(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
牛乳タンパクアレルギーを有する患者〔本剤には牛乳由来のタンパク質が含まれているため,ショック,アナフィラキシーを引き起こすことがある.〕
3.
イレウスのある患者〔消化管の通過障害がある.〕
4.
腸管の機能が残存していない患者〔水,電解質,栄養素などが吸収されない.〕
5.
高度の肝・腎障害のある患者〔肝性昏睡,高窒素血症などを起こすおそれがある.〕
6.
重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者〔高血糖,高ケトン血症などを起こすおそれがある.〕
7.
先天性アミノ酸代謝異常の患者〔アシドーシス,嘔吐,意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある.〕
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する.
効能又は効果に関連する使用上の注意
経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には,速やかに経口食にきりかえること.
用法及び用量
通常,標準量として成人には1日1,000~1,667mL(1,200~2,000kcal)を経管又は経口投与する.経管投与では本剤を1時間に62.5~104mL(75~125kcal)の速度で持続的又は1日数回に分けて投与する.経口摂取可能な場合は1日1回又は数回に分けて経口投与することもできる.
ただし,通常,初期量は333mL/日(400kcal/日)を目安とし,低速度(約41.7mL/時間(50kcal/時間)以下)で投与する.以後は患者の状態により徐々に増量し標準量とする.なお,年齢,体重,症状により投与量,投与濃度,投与速度を適宜増減する.特に投与初期は,水で希釈して投与することも考慮する.
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤は,経腸栄養剤であるため,静脈内へは投与しないこと.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
短腸症候群の患者(下痢の増悪をきたすおそれがある.)
2.
急性膵炎の患者(膵炎が増悪するおそれがある.)
3.
水分の補給に注意を要する下記患者(下記の患者では水分バランスを失いやすい.)
(1)
意識不明の患者
(2)
口渇を訴えることのできない患者
(3)
高熱を伴う患者
(4)
重篤な下痢など著しい脱水症状の患者
重要な基本的注意
1.
本剤を術後に投与する場合,胃,腸管の運動機能が回復し,水分の摂取が可能になったことを確認すること.
2.
本剤の臨床試験において2週間を超える時期での効果は確認されていない.
3.
ビタミン,電解質(ナトリウムなど)及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること.
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
ワルファリンの作用が減弱することがある.
機序・危険因子
フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗する.(本剤はフィトナジオンを29μg/250mL含有する.)
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時
成人患者を対象とした第III相比較試験において,安全性評価対象59例中43例(72.9%)に副作用がみられた.主な副作用は下痢24例(40.7%),便秘9例(15.3%),腹部膨満6例(10.2%),腹痛5例(8.5%)等の消化器症状及び低ナトリウム血症4例(6.8%),高カリウム血症3例(5.1%)であった.主な臨床検査値の異常はγ-グルタミルトランスフェラーゼ増加が5例(8.5%),血中アルカリホスファターゼ増加が4例(6.8%)であった.
重大な副作用(類薬)
ショック,アナフィラキシー
他の経腸栄養剤において,ショック,アナフィラキシーが報告されているので,観察を十分に行い,血圧低下,意識障害,呼吸困難,チアノーゼ,悪心,胸内苦悶,顔面潮紅,そう痒感,発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
その他の副作用
観察を十分に行い,以下のような副作用があらわれた場合には,減量,投与速度の減少,投与濃度の低下又は投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.
消化器
5%以上
下痢(40.7%),便秘(15.3%),腹部膨満(10.2%),腹痛
消化器
0.1~5%未満
腹水,悪心,門脈ガス血症
代謝・栄養
5%以上
低ナトリウム血症,高カリウム血症
肝臓
0.1~5%未満
肝機能異常
呼吸器
0.1~5%未満
乳び胸
臨床検査値の異常変動
血液
5%以上
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加,血中アルカリホスファターゼ増加
血液
0.1~5%未満
血中カリウム増加,アラニンアミノトランスフェラーゼ増加,血中ブドウ糖増加,好酸球数増加,肝機能検査異常
尿
0.1~5%未満
尿量減少
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので,投与量,投与濃度,投与速度に注意して投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
外国において,妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月までにビタミンAを10,000IU(3,000μgRE)/日以上摂取した女性から出生した児に,頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)があるので,妊娠3カ月以内又は妊娠を希望する婦人に投与する場合は,用法・用量に留意し,本剤によるビタミンAの投与は5,000IU(1,500μgRE)/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと.
小児等への投与
小児の栄養所要量は成人と異なるため小児に対する本剤の有効性・安全性は確立していない(使用経験がない).
適用上の注意
1. 投与に際して
投与初期には,特に観察を十分に行い,下痢などの副作用が認められた場合には,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
2. 投与方法
(1)
分割投与の開始時又は持続的投与の数時間ごとに,胃内容物の残存を確認すること.
(2)
経管投与においては,分割投与の終了ごと,あるいは持続的投与の数時間ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること.
(3)
開缶直前によく振ってから使用すること.