CANAGLU Tablets(Canagliflozin Hydrate)卡格列净 カナグル錠100mg
--------------------------------------------------------------------------------
作成又は改訂年月
*2014年9月改訂(第2版)D3
2014年7月作成
日本標準商品分類番号
873969
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2013年3月
薬効分類名
SGLT2阻害剤 -2型糖尿病治療剤-
承認等
販売名
カナグル錠100mg
販売名コード
3969022F1029
承認・許可番号
承認番号
22600AMX00744
商標名
CANAGLU Tablets 100mg
薬価基準収載年月
*2014年9月
販売開始年月
*2014年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱及びラベルに表示の使用期限内に使用すること
規制区分
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
有効成分・含量(1錠中)
カナグリフロジン水和物 102mg
(カナグリフロジンとして100mg)
添加物
D-マンニトール,ヒドロキシプロピルセルロース,クロスカルメロースナトリウム,フマル酸ステアリルナトリウム,タルク,ポリビニルアルコール(部分けん化物),マクロゴール4000,酸化チタン,黄色三二酸化鉄,三二酸化鉄
性状
性状・剤形
うすい黄色・フィルムコーティング錠
外形
直径(mm)7.6 厚さ(mm)3.4 重量(mg)144.3
規格
一般的名称
カナグリフロジン水和物錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
重症ケトーシス,糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者〔輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない.〕
3.
重症感染症,手術前後,重篤な外傷のある患者〔インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない.〕
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
2型糖尿病
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し,1型糖尿病の患者には投与をしないこと.
2.
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため,投与しないこと.(「重要な基本的注意10.」,「薬物動態」の項参照)
3.
中等度腎機能障害患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること.(「重要な基本的注意10.」,「薬物動態」,「臨床成績」の項参照)
用法及び用量
通常,成人にはカナグリフロジンとして100mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
心不全(NYHA心機能分類IV)のある患者〔使用経験がなく安全性が確立していない.〕
2.
他の糖尿病用薬(特に,インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬)を投与中の患者〔併用により低血糖を起こすおそれがある.(「重要な基本的注意」,「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)〕
3.
次に掲げる患者又は状態〔低血糖を起こすおそれがある.〕
(1)
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
(2)
栄養不良状態,飢餓状態,不規則な食事摂取,食事摂取量の不足又は衰弱状態
(3)
激しい筋肉運動
(4)
過度のアルコール摂取者
4.
中等度腎機能障害患者(「重要な基本的注意2.及び10.」,「薬物動態」の項参照)
重要な基本的注意
1.
本剤の使用にあたっては,患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること.特に,インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがある.インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬による低血糖のリスクを軽減するため,これらの薬剤と併用する場合には,これらの薬剤の減量を検討すること.(「慎重投与」,「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)
2.
本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある.また,体液量が減少することがあるので,適度な水分補給を行うよう指導し,観察を十分行うこと.脱水,血圧低下等の異常が認められた場合は,休薬や補液等の適切な処置を行うこと.体液量減少を起こしやすい患者(高齢者,腎機能障害患者,利尿薬併用患者等)においては,脱水や糖尿病性ケトアシドーシス,高浸透圧高血糖症候群,脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること.(「慎重投与」,「相互作用」,「その他の副作用」,「高齢者への投与」の項参照)
3.
尿路感染及び性器感染を起こすことがあるので,症状及びその対処方法について患者に説明すること.また,腎盂腎炎等の重篤な感染症を起こすおそれがあるので,十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し,発症した場合には適切な処置を行うとともに,状態に応じて休薬等を考慮すること.(「重大な副作用」,「その他の副作用」の項参照)
4.
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること.糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等,糖尿病類似の症状(腎性糖尿,甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること.
5.
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法,運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること.
6.
本剤投与中は,血糖を定期的に検査し,薬剤の効果を確かめ,本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること.
7.
投与の継続中に,投与の必要がなくなる場合があり,また,患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるので,食事摂取量,血糖値,感染症の有無等に留意の上,常に投与継続の可否,薬剤の選択等に注意すること.
8.
高度肝機能障害を有する患者について,使用経験がなく安全性は確立していない.
9.
本剤とインスリン製剤又はGLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない.
10.
本剤投与により,血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので,腎機能を定期的に検査すること.腎機能障害患者においては経過を十分に観察し,継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること.(「慎重投与」,「その他の副作用」の項参照)
11.
本剤の作用機序により,血糖コントロールが良好であっても尿中ケトン体陽性又は血中ケトン体増加がみられることがある.患者の症状,血糖値等の臨床検査値を確認し,インスリンの作用不足によるケトン体増加と区別して糖尿病の状態を総合的に判断すること.(「その他の副作用」の項参照)
12.
インスリン分泌能が低下している患者では,糖尿病性ケトアシドーシスの発現に注意すること.
13.
排尿困難,無尿,乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては,その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること.
14.
本剤投与による体重減少が報告されているため,過度の体重減少に注意すること.
15.
低血糖症状を起こすことがあるので,高所作業,自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること.(「重大な副作用」の項参照)
相互作用
相互作用の概略
本剤は,主としてUGT1A9及びUGT2B4により代謝され,未変化体の尿中排泄率は1%未満であった.本剤はP-糖蛋白質,多剤耐性関連蛋白質2及び乳がん耐性蛋白質の基質であり,P-糖蛋白質及び多剤耐性関連蛋白質2に対して弱い阻害作用を有する.(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
糖尿病用薬(スルホニルウレア剤,速効型インスリン分泌促進薬,α-グルコシダーゼ阻害薬,ビグアナイド系薬剤,チアゾリジン系薬剤,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬,インスリン製剤等)
臨床症状・措置方法
低血糖症状が起こるおそれがあるので,患者の状態を十分観察しながら投与すること.特に,インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがある.これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため,これらの薬剤の減量を検討すること.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「重大な副作用」の項参照)
低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される.
2. 薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤(β-遮断剤,サリチル酸剤,モノアミン酸化酵素阻害剤等)
臨床症状・措置方法
更に血糖が低下する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される.
3. 薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン,副腎皮質ホルモン,甲状腺ホルモン等)
臨床症状・措置方法
血糖が上昇する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が減弱される.
4. 薬剤名等
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
本剤300mgとの併用によりジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及び20%上昇したとの報告があるため,適切な観察を行うこと.
機序・危険因子
本剤のP-糖蛋白質阻害作用による.
5. 薬剤名等
リファンピシン,フェニトイン,フェノバルビタール,リトナビル等
臨床症状・措置方法
リファンピシンとの併用により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ28%及び51%低下したとの報告があるため,適切な観察を行うこと.
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導することにより,本剤の代謝が促進される.
6. 薬剤名等
利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬,サイアザイド系利尿薬等)
臨床症状・措置方法
左記薬剤と本剤の併用により,利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため,必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること.
機序・危険因子
左記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある.
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第II相用量設定試験及び第III相試験において,1629例中474例(29.1%)953件の副作用(臨床検査値の異常も含む)が認められた.主な副作用は,無症候性低血糖,低血糖症,頻尿,血中ケトン体増加,便秘等であった.(承認時)
重大な副作用
1. 低血糖
他の糖尿病用薬との併用で低血糖があらわれることがある.
また,海外の臨床試験において,インスリン製剤との併用で低血糖が報告されている.特に,インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがあることから,これらの薬剤の減量を検討すること.また,他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖が報告されている.低血糖症状が認められた場合には,糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと.(「慎重投与」,「重要な基本的注意1.」,「相互作用」,「臨床成績」の項参照)
2. 腎盂腎炎(0.1%)
腎盂腎炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意3.」の項参照)
その他の副作用
精神・神経系
0.1~1%未満
浮動性めまい,体位性めまい,頭痛
精神・神経系
頻度不明注)
失神
消化器
1%以上
便秘,口渇
消化器
0.1~1%未満
歯周炎,腹部膨満,上腹部痛,下痢,胃炎,胃食道逆流性疾患,悪心
循環器
0.1~1%未満
頻脈,心室性期外収縮,起立性低血圧
循環器
頻度不明注)
低血圧
血液
0.1~1%未満
白血球増加症,赤血球増加症
泌尿器
1%以上
膀胱炎,頻尿
泌尿器
0.1~1%未満
尿路感染,緊張性膀胱,夜間頻尿,多尿
皮膚
0.1~1%未満
接触性皮膚炎,湿疹,そう痒症,発疹,蕁麻疹,中毒性皮疹
眼
0.1~1%未満
結膜炎
耳
0.1~1%未満
回転性めまい,突発難聴
生殖器
1%以上
外陰部腟カンジダ症
生殖器
0.1~1%未満
性器カンジダ症,腟感染,外陰部炎,亀頭炎,亀頭包皮炎,良性前立腺肥大症,陰部そう痒症,外陰腟そう痒症
代謝異常
1%以上
ケトーシス,無症候性低血糖
臨床検査
1%以上
血中ケトン体増加
臨床検査
0.1~1%未満
血中クレアチニン増加,血中カリウム増加,ヘマトクリット増加,尿中血陽性,赤血球数増加,尿中アルブミン/クレアチニン比増加,尿中ケトン体陽性,尿量増加
全身症状
0.1~1%未満
脱水,無力症,胸部不快感,空腹,倦怠感
筋骨格系
0.1~1%未満
背部痛
その他
0.1~1%未満
体重減少
上記の副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと.
注)海外のみで報告された副作用は頻度不明とした
高齢者への投与
1.
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.(「重要な基本的注意2.」の項参照)
2.
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので注意すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,本剤を投与せず,インスリン製剤等を使用すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の動物実験(ラット)で,ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により,幼若動物に腎盂及び尿細管の拡張が報告されている.また,動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている.〕
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること.〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている.〕
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない).
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤の作用機序により,本剤服用中は尿糖陽性,血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す.尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は,血糖コントロールの参考とはならないので注意すること.
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.〔PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.〕
その他の注意
雌雄ラットを用いた2年間反復投与がん原性試験(10,30及び100mg/kg/日)において,10mg/kg/日以上の雄で精巣に間細胞腫,100mg/kg/日の雌雄で副腎に褐色細胞腫及び腎臓に尿細管腫瘍の発生頻度の増加が認められた.ラットに本剤10mg/kg/日(雄)又は100mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0-24h)は,最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約6倍又は約84倍であった.
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与
2型糖尿病患者に,カナグリフロジンとして100mgを食事10分前に単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである1).

図 2型糖尿病患者にカナグリフロジン100mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差,n=12)
(表1参照)
(2) 反復投与
2型糖尿病患者に,カナグリフロジンとして100mgを1日1回14日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり,反復投与開始後4日目までに定常状態に達するものと考えられた1).
(表2参照)
(3) 食事の影響
健康成人に,カナグリフロジンとして200mgを空腹時又は食事10分後(食後投与)に単回経口投与したときのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(食後/空腹時)とその90%信頼区間は,0.843[0.790,0.900]及び0.977[0.945,1.011]であった.空腹時と比較して,カナグリフロジンのtmaxの中央値は食後投与で約1.0時間延長した2).
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
(表3参照)
2. 吸収(外国人のデータ)
健康成人(9例)に,カナグリフロジンとして300mgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約65%であった3).
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
3. 蛋白結合率
カナグリフロジンのヒト血漿蛋白結合率は約98%であった(in vitro,限外濾過法)4).
4. 代謝
(1)
健康成人(外国人,6例)に,[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき,投与後24時間までの血漿中総放射能に占める未変化体及び代謝物の割合は,カナグリフロジン(45.4~98.7%),グルクロン酸抱合代謝物M5(1.9~29.6%)及びM7(16.0~28.8%)及び酸化代謝物M9(2.42~3.70%)であった5).
(2)
ヒトにおけるカナグリフロジンのグルクロン酸抱合代謝には,主にUGT1A9及びUGT2B4が,酸化代謝には主にCYP3A4,次いでCYP2D6が関与した.CYP2B6,2C8,2C9及び3A4に対して弱い阻害作用を示したが(IC50値:16,75,80及び27μmol/L),CYP1A2,2A6,2C19,2D6及び2E1に対して阻害作用を示さなかった.また,いずれのCYP分子種に対しても時間依存的阻害作用を示さず,CYP1A2,2B6,3A4,2C9及び2C19を誘導しなかった.UGT1A1及び1A6に対して弱い阻害作用を示したが(IC50値:91及び50μmol/L),UGT1A4,1A9及び2B7に対して阻害作用を示さなかった(in vitro)6).
5. 排泄
(1)
健康成人(外国人,6例)に,[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき,投与後168時間までに,投与された放射能の32.5%が尿中に,60.4%が糞中に排泄された.投与後48時間までの尿中にカナグリフロジンは認められず,M5(13.3%)及びM7(17.2%)が認められた.また,糞中には,カナグリフロジン(41.5%),M7(3.2%)及びM9(7.0%)が認められた5).
(2)
カナグリフロジンはP-糖蛋白質,多剤耐性関連蛋白質2及び乳がん耐性蛋白質の基質であり,P-糖蛋白質及び多剤耐性関連蛋白質2に対して弱い阻害作用(IC50値:19.3μmol/L及び21.5μmol/L)を示した(in vitro)7).
6. 腎機能障害者
(1) 腎機能障害を伴う2型糖尿病患者
中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者に,カナグリフロジンとして100mgを単回経口投与したとき,カナグリフロジンのAUC0-∞は腎機能正常2型糖尿病患者と比較して約26%上昇した.また,腎機能正常2型糖尿病患者及び中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(平均値[95%信頼区間])は86.592[75.612, 97.572]及び61.017[49.362, 72.671]gであった8).
(表4参照)
(2) 腎機能障害者(外国人のデータ)
腎機能障害者に,カナグリフロジンとして200mgを単回経口投与したとき,軽度腎機能障害者,中等度腎機能障害者及び高度腎機能障害者のカナグリフロジンのCmaxは正常腎機能者と比較して,それぞれ約27%,約9%及び約10%低下した.また,AUC0-∞は正常腎機能者と比較して,それぞれ約15%,約29%及び約53%高かった.末期腎不全患者のAUC0-∞は透析前及び透析後共に正常腎機能者と同程度であり,4時間の透析によってカナグリフロジンはほとんど除去されなかった.
また,正常腎機能者と軽度,中等度及び高度腎機能障害者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(調整済み平均値)は,53.04,38.32,17.11及び4.27gであった8).
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
(表5参照)
7. 肝機能障害者(外国人のデータ)
肝機能障害者に,カナグリフロジンとして300mgを単回経口投与したとき,軽度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア5~6)及び中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア7~9)のカナグリフロジンのCmaxは正常肝機能者と比較して,それぞれ約7%の上昇と約4%の低下が認められた.また,AUC0-∞は正常肝機能者と比較して,それぞれ約10%及び約11%高かった9).なお,高度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)での臨床試験は行われていない.
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
(表6参照)
8. 高齢者における薬物動態
2型糖尿病患者を対象とした用量設定試験から,高齢者(65歳以上,71~73例)と非高齢者(65歳未満,217~225例)において用量補正した血漿中カナグリフロジン濃度のトラフ値及び投与12週後のAUC0-2.17hを比較した.その結果,高齢者のトラフ濃度の平均値は非高齢者よりも約10~30%高い値を示した10).
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
9. 薬物相互作用11)
(1) リファンピシン(外国人のデータ)
健康成人(14例)を対象にリファンピシン600mgを1日1回9日間反復経口投与及びカナグリフロジンとして300mgを単回併用投与(リファンピシン投与7日目)したとき,カナグリフロジンのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比とその90%信頼区間は,カナグリフロジンを単独経口投与したときに対して,それぞれ71.75[61.13,84.21]及び48.76[43.69,54.43]であった.
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
(2) ジゴキシン(外国人のデータ)
健康成人(16例)を対象にジゴキシン0.25mgを1日1回7日間反復経口投与(初日はジゴキシン0.5mg投与)及びカナグリフロジンとして300mgを反復併用投与したとき,ジゴキシンのCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比とその90%信頼区間は,ジゴキシンを単独経口投与したときに対して,それぞれ135.82[120.85,152.64]及び119.51[112.02,127.51]であった.
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)
(3) その他の薬剤(外国人のデータ)
テネリグリプチン※,グリベンクラミド(グリブリド),メトホルミン,シクロスポリン,プロベネシド,経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル),ヒドロクロロチアジド,シンバスタチン,アセトアミノフェン及びワルファリンとの薬物相互作用を検討したが,いずれも併用投与による明らかな影響は認められなかった.
※テネリグリプチンは日本人のデータ
(表7参照)
(表8参照)
薬物動態の表
表1 2型糖尿病患者にカナグリフロジン100mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-∞
(ng・h/mL) |
tmax
(h) |
t1/2
(h) |
1126
(228) |
6561
(1305) |
1.0
(1.0-1.5) |
10.2
(1.9) |
n=12,平均値(標準偏差),tmaxは中央値(最小値-最大値)
表2 2型糖尿病患者にカナグリフロジン100mgを14日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-24h
(ng・h/mL) |
tmax
(h) |
t1/2
(h) |
1136
(330) |
6635
(1367) |
1.0
(1.0-1.5) |
11.8
(3.2) |
n=12,平均値(標準偏差),tmaxは中央値(最小値-最大値)
表3 健康成人における空腹時及び食後投与時の薬物動態パラメータ
|
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-∞
(ng・h/mL) |
tmax
(h) |
空腹時 |
2026
(458) |
15316
(3135) |
2.0
(1.0-5.0) |
食後 |
1740
(435) |
15140
(3572) |
3.0
(1.5-5.0) |
n=22~24,平均値(標準偏差),tmaxは中央値(最小値-最大値)
表4 腎機能障害を伴う2型糖尿病患者における単回経口投与時の薬物動態パラメータ
腎機能障害の程度 |
n |
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-∞
(ng・h/mL) |
正常腎機能患者 |
12 |
1214
(338) |
6929
(1734) |
中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者
(eGFR 30~49mL/min/1.73m2) |
12 |
1197
(311) |
8766
(2551) |
中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者
(eGFR 30~49mL/min/1.73m2)
正常腎機能患者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
98
(82,117) |
126
(106,149) |
平均値(標準偏差)
表5 腎機能障害者における単回経口投与時の薬物動態パラメータ
腎機能障害の程度 |
n |
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-∞
(ng・h/mL) |
正常腎機能者 |
3 |
1880
(475) |
14862
(5380) |
軽度腎機能障害者
(eGFR 60~89mL/min/1.73m2) |
10 |
1469
(669) |
17172
(6075) |
軽度腎機能障害者
(eGFR 60~89mL/min/1.73m2)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
73
(50, 108) |
115
(84, 159) |
中等度腎機能障害者
(eGFR 30~59mL/min/1.73m2) |
9 |
1717
(427) |
18715
(4504) |
中等度腎機能障害者
(eGFR 30~59mL/min/1.73m2)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
91
(61, 134) |
129
(93, 178) |
高度腎機能障害者
(eGFR 15~29mL/min/1.73m2) |
10 |
1746
(665) |
22304
(5566) |
高度腎機能障害者
(eGFR 15~29mL/min/1.73m2)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
90
(61, 133) |
153
(111, 211) |
末期腎不全患者(透析後) |
8 |
1287
(277) |
13587
(3216) |
末期腎不全患者(透析後)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
69
(52, 90) |
94
(67, 131) |
末期腎不全患者(透析前) |
8 |
1433
(509) |
14205
(3648) |
末期腎不全患者(透析前)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
75
(52, 107) |
97
(67, 141) |
平均値(標準偏差)
表6 肝機能障害者における単回経口投与時の薬物動態パラメータ
肝機能障害の程度 |
n |
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-∞
(ng・h/mL) |
正常肝機能者 |
8a) |
2844
(794) |
24632
(7132) |
軽度肝機能障害者 |
8 |
3038
(670) |
27162
(8609) |
軽度肝機能障害者
正常肝機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
107
(84, 137) |
110
(86, 140) |
中等度肝機能障害者 |
8 |
2810
(1037) |
26866
(5788) |
中等度肝機能障害者
正常肝機能者との幾何平均値の比(%)(90%信頼区間) |
|
96
(75, 122) |
111
(87, 141) |
平均値(標準偏差),a)AUC0-∞はn=7
表7 カナグリフロジンの薬物動態に及ぼす併用薬の影響
併用薬 |
併用薬
用量 |
本剤
用量 |
カナグリフロジンの薬物動態パラメータ
幾何平均値の比(%)
(90%信頼区間)
併用/単独 |
カナグリフロジンの薬物動態パラメータ
幾何平均値の比(%)
(90%信頼区間)
併用/単独 |
|
|
|
Cmax |
AUC0-24h |
テネリグリプチン |
40mg
(QD) |
200mg
(QD) |
98.2
(88.0, 109.5) |
98.2a)
(95.5, 101.1) |
経口避妊薬 |
(QD)b) |
200mg
(QD) |
91.57
(84.63, 99.08) |
91.39
(88.42, 94.45) |
ヒドロクロロチアジド |
25mg
(QD) |
300mg
(QD) |
114.86
(105.95, 124.51) |
112.24
(107.55, 117.13) |
メトホルミン |
2000mg
(QD) |
300mg
(QD) |
105.17
(95.78, 115.78) |
109.76
(104.96, 114.78) |
シクロスポリン |
400mg
(QD) |
300mg
(QD) |
100.81
(91.31, 111.30) |
122.98
(118.66, 127.46) |
プロベネシド |
500mg
(QD) |
300mg
(QD) |
113.37
(100.37, 128.06) |
120.74
(116.37, 125.27) |
a)AUC0-72h,b)エチニルエストラジオール0.03mg及びレボノルゲストレル0.15mg
表8 併用薬の薬物動態に及ぼすカナグリフロジンの影響
併用薬 |
併用薬
用量 |
本剤
用量 |
併用薬の薬物動態パラメータ
幾何平均値の比(%)
(90%信頼区間)
併用/単独 |
併用薬の薬物動態パラメータ
幾何平均値の比(%)
(90%信頼区間)
併用/単独 |
|
|
|
Cmax |
AUC0-∞ |
テネリグリプチン |
40mg
(QD) |
200mg
(QD) |
97.6
(90.3, 105.6) |
98.3c)
(94.0, 102.8) |
エチニルエストラジオール |
0.030mg |
200mg
(QD) |
122.21
(110.34, 135.36) |
106.61
(98.56, 115.32) |
レボノルゲストレル |
0.150mg |
200mg
(QD) |
122.32
(110.70, 135.16) |
106.33
(100.02, 113.03) |
シンバスタチン |
40mg
(QD) |
300mg
(QD) |
シンバスタチン
109.09
(90.68, 131.25)
シンバスタチンアシド体
126.10
(109.90, 144.67) |
シンバスタチン
112.11
(94.32, 133.25)
シンバスタチンアシド体
118.26
(103.25, 135.45) |
アセトアミノフェン |
1000mg |
300mg
(BID) |
100.32
(92.35, 108.98) |
110.87
(96.22, 127.74) |
グリブリド |
1.25mg
(QD) |
200mg
(QD) |
グリブリド
92.89
(85.03, 101.48)
3-cis-ヒドロキシグリブリド
98.97
(90.76, 107.92)
4-trans-ヒドロキシグリブリド
95.74
(87.91, 104.26) |
グリブリド
102.25
(97.87, 106.81)
3-cis-ヒドロキシグリブリド
101.04
(95.77, 106.59)
4-trans-ヒドロキシグリブリド
102.52
(96.85, 108.52) |
ワルファリン |
30mg
(QD) |
300mg
(QD) |
S-ワルファリン
100.98
(90.32, 112.89)
R-ワルファリン
102.96
(93.74, 113.09) |
S-ワルファリン
106.14
(100.43, 112.18)
R-ワルファリン
100.62
(95.98, 105.50) |
ヒドロクロロチアジド |
25mg
(QD) |
300mg
(QD) |
93.93
(86.97, 101.46) |
99.46d)
(94.85, 104.30) |
メトホルミン |
1000mg
(QD) |
100mg
(QD) |
85.6
(72.9, 100.7) |
96.5
(81.9, 113.7) |
|
2000mg
(QD) |
300mg
(QD) |
105.80
(93.17, 120.15) |
119.95
(107.68, 133.62 |
c)AUC0-72h,d)AUC0-24h
臨床成績
1. 単独療法
(1) プラセボ対照二重盲検比較試験(検証的試験)
食事療法及び運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(271例)を対象に,カナグリフロジン又はプラセボを1日1回24週間投与した.カナグリフロジン100mg群では,プラセボに比べHbA1c値(NGSP値)が有意に低下し,血糖コントロールが改善した.また,24週時における投与前からの体重変化率(調整済み平均値±標準誤差)は,プラセボ群及びカナグリフロジン100mg群で,それぞれ-0.76±0.35%及び-3.76±0.35%であり,プラセボに比べ体重が減少した.低血糖の副作用発現率は,プラセボ群で1.1%(1例/93例),カナグリフロジン100mg群で1.1%(1例/90例)であった12).
(表9参照)
(2) 長期投与試験
食事療法及び運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(379例)を対象に,カナグリフロジンを1日1回52週間投与した.カナグリフロジン100mg群では,52週に渡って安定した血糖コントロールが得られた.また,投与前からの体重変化率(平均値±標準偏差)は,カナグリフロジン100mg群で-4.42±3.06%であり,52週間の持続した体重減少作用が認められた.低血糖の副作用発現率は3.9%(5例/127例)であった.また,軽度(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)及び中等度(eGFR:45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を伴う2型糖尿病患者においても,HbA1c値(NGSP値)の低下が認められた13).
(表10参照)
(表11参照)
2. 併用療法
長期投与試験
食事療法及び運動療法に加えて経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(918例)を対象に,カナグリフロジンを1日1回52週間投与した.カナグリフロジン100mg群では52週に渡って安定した血糖コントロールが得られた.また,投与前からの体重変化率(平均値±標準偏差)は,スルホニルウレア剤との併用では-2.94±3.24%,速効型インスリン分泌促進薬との併用では-3.97±4.05%,α-グルコシダーゼ阻害薬との併用では-4.03±2.58%,ビグアナイド系薬剤との併用では-4.42±3.93%,チアゾリジン系薬剤との併用では-3.37±2.90%,DPP-4阻害薬との併用では-4.00±3.63%であり,他の経口血糖降下薬併用時でも52週間の持続した体重減少作用が認められた13).低血糖の副作用発現率は,スルホニルウレア剤併用時16.1%(20例/124例),速効型インスリン分泌促進薬併用時4.6%(3例/65例),α-グルコシダーゼ阻害薬併用時0.0%(0例/62例),ビグアナイド系薬剤併用時5.6%(4例/72例),チアゾリジン系薬剤併用時4.8%(3例/63例),DPP-4阻害薬併用時2.8%(2例/71例)であった.また,軽度(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)及び中等度(eGFR:45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を伴う2型糖尿病患者においても,HbA1c値(NGSP値)の低下が認められた13).
(表12参照)
(表13参照)
3. 腎機能障害を伴う2型糖尿病患者での効果
二重盲検比較試験(外国人のデータ)
食事療法及び運動療法もしくは食事療法及び運動療法に加えて経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分,かつ,中等度(eGFR:30mL/min/1.73m2以上50mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を伴う2型糖尿病患者(269例)を対象に,カナグリフロジン又はプラセボを1日1回26週間投与した.カナグリフロジン100mg群では,プラセボに比べHbA1c値(NGSP値)が有意に低下し,血糖コントロールが改善した14).
(表14参照)
臨床成績の表
表9 プラセボ対照二重盲検比較試験(24週時)の結果
|
|
プラセボ
n=93 |
カナグリフロジン 100mg
n=90 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.04±0.70 |
7.98±0.73 |
|
投与前からの変化量 |
0.29±0.07 |
-0.74±0.07 |
|
プラセボとの差 |
- |
-1.03±0.10♯
[-1.23, -0.83] |
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
3.7±2.7 |
-31.6±2.8 |
|
プラセボとの差 |
- |
-35.3±3.9♯
[-43.0, -27.6] |
糖負荷後
2時間血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-0.5±5.8 |
-84.9±5.4 |
|
プラセボとの差 |
- |
-84.4±8.0♯
[-100.1, -68.7] |
投与前:平均値±標準偏差,投与前からの変化量及びプラセボとの差:調整済み平均値±標準誤差 ♯p<0.001,[ ]は両側95%信頼区間,HbA1c:NGSP値
表10 長期投与試験(52週時)の結果
|
|
カナグリフロジン 100mg
n=127 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
7.84±0.71 |
|
投与前からの変化量 |
-0.80±0.70
[-0.92, -0.67] |
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-24.2±27.8
[-29.1, -19.3] |
平均値±標準偏差,[ ]は両側95%信頼区間,HbA1c:NGSP値
表11 腎機能障害患者での長期投与(52週時)の結果
|
|
カナグリフロジン 100mg
軽度
腎機能障害患者
n=77 |
カナグリフロジン 100mg
中等度
腎機能障害患者
n=8 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
7.73±0.73 |
7.96±0.37 |
|
投与前からの変化量 |
-0.68±0.74
[-0.85, -0.51] |
-0.74±0.26
[-0.95, -0.52] |
平均値±標準偏差,[ ]は両側95%信頼区間,HbA1c:NGSP値
表12 長期投与試験(52週時)の結果
併用薬 |
|
|
カナグリフロジン 100mg |
スルホニルウレア剤
n=124 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.18±0.99 |
|
|
投与前からの変化量 |
-0.96±0.69
[-1.08, -0.84] |
|
空腹時血糖
(mg/dL)※ |
投与前からの変化量 |
-29.3±39.7
[-36.4, -22.2] |
速効型インスリン分泌促進薬
n=65 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.25±0.91 |
|
|
投与前からの変化量 |
-1.06±1.01
[-1.31, -0.81] |
|
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-32.1±47.2
[-43.7, -20.4] |
α-グルコシダーゼ阻害薬
n=62 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.02±0.84 |
|
|
投与前からの変化量 |
-0.91±0.81
[-1.11, -0.70] |
|
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-26.8±25.8
[-33.4, -20.2] |
ビグアナイド系薬剤
n=72 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
7.87±0.75 |
|
|
投与前からの変化量 |
-0.87±0.63
[-1.02, -0.73] |
|
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-28.5±28.9
[-35.3, -21.7] |
チアゾリジン系薬剤
n=63 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.10±1.04 |
|
|
投与前からの変化量 |
-1.04±0.88
[-1.26, -0.82] |
|
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-34.5±35.5
[-43.4, -25.5] |
DPP-4阻害薬
n=71 |
HbA1c
(%) |
投与前 |
8.19±0.85 |
|
|
投与前からの変化量 |
-1.04±0.76
[-1.22, -0.86] |
|
空腹時血糖
(mg/dL) |
投与前からの変化量 |
-37.5±29.7
[-44.5, -30.4] |
平均値±標準偏差,[ ]は両側95%信頼区間,※n=123,HbA1c:NGSP値
表13 腎機能障害患者での長期投与(52週時)の結果
HbA1c(%) |
|
カナグリフロジン 100mg
軽度
腎機能障害患者 |
カナグリフロジン 100mg
中等度
腎機能障害患者 |
併用療法 |
n |
279 |
20 |
|
投与前 |
8.01±0.87 |
7.87±0.91 |
|
投与前からの変化量 |
-0.93±0.67
[-1.01, -0.85] |
-0.76±0.89
[-1.17, -0.34] |
併用薬別 |
|
|
|
スルホニルウレア剤 |
n |
98 |
3 |
|
投与前 |
8.19±1.01 |
8.17±1.32 |
|
投与前からの変化量 |
-0.98±0.65
[-1.11, -0.85] |
-1.00±0.92
[-3.28, 1.28] |
速効型インスリン分泌促進薬 |
n |
26 |
5 |
|
投与前 |
8.11±0.78 |
7.92±1.20 |
|
投与前からの変化量 |
-1.02±0.64
[-1.28, -0.76] |
-1.00±1.37
[-2.71, 0.71] |
α-グルコシダーゼ阻害薬 |
n |
36 |
4 |
|
投与前 |
7.94±0.76 |
7.55±0.64 |
|
投与前からの変化量 |
-0.91±0.82
[-1.19, -0.64] |
-0.25±0.82
[-1.55, 1.05] |
ビグアナイド系薬剤 |
n |
40 |
2 |
|
投与前 |
7.61±0.59 |
8.65±1.34 |
|
投与前からの変化量 |
-0.78±0.61
[-0.97, -0.58] |
-0.65±0.64
[-6.37, 5.07] |
チアゾリジン系薬剤 |
n |
39 |
3 |
|
投与前 |
7.93±0.85 |
7.27±0.32 |
|
投与前からの変化量 |
-0.94±0.71
[-1.17, -0.71] |
-0.70±0.30
[-1.45, 0.05] |
DPP-4阻害薬 |
n |
40 |
3 |
|
投与前 |
8.09±0.81 |
7.97±0.32 |
|
投与前からの変化量 |
-0.92±0.60
[-1.11, -0.73] |
-0.90±0.87
[-3.05, 1.25] |
平均値±標準偏差,[ ]は両側95%信頼区間,HbA1c:NGSP値
表14 プラセボ対照二重盲検比較試験(26週時)の結果
HbA1c(%) |
プラセボ
n=87 |
カナグリフロジン 100mg
n=88 |
投与前 |
8.02±0.917 |
7.89±0.898 |
投与前からの変化量 |
-0.03±0.090 |
-0.33±0.090 |
プラセボとの差
p値
[95%信頼区間] |
- |
-0.30±0.117
p=0.012
[-0.529, -0.066] |
投与前:平均値±標準偏差,投与前からの変化量及びプラセボとの差:調整済み平均値±標準誤差,HbA1c:NGSP値
薬効薬理
1. 作用機序
ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)は腎臓で近位尿細管に限局して分布しており,糸球体ろ過されたグルコースの大部分を血液中に再吸収させる役割を担っている15).カナグリフロジンは,SGLT2を選択的に阻害し,腎臓でのグルコースの再吸収を抑制することで,血中に過剰に存在するグルコースを尿糖として排泄し血糖低下作用を発揮する.
2. 薬理作用
(1) SGLT2阻害作用
カナグリフロジンはヒトSGLT2を選択的に阻害する(IC50値:4.2nmol/L)(in vitro)16).
(2) 腎糖再吸収阻害作用
2型糖尿病モデルであるZucker Diabetic Fatty(ZDF)ラットにおいて,カナグリフロジンは単回経口投与により,腎糖再吸収阻害率※の上昇及び尿中グルコース排泄量の増加を示した16).2型糖尿病患者にカナグリフロジンとして100mgを単回経口投与したとき,腎糖再吸収阻害率の上昇及び尿中グルコース排泄量の増加が認められた1).
※ 腎糖再吸収量(糸球体グルコースろ過量と尿中グルコース排泄量の差)の媒体投与群に対する阻害率
(3) 糖代謝改善作用
ZDFラットにおいて,カナグリフロジンは単回経口投与により,血糖低下作用を示した16).
同モデルにおいて,カナグリフロジンは4週間反復経口投与により,HbA1c低下作用を示した.反復投与後の経口糖負荷試験では,血糖値上昇の抑制が認められた16).
2型糖尿病患者にカナグリフロジンとして100mgを1日1回24週間反復経口投与したとき,HbA1cの低下及び食後高血糖の改善がみられた12).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カナグリフロジン水和物(Canagliflozin Hydrate)
化学名
(1S)-1,5-Anhydro-1-C-(3-{[5-(4-fluorophenyl)thiophen-2-yl]methyl}-4-methylphenyl)-D-glucitol hemihydrate
分子式
C24H25FO5S・1/2H2O
分子量
453.52
構造式
性状
白色~微黄白色の粉末である.
ジメチルスルホキシド及びエタノールに溶けやすく,アセトニトリルにやや溶けやすく,水にほとんど溶けない.
包装
-
カナグル錠100mg:
100錠(10錠×10),
500錠(10錠×50),
140錠(14錠×10),
500錠(バラ)
主要文献及び文献請求先
主要文献
-
1)
-
田辺三菱製薬(株):2型糖尿病患者を対象とした臨床薬理試験(社内資料)
-
2)
-
田辺三菱製薬(株):健康成人を対象とした食事の影響試験(社内資料)
-
3)
-
田辺三菱製薬(株):絶対バイオアベイラビリティ検討試験(社内資料)
-
4)
-
田辺三菱製薬(株):蛋白結合に関する検討(社内資料)
-
5)
-
田辺三菱製薬(株):マスバランス試験(社内資料)
-
6)
-
田辺三菱製薬(株):代謝に関する検討(社内資料)
-
7)
-
田辺三菱製薬(株):トランスポーターに関する検討(社内資料)
-
8)
-
田辺三菱製薬(株):腎機能障害者における薬物動態試験(社内資料)
-
9)
-
田辺三菱製薬(株):肝機能障害者における薬物動態試験(社内資料)
-
10)
-
田辺三菱製薬(株):第II相用量設定試験(社内資料)
-
11)
-
田辺三菱製薬(株):薬物相互作用試験(社内資料)
-
12)
-
田辺三菱製薬(株):2型糖尿病患者を対象とした検証的試験(社内資料)
-
13)
-
田辺三菱製薬(株):2型糖尿病患者を対象とした長期投与試験(社内資料)
-
14)
-
Yale, JF. et al.:Diabetes obes metab. 2013;15:463-473
-
15)
-
Mather, A., Pollock, C.:Kidney int. 2011;79(Suppl.120):S1-S6
-
田辺三菱製薬(株):in vitro及びin vivo薬理作用(社内資料)
-
16)
文献請求先
-
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい.
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
-
〒541-8505 大阪市中央区北浜2-6-18
-
電話 0120-753-280
-
第一三共株式会社 製品情報センター
-
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
-
電話 0120-189-132
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
-
田辺三菱製薬株式会社
-
大阪市中央区北浜2-6-18
-
東京都中央区日本橋本町3-5-1
第一三共株式会社
大阪市中央区北浜2-6-18
東京都中央区日本橋本町3-5-1
101.7℃
融点