠0.75mg
販売名コード
3999022F3020
承認・許可番号
承認番号
21900AMX00045000
商標名
Certican Tablets
薬価基準収載年月
2007年3月
販売開始年月
2007年3月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること
規制区分
劇薬
処方せん医薬品
(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
組成
成分・含量
1錠中エベロリムス0.75mg
添加物
ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、ヒプロメロース、クロスポビドン
性状
性状
白色~黄色のまだらをもつ素錠
外形
識別コード
NVR CL
大きさ(約)
直径:8.5mm 厚さ:2.8mm 質量:0.1875g
一般的名称
エベロリムス錠
警告
心移植、腎移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
**本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能又は効果
下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
心移植、腎移植
用法及び用量
1. 心移植の場合
通常、成人にはエベロリムスとして1.5mgを、1日2回に分けて経口投与する。なお、開始用量は1日量として3mgまでを用いることができる。患者の状態やトラフ濃度によって適宜増減する。
2. 腎移植の場合
通常、成人にはエベロリムスとして1.5mgを、1日2回に分けて経口投与する。患者の状態やトラフ濃度によって適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注
1.
本剤の投与にあたっては、食事の影響があるため、食後又は空腹時のいずれかの一定の条件下で投与し、血中トラフ濃度(trough level)を測定し、投与量を調節すること。(【薬物動態】の項3.参照)
2.
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤(ネオーラル)及び副腎皮質ホルモン剤と併用すること。〔タクロリムスと本剤の併用における有効性及び安全性は検討されていない。また、シクロスポリンを併用しない場合、十分な効果が得られないおそれがある。更に、類薬(シロリムス)の試験において、移植3ヵ月後にシクロスポリンの投与を中止した腎移植患者において、急性拒絶反応の発現率がシクロスポリンの投与を継続した患者に比べて有意に増加したとの報告がある。1)〕
3.
シクロスポリンとの併用にあたっては下記に注意すること。
(1)
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤(ネオーラル)と同時投与が望ましい。
(2)
本剤の全血中濃度を定期的に測定すること。暴露量と有効性、及び暴露量と安全性の関連についての解析から、本剤の血中トラフ濃度(C0)が3.0ng/mL以上の患者では、3.0ng/mL未満の患者に比べて急性拒絶反応の発現率が低いことが認められている。推奨される治療濃度の上限は8ng/mLである。12ng/mLを超える濃度での有効性及び安全性の検討は実施されていない。
(3)
本剤の用量調節は、用量変更から4~5日以上経過してから測定したトラフ濃度(C0)に基づいて行うことが望ましい。シクロスポリンは本剤のバイオアベイラビリティを増加させるため、シクロスポリンの血中濃度が大幅に低下すると(トラフ濃度(C0)<50ng/mL)、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。(「重要な基本的注意2.」の項参照)
(4)
肝機能障害を有する患者では、本剤の血中トラフ濃度(C0)を頻繁に測定すること。
軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA又はB)を有する患者が以下の3項目の内2項目以上に該当する場合には、用量を通常量の約半量に減量すること:ビリルビン>2mg/dL、アルブミン<3.5g/dL、プロトロンビン時間>1.3INR(4秒を超える延長)。
更に、本剤の血中濃度に基づいて用量調節を行うこと。(【薬物動態】の項9.参照)
(5)
本剤は併用するシクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがあるため、腎移植患者及び維持期の心移植患者ではシクロスポリンの用量を減量すること。なお、シクロスポリンの用量は、シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)に基づいて調節する。(【臨床成績】の項 「シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(B253試験、A1202試験、A2309試験)」を参照)
(6)
シクロスポリンを減量する前に、本剤の定常状態の血中トラフ濃度(C0)が3ng/mL以上であることを確認すること。
4.
心移植における本剤の用量設定の際には、下記を参照すること。(海外心移植患者を対象として、標準量ネオーラル及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン(AZA)1~3mg/kg/日と比較した臨床試験(B253試験)の結果)
(1) 本剤(1.5mg/日及び3mg/日)の平均血中トラフ濃度別の有効性及び副作用発現率
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):3未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:44.1%(30/68)
副作用発現率:64.4%(47/73)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):3~4未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:32.7%(16/49)
副作用発現率:63.0%(34/54)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):4~5未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:18.6%( 8/43)
副作用発現率:62.5%(25/40)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):5~6未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:22.0%(11/50)
副作用発現率:57.5%(23/40)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):6~7未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:18.9%( 7/37)
副作用発現率:53.3%(16/30)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):7~8未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:23.8%(10/42)
副作用発現率:60.0%(18/30)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):8~9未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:21.4%( 6/28)
副作用発現率:63.0%(17/27)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):9~10未満
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:15.0%( 3/20)
副作用発現率:60.9%(14/23)
本剤の平均血中トラフ濃度(ng/mL):10以上
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:16.4%(11/67)
副作用発現率:77.2%(44/57)
本剤の平均血中トラフ濃度の確認できた全症例
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:-
副作用発現率:63.6%(238/374)
本剤投与全症例
グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率:26.4%(111/420)
副作用発現率:66.2%(278/420)
※本剤の平均血中トラフ濃度は、副作用発現例については投与開始から発現までの平均、副作用非発現例では投与開始からカットオフ日(最大450日)までの平均
※副作用は投与開始からカットオフ日(最大450日)まで、もしくは中止後7日以内に発現したもの
(2) 移植後1年間の時期別副作用発現率
移植後経過期間:~5日
本剤1.5mg/日投与:15.8%(33/209)
本剤3mg/日投与:13.7%(29/211)
移植後経過期間:6日~14日(2週)
本剤1.5mg/日投与: 9.3%(19/204)
本剤3mg/日投与:13.5%(28/207)
移植後経過期間:15日~30日(1ヵ月)
本剤1.5mg/日投与:23.1%(46/199)
本剤3mg/日投与:30.7%(62/202)
移植後経過期間:31日~90日(3ヵ月)
本剤1.5mg/日投与:23.0%(44/191)
本剤3mg/日投与:36.1%(69/191)
移植後経過期間:91日~365日(1年)
本剤1.5mg/日投与:40.1%(73/182)
本剤3mg/日投与:49.1%(84/171)
※副作用発現率(%)=(移植後経過期間中に1回以上副作用を発現した例数/移植後経過期間中に1日以上本剤を投与された例数)×100
(3) 本剤の血中トラフ濃度の経時推移
本剤の投与期間
2日目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):1.8±2.7
例数:148
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):4.2±3.6
例数:157
本剤の投与期間
1週目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.4±3.7
例数:159
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):10.2±6.8
例数:159
本剤の投与期間
2週目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.4±4.0
例数:159
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):10.0±7.2
例数:173
本剤の投与期間
3週目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.2±4.4
例数:155
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):10.2±6.6
例数:150
本剤の投与期間
1ヵ月目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.4±3.9
例数:147
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):8.9±6.0
例数:135
本剤の投与期間
2ヵ月目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.1±3.5
例数:152
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):8.7±5.1
例数:141
本剤の投与期間
3ヵ月目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):5.1±3.8
例数:143
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):9.1±6.3
例数:133
本剤の投与期間
6ヵ月目
本剤1.5mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):4.8±3.3
例数:108
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL):8.5±5.6
例数:109
(血中トラフ濃度は平均値±SD)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
*肝機能障害のある患者〔血中濃度が上昇するおそれがある。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>3.(4)の項、【薬物動態】の項9.参照)
2.
腎機能障害のある患者〔本剤はシクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがある。〕
3.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
4.
感染症を合併している患者〔免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
シクロスポリン及び副腎皮質ホルモン剤との併用に際しては、シクロスポリン及び副腎皮質ホルモン剤の添付文書に記載されている「警告」、「禁忌」、「併用禁忌」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「重大な副作用」等の【使用上の注意】を必ず確認すること。
本剤はシクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがあるので特に注意すること。(【臨床成績】の項参照)
2.
シクロスポリンの併用により本剤のバイオアベイラビリティは有意に増加する。健康成人を対象とした単回投与試験において、本剤にネオーラルを併用投与したところ、単独投与時に比べて本剤のAUCは168%(範囲46%~365%)、Cmaxは82%(範囲25%~158%)増加した。従って、シクロスポリンの用量を変更する場合には、本剤の用量調節が必要であると考えられる。(【薬物動態】の項11.参照)なお、ネオーラルを投与中の心移植患者において、シクロスポリンの薬物動態に対する本剤の臨床的影響はごく軽微であった。
3.
ダイレクトクロスマッチ陽性等、抗ドナー抗体等の拒絶反応のリスク因子を有する患者を対象とした適切な臨床試験は実施されていない。
4.
高脂血症のある患者に本剤を投与する場合には治療上の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔症状が悪化するおそれがある。〕
本剤を投与している患者では、定期的に血清脂質の検査を行うこと。高脂血症がみられた場合には、適切な食事指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
5.
本剤を投与する場合には感染症の発現又は増悪に十分注意すること。〔免疫抑制作用により、感染症が発現又は悪化するおそれがある。〕
6.
免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
相互作用
本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝され、腸管に存在するCYP3A4によっても代謝される。また、本剤はP糖蛋白(Pgp)の基質でもあるため、本剤経口投与後の吸収と消失は、CYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。
CYP3A4を誘導する薬剤又は阻害する薬剤を併用したり中止する場合は、必ず本剤の血中トラフ濃度(C0)をモニタリングすること。
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)
臨床症状・措置方法
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。
機序・危険因子
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
リファンピシン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
2. 薬剤名等
抗てんかん剤(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン等)
抗HIV剤(エファビレンツ、ネビラピン等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
3. 薬剤名等
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、フルコナゾール等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。
機序・危険因子
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
4. 薬剤名等
マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン等)
カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ニカルジピン、ジルチアゼム等)
HIVプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビル、インジナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
機序・危険因子
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
5. 薬剤名等
不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等)
臨床症状・措置方法
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
機序・危険因子
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
6. 薬剤名等
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
機序・危険因子
セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
7. 薬剤名等
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
機序・危険因子
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
8. 薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤(ネオーラル)との併用により、本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。ネオーラルとの併用に際しては<用法及び用量に関連する使用上の注意2.、3.>及び「重要な基本的注意1.、2.」の項を参照し投与すること。
機序・危険因子
代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
9. 薬剤名等
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(サイモグロブリン)
臨床症状・措置方法
過度の免疫抑制が起こることがある。海外で実施された新規心移植患者を対象とした臨床試験において、本剤、シクロスポリン(腎移植よりも高い血中トラフ濃度)及び副腎皮質ホルモン剤を併用し、サイモグロブリン(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)導入療法を受けた患者集団において、移植後の3ヵ月間に重大な感染症の増加がみられた。特に過剰な免疫抑制状態となりやすい移植前の入院及び心室補助循環装置を必要とする患者においてより高い死亡率との関連が認められた。
機序・危険因子
共に免疫抑制作用を有するため。
10. 薬剤名等
*ミダゾラム(経口剤:国内未販売)
臨床症状・措置方法
ミダゾラムの血中濃度が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
副作用
海外での心移植を対象とした臨床試験(総症例420例)中、何らかの副作用が報告されたのは300例(71.4%)であった(24ヵ月の集計)。主な副作用は、白血球減少症83例(19.8%)、血小板減少症45例(10.7%)、高脂血症42例(10.0%)等であった。
国内での腎移植を対象とした臨床試験(総症例61例)中、何らかの副作用が報告されたのは58例(95.1%)であった(12ヵ月の集計)。主な副作用は、高脂血症26例(42.6%)、鼻咽頭炎18例(29.5%)、発熱及び高血圧各13例(21.3%)等であった。
また、腎移植を対象とした海外臨床試験(総症例1,331例)中、何らかの副作用が報告されたのは1,008例(75.7%)であった(24ヵ月(1試験)及び36ヵ月(2試験)の集計)。主な副作用は、高脂血症273例(20.5%)、高コレステロール血症241例(18.1%)等であった。
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の発現頻度に関しては、国内及び海外での臨床試験の結果を合わせて算出した。また、企業中核データシートに記載があるが、これらの臨床試験であらわれていない副作用について頻度不明とした。
重大な副作用
1. 悪性腫瘍(2.5%)
悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 腎障害(12.9%)
腎尿細管壊死等の腎障害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス等)及び尿検査(尿蛋白等)を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉3. (5)、「重要な基本的注意」1.の項参照)
蛋白尿が新規の腎移植患者において認められることがあり、本剤の血中濃度の上昇がリスクとして考えられている。
3. 移植腎血栓症(頻度不明)
腎移植患者において、腎の動脈及び静脈の血栓症のリスク増加により、多くは移植後30日以内に移植腎廃絶に至ったとの報告がある。本剤の投与に際しては、観察を十分に行い、腎血流量の低下、尿量減少等異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
4. 感染症(44.6%)
細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症(肺炎、敗血症、尿路感染症、単純疱疹、帯状疱疹、腎盂腎炎等)を併発することがある。また、免疫抑制剤を投与されたB型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。強力な免疫抑制下では急激に重症化することがあるので、本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
進行性多巣性白質脳症 (PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. BKウイルス腎症(0.1%)
BKウイルス腎症があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7. 血栓性微小血管障害(0.8%)
溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様症状(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8. 間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎)(0.3%)
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎)があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
9. 肺胞蛋白症(0.1%)
肺胞蛋白症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10. 心嚢液貯留(9.9%:心移植患者での頻度)
特に心移植患者において、心嚢液貯留があらわれることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11. 高血糖(0.9%)、糖尿病の発症(1.4%)又は増悪(頻度不明)
高血糖の発現、糖尿病の発症又は増悪することがあるので、定期的に空腹時血糖値の測定を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
12. 肺塞栓症(0.1%未満)、深部静脈血栓症(0.2%)
肺塞栓症、深部静脈血栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
13. 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)
急性呼吸窮迫症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下の副作用があらわれた場合には、必要に応じて適切な処置を行うこと。
1. 血液及びリンパ系障害
(頻度不明)
凝血異常、溶血
2. 血液及びリンパ系障害
(5%以上)
白血球減少、血小板減少、貧血
3. 血液及びリンパ系障害
(1%未満)
好中球減少、汎血球減少
4. 内分泌障害
(1%~5%未満)
男性性腺機能低下(テストステロン減少、黄体形成ホルモン増加、卵胞刺激ホルモン増加)
5. 代謝及び栄養障害
(5%以上)
高脂血症(18.9%)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症
6. 代謝及び栄養障害
(1%~5%未満)
低カリウム血症、脂質異常症
7. 代謝及び栄養障害
(1%未満)
高尿酸血症
8. 血管障害
(1%~5%未満)
高血圧、リンパ嚢腫
9. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害
(1%~5%未満)
胸水注)、咳嗽、咽頭炎
10. 胃腸障害
(5%以上)
下痢
11. 胃腸障害
(1%~5%未満)
悪心、嘔吐、腹痛、口内炎、口腔内潰瘍
12. 胃腸障害
(1%未満)
消化不良、膵炎
13. 肝胆道系障害
(頻度不明)
黄疸
14. 肝胆道系障害
(1%~5%未満)
肝機能検査値異常、肝障害
15. 肝胆道系障害
(1%未満)
肝炎
16. 皮膚及び皮下組織障害
(頻度不明)
血管神経性浮腫、白血球破砕性血管炎
17. 皮膚及び皮下組織障害
(1%~5%未満)
ざ瘡、発疹
18. 皮膚及び皮下組織障害
(1%未満)
術後創合併症
19. 筋骨格系及び結合組織障害
(1%~5%未満)
関節痛
20. 筋骨格系及び結合組織障害
(1%未満)
筋痛
21. 腎及び尿路障害
(5%以上)
血中クレアチニン増加
22. 全身障害及び投与局所様態
(5%以上)
浮腫
23. 全身障害及び投与局所様態
(1%~5%未満)
発熱、創傷治癒不良
24. 全身障害及び投与局所様態
(1%未満)
疼痛
25. 神経系障害
(1%~5%未満)
振戦
26. その他
(1%未満)
無精子症
注)心移植患者での頻度
高齢者への投与
1.
高齢者では一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
2.
高齢者(65歳以上の患者)における臨床使用経験は少ないが、本剤の薬物動態に65~70歳の患者と若年成人との明らかな差は認められていない。(【薬物動態】の項8.参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔動物実験(ラット及びウサギ)で胚・胎児毒性を含む生殖発生毒性が認められたとの報告がある。〕
2.
本剤投与中は授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する使用は極めて限られている。(低出生体重児、新生児又は乳児に対しては使用経験がなく、幼児又は小児には使用経験が少ない。)
過量投与
ヒトにおける過量投与の報告は少ない。2歳の小児が本剤1.5mgを誤飲した症例が1例報告されているが、有害事象は認められなかった。また、腎移植患者に最大25mgが単回投与されているが、過量によると考えられる症状は特に認められなかった。
過量投与が発生した場合は、一般的な処置と対症療法を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
その他の注意
ラットを用いた雄性授胎能試験では、0.5mg/kg以上の用量で精巣の形態に影響が認められたほか、5mg/kg用量(治療量の範囲内)で精子運動能、精子数及び血漿中テストステロン濃度が減少し、これに伴って雄の授胎能が低下した。これらの所見は休薬による回復傾向がみられた。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回経口投与(日本人のデータ、分析方法:LC/MS法)
健康成人24例に本剤0.5~4mgを単独で単回経口投与したとき、全血中濃度は投与後約1時間で最高濃度に達した。消失半減期は、低用量(0.5mg及び1mg)では消失相の濃度データ(定量限界以上の値)が少なかったため算出できなかったが、2mg投与群では38.5±5.8時間、4mg投与群では34.9±2.7時間であり、ほぼ同じ値を示した。薬物動態パラメータは以下のとおりであり、投与量とCmax及びAUCの関係は線形性を示した。2)
パラメータ:Tmax(hr)
投与量
0.5mg:0.8(0.5~1.0)
1mg:1.0(0.5~1.0)
2mg:1.0(0.5~1.0)
4mg:0.8(0.5~1.5)
パラメータ:Cmax(ng/mL)
投与量
0.5mg:5.2±1.6
1mg:9.3±2.0
2mg:18.3±4.8
4mg:33.2±6.9
パラメータ:Cmax/Dose(ng/mL/mg)
投与量
0.5mg:10.3±3.3
1mg:9.3±2.0
2mg:9.2±2.4
4mg:8.3±1.7
パラメータ:AUC0-t(ng・hr/mL)
投与量
0.5mg:20±14
1mg:47±17
2mg:117±49
4mg:186±33
パラメータ:AUC0-t/Dose(ng・hr/mL/mg)
投与量
0.5mg:40±27
1mg:47±17
2mg:59±24
4mg:47±8
〔本剤の承認された1日用量は【用法及び用量】の項参照〕
(Tmaxは中央値(範囲)、他は平均値±SD)
(2) 反復経口投与(外国人のデータ、分析方法:ELISA法)
心及び腎移植患者に本剤をネオーラルとともに1日2回投与した場合の薬物動態は、4日目までに定常状態に到達し、血中濃度の蓄積比は初回投与後の暴露量の2~3倍であり、Tmaxは投与1~2時間後に得られた。なお、心移植患者に本剤0.75mg及び1.5mgを投与した時の投与2、3及び6ヵ月目の定常状態薬物動態パラメータは以下のとおりであった。観察した期間を通して、Cmaxssはそれぞれの投与量で約10及び約20ng/mL、AUCτssは約80及び約160ng・hr/mL、またPTF(ピーク-トラフ濃度変動)は約80%と安定していた。3~5)
0.75mg/回、1日2回投与
パラメータ:Cminss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 22:4.7±2.6
3ヵ月目 例数 23:4.9±3.0
6ヵ月目 例数 20:4.5±2.4
パラメータ:Tmax(hr)
2ヵ月目 例数 22:2(1~5)
3ヵ月目 例数 23:2(1~5)
6ヵ月目 例数 20:2(1~5)
パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 22:10.2±3.8
3ヵ月目 例数 23:9.9±4.3
6ヵ月目 例数 20:10.5±4.8
パラメータ:AUCτss(ng・hr/mL)
2ヵ月目 例数 22:79±30
3ヵ月目 例数 23:82±43
6ヵ月目 例数 20:80±39
パラメータ:Cavgss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 22:6.6±2.5
3ヵ月目 例数 23:6.9±3.6
6ヵ月目 例数 20:6.7±3.3
パラメータ:PTF(%)
2ヵ月目 例数 22:89±36
3ヵ月目 例数 23:77±40
6ヵ月目 例数 20:96±67
1.5mg/回、1日2回投与
パラメータ:Cminss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 20:10.0±4.3
3ヵ月目 例数 20:10.2±5.2
6ヵ月目 例数 14:9.8±5.6
パラメータ:Tmax(hr)
2ヵ月目 例数 20:2(1~5)
3ヵ月目 例数 20:2(0~5)
6ヵ月目 例数 14:2(1~5)
パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 20:19.9±8.6
3ヵ月目 例数 20:18.6±6.8
6ヵ月目 例数 14:21.8±12.4
パラメータ:AUCτss(ng・hr/mL)
2ヵ月目 例数 20:159±63
3ヵ月目 例数 20:158±60
6ヵ月目 例数 14:164±87
パラメータ:Cavgss(ng/mL)
2ヵ月目 例数 20:13.3±5.3
3ヵ月目 例数 20:13.1±5.0
6ヵ月目 例数 14:13.7±7.2
パラメータ:PTF(%)
2ヵ月目 例数 20:77±35
3ヵ月目 例数 20:70±40
6ヵ月目 例数 14:85±32
(Tmaxは中央値(範囲)、他は平均値±SD)
(3) 反復経口投与(日本人のデータ、分析方法:LC/MS/MS法)
新規腎移植患者にネオーラルとともに本剤0.75mgを1日2回投与した時の投与1ヵ月目の定常状態薬物動態パラメータは以下のとおりで、Cmaxは約14ng/mL、AUCτは約90ng・hr/mL、またPTF(ピーク-トラフ濃度変動)は約120%であった。6)
0.75mg/回、1日2回投与
パラメータ:Cminss(ng/mL)
1ヵ月目 例数 11:4.31±1.25
パラメータ:Tmax(hr)
1ヵ月目 例数 11:2(1~2)
パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
1ヵ月目 例数 11:13.5±3.5
パラメータ:AUCτss(ng・hr/mL)
1ヵ月目 例数 11:90.7±17.7
パラメータ:Cavgss(ng/mL)
1ヵ月目 例数 11:7.56±1.47
パラメータ:PTF(%)
1ヵ月目 例数 11:123±32
(Tmaxは中央値(範囲)、他は平均値±SD)
単回及び反復経口投与時の血中濃度はELISA法、LC/MS法あるいはLC/MS/MS法にて測定した。なお、3~32ng/mLの濃度範囲では両測定法で測定した濃度はほぼ同等であった。
2. 吸収(外国人のデータ)7)
腎移植患者に本剤を0.25~25mgで経口投与したとき、本剤の血中濃度は投与後1~2時間でピークに達した。また、本剤の血中濃度は、0.25~15mgの用量範囲では用量に比例して増加した。
3. 食事の影響(外国人のデータ)8)
本剤を高脂肪食摂取後に服用すると、本剤のCmax及びAUCは空腹時投与と比べそれぞれ60%及び16%低下した。バラツキを最小限に抑えるため、本剤の服用は食後又は空腹時のいずれか一定の条件下で行う必要がある。
4. 分布(外国人のデータ)7,9)
本剤の血球移行率(5~5,000ng/mLの範囲では濃度に依存する)は27~83%であった。健康成人及び中等度の肝機能障害患者における血漿蛋白結合率は約74%であり、腎移植患者における終末相の分布容積(Vz/F)は342±107Lであった。
5. **代謝(外国人のデータ)10,11)
本剤は主としてCYP3A4によって代謝される(in vitroのデータ)。腎移植患者に14C標識したエベロリムスを単回経口投与したとき、エベロリムスは主に未変化体として血液中に存在し、その他の主な代謝物として3種の水酸化体及び環状ラクトンの加水分解による2種の開環体及びフォスファチジルコリン抱合体が検出された。
6. 排泄(外国人のデータ)11)
シクロスポリンを投与している腎移植患者に放射標識本剤を単回投与したところ、放射能のほとんど(80%)は糞便中に排泄され、尿中にはごく一部(5%)が排泄された。なお、尿中及び糞便中に未変化体は検出されなかった。
7. 小児での薬物動態(外国人のデータ)5)
腎移植患者において、患者の年齢(1~16歳)、体表面積(0.49~1.92m2)及び体重(11~77kg)に比例して、本剤のCL/Fが直線的に増加した。定常状態のCL/Fは10.2±3.0L/hr/m2であり、消失半減期は30±11時間であった。
8. 高齢者での薬物動態(外国人のデータ)12)
16~70歳の腎移植患者において、年齢増加に伴う本剤の経口クリアランスの低下は、1歳あたり0.33%と小さかった。
9. 肝機能障害(外国人のデータ)13)
中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する患者8例における本剤の平均AUCは、健康成人8例の平均AUCよりも2倍高かった。AUCは、血清ビリルビン濃度及びプロトロンビン時間と正の相関を示し、血清アルブミン濃度と負の相関を示した。ビリルビン>2mg/dL、プロトロンビン時間>1.3INR(4秒を超える延長)又はアルブミン<3.5g/dLに該当する場合には、本剤のAUCが健康成人よりも高くなる傾向が認められた。重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)の影響は検討していないが、本剤のAUCに対する影響は中等度の肝機能障害と同等かそれ以上であると考えられる。
10. 腎機能障害(外国人のデータ)14)
腎移植患者における移植後の腎機能障害(Clcreaの範囲;11~107mL/min)は、本剤の薬物動態に影響を及ぼさなかった。
11. 相互作用(外国人のデータ)
(1) シクロスポリン
健康成人12例を対象として、本剤2mgとネオーラル175mgを単回併用投与したところ、本剤の単独投与時に比べて本剤のAUCは168%(範囲46%~365%)、Cmaxは82%(範囲25%~158%)増加した。15)
本剤の薬物動態パラメータ:Tmax(hr)
本剤単独:1.0(0.5~1.0)
ネオーラル併用:1.0(0.6~2.5)
本剤の薬物動態パラメータ:Cmax(ng/mL)
本剤単独:11.6±3.3
ネオーラル併用:20.5±3.5
本剤の薬物動態パラメータ:AUC(ng・hr/mL)
本剤単独:74±26
ネオーラル併用:193±47
本剤の薬物動態パラメータ:T1/2(hr)
本剤単独:25.2±8.2
ネオーラル併用:29.0±4.6
(Tmaxは中央値(範囲)、他は平均値±SD)
ネオーラルの安定した用量の投与を受けている維持期腎移植患者24例を対象に、プラセボ、本剤0.75mg、2.5mg又は7.5mgを1日1回28日間併用投与したとき、シクロスポリンの薬物動態に対する本剤併用の大きな影響はみられなかった。16)
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Tmaxss(hr)
投与1日目 ネオーラル単独:1.3(1.0~1.5)
投与28日目 プラセボ併用:1.5(1.0~1.6)
比:-
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cminss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:119±48
投与28日目 プラセボ併用:119±27
比:1.08
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:1,162±339
投与28日目 プラセボ併用:1,293±317
比:1.17
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cavgss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:326±88
投与28日目 プラセボ併用:375±63
比:1.20
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:AUCss(ng・hr/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:3,908±1,060
投与28日目 プラセボ併用:4,496±752
比:1.20
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:PTF(%)
投与1日目 ネオーラル単独:324±54
投与28日目 プラセボ併用:310±43
比:0.99
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Tmaxss(hr)
投与1日目 ネオーラル単独:1.5(1.0~3.7)
投与28日目 本剤0.75mg併用:1.5(1.0~1.6)
比:-
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cminss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:126±55
投与28日目 本剤0.75mg併用:118±41
比:1.02
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:949±201
投与28日目 本剤0.75mg併用:1,210±186
比:1.31
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cavgss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:310±58
投与28日目 本剤0.75mg併用:368±72
比:1.19
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:AUCss(ng・hr/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:3,716±691
投与28日目 本剤0.75mg併用:4,419±861
比:1.19
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:PTF(%)
投与1日目 ネオーラル単独:280±112
投与28日目 本剤0.75mg併用:301±39
比:1.21
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Tmaxss(hr)
投与1日目 ネオーラル単独:1.5(1.1~1.5)
投与28日目 本剤2.5mg併用:1.5(1.0~3.1)
比:-
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cminss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:141±40
投与28日目 本剤2.5mg併用:187±21
比:1.40
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:1,227±180
投与28日目 本剤2.5mg併用:1,705±260
比:1.41
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cavgss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:399±60
投与28日目 本剤2.5mg併用:496±55
比:1.26
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:AUCss(ng・hr/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:4,783±723
投与28日目 本剤2.5mg併用:5,946±660
比:1.26
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:PTF(%)
投与1日目 ネオーラル単独:275±41
投与28日目 本剤2.5mg併用:305±26
比:1.12
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Tmaxss(hr)
投与1日目 ネオーラル単独:1.5(1.0~1.5)
投与28日目 本剤7.5mg併用:1.5(1.0~2.0)
比:-
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cminss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:145±30
投与28日目 本剤7.5mg併用:167±68
比:1.12
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cmaxss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:1,274±475
投与28日目 本剤7.5mg併用:1,528±309
比:1.28
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:Cavgss(ng/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:393±89
投与28日目 本剤7.5mg併用:453±118
比:1.17
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:AUCss(ng・hr/mL)
投与1日目 ネオーラル単独:4,715±1,063
投与28日目 本剤7.5mg併用:5,437±1,420
比:1.17
シクロスポリンの薬物動態パラメータ:PTF(%)
投与1日目 ネオーラル単独:280±85
投与28日目 本剤7.5mg併用:312±90
比:1.16
〔本剤の承認された1日用量は【用法及び用量】の項参照〕
(Tmaxは中央値(範囲)、他は平均値±SD)
※比は投与1日目(ネオーラル単独)に対する投与28日目(本剤併用)の比を示す。
以上より本剤とシクロスポリンの併用免疫抑制療法からシクロスポリンを除く場合には、本剤の体内暴露量は1/2~1/3に減少するおそれがある。よって、シクロスポリンの用量を変更する場合には、本剤の用量調節が必要であると考えられる。(「重要な基本的注意2.」の項参照)
(2) HMG-CoA還元酵素阻害剤(高脂血症用剤)
健康成人を対象に本剤2mgとアトルバスタチン20mg又は本剤2mgとプラバスタチン20mgを単回併用投与したとき(各12例)、本剤及びこれらの薬剤の薬物動態に臨床的に重要な影響は認められなかった。17)
(3) タクロリムス
維持期腎移植患者8例を対象とし、本剤3mg/日と標準量のタクロリムス(投与初日~10日目)あるいは減量したタクロリムス(投与11日目~3ヵ月;11日目より半量投与)を併用投与したとき、本剤の併用前と併用後でタクロリムスの薬物動態に変化はなかった。また、減量したタクロリムスと併用したときの本剤の薬物動態は、標準量のタクロリムスと併用したときとほぼ同様であった。18)これらの結果より、本剤はタクロリムスの薬物動態にほとんど影響せず、またタクロリムスの減量は本剤の薬物動態に大きく影響しないと考えられた。
12. 暴露量と急性拒絶反応、有害事象発現率との関係
(1) 心移植(外国人のデータ)4)
心移植患者における移植後6ヵ月間の本剤の平均血中トラフ濃度(C0)は、生検で確認された急性拒絶反応及び血小板減少の発現率に関連していた。
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):≦3.5
急性拒絶反応抑制率:65%
血小板減少(<75,000/mm3):5%
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):3.6~5.3
急性拒絶反応抑制率:69%
血小板減少(<75,000/mm3):5%
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):5.4~7.3
急性拒絶反応抑制率:80%
血小板減少(<75,000/mm3):6%
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):7.4~10.2
急性拒絶反応抑制率:85%
血小板減少(<75,000/mm3):8%
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):10.3~21.8
急性拒絶反応抑制率:85%
血小板減少(<75,000/mm3):9%
(2) 腎移植
1) 暴露量と急性拒絶反応及び有害事象発現率との関係(日本人のデータ)6)
本剤を1.5mg/日で1日2回投与したときの新規腎移植患者(60例)における移植後12ヵ月間の本剤の平均血中トラフ濃度(C0)は、ほとんどは3~8ng/mLにコントロールされており、治療を要した生検で確認された急性拒絶反応、尿蛋白/クレアチニン比、高コレステロール血症、創傷治癒不良及び移植後糖尿病の発現率に明確な関連性は認められていない。
2) 暴露量と急性拒絶反応及び有害事象発現率との関係(外国人のデータ)19)
本剤を1.5mg/日あるいは3mg/日で1日2回投与したときの新規腎移植患者における移植後12ヵ月間の本剤の平均血中トラフ濃度(C0)は、治療を要した生検で確認された急性拒絶反応、尿蛋白/クレアチニン比、高コレステロール血症、創傷治癒不良及び移植後糖尿病の発現率に関連していた。
1.5mg/日群及び3mg/日群の併合解析結果
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):<3
治療を要した急性拒絶反応抑制率(n=547):64%
尿蛋白/クレアチニン比(≧300mg/g)(n=480):73%
高コレステロール血症(≧6.2mmol/L)(n=544):77%
創傷治癒不良(n=529):57%
移植後糖尿病(n=543):0%
1.5mg/日群及び3mg/日群の併合解析結果
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):3~6
治療を要した急性拒絶反応抑制率(n=547):86%
尿蛋白/クレアチニン比(≧300mg/g)(n=480):48%
高コレステロール血症(≧6.2mmol/L)(n=544):64%
創傷治癒不良(n=529):28%
移植後糖尿病(n=543):7%
1.5mg/日群及び3mg/日群の併合解析結果
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):6~8
治療を要した急性拒絶反応抑制率(n=547):85%
尿蛋白/クレアチニン比(≧300mg/g)(n=480):56%
高コレステロール血症(≧6.2mmol/L)(n=544):64%
創傷治癒不良(n=529):28%
移植後糖尿病(n=543):11%
1.5mg/日群及び3mg/日群の併合解析結果
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):8~12
治療を要した急性拒絶反応抑制率(n=547):86%
尿蛋白/クレアチニン比(≧300mg/g)(n=480):59%
高コレステロール血症(≧6.2mmol/L)(n=544):77%
創傷治癒不良(n=529):38%
移植後糖尿病(n=543):13%
1.5mg/日群及び3mg/日群の併合解析結果
本剤の平均血中トラフ濃度(C0)(ng/mL):≧12
治療を要した急性拒絶反応抑制率(n=547):91%
尿蛋白/クレアチニン比(≧300mg/g)(n=480):92%
高コレステロール血症(≧6.2mmol/L)(n=544):84%
創傷治癒不良(n=529):64%
移植後糖尿病(n=543):20%
臨床成績
1. 心移植
外国における成績20)
第III相心移植臨床試験(B253試験)では、標準量ネオーラル及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン(AZA)1~3mg/kg/日と比較した。ISHLT基準によるグレード3A以上の急性拒絶反応、血行動態異常を伴う急性拒絶反応、移植心廃絶、死亡又は追跡調査不能からなる複合評価項目の6ヵ月後の発現率を主要評価項目とした。
各評価項目要約(B253試験)
効果不十分(6ヵ月)
1.5mg/日群(n=209):76(36.4%)
3mg/日群(n=211):57(27.0%)
AZA群(n=214):100(46.7%)
p値:0.031a
<0.001b
0.037c
生検で確認されたグレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応
1.5mg/日群(n=209):58(27.8%)
3mg/日群(n=211):40(19.0%)
AZA群(n=214):89(41.6%)
p値:0.003a
<0.001b
0.032c
血行動態異常を伴う急性拒絶反応の臨床的疑い
1.5mg/日群(n=209):14(6.7%)
3mg/日群(n=211):11(5.2%)
AZA群(n=214):16(7.5%)
p値:n.s.
移植心廃絶
1.5mg/日群(n=209):4(1.9%)
3mg/日群(n=211):8(3.8%)
AZA群(n=214):6(2.8%)
p値:n.s.
死亡
1.5mg/日群(n=209):13(6.2%)
3mg/日群(n=211):14(6.6%)
AZA群(n=214):12(5.6%)
p値:n.s.
追跡調査不能
1.5mg/日群(n=209):0
3mg/日群(n=211):0
AZA群(n=214): 1(0.5%)
p値:n.s.
a:本剤1.5mg/日群vs.AZA群,b:本剤3mg/日群vs.AZA群,c:本剤1.5mg/日群vs.本剤3mg/日群(Z検定による対比較,p≦0.05),n.s.:not significant
なお、シクロスポリンの用量は、血中トラフ濃度(C0)が以下の目標範囲内に収まるように調節した:1~4週:250~400ng/mL、1~6ヵ月:200~350ng/mL、7~24ヵ月:100~300ng/mL。
実際の血中トラフ濃度(C0)を以下に示す。
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(B253試験)
本剤の投与期間:1週目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:220±120 n=167
本剤3mg/日群:226±132 n=167
本剤の投与期間:1ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:270±119 n=163
本剤3mg/日群:255±111 n=159
本剤の投与期間:6ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:201±109 n=112
本剤3mg/日群:185±87 n=115
本剤の投与期間:12ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:166±84 n=99
本剤3mg/日群:148±70 n=94
本剤の投与期間:24ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:150±92 n=65
本剤3mg/日群:137±55 n=58
(血中トラフ濃度は平均値±SD)
また、血清クレアチニン値上昇の発現率は、AZA群の患者よりも本剤を標準量ネオーラルと併用した患者の方が高値を示した。この所見から、本剤はシクロスポリンによって誘発される腎毒性を増強することが示唆される。この影響は、シクロスポリンを減量することによって回復すると考えられるが、シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)が最初の3ヵ月間に175ng/mLを下回る場合、6ヵ月後に135ng/mLを下回る場合及び6ヵ月後以降に100ng/mLを下回る場合の心移植患者への本剤の投与については限られたデータしかない。
2. 腎移植
(1) 国内における成績6)
第III相腎移植臨床試験(A1202試験)では、減量ネオーラルと併用した本剤1.5mg/日(目標血中トラフ濃度3~8ng/mL)の有効性及び安全性を、標準量ネオーラルと併用したミコフェノール酸モフェチル(MMF)2g/日と比較した。なおいずれも副腎皮質ホルモン剤及びバシリキシマブを施設方法に準じて併用した。治療を要し生検で確認された急性拒絶反応(改訂Banff97分類による)、移植腎廃絶、死亡又は追跡調査不能からなる複合評価項目(効果不十分)の移植12ヵ月後の発現率を主要評価項目とした。
各評価項目要約(A1202試験)
本剤1.5mg/日群(n=61)
n(%)
効果不十分(12ヵ月):7(11.5)
治療を要し生検で確認された急性拒絶反応:3(4.9)
移植腎廃絶:0(0.0)
死亡:0(0.0)
追跡調査不能:4(6.6)
MMF群(n=61)
n(%)
効果不十分(12ヵ月):7(11.5)
治療を要し生検で確認された急性拒絶反応:5(8.2)
移植腎廃絶:0(0.0)
死亡:0(0.0)
追跡調査不能:2(3.3)
なお、ネオーラルの用量は、シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)が以下の目標範囲に収まるように調節した。移植後5日~1ヵ月:100~200ng/mL、2~3ヵ月:75~150ng/mL、4~5ヵ月:50~100ng/mL、6ヵ月以降:25~50ng/mL。
実際の血中トラフ濃度(C0)を以下に示す。
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(A1202試験)
本剤の投与期間:1週目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:247.5(107~512)n=59
本剤の投与期間:1ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:191.0(90~450)n=55
本剤の投与期間:3ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:130.0(57~301)n=54
本剤の投与期間:6ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:104.5(43~221)n=54
本剤の投与期間:9ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:73.0(0~146)n=53
本剤の投与期間:12ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)、本剤1.5mg/日群:63.0(0~145)n=52
(血中トラフ濃度は中央値(範囲))
(2) 外国における成績19)
第III相腎移植臨床試験(A2309試験)では、減量ネオーラルと併用した本剤1.5mg/日(目標血中トラフ濃度3~8ng/mL)及び3mg/日(6~12ng/mL)の有効性及び安全性を、標準量ネオーラルと併用したミコフェノール酸ナトリウム腸溶錠(Myfortic:国内未承認)1.44g/日と比較した。なおいずれも副腎皮質ホルモン剤及びバシリキシマブを施設方法に準じて併用した。主要な評価項目は国内試験(A1202試験)と同じである。
各評価項目要約(A2309試験)
本剤1.5mg/日群(n=277)
n(%)
効果不十分(12ヵ月):75(27.1)
治療を要し生検で確認された急性拒絶反応:48(17.3)
移植腎廃絶:13(4.7)
死亡:8(2.9)
追跡調査不能:12(4.3)
本剤3mg/日群(n=279)
n(%)
効果不十分(12ヵ月):60(21.5)
治療を要し生検で確認された急性拒絶反応:38(13.6)
移植腎廃絶:13(4.7)
死亡:9(3.2)
追跡調査不能:6(2.2)
Myfortic群(n=277)
n(%)
効果不十分(12ヵ月):70(25.3)
治療を要し生検で確認された急性拒絶反応:50(18.1)
移植腎廃絶:9(3.2)
死亡:6(2.2)
追跡調査不能:9(3.2)
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の目標範囲は国内試験(A1202試験)と同じである。
実際の血中トラフ濃度(C0)を以下に示す。
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(A2309試験)
本剤の投与期間:1週目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:185.0(13~571)n=265
本剤3mg/日群:179.0(20~596)n=266
本剤の投与期間:1ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:161.5(32~705)n=244
本剤3mg/日群:162.0(25~887)n=245
本剤の投与期間:3ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:110.0(25~469)n=221
本剤3mg/日群:112.0(25~808)n=218
本剤の投与期間:6ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:75.0(12~502)n=200
本剤3mg/日群:74.5(24~241)n=188
本剤の投与期間:9ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:48.3(20~136)n=196
本剤3mg/日群:43.0(19~274)n=192
本剤の投与期間:12ヵ月目
シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)(ng/mL)
本剤1.5mg/日群:45.5(11~350)n=191
本剤3mg/日群:43.5(20~176)n=180
(血中トラフ濃度は中央値(範囲))
薬効薬理
1. 作用機序
(1)
FKBP12に結合した。21)
(2)
in vitroにおいて、mTORに影響を受けるp70S6キナーゼ活性化を阻害した。22)また、本薬を投与したラットの末梢血リンパ球のp70S6キナーゼ活性が低下した。23)
(3)
IL-2及びIL-15によるヒトCD4陽性T細胞の増殖、IL-6依存的なマウスB細胞ハイブリドーマ株の増殖、ウシ胎児血清によるウシ血管平滑筋細胞の増殖をそれぞれ抑制した。21,24)
2. in vitro免疫抑制作用
(1)
マウス及びヒトの混合リンパ球反応(MLR)を阻害し、同種抗原により誘導されるT細胞の増殖を抑制した。24)
(2)
Trinitrophenyl-lipopolysaccharide、N-2,4-dinitrophenyl-β-Ala-Gly-Gly-AECM-Ficoll及びヒツジ赤血球(SRBC)に対するマウスB細胞の免疫反応を抑制した。25)
3. in vivo免疫抑制作用
(1)
ラット後足蹠への同種ドナー脾細胞の皮下注入により誘発した局所移植片対宿主反応(膝窩リンパ節の腫脹)を抑制した。21)
(2)
SRBC免疫マウスにおいて抗SRBC抗体産生B細胞の増殖を抑制した。25)また、A又はB型肝炎ワクチンを接種したカニクイザルにおいて抗体価の上昇を抑制した。26)
(3)
ラット及びカニクイザルの同種腎移植モデルにおいて移植片の生着期間を延長した。21,27)
4. 慢性拒絶反応抑制作用
ラットの同種及び同系大動脈移植モデルにおいて移植血管の新生内膜肥厚を抑制した。28,29)
5. シクロスポリンとの相乗効果
(1)
本剤とシクロスポリンの併用により、マウスのMLRが相乗的に阻害された。30)
(2)
ラットの異所性同種心移植モデル、ラット及びカニクイザルの同種肺移植モデルにおいて、本剤とシクロスポリンの併用により、移植片生着期間の延長と組織学的な拒絶反応の改善作用に相乗効果が認められた。30~32)
6. 再発狭窄抑制作用
本剤は、ラット頚動脈バルーン傷害モデル、ブタ冠動脈PTCAモデル、ウサギ腸骨動脈ステントモデルにおいて新生内膜形成を抑制した。33~36)
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
エベロリムス(Everolimus)
化学名
(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-Dihydroxy-12-{(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-(2-hydroxyethoxy)-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethyl}-19,30-dimethoxy-15,17,21,23,29,35-hexamethyl-11,36-dioxa-4-azatricyclo[30.3.1.04,9]hexatriaconta-16,24,26,28-tetraene-2,3,10,14,20-pentaone
分子式
C53H83NO14
分子量
958.22
性状
白色~淡黄色の粉末で、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
承認条件
心移植における拒絶反応の抑制
国内での治験は実施されておらず、患者数が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
サーティカン錠0.25mg 60錠(両面アルミニウムPTP)
サーティカン錠0.5mg 60錠(両面アルミニウムPTP)
サーティカン錠0.75mg 60錠(両面アルミニウムPTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Johnson,R.W.G.et al.:Transplantation 72(5),777,2001 〔SIMM34133〕
2)
社内資料:健康成人(日本人)に対する臨床第I相試験(単回投与) 〔CERU00001〕
3)
社内資料:新規腎移植患者における3剤併用免疫抑制療法の有効性及び安全性についての検討 〔CERU00002〕
4)
Kovarik,J.M.et al.:J.Heart Lung Transplant.22(10),1117,2003 〔CERM00224〕
5)
社内資料:小児腎移植患者における薬物動態、安全性及び忍容性の検討 〔CERU00003〕
6)
社内資料:日本人新規腎移植患者を対象とした比較対照試験(A1202試験) 〔CERU00061〕
7)
社内資料:維持期腎移植患者における安全性及び忍容性の検討 〔CERU00004〕
8)
Kovarik,J.M.et al.:Pharmacotherapy 22(2),154,2002 〔CERM00144〕
9)
社内資料:[3H]-エベロリムスの血中分布に関する検討 〔CERU00005〕
10)
**社内資料:In vitro代謝〔CERU00026〕
11)
社内資料:維持期腎移植患者における[14C]-エベロリムス単回経口投与後の吸収、分布、動態及び生体内変換についての検討 〔CERU00006〕
12)
社内資料:新規腎移植患者における母集団薬物動態解析 〔CERU00007〕
13)
Kovarik,J.M.et al.:Clin.Pharmacol.Ther.70(5),425,2001 〔CERM00127〕
14)
社内資料:新規腎移植患者における安全性、忍容性及び薬物動態の検討(1年の検討) 〔CERU00008〕
15)
Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol.42(1),95,2002 〔CERM00137〕
16)
社内資料:維持期腎移植患者における安全性、忍容性及び薬物動態の検討 〔CERU00009〕
17)
Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol.42(2),222,2002 〔CERM00134〕
18)
Kovarik,J.M.et al.:Transplant.Proc.38(10),3456,2006 〔CERM00561〕
19)
社内資料:外国人新規腎移植患者を対象とした比較対照試験(A2309試験) 〔CERU00060〕
20)
社内資料:新規心移植患者における有効性及び安全性の検討(B253試験) 〔CERU00010〕
21)
Schuler,W.et al.:Transplantation 64(1),36,1997 〔CERM00003〕
22)
社内資料:増殖因子によって刺激されたp70S6キナーゼ活性に対する阻害作用 〔CERU00011〕
23)
社内資料:ラット末梢血リンパ球におけるp70S6キナーゼ活性(単回投与) 〔CERU00012〕
24)
社内資料:マウス及びヒトT細胞の増殖に対する作用 〔CERU00013〕
25)
社内資料:T細胞非依存性抗原及びT細胞依存性抗原に対するマウスのB細胞応答に及ぼす作用 〔CERU00014〕
26)
社内資料:カニクイザルにおけるA及びB型肝炎ワクチン接種に対する作用 〔CERU00015〕
27)
Schuurman,H.J.et al.:Transplantation 69(5),737,2000 〔CERM00064〕
28)
社内資料:ラットの大動脈移植モデルに対する作用 〔CERU00016〕
29)
Schuurman,H.J.et al.:Transplant.Proc.31(1-2),1024,1999 〔CERM00054〕
30)
Schuurman,H.J.et al.:Transplantation 64(1),32,1997 〔CERM00002〕
31)
Hausen,B.et al.:Transplantation 67(7),956,1999 〔CERM00047〕
32)
Hausen,B.et al.:Transplantation 69(1),76,2000 〔CERM00058〕
33)
社内資料:ラット頚動脈バルーン傷害モデル(14日間)における内膜肥厚抑制作用 〔CERU00017〕
34)
社内資料:ラット頚動脈バルーン傷害モデル(28日間)における内膜肥厚抑制作用 〔CERU00018〕
35)
社内資料:ブタ冠動脈傷害(PTCA)モデル(14日間)における内膜肥厚抑制作用 〔CERU00019〕
36)
Farb,A.et al.:Circulation 106(18),2379,2002 〔CERM00304〕
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
ノバルティス ファーマ株式会社 ノバルティス ダイレクト
〒106-8618 東京都港区西麻布4-17-30
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