満
不安、耳鳴、知覚異常
精神神経系(注1)
頻度不明
幻覚、せん妄、精神錯乱、運動失調
抗コリン作用
1%以上
口渇、便秘
抗コリン作用
1%未満
排尿困難、視調節障害、鼻閉
抗コリン作用
頻度不明
眼内圧亢進
過敏症(注2)
1%未満
発疹、そう痒感
血液(注3)
頻度不明
白血球減少
肝臓(注4)
1%未満
黄疸
肝臓(注4)
頻度不明
AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇等の肝障害
消化器
1%以上
食欲不振
消化器
1%未満
悪心、嘔吐、味覚異常、下痢
長期投与(注5)
1%未満
口周部等の不随意運動
その他
1%以上
眩暈、頭痛、倦怠感
その他
1%未満
ふらつき、発汗
注1:このような症状があらわれた場合には、減量又は休薬など適切な処置を行うこと。
注2:このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。
注3:定期的に血液検査を行うことが望ましい。
注4:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること。
注5:投与中止後も持続することがある。
高齢者への投与
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。〔高齢者では、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。〕
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告されている。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。〔使用経験がない。〕
過量投与
症状
昏睡、錯乱、不安、激越、異常高熱、筋強剛、反射亢進、痙れん、不整脈、伝導障害を示す心電図異常、うっ血性心不全、ショック、嘔吐等があらわれる。
処置
特異的な解毒剤は知られていないので、胃洗浄、活性炭の投与を行い、維持療法を実施する。呼吸抑制があらわれた場合には気道を確保し、呼吸補助を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
その他の注意
1.
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
2.
*主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
薬物動態
1. 血漿中濃度
表1参照
2. 血漿蛋白結合率2)
約94%(in vitro、ヒト血漿、限外ろ過法)
3. 主な代謝産物及び代謝経路3)
主な代謝産物:
10-hydroxynortriptyline(10-OH-NT)、 desmethylnortriptyline(DNT)、 10-hydroxydesmethylnortriptyline(10-OH-DNT)
代謝経路:
主に肝臓において10位の水酸化体、N位の脱メチル体に代謝される。一部は抱合を受ける。(外国人)
4. 排泄経路及び排泄率3)
排泄経路:
主として尿中
排泄率:
尿中に投与量の62%が排泄された。〔健康成人(外国人)、ノルトリプチリン塩酸塩1mg/kg 1回経口投与又は0.4mg/kg 1日3回反復経口投与〕
5. 初回通過効果4)
41~54%(外国人)
6. 代謝酵素
主なチトクロームP-450分子種
CYP2D6(ノルトリプチリンの10位の水酸化)
表1 血漿中濃度(健康成人、1回投与)
投与量
(mg) 投与例数
(例) Tmax
(h) Cmax
(ng/mL) AUC0-72hr
(ng・h/mL) t1/2
(h)
25 19 4.8±0.4 18.3±4.4 469.2±119.5 26.7±8.5
平均値±標準偏差
臨床成績
本剤の二重盲検比較試験5, 6)及び一般臨床試験7~11)における有効性についての評価症例数は508例であり、これらの臨床成績は次のとおりである。
表2参照
表2 臨床成績
対象疾患 有効率(有効以上) 有効率(やや有効以上)
精神科領域におけるうつ病及びうつ状態 52%(262/508) 73%(372/508)
薬効薬理
作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すことが考えられている。
(1) モノアミン再取り込み阻害作用12)
ラット脳シナプトゾームにおいて、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す(in vitro)。
(2) レセルピン拮抗作用13)
レセルピンによる体温下降作用に対し、抑制作用を示す(マウス、腹腔内投与)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ノルトリプチリン塩酸塩 Nortriptyline Hydrochloride
化学名
3-(10, 11-Dihydro-5H-dibenzo[a,d]cyclohepten-5-ylidene)-N-methylpropylamine monohydrochloride
分子式
C19H21N