19、CYP2D6を阻害せず、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19を誘導しなかった(in vitro)。11)
(2)
ピオグリタゾンはCYP1A1、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4の複数の分子種が関与しエーテル部の開裂、エチレン部分の酸化、エチル基の酸化などを受けてM-I~VIに代謝される。12)また、ピオグリタゾンはCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4にほとんど影響を与えなかった(in vitro)。13)
4. 尿中排泄
(1)
健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを1日1回7日間反復投与した時、投与216時間後までのアログリプチンの累積尿中排泄率は72.8%であった。また、健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回投与した時の腎クリアランスは10.7L/h(178mL/min)であり、アログリプチンの尿中への排泄は、能動的な尿細管分泌の関与が示唆される。14,15)
(2)
健康成人(14例)に空腹時にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、尿中には主としてM-IV~VIが排泄され、投与後48時間までの累積尿中排泄率は約30%であった。16)
5. 加齢の影響
健康な高齢者(65歳以上85歳以下、8例)及び非高齢者(20歳以上35歳以下、8例)にアログリプチンとして25mgを単回投与した時、高齢者のCmax、AUCは、非高齢者と比較してそれぞれ47.7%、30.3%増加した。17)
6. 腎障害時の動態(外国人データ)
腎機能の程度が異なる成人にアログリプチンとして50mgを単回投与した時のAUCは、年齢と性別を対応させた健康成人と比較して、中等度腎機能障害者(Ccr=30~50mL/min、6例)では2.1倍、高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、6例)では3.2倍、末期腎不全罹患者(6例)では3.8倍増加した。また、アログリプチンは血液透析3時間後に投与量の7.2%が除去された。18)(<用法・用量に関連する使用上の注意>、「慎重投与」の項参照)
(アログリプチン安息香酸塩単剤の国内承認用量はアログリプチンとして25mgである。)
7. 肝障害時の動態(外国人データ)
中等度肝機能障害者(Child-Pugh※スコアが7~9、8例)及び健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回投与した時、中等度肝機能障害者のCmax、AUCは、健康成人と比較してそれぞれ7.7%、10.1%減少した。19)
※:ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、腹水症の状態からスコア化する分類
8. 薬物間相互作用
(1) アログリプチン及びピオグリタゾン(外国人データ)
健康成人(30例)にピオグリタゾン(CYP2C8基質)として45mg及びアログリプチンとして25mgを1日1回12日間反復投与した時(3×3クロスオーバー試験)、ピオグリタゾン及びアログリプチンのCmax、AUCに併用投与による影響は見られなかった。20)
(2) アログリプチン及びその他の薬剤(外国人データ)
アログリプチンとゲムフィブロジル(CYP2C8、CYP2C9阻害剤)、フルコナゾール(CYP2C9阻害剤)、ケトコナゾール(CYP3A4阻害剤)、シクロスポリン(P-糖蛋白阻害剤)、カフェイン(CYP1A2基質)、ワルファリン(CYP1A2基質、CYP2C9基質、CYP3A4基質)、グリベンクラミド(CYP2C9基質)、トルブタミド(CYP2C9基質)、デキストロメトルファン(CYP2D6基質)、ミダゾラム(CYP3A4基質)、アトルバスタチン(CYP3A4基質)、エチニルエストラジオール(CYP3A4基質)、ノルエチンドロン(CYP3A4基質)、フェキソフェナジン(P-糖蛋白基質)、ジゴキシン(P-糖蛋白基質、腎排泄)、メトホルミン又はシメチジン(腎排泄)、ボグリボース※との薬物間相互作用を検討したが、いずれも併用投与の影響は見られなかった。20~29)
※ボグリボースのみ日本人データ
(3) ピオグリタゾン及びその他の薬剤
ピオグリタゾンとグリベンクラミド(CYP2C9基質)、グリクラジド(CYP2C9基質)又はメトホルミン(腎排泄)との薬物間相互作用を検討したが、いずれも併用投与の影響は見られなかった。30,31)
表1 アログリプチン
測定物質 Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUC0-inf
(ng・h/mL) T1/2
(h)
未変化体 135.6±32.9 2.1±2.0 1,800.2±227.6 18.3±2.8
(平均値±標準偏差)
表2 ピオグリタゾン
測定物質 Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUC0-inf
(ng・h/mL) T1/2
(h)
未変化体 1,215.7±373.0 2.8±1.4 13,201.7±3,332.1 9.2±7.1
M-II 38.6±13.6 7.4±2.2 1,136.6±463.7 15.6±7.8
M-III 233.3±62.3 16.1±5.3 12,521.6±3,211.4 29.8±8.1
M-IV 561.7±129.4 15.2±3.6 30,022.8±6,913.9 28.3±6.4
(平均値±標準偏差)
臨床成績
1.
**二重盲検比較試験(第II/III相試験)
食事療法、運動療法に加えてピオグリタゾンを投与するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、アログリプチンとして25mgを12週間併用投与(1日1回朝食前)した二重盲検比較試験の結果は表3のとおりであり、HbA1c(JDS値)の投与前からの変化量において、アログリプチン併用投与群は、ピオグリタゾン単独投与群と比べ有意な差が認められた。32)