肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加又は長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。
3.本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。
4.本剤の急激な投与中止により、不眠症、悪心、下痢、食欲減退等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
5.本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害があらわれることがあるので、診察時に、眼障害について問診を行うなど注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
相互作用
ミロガバリンは主として腎からの糸球体ろ過及び尿細管分泌により排泄される。ミロガバリンの分泌に関わる主なトランスポーターは、有機アニオントランスポーター(OAT)1、OAT3、H+/有機カチオンアンチポーター(MATE)1及びMATE2-Kである。また、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT)による代謝も受ける。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
プロベネシド
臨床症状・措置方法
併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
プロベネシドのOAT1、OAT3及びUGTの阻害作用によると考えられる。
2. 薬剤名等
シメチジン
臨床症状・措置方法
併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
シメチジンのMATE1及びMATE2-Kの阻害作用によると考えられる。
3. 薬剤名等
ロラゼパム
アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
注意力、平衡機能の低下を増強するおそれがある。
機序・危険因子
相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
〈糖尿病性末梢神経障害性疼痛〉
日本を含むアジアで実施した糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者を対象とした臨床試験において、854例中267例(31.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、傾眠107例(12.5%)、浮動性めまい77例(9.0%)、体重増加27例(3.2%)等であった。〔承認時〕
〈帯状疱疹後神経痛〉
日本を含むアジアで実施した帯状疱疹後神経痛患者を対象とした臨床試験において、553例中241例(43.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、傾眠110例(19.9%)、浮動性めまい65例(11.8%)、体重増加37例(6.7%)等であった。〔承認時〕
重大な副作用
1. めまい(頻度不明)、傾眠(頻度不明)、意識消失(0.1%未満)
めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止又は減量するなど適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等の肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、全身倦怠感や食欲不振等の初期症状を含む異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 精神神経系
5%以上
傾眠、浮動性めまい
2. 精神神経系
5%未満
体位性めまい、不眠症
3. 眼
5%未満
霧視
4. 血液
5%未満
好酸球数増加
5. 循環器
5%未満
起立性低血圧、高血圧
6. 消化器
5%未満
便秘、腹部膨満、口内乾燥、胃炎、嘔吐、食欲亢進、食欲減退、上腹部痛、胃食道逆流性疾患
7. 肝臓
5%未満
肝酵素上昇
8. その他
5%以上
浮腫
9. その他
5%未満
体重増加、歩行障害、異常感、回転性めまい、口渇、顔面浮腫、転倒、糖尿病(HbA1c上昇、血糖値上昇)
上記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者では腎機能が低下していることが多いため、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど慎重に投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)。
また、高齢者ではめまい、傾眠、意識消失等により転倒し骨折等を起こすおそれがあるため、十分に注意すること(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。]
2.授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
症状:
線維筋痛症患者を対象とした海外臨床試験において、1日60mgまでの過量投与例が報告されている。過量投与時にみられた症状は、多幸気分、構語障害、頭痛、嚥下障害、関節炎、関節腫脹、無力症であった。
処置:
症状に応じた対症療法を行う。本剤は血液透析により15.3%が除去される。
注)本剤の効能・効果は末梢性神経障害性疼痛である。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
1.日本を含むアジアで実施した国際共同プラセボ対照試験において、自殺関連有害事象が本剤投与群1,227例中3例(0.24%:自殺既遂1例、自殺念慮2例)、プラセボ群721例中1例(0.14%:自殺念慮1例)に認められた。
2.日本を含むアジアで実施した国際共同プラセボ対照試験において、死亡例が本剤投与群1,227例中2例(0.16%)で報告され、プラセボ群721例では報告はなかった。本剤投与群の死亡例はいずれも糖尿病性末梢神経障害性疼痛の患者であった。
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与
健康成人にミロガバリンとして3、5、10及び30mg(各投与量6例)を単回経口投与したとき、投与後1時間でCmaxに達し、t1/2は2.96~3.37時間であった。Cmax及びAUCinfは投与量に比例して増加した。
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