n;8.1ng/mLに比し有意に低かったが、Tmax、T1/2β、AUCに有意な差は認められなかった。
2. 蛋白結合率1)
健康成人男子(n=3)にミルナシプラン塩酸塩100mg注)を食後単回経口投与したときの血漿蛋白結合率(限外濾過法)は、投与2時間後36.3%、投与9時間後38.5%であった。
3. 代謝、排泄1)
健康成人男子(n=5)にミルナシプラン塩酸塩50mgを食後単回経口投与し、代謝及び排泄について検討した結果、血漿中及び尿中ともに未変化体が最も多く検出され、その他にグルクロン酸抱合体、脱エチル体及び脱エチルグルクロン酸抱合体が認められた。尿中には、投与後48時間までに未変化体と代謝物を合わせて約85%が排泄された。
4. 腎機能・肝機能障害患者における血中濃度〈参考:外国人のデータ〉4),5)
腎機能障害患者(n=8)にミルナシプラン塩酸塩50mgを空腹時注)単回経口投与したときの血漿中濃度は、健康成人(n=6)に比し高く推移し、AUC及びT1/2βなどの薬物動態パラメータに有意な差が認められた。
対象:腎機能障害患者
Tmax(hr):1.9±0.6
Cmax(ng/mL):190.0±21.8
T1/2β(hr):15.0±2.4※
AUC0-∞(ng・hr/mL):3,102±430※
対象:健康成人
Tmax(hr):1.9±0.4
Cmax(ng/mL):146.7±10.7
T1/2β(hr):8.3±0.9
AUC0-∞(ng・hr/mL):1,363±142
Mean±S.E.
※:P<0.05(t検定)
肝機能障害患者(n=11)にミルナシプラン塩酸塩50mgを食後単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人(n=6)に比し有意な差は認められなかったが、Cmaxの上昇、AUCの増加、T1/2βの延長が認められた。
対象:肝機能障害患者
Tmax(hr):2.7±1.4
Cmax(ng/mL):170±60
T1/2β(hr):10.0±3.1
AUC0-∞(ng・hr/mL):1,902±688
対象:健康成人
Tmax(hr):2.0±0.9
Cmax(ng/mL):135±18
T1/2β(hr):8.3±1.7
AUC0-∞(ng・hr/mL):1,360±296
Mean±S.D.
注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。」である。
臨床成績
1. 承認時までの試験
精神科領域及び内科・心療内科領域における、うつ病・うつ状態患者を対象とした承認時までの臨床試験(二重盲検比較試験を含む)をまとめた改善率(中等度改善以上)は56.4%(137/243)であった。また、そのうち65歳以上の高齢者における改善率(中等度改善以上)は59.1%(13/22)であった6~13)。
イミプラミン塩酸塩9)及びミアンセリン塩酸塩10)を対照とした二重盲検比較試験における有効性は下記のとおりであり、同等とみなしうる臨床的に許容できる改善率の差を10%とすると、本剤(ミルナシプラン塩酸塩)はイミプラミン塩酸塩と同等と判断できなかったが、ミアンセリン塩酸塩とは同等と判断された。
薬剤名:投与量(開始用量→最高用量)
ミルナシプラン塩酸塩群:50mg/日→150mg/日注)
イミプラミン塩酸塩群:50mg/日→150mg/日
ミルナシプラン塩酸塩群:50mg/日→100mg/日
ミアンセリン塩酸塩群:30mg/日→60mg/日
薬剤名:全般改善度における「中等度改善以上」の改善率(症例数)
ミルナシプラン塩酸塩群:58.1%(36/62)
イミプラミン塩酸塩群:56.3%(36/64)
ミルナシプラン塩酸塩群:48%(40/83)
ミアンセリン塩酸塩群:39%(37/95)
薬剤名:改善率の差の90%信頼区間
ミルナシプラン塩酸塩群:-14.3%~17.9%
イミプラミン塩酸塩群:-14.3%~17.9%
ミルナシプラン塩酸塩群:-3.0%~21.5%
ミアンセリン塩酸塩群:-3.0%~21.5%
注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。」である。
2. 承認条件に基づく市販後臨床試験
市販後に実施したイミプラミン塩酸塩を対照とした二重盲検比較試験14)において、最終全般改善度「中等度改善以上」の改善率における本剤(ミルナシプラン塩酸塩)群のイミプラミン塩酸塩群に対する非劣性(非劣性限界値Δ=10%)は検証されなかった。なお、1週時全般改善度「軽度改善以上」の改善率における本剤高用量開始群の低用量開始群に対する優越性も検証されなかった。
薬剤名:投与量(開始用量→最高用量)
ミルナシプラン塩酸塩
低用量開始群:25mg/日→100mg/日
高用量開始群:50mg/日→100mg/日
対照薬
イミプラミン塩酸塩群:50mg/日→150mg/日
薬剤名:平均投与量±標準偏差
ミルナシプラン塩酸塩
低用量開始群:73.2±36.0mg/日
高用量開始群:80.6±24.4mg/日
対照薬
イミプラミン塩酸塩群:87.9±38.3mg/日
薬剤名:最終全般改善度における「中等度改善」以上の改善率(症例数)
ミルナシプラン塩酸塩
低用量開始群:61.2%(180/294)
高用量開始群:55.8%(163/292)
対照薬