蓄積性は示唆されなかった。
2. 分布4,7,8)
本剤の定常状態における分布容積は6~10Lであった。MMAEのヒト血漿蛋白に対するin vitro結合率は68~82%であった。また、in vitro試験により、MMAEはP-糖蛋白の基質であることが示された。
3. 代謝8)
in vitro試験により、MMAEは主にCYP3A4で代謝されることが示された。
4. 排泄4)
造血器腫瘍患者に本剤1.8mg/kgを点滴静注したとき、投与後1週間までに投与量の約24%がMMAEとして尿糞中に排泄された(外国人のデータ)。
5. 腎機能障害患者4)
軽度から重度の腎機能障害を有する造血器腫瘍患者(10名)に本剤1.2mg/kgを投与したとき、重度の腎機能障害患者(3名)におけるMMAEのAUC及びCmaxは腎機能正常患者より約1.9及び2.1倍高値であった(外国人のデータ)。(表2)
6. 肝機能障害患者4)
軽度から重度の肝機能障害を有する造血器腫瘍患者(7名)に本剤1.2mg/kgを投与したとき、肝機能障害患者におけるMMAEのAUC及びCmaxは肝機能正常患者より約2.3及び1.7倍高値であった(外国人のデータ)。(表3)
表1 本剤の薬物動態パラメータ
投与量※ 投与回数 Cmax
(μg/mL) AUC0-τ
(day・μg/mL) t1/2
(day)
1.2mg/kg
n=3 1 18.89
(34) 40.17
(29) 4.94
(41)
1.2mg/kg
n=3 2 20.31
(40) 44.94
(47) 5.06
(65)
1.8mg/kg
n=3 1 31.47
(9.6) 66.76
(1.5) 7.42
(49)
1.8mg/kg
n=3 2 29.60
(13) 71.42
(13) 7.29
(13)
幾何平均(%変動係数)
※本剤の承認用量は1.8mg/kgを3週間に1回投与である。(【用法・用量】の項参照)
表2 MMAEの薬物動態パラメータ
パラメータ 腎機能障害
軽度(n=4) 腎機能障害
中等度(n=3) 腎機能障害
重度(n=3) 総計
(n=10)
AUC0-∞ 0.85 1.09 1.90 1.16
Cmax 0.78 0.92 2.07 1.10
腎機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比。
腎機能障害(クレアチニンクリアランス値):軽度(>50~80mL/min)、中等度(30~50mL/min)、重度(<30mL/min)
表3 MMAEの薬物動態パラメータ
パラメータ 肝機能障害
軽度(n=1) 肝機能障害
中等度(n=5) 肝機能障害
重度(n=1) 総計
(n=7)
AUC0-∞ 3.51 2.21 1.77 2.29
Cmax 2.79 1.63 1.21 1.68
肝機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比。
肝機能障害(Child-Pugh分類):軽度(A)、中等度(B)、重度(C)
臨床成績
1. 国内臨床試験7)
再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)を対象とした国内第I/II相試験の第II相パートでは、それぞれ9例及び5例に本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は表4のとおりであった。
2. 外国臨床試験9)
<ホジキンリンパ腫(第II相試験、SG035-0003試験)>
再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫患者(自家造血幹細胞移植後)102例に本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は表5のとおりであった。
<全身性未分化大細胞リンパ腫(第II相試験、SG035-0004試験)>
再発又は難治性のCD30陽性の全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)58例に本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は表5のとおりであった。
表4 国内試験成績(第II相パート)(中央判定)
ホジキンリンパ腫
(N=9) 全身性未分化大細胞リンパ腫
(N=5)
完全寛解(CR)
n(%) 5(56) 4(80)
部分寛解(PR)
n(%) 1(11) 1(20)
奏効率(CR+PR)
(95%信頼区間) 67%
(29.9, 92.5) 100%
(54.9, 100.0)
表5 外国第II相試験成績(中央判定)
ホジキンリンパ腫
(N=102) 全身性未分化大細胞リンパ腫
(N=58)
完全寛解(CR)
n(%) 34(33) 34(59)
部分寛解(PR)
n(%) 42(41) 16(28)
奏効率(CR+PR)
(95%信頼区間) 75%
(64.9, 82.6) 86%
(74.6, 93.9)
薬効薬理
1. 作用機序10)
ブレンツキシマブ ベドチンは、細胞障害活性を有するMMAEと抗CD30IgG1型キメラ抗体をプロテアーゼで切断されるリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。本剤の腫瘍増殖抑制作用は、まずCD30発現細胞にADCが結合し、ADC-CD30複合体として細胞内に取り込まれた後、蛋白質分解反応によってMMA