プレビルの抗ウイルス活性が1/5以下となったアミノ酸変異は,HCVジェノタイプ1a,1b,2a,2b,3a及び4aにおける156位の変異,HCVジェノタイプ3aにおける80位の変異,並びにHCVジェノタイプ1a,1b,3a,4a及び6aにおける168位の変異であった.HCVジェノタイプ5におけるグレカプレビルに対する耐性変異については,未検討である.
NS5A阻害剤の抗ウイルス活性に影響するアミノ酸変異を組み込んだHCVレプリコン細胞を用いた検討において,ピブレンタスビルの抗ウイルス活性が1/5以下となったアミノ酸変異は,HCVジェノタイプ1aにおける28位,30位,62位及び93位の変異,及びHCVジェノタイプ1bにおける32位の欠損であった.
国内第III相試験で本剤を投与されたDAA未治療のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者(HCVジェノタイプ1又は2)において,ウイルス学的治療不成功例はみられなかった.DAA未治療のHCVジェノタイプ3のC型慢性肝炎患者において,ウイルス学的治療不成功例が2例認められ,NS3領域の解析はできなかったが,NS5A領域の解析で,1例は,投与前後にG92E,投与後にL28F及びY93Hが認められ,もう1例は,投与前後にV31M,投与後にY93Hが認められた.DAA既治療のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者(HCVジェノタイプ1b)において,ウイルス学的治療不成功例2例のうち1例は,投与前にNS3領域のY56F及びS122G,投与前後にNS3領域のD168V及びNS5A領域のP32L及びP32欠損,投与後にNS3領域のA156D/A156Vが認められ,もう1例は,投与前後にNS3領域のY56F,Q80L及びV170I並びにNS5A領域のL31F及びP32欠損が認められた.
海外試験の併合解析の結果, HCVジェノタイプ3の患者においてNS5A領域のA30Kに関連するSVR12率の低下が認められ,HCVジェノタイプ4,5又は6の患者においては,ウイルス学的治療不成功例はみられなかった.
4. 交差耐性33)
In vitroにおいて,他のNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤と同様にNS3/4領域の80,156又は168位のアミノ酸変異に対して,グレカプレビルの抗ウイルス活性の低下が認められた.他のNS5A阻害剤に耐性を示すNS5A領域の24,28,30,31又は58位のアミノ酸変異に対して,ピブレンタスビルの抗ウイルス活性を保持していた.グレカプレビルは,NS5A阻害剤の耐性に関連したアミノ酸変異及びNS5Bポリメラーゼ阻害剤の耐性に関連したアミノ酸変異に対して,抗ウイルス活性を保持していた.ピブレンタスビルは,NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤の耐性に関連したアミノ酸変異及びNS5Bポリメラーゼ阻害剤の耐性に関連したアミノ酸変異に対して,抗ウイルス活性を保持していた.
有効成分に関する理化学的知見
構造式:
一般名:
グレカプレビル水和物(Glecaprevir Hydrate)[JAN]
化学名:
(3aR,7S,10S,12R,21E,24aR)-7-(1,1-ジメチルエチル)-N-{(1R,2R)-2-(ジフルオロメチル)-1-[(1-メチルシクロプロパン-1-スルホニル)カルバモイル]シクロプロピル}-20,20-ジフルオロ-5,8-ジオキソ-2,3,3a,5,6,7,8,11,12,20,23,24a-ドデカヒドロ-1H,10H-9,12-メタノシクロペンタ[18,19][1,10,17,3,6]トリオキサジアザシクロノナデシノ[11,12-b]キノキサリン-10-カルボキサミド 水和物
分子式:
C38H46F4N6O9S・xH2O
分子量:
838.87(無水物として)
性状:
白色の粉末又は塊.エタノール(99.5)にやや溶けにくく,水にほとんど溶けない.
構造式:
一般名:
ピブレンタスビル(Pibrentasvir)[JAN]
化学名:
N,N’-([(2R,5R)-1-{3,5-ジフルオロ-4-[4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピロリジン-2,5-ジイル]ビス{(6-フルオロ-1H-ベンズイミダゾール-5,2-ジイル)[(2S)-ピロリジン-2,1-ジイル][(2S,3R)-3-メトキシ-1-オキソブタン-1,2-ジイル]})ジカルバミン酸ジメチル
分子式:
C57H65F5N10O8
分子量:
1,113.18
性状:
白色から淡黄色の粉末又は塊.エタノール(99.5)に溶けやすく,水にほとんど溶けない.
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること.
包装
マヴィレット配合錠:42錠[3錠(PTP)×14]
主要文献及び文献請求先
主要文献
1) 社内資料:ラット乳汁分泌及び授乳中,妊娠ラット組織分布試験
2) 社内資料:ラット乳汁代謝物プロファイル
3) 社内資料:ラット出生前・出生後発達試験
4) 社内資料:マウス出生前・出生後発達試験
5) 社内資料:第I相試験(外国人)
6) 社内資料:第I相試験
7) 社内資料:グレカプレビル吸収・分布・代謝・排泄試験
8) 社内資料:ピブレンタスビル吸収・分布・代謝・排泄試験
9) 社内資料:薬物動態概要
10) 社内資料:肝機能障害患者における試験
11) 社内資料:腎機能障害患者における試験
12) 社内資料:日本人被験者(第III相試験)の母集団薬物動態解析
13) 社内資料:シクロスポリン(100mg単回投与)との薬物相互作用試験
14) 社内資料:シクロスポリン(400mg単回投与)との薬物相互作用試験
15) 社内資料:リファンピシンとの薬物相互作用試験
16) 社内資料:カルバマゼピンとの薬物相互作用試験
17) 社内資料:アタザナビル(リトナビル併用)との薬物相互作用試験
18) 社内資料:ダルナビル(リトナビル併用)との薬物相互作用試験
19) 社内資料:ロピナビル・リトナビルとの薬物相互作用試験
20) 社内資料:アトルバスタチン,プラバスタチン,ロスバスタチンとの薬物相互作用試験
21) 社内資料:ダビガトランとの薬物相互作用試験
22) 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用試験
23) 社内資料:シンバスタチン及びlovastatinとの薬物相互作用試験
24) 社内資料:エチニルエストラジオール・norgestimate及びエチニルエストラジオール・レボノルゲストレルとの薬物相互作用試験
25) 社内資料:Thorough QT試験
26) 社内資料:日本人被験者での有効性・安全性試験(第III相試験)
27) 社内資料:ジェノタイプ1~6 |