IgG4モノクローナル抗体であり、ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。また、本剤のサル相同抗体を妊娠カニクイザルへ投与した場合、胎盤を通過して胎児に移行することが確認されている。]
2.授乳中の女性に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[本剤のヒト乳汁への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。]
小児等への投与
小児等に対する有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。]
過量投与
臨床試験において、単回静脈内投与で12mg/kgまで投与されたが重篤な有害事象は認められていない。
過量投与された場合には、患者にみられる徴候や症状を観察し、速やかに適切な対症療法を行うこと。
適用上の注意
1. 投与経路
皮下にのみ投与すること。
2. 投与前
(1)投与前に45分以上かけて室温に戻しておくこと。
(2)溶液が白濁したり、着色したり、微粒子がみられた場合及びシリンジに損傷がみられた場合には本剤は使用しないこと。
(3)投与直前まで本剤の注射針のキャップを外さないこと。キャップを外したら直ちに投与すること。
3. 投与時
(1)皮下注射は腹部、大腿部又は上腕部に行うこと。腹部へ投与する場合は、へその周り5cmを外して投与すること。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
(2)正常な皮膚の部位に注射すること。皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷、打撲や傷のある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症を伴う部位には注射しないこと。
(3)他の薬剤と混合しないこと。
4.本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
その他の注意
16週間単独療法試験において、プラセボ群では約2%、本剤投与群で約5%に、抗薬物抗体(ADA)陽性反応が認められ、中和抗体が認められたのはプラセボ群では0.5%、本剤投与群では1.7%であった。52週間投与試験において、プラセボ群では約3%、本剤投与群で約2%に、12週間を超えて持続するADA陽性反応が認められ、中和抗体が認められたのはプラセボ群では0.7%、本剤投与群では0.2%であった。高抗体価(10,000超)のADAの発現例(発現頻度:全患者集団の0.1%未満)では、本剤の薬物動態及び有効性への影響が示唆された。加えて、高抗体価のADAに関連した血清病及び血清病様反応が認められた。
薬物動態
血中濃度
(1) 単回投与1)
日本人健康成人に本剤300mg又は600mgを単回皮下投与したときのデュピルマブの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
(2) 反復投与2)
アトピー性皮膚炎患者を対象とし本剤(300mg隔週投与)を16週間反復皮下投与したときの日本人部分集団と全患者集団でデュピルマブの曝露量は以下に示すとおりであった。
薬物動態の表
本剤300mg又は600mgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
投与量
(mg) Cmax
(mg/L) tmax*
(day) AUClast
(mg・day/L) t1/2z#
(day)
300
(6例) 38.3±15.3 7.01
(6.99-10.00) 700±234 5.13±1.42
600
(6例) 70.1±24.1 7.00
(3.00-7.02) 1780±699 8.77±5.18
(平均値±標準偏差)、*:中央値(最小値-最大値)
#:血清中薬物濃度の経時的推移を片対数プロットしたときの最終消失相の回帰直線の傾きから算出
臨床成績
1. 国際共同第III相併用療法試験3)
日本の分類でストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬で効果不十分な、18歳以上の中等症から重症注1)のアトピー性皮膚炎(AD)患者740例(日本人患者117例を含む)を対象に、ステロイド外用剤に上乗せして本剤300mgを2週に1回(Q2W)又は毎週1回(QW)、若しくはプラセボを52週間投与した。本剤群では投与1日目に初回用量として本剤600mgの投与を行った注2)。ベースラインの医師による全般評価(IGA)スコアは3.5±0.5、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアは32.5±12.9であった。主要有効性評価項目とした投与後16週時点のIGA≦1達成率注3)及びEASI-75達成率注4)において、本剤群はプラセボ群に比べ統計的に有意な(P<0.0001)改善効果を示した。
注1)IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるAD病変の割合が10%以上、そう痒数値評価スケール(NRS)スコアの日内最大値の週平均が3点以上
注2)投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法及び光線療法の併用を禁止した
注3)IGAスコアが0(消失)又は1(ほぼ消失)かつベースラインから2点以上減少(改善)を達成した患者の割合
注4)EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者の割合
2. 国際共同第III相単独療法試験4)
日本の分類でストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬で効果不十分な、又は安全性上の理由等注5)からステロイド外用薬が推奨されない、18歳以上の中等症から重症注6)のAD患者671例(日本人患者106例を含む)を対象に、本剤300mgをQ2W又はQW、若しくはプラセボを16週間投与した注7)。本剤群では投与1日目に初回用量として本剤600mgの投与を行った。ベースラインのIGAスコアは3.5±0.5、EASIスコアは33.6±14.0であった。主要有効性評価項目とした投与後16週時点のIGA≦1達成率注8)及びEASI-75達成率注9)において、本剤群はプラセボ群に比べ統計的に有意な(P<0.0001)改善効果を示した。
注5)ステロイド外用薬治療により副作用(治療不耐容、過敏症反応、顕著な皮膚萎縮、全身性の影響など)を認めた患者
注6)IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるAD病変の割合が10%以上、そう痒NRSスコアの日内最大値の週平均が3点以上
注7)投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法及び光線療法の併用を禁止した
注8)IGAスコアが0(消失)又は1(ほぼ消失)かつベースラインから2点以上減少(改善)を達成した患者の割合
注9)EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者の割合
臨床成績の表
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