アテディオ配合錠
作成又は改訂年月
*2014年6月改訂 (第2版)
2014年3月作成
日本標準商品分類番号
872149
日本標準商品分類番号等
-
国際誕生年月
-
2014年3月
薬効分類名
選択的AT1受容体ブロッカー/持続性Ca拮抗薬合剤
承認等
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販売名
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アテディオ配合錠

販売名コード
2149120F1027
承認・許可番号
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承認番号
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22600AMX00534
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商標名
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ATEDIO Combination Tab.

薬価基準収載年月
2014年5月
販売開始年月
2014年5月
貯法
貯法:
-
室温保存
-
使用期限:
-
直接容器及び外箱に表示
規制区分
処方せん医薬品注)
-
注) 注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
・本剤は1錠中にバルサルタンを80mg、シルニジピンを10mg含有する。
添加物として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、乳糖水和物、マクロゴール400、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、黄色三二酸化鉄及びカルナウバロウを含有する。
性状
・本剤は淡黄色の楕円形のフィルムコーティング錠である。
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外形 表面
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外形 裏面
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外形 側面
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サイズ
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長径 約16.3mm
短径 約7.2mm
厚さ 約5.0mm
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平均重量
-
重量 約0.52g
一般的名称
バルサルタン/シルニジピン配合錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
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本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.
-
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 (「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
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3.
-
アリスキレンを投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。](「重要な基本的注意」4 の項参照)
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効能又は効果
高血圧症
効能又は効果に関連する使用上の注意
過度な血圧低下のおそれ等があり、本剤を高血圧治療の第一選択薬としないこと。
用法及び用量
成人には1日1回1錠(バルサルタンとして80mg及びシルニジピンとして10mg)を朝食後に経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
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以下のバルサルタンとシルニジピンの用法及び用量を踏まえ、患者毎に本剤の適応を考慮すること。
バルサルタン
通常、成人にはバルサルタンとして40~80mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、1日160mgまで増量できる。
シルニジピン
通常、成人にはシルニジピンとして1日1回5~10mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
効果不十分の場合には、1日1回20mgまで増量することができる。
ただし、重症高血圧患者には1日1回10~20mgを朝食後経口投与する。
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2.
-
原則として、バルサルタン80mg及びシルニジピン10mgを併用している場合、あるいはいずれか一方を使用し血圧コントロールが不十分な場合に本剤への切り替えを検討すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
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両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者 (「重要な基本的注意」2 の項参照)
-
2.
-
高カリウム血症の患者 (「重要な基本的注意」3 の項参照)
-
3.
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重篤な腎機能障害のある患者 [腎機能障害を悪化させるおそれがあるため、血清クレアチニン値が3.0mg/dL1)以上の場合には慎重に投与すること。]
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4.
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肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者 [バルサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、これらの患者では血中濃度が上昇するおそれがある。外国において、軽度~中等度の肝障害患者でバルサルタンの血漿中濃度が、健康成人と比較して約2倍に上昇することが報告されている。また、シルニジピンは主として肝臓で代謝されるため、重篤な肝機能障害のある患者ではシルニジピンの血中濃度が上昇する可能性がある。]
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5.
-
脳血管障害のある患者 [過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。]
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6.
-
カルシウム拮抗剤による重篤な副作用発現の既往のある患者
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7.
-
高齢者 (「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
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本剤は、バルサルタン80mg及びシルニジピン10mgの配合剤であり、バルサルタンとシルニジピン双方の副作用が発現するおそれがあるので、適切に本剤の使用を検討すること。(「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照)
-
2.
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両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。
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3.
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高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
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4.
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アリスキレンを併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。(「相互作用」の項参照)
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5.
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本剤の成分であるバルサルタンの投与によって、初回投与後、一過性の急激な血圧低下 (失神及び意識消失等を伴う) を起こすおそれがあるので、そのような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、特に次の患者では、患者の状態を十分に観察すること。
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(1)
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血液透析中の患者
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(2)
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利尿降圧剤投与中の患者[特に重度のナトリウムないし体液量の減少した患者 (まれに症候性の低血圧が生じることがある) ]
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(3)
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厳重な減塩療法中の患者
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6.
-
本剤の成分であるバルサルタンを含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
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7.
-
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
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8.
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降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
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9.
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本剤の成分であるシルニジピンを含むカルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は他剤に変更する等の処置を行い、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
相互作用
本剤の成分であるシルニジピンは、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2C19で代謝される2)。
併用注意
(併用に注意すること)
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薬剤名等
アリスキレン
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臨床症状・措置方法
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腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
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機序・危険因子
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併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
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薬剤名等
*アンジオテンシン変換酵素阻害剤
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臨床症状・措置方法
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腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
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機序・危険因子
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併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
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薬剤名等
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン、トリアムテレン等
カリウム補給製剤
塩化カリウム
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臨床症状・措置方法
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血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
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機序・危険因子
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バルサルタンのアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。
危険因子:腎機能障害
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薬剤名等
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
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臨床症状・措置方法
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血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
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機序・危険因子
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バルサルタンによる血清カリウム値の上昇とドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によると考えられる。
危険因子:腎障害患者、血清カリウム値の高い患者
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薬剤名等
シクロスポリン
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臨床症状・措置方法
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血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
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機序・危険因子
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高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
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薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤
インドメタシン等
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臨床症状・措置方法
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バルサルタンの降圧作用が減弱することがある。
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機序・危険因子
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NSAIDs・COX-2選択的阻害剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、バルサルタンの降圧作用が減弱することがある。
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薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤
インドメタシン等
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臨床症状・措置方法
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腎機能を悪化させるおそれがあるので、併用する場合には腎機能を十分に観察すること。
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機序・危険因子
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NSAIDs・COX-2選択的阻害剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
危険因子:高齢者
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薬剤名等
ビキサロマー
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臨床症状・措置方法
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併用により、バルサルタンの血中濃度が約30~40%に低下したとの報告がある。バルサルタンの作用が減弱するおそれがあるので、併用する場合には十分に観察すること。
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機序・危険因子
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リン酸結合性ポリマーにより、同時に服用した場合、バルサルタンの吸収を遅延あるいは減少させる可能性がある。
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薬剤名等
リチウム
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臨床症状・措置方法
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血中リチウム濃度が上昇し、リチウム中毒を起こすことが報告されているので、血中リチウム濃度に注意すること。
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機序・危険因子
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バルサルタンのナトリウム排泄作用により、リチウムの蓄積が起こると考えられている。
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薬剤名等
他の降圧薬
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臨床症状・措置方法
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血圧が過度に低下するおそれがある。
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機序・危険因子
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相加的あるいは相乗的に作用を増強することが考えられている。
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薬剤名等
ジゴキシン
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臨床症状・措置方法
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他のカルシウム拮抗剤 (ニフェジピン等) でジゴキシンの血中濃度を上昇させることが報告されている。
ジゴキシン中毒症状 (悪心・嘔吐、頭痛、視覚異常、不整脈等) が認められた場合、症状に応じジゴキシンの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
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機序・危険因子
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機序は完全には解明されていないが、ジゴキシンの腎及び腎外クリアランスが減少するためと考えられている。
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薬剤名等
シメチジン
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臨床症状・措置方法
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他のカルシウム拮抗剤 (ニフェジピン等) の作用が増強されることが報告されている。
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機序・危険因子
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シメチジンが肝血流量を低下させ、カルシウム拮抗剤の肝ミクロソームでの酵素代謝を抑制する一方で、胃酸を低下させ、カルシウム拮抗剤の吸収を増加させるためと考えられている。
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薬剤名等
リファンピシン
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臨床症状・措置方法
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他のカルシウム拮抗剤 (ニフェジピン等) の作用が減弱されることが報告されている。
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機序・危険因子
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リファンピシンにより誘導された肝薬物代謝酵素 (チトクロームP-450) がカルシウム拮抗剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。
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薬剤名等
アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール、ミコナゾール等
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臨床症状・措置方法
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シルニジピンの血中濃度が上昇するおそれがある。
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機序・危険因子
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アゾール系抗真菌剤がシルニジピンの薬物代謝酵素のCYP3A4を阻害するためと考えられる。
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薬剤名等
グレープフルーツジュース
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臨床症状・措置方法
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シルニジピンの血中濃度が上昇することが確認されている3)。
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機序・危険因子
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発現機序の詳細は不明であるが、グレープフルーツジュースに含まれる成分がシルニジピンの薬物代謝酵素のCYP3A4を抑制するためと考えられる。
副作用
承認時までの国内の臨床試験では459例中55例 (12.0%) に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。主な副作用は高尿酸血症6例 (1.3%)、ALT (GPT) 増加5例 (1.1%) であった。
重大な副作用
1. 血管浮腫:(頻度不明)
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顔面、口唇、咽頭、舌の腫脹等が症状としてあらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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2. 肝炎、肝機能障害、黄疸:(いずれも頻度不明)
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肝炎、AST (GOT)、ALT (GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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3. 腎不全:(頻度不明)
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腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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4. 高カリウム血症:(頻度不明)
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重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。
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5. ショック、失神、意識消失:(いずれも頻度不明)
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ショック、血圧低下に伴う失神、意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。特に血液透析中、厳重な減塩療法中、利尿降圧剤投与中の患者では患者の状態を十分に観察すること。
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6. 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少:(いずれも頻度不明)
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無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。
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7. 間質性肺炎:(頻度不明)
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発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
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8. 低血糖:(頻度不明)
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低血糖があらわれることがある (糖尿病治療中の患者であらわれやすい) ので、観察を十分に行い、脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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9. 横紋筋融解症:(頻度不明)
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筋肉痛、脱力感、CK (CPK) 上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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10. 中毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:(いずれも頻度不明)
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中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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11. 天疱瘡、類天疱瘡:(いずれも頻度不明)
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天疱瘡、類天疱瘡があらわれることがあるので、水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
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肝臓注1)
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(0.5~5%未満)
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肝機能異常、ALT (GPT) 増加、AST (GOT) 増加
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肝臓注1)
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(0.5%未満)
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ALP増加、γ-GTP増加
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肝臓注1)
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(頻度不明)
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LDH増加、ビリルビン増加
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腎臓
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(0.5~5%未満)
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高尿酸血症
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腎臓
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(0.5%未満)
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尿素窒素増加、尿蛋白陽性
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腎臓
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(頻度不明)
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クレアチニン増加、尿酸値減少、尿沈渣陽性
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精神神経系
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(0.5~5%未満)
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頭痛
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精神神経系
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(0.5%未満)
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めまい
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精神神経系
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(頻度不明)
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頭重感、立ちくらみ、眠気、不眠、手指振戦、もの忘れ、しびれ
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循環器
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(0.5~5%未満)
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顔面潮紅(ほてり)
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循環器
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(0.5%未満)
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動悸、血圧低下
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循環器
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(頻度不明)
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熱感、冷感、胸痛、心胸郭比増加、頻脈、心電図異常 (ST低下、T波逆転)、房室ブロック、期外収縮、心房細動
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消化器
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(0.5~5%未満)
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便秘
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消化器
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(0.5%未満)
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腹部不快感、胸やけ
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消化器
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(頻度不明)
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嘔気・嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、口渇、歯肉肥厚
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過敏症注2)
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(0.5%未満)
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発疹
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過敏症注2)
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(頻度不明)
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発赤、そう痒、光線過敏症
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血液
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(0.5%未満)
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白血球数増加、好酸球数増加、貧血
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血液
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(頻度不明)
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好酸球数減少、好中球数変動、リンパ球数変動、ヘモグロビン変動、赤血球数変動、ヘマトクリット変動
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呼吸器
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(頻度不明)
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咳嗽、咽頭炎
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電解質
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(0.5~5%未満)
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血中K増加
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電解質
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(0.5%未満)
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血中K減少、血中Ca減少、血中P増加
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電解質
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(頻度不明)
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血中Ca増加、血中P減少、低ナトリウム血症
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筋骨格系
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(0.5%未満)
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肩こり
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筋骨格系
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(頻度不明)
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筋肉痛、腰背部痛、関節痛、腓腸筋痙直 (こむら返り)
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その他
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(0.5~5%未満)
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高脂血症 (血中コレステロール、トリグリセリド増加)
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その他
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(0.5%未満)
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CK (CPK) 増加、CK (CPK) 減少、血糖増加、頻尿
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その他
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(頻度不明)
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浮腫 (顔、下肢等)、脱力感、倦怠感、疲労感、味覚異常、目の充血刺激感、眼周囲の乾燥、発熱、耳鳴、尿糖陽性、総蛋白の変動、CRPの変動
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
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注1):このような症状については観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること。
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注2):このような症状が発現した場合には、投与を中止すること。
高齢者への投与
1.
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高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている (脳梗塞等が起こるおそれがある) ので、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
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2.
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バルサルタン単独投与による高齢者での薬物動態試験で、バルサルタンの血漿中濃度が非高齢者に比べて高くなることが認められている。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
-
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。[バルサルタンを含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中期~末期に投与された患者に胎児・新生児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれたとの報告がある1),4)。また、海外で実施されたアンジオテンシン変換酵素阻害剤におけるレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある5)。また、シルニジピンにおける動物実験 (ラット) で、胎児毒性並びに妊娠期間及び分娩時間の延長が報告されている6)~8)。]
-
2.
-
授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[バルサルタンにおける動物実験 (ラットの授乳期経口投与) の3mg/kg/日で、乳汁中へ移行するとの報告がある。シルニジピンも動物実験 (ラット) で、母乳中へ移行することが報告されている9)。また、バルサルタンにおける動物実験 (ラットの周産期及び授乳期経口投与) の600mg/kg/日で出生児の低体重及び生存率の低下が認められており、200mg/kg/日以上で外表分化の遅延が認められている。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない (使用経験がない)。
過量投与
-
1. 徴候・症状
-
本剤の過量投与に関する情報は得られていない。本剤の成分であるバルサルタンの過量投与により、著しい血圧低下が生じ、意識レベルの低下、循環虚脱に至るおそれがある。
-
2. 処置
-
通常、次のような処置を行う。
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(1)
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催吐及び活性炭投与
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(2)
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著しい低血圧の場合には、患者を仰臥位にし、速やかに生理食塩液等の静脈注射など適切な処置を行う。
-
-
注意:バルサルタンの血漿タンパクとの結合率は93%以上であり、血液透析によって除去できない。
適用上の注意
薬剤交付時
-
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
薬物動態
1.
血中濃度
健康成人男性に本剤を食後に単回経口投与した時、血中のバルサルタン及びシルニジピンは、それぞれ投与後3及び2時間で最高濃度に達し、それぞれ半減期5.4及び7.7時間で消失した10)。
(表1参照)
2.
食事の影響
健康成人男性14例に本剤を単回経口投与した時、バルサルタンは空腹時投与と比較して食後投与でCmaxは約0.8倍、AUC24hrは約0.6倍であった。一方、シルニジピンは空腹時投与と比較して食後投与でCmaxは約2.8倍、AUC24hrは約1.6倍であった10)。
3.
生物学的同等性
健康成人男性に本剤を空腹時に単回経口投与した時、血中のバルサルタン及びシルニジピンは、それぞれ投与後2及び3時間で最高濃度に達し、それぞれ半減期5.6及び7.0時間で消失した。本剤投与時とバルサルタン80mg錠・シルニジピン10mg錠の併用投与時とのCmax及びAUClastはいずれも同様であり、本剤と各単剤の併用は生物学的に同等であることが確認された11)。
(表2参照)
4.
薬物相互作用試験
健康成人男性18例に、バルサルタン80mg錠とシルニジピン10mg錠を併用で単回経口投与した時の各成分の薬物動態は各単剤単独投与時と違いはなく、バルサルタンとシルニジピンの間に薬物動態学的な相互作用は認められなかった12)。
5.
代謝
バルサルタン:健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与した時、投与8時間後の血漿中には、主に未変化体が存在し、代謝物として4-ヒドロキシ体が認められた (外国人のデータ)13)。なお、4-ヒドロキシ体への代謝にはCYP2C9が関与することが報告されている (in vitro )14)。
シルニジピン:健康成人男子における血漿中及び尿中で認められた代謝物15)から、主代謝経路はメトキシエチル基の脱メチル化、それに続くシンナミルエステル基の加水分解及びジヒドロピリジン環の酸化と考えられている。なお、代謝過程におけるメトキシエチル基の脱メチル化反応には主としてCYP3A4が関与し、また、一部CYP2C19が関与しているものと考えられている (in vitro )2)。
6.
排泄
バルサルタン:健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与した時、投与後168時間までに投与放射能の13%が尿中に、86%が糞中に排泄され、ほとんどが未変化体であった (外国人のデータ)13)。
シルニジピン:健康成人男子にシルニジピン10mgを1日2回7日間反復経口投与した時、尿中に未変化体は検出されず、代謝物として総投与量の5.2%が排泄された15)。
(本剤の承認された用法は、1日1回朝食後経口投与である。)
表1
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本剤投与時
バルサルタン |
本剤投与時
シルニジピン |
例数 |
13 |
13 |
Cmax (ng/mL) |
2697±879 |
16.1±5.9 |
Tmax (hr) |
3.0 (1.0~4.0) |
2.0 (1.0~6.0) |
AUC24hr(ng・hr/mL) |
13508±4995 |
61.1±10.5 |
t1/2(hr) |
5.4±0.6 |
7.7±1.5 |
表2
|
本剤投与時 |
本剤投与時 |
バルサルタン80mg錠・
シルニジピン10mg錠
併用投与時 |
バルサルタン80mg錠・
シルニジピン10mg錠
併用投与時 |
|
バルサルタン |
シルニジピン |
バルサルタン |
シルニジピン |
例数 |
102 |
102 |
100 |
100 |
Cmax
(ng/mL) |
3566±1244 |
7.0±3.4 |
3608±1234 |
7.0±3.2 |
Tmax
(hr) |
2.0 (1.0~4.0) |
3.0 (1.0~8.0) |
3.0 (1.0~4.0) |
2.5 (0.5~6.0) |
AUClast
(ng・hr/mL) |
20479±6733 |
40.3±15.7 |
20632±6944 |
38.3±15.0 |
t1/2
(hr) |
5.6±1.0 |
7.0±1.3 |
5.5±0.9 |
6.8±1.4 |
-
平均値±標準偏差、Tmax:中央値 (最小値~最大値)
平均値±標準偏差、Tmax:中央値 (最小値~最大値)
臨床成績
1.
第III相試験 (検証試験)
本態性高血圧症患者を対象に実施した二重盲検比較試験の結果、本剤を1日1回朝食後に8週間投与したときの血圧下降度は、バルサルタン80mg単剤投与及びシルニジピン10mg単剤投与と比較して有意に優れていた16)。
(表3参照)
2.
長期投与試験
バルサルタン80mg単剤投与又はシルニジピン10mg単剤投与にて血圧コントロールが不十分な本態性高血圧症患者、又はバルサルタン80mg及びシルニジピン10mgの併用で血圧が安定している本態性高血圧症患者を対象に、本剤を1日1回朝食後に52週間経口投与したところ、長期間にわたり安定した降圧効果が認められた17)。
表3
投与群 |
本剤 |
バルサルタン
80mg |
シルニジピン
10mg |
例数 |
195例 |
187例 |
189例 |
収縮期
血圧
ベースライン |
160.5±9.6 |
160.3±9.0 |
160.7±9.5 |
収縮期
血圧
血圧下降度 |
-21.3
(-22.9~-19.7) |
-17.1
(-18.7~-15.4) |
-16.5
(-18.2~-14.9) |
拡張期
血圧
ベースライン |
100.9±4.9 |
100.1±4.8 |
100.5±5.0 |
拡張期
血圧
血圧下降度 |
-13.9
(-15.1~-12.8) |
-9.7
(-10.8~-8.6) |
-10.6
(-11.8~-9.5) |
単位:mmHg
ベースライン:平均値±標準偏差
血圧下降度:調整済み最小二乗平均値 (両側95%信頼区間)
収縮期血圧下降度は0週におけるトラフ時座位収縮期血圧、拡張期血圧下降度は0週におけるトラフ時座位拡張期血圧を共変量とした共分散分析を実施
薬効薬理
1. 作用機序
-
本剤はバルサルタン及びシルニジピンの配合剤である。バルサルタンはアンジオテンシンII受容体のサブタイプであるAT1受容体に結合し、昇圧系として作用するアンジオテンシンIIに対して拮抗することによって降圧効果を発揮する。シルニジピンはジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であり、血管平滑筋細胞膜のL型Caチャネルに作用してCa2+の流入をブロックすることにより血管収縮を抑制し降圧効果を発揮する18),19)。さらにシルニジピンは交感神経の終末に存在するN型Caチャネルも同時にブロックすることにより、降圧時の交感神経興奮によって引き起こされるノルアドレナリンの放出を抑制し、心拍数の上昇やストレス性昇圧を抑制する20)~25)。
-
2. 降圧作用
-
高血圧自然発症ラットに、バルサルタン及びシルニジピンを1日1回14日間反復経口投与すると、両薬剤の併用投与はそれぞれの単独投与を上回る降圧作用を示し、その作用は投与期間を通して安定していた。この試験において、バルサルタン及びシルニジピンの併用投与による心拍数への影響は認められなかった26)。
有効成分に関する理化学的知見
(1) 一般名
-
バルサルタン (JAN)
Valsartan (JAN)
-
(2) 化学名
-
(2S )-3-Methyl-2-(N -{[2'-(1H -tetrazol-5-yl)biphenyl-4-yl]methyl}pentanamido)butanoic acid
-
(3) 化学構造式
-

-
(4) 分子式
-
C24H29N5O3
-
(5) 分子量
-
435.52
-
(6) 性状
-
白色の粉末である。メタノール又はエタノール (99.5) に極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。
-
(7) 融点
-
約103℃
-
(8) 分配係数 log P
-
3.62 (1-オクタノール/水)、0.46 (1-オクタノール/pH7.0緩衝液) [pH7.0緩衝液の組成 (mol/L) :リン酸水素二ナトリウム十二水和物 (0.164)、クエン酸一水和物 (0.018)、塩化カリウム (0.573)]
-
(1) 一般名
-
シルニジピン (JAN)
Cilnidipine (JAN)
-
(2) 化学名
-
(±)-2-Methoxyethyl 3-phenyl-2(E )-propenyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-3,5-pyridinedicarboxylate
-
(3) 化学構造式
-

-
(4) 分子式
-
C27H28N2O7
-
(5) 分子量
-
492.52
-
(6) 性状
-
淡黄色の結晶性の粉末で、におい及び味はない。アセトニトリル、アセトン、クロロホルム又は1,4-ジオキサンに溶けやすく、メタノール又はエタノール (95) にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に変化する。クロロホルム溶液 (1→100) は旋光性を示さない。
-
(7) 融点
-
107~112℃
-
(8) 分配係数 log P
-
5.7 (pH3及び7)、5.9 (pH11)1-オクタノール/Britton-Robinson Buffer (20±2℃)
包装
アテディオ配合錠:100錠 (PTP)、140錠 (PTP)、500錠 (PTP)
500錠(バラ)
主要文献及び文献請求先
主要文献
-
1)
-
The Joint National Committee on Prevention, Detection, eva luation, and Treatment of High Blood Pressure:Arch. Intern. Med. 157 (21), 2413 (1997)
-
2)
-
松本 一 ほか :薬理と治療, 28 (4), 253 (2000)
-
3)
-
味の素製薬株式会社:社内資料 (グレープフルーツ摂取の薬物動態への影響の検討)
-
4)
-
Briggs, G. G. et al. :Ann. Pharmacother. 35 (7-8), 859 (2001)
-
5)
-
Cooper, W. O. et al.:N. Engl. J. Med. 354 (23), 2443 (2006)
-
6)
-
荻原 定彦ほか :薬理と治療, 20 (Suppl. 7), 1905 (1992)
-
7)
-
舘田 智昭ほか :薬理と治療, 20 (Suppl. 7), 1925 (1992)
-
8)
-
和田 重次ほか :薬理と治療, 20 (Suppl. 7), 1975 (1992)
-
9)
-
味の素製薬株式会社:社内資料 (乳汁移行性に関する検討)
-
10)
-
持田製薬株式会社:社内資料 (健康成人男性における配合剤投与時の食事の影響の検討)
-
11)
-
味の素製薬株式会社:社内資料 (健康成人男性における配合剤投与と併用投与との生物学的同等性の検討)
-
12)
-
持田製薬株式会社:社内資料 (健康成人男性における併用投与時の薬物相互作用の検討)
-
13)
-
Waldmeier, F. et al.:Xenobiotica, 27 (1), 59 (1997)
-
14)
-
Nakashima, A. et al.:Xenobiotica, 35 (6), 589 (2005)
-
15)
-
石井當男ほか :薬理と治療, 21 (Suppl. 1), 23 (1993)
-
16)
-
味の素製薬株式会社:社内資料 (本態性高血圧症患者における配合剤の有効性及び安全性の検討)
-
17)
-
持田製薬株式会社:社内資料 (本態性高血圧症患者における配合剤の長期投与時の安全性及び忍容性の検討)
-
18)
-
Oike, M. et al. :Circ. Res., 67 (4), 993 (1990)
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19)
-
Hosono, M. et al. :J. Pharmacobio-Dyn., 15, 547 (1992)
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20)
-
Fujii, S. et al. :J. Pharmacol. Exp. Ther., 280 (3), 1184 (1997)
-
21)
-
細野 昌宏ほか :薬理と治療, 23 (11), 3029 (1995)
-
22)
-
南 順一ほか :Therapeutic Research, 19 (1), 45 (1998)
-
23)
-
Hosono, M. et al. :Jpn. J. Pharmacol., 69 (2), 119 (1995)
-
24)
-
細野 昌宏ほか :薬理と治療, 23 (12), 3187 (1995)
-
25)
-
栽原 伸一郎ほか :薬理と治療, 21 (Suppl. 1), 271 (1993)
-
26)
-
味の素製薬株式会社:社内資料 (高血圧自然発症ラット (SHR/Izm) におけるシルニジピン、バルサルタン及び両薬物の併用による降圧作用試験)
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
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主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
持田製薬株式会社 学術
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〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
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製造販売元
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味の素製薬株式会社
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東京都中央区入船二丁目1番1号
-
販売
-
持田製薬株式会社
-
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