2.
長期継続投与試験
上記の二重盲検比較試験に参加した患者を対象にアログリプチンとして25mgを同一用法にて52週間投与した結果、HbA1c(JDS値)の投与前からの変化量※は-0.65±0.66%(165例、平均値±標準偏差)であり、安定した血糖コントロールが得られた。33)
※:LOCF法
3.
**製造販売後臨床試験
食事療法、運動療法に加えてアログリプチンとして25mgを投与するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、ピオグリタゾンとして15mg又は30mgを16週間併用投与(1日1回朝食前又は朝食後)した二重盲検比較試験の結果は表4のとおりであり、HbA1c(NGSP値)の投与前からの変化量において、ピオグリタゾン15mg併用投与群及び30mg併用投与群は、アログリプチン単独投与群と比べ有意な差が認められた。34)
**表3 二重盲検比較試験
投与群 HbA1c(JDS値)
(%) 空腹時血糖
(mg/dL) 食後血糖2時間値
(mg/dL)
投与前からの変化量※ 群間差 投与前からの変化量※※ 群間差 投与前からの変化量※※ 群間差
ピオグリタゾン単独投与(n=115)a) -0.19±0.04 -2.4±26.8 -4.5±48.1
アログリプチン25mg併用投与(n=113)a) -0.97±0.04 -0.78♯
[-0.90,-0.66] -18.9±21.0 -16.5
[-22.8,-10.2] -41.5±39.3 -37.0
[-48.6,-25.3]
※:患者背景項目で調整した上での調整済み平均値±標準誤差、※※:平均値±標準偏差
♯:p<0.0001、[ ]は両側95%信頼区間、a):解析対象集団の例数
※,※※:LOCF法(Last observation carried forward法)
**表4 製造販売後臨床試験
投与群 HbA1c(NGSP値)(%) 空腹時血糖値
(mg/dL)
投与前からの変化量※ 群間差 投与前からの変化量※※ 群間差
アログリプチン25mg
単独投与(n=69)a) 0.00±0.08 ― -1.9±26.0 ―
ピオグリタゾン15mg
併用投与(n=69)a) -0.80±0.08 -0.80♯
[-1.03,-0.57] -22.5±36.5 -20.6
[-31.4,-9.9]
ピオグリタゾン30mg
併用投与(n=72)a) -0.90±0.08 -0.90♯
[-1.13,-0.67] -31.0±26.7 -29.1
[-37.9,-20.3]
※:患者背景項目で調整した上での調整済み平均値±標準誤差、※※:平均値±標準偏差
♯:p<0.0001、[ ]は両側95%信頼区間、a):解析対象集団の例数
※,※※:LOCF法
薬効薬理
アログリプチン
(1) 作用機序
アログリプチンは食事の経口摂取刺激により腸管から血中に分泌されるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を不活性化するジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を上昇させ、糖濃度依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進させる。35)
(2) DPP-4に対する阻害作用
1)
ヒト血漿中DPP-4活性を選択的に阻害した(IC50値:10nmol/L)(in vitro)。36)
2)
健康成人にアログリプチンとして25mgを単回投与した時、投与24時間後のDPP-4阻害率は81%であった。14)
(3) 活性型GLP-1濃度増加作用
食事療法、運動療法を実施するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にアログリプチンとして25mgを12週間投与(1日1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検比較試験(用量設定試験)において、プラセボ投与群と比べて、活性型GLP-1濃度の有意な増加が認められた。37)
(4) 血糖改善作用及び耐糖能改善作用
1)
食事療法、運動療法を実施するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にアログリプチンとして25mgを12週間投与(1日1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検比較試験(用量設定試験)において、プラセボ投与群と比べて、食後血糖の改善が認められた。37)
2)
一晩絶食した非肥満2型糖尿病モデル(N-STZ-1.5ラット)及び肥満2型糖尿病モデル(Wistar fattyラット)にアログリプチンを単回投与し、投与1時間後にグルコースを経口投与した糖負荷試験において、耐糖能改善作用が認められた。38,39)
3)
顕著な膵疲弊を呈する肥満2型糖尿病モデル(雄db/dbマウス)において、アログリプチン及びピオグリタゾンを3週間混餌併用投与した時、HbA1cの相加的な低下、血漿グルコース濃度の相乗的な低下が認められた。また、3週間混餌投与後の膵インスリン含量にも相乗的な増加が認められた。40)
ピオグリタゾン
(1) 作用機序
ピオグリタゾンはインスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を軽減し、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖利用を高め血糖を低下させる。この作用は、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化することによると推測される。
(2) インスリン抵抗性改善作用
1)
インスリン抵抗性を有し、肥満型糖尿病であるWistar fattyラット及び肥満であるZucker fattyラットにピオグリタゾンを14日間投与し、20時間絶食後にインスリンを投与したところ、インスリン投与後の血糖低下の増強が認められた。41,4