を行うこと。
注3)観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者での体内薬物動態試験で、血中濃度が上昇し、薬物の消失が遅延する傾向が認められているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は主に高齢者において報告されているので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[ラットに経口投与した実験で、胎児への移行(胎児中濃度は母体血液中濃度と同程度)が報告されている。]
2.
動物における周産期及び授乳期投与試験で、死産児の増加等が報告されている。
3.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[ラットに経口投与した実験で、乳汁への移行(乳汁中濃度は血漿中濃度の3倍)が報告されている。]
小児等への投与
1.
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
2.
本剤の小児に対する有効性及び安全性を検証するための試験は行われていない。
3.
類薬において、海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害(DSM-IV※における分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。
※DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
過量投与
徴候・症状
外国において、本剤800mg~1gで、嘔吐、呼吸困難(無呼吸期)、頻脈がみられている。1.9~2.8gを他の薬剤(特にベンゾジアゼピン系薬剤)と併用した場合、傾眠、高炭酸血症、意識障害がみられている。
処置
特異的な解毒剤は知られていない。できるだけ速やかに胃洗浄、活性炭投与等の適切な処置を行うこと。
適用上の注意
1. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
2. 服用時
空腹時に服用すると嘔気、嘔吐が強く出現するおそれがあるので、空腹時の服用は避けさせること。
その他の注意
1.
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
2.
主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与1,2)
健康成人男子にミルナシプラン塩酸塩12.5~100mg注)(各n=5)を食後単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度は、2~3時間後に最高値に達し、半減期約8時間で漸減した。薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
投与量:12.5mg
Tmax(hr):2.0±0.7
Cmax(ng/mL):40.8±6.4
T1/2β(hr):7.9±1.5
AUC0-24(ng・hr/mL):314.2±17.1
投与量:25mg
Tmax(hr):2.0±0.0
Cmax(ng/mL):74.7±9.4
T1/2β(hr):8.2±1.0
AUC0-24(ng・hr/mL):601.0±61.6
投与量:50mg
Tmax(hr):2.6±1.1
Cmax(ng/mL):161.9±25.2
T1/2β(hr):8.2±1.3
AUC0-24(ng・hr/mL):1253.4±227.1
投与量:100mg注)
Tmax(hr):2.6±0.9
Cmax(ng/mL):326.9±64.0
T1/2β(hr):7.9±1.3
AUC0-24(ng・hr/mL):2532.1±396.2
Mean±S.D.
また、健康高齢者男子(66~76歳、n=8)にミルナシプラン塩酸塩15mgを食後単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度(AUC)は健康成人男子(n=8)に比し、有意な増加が認められた。薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
対象:健康高齢者
Tmax(hr):3.0±1.2
Cmax(ng/mL):45.1±11.4
T1/2β(hr):9.2±1.7
AUC0-24(ng・hr/mL):455.2±97.6※
対象:健康成人
Tmax(hr):2.4±0.5
Cmax(ng/mL):39.3±8.1
T1/2β(hr):7.8±1.1
AUC0-24(ng・hr/mL):344.7±49.5
Mean±S.D.
※:P<0.05(t検定)
(2) 反復投与1)
健康成人男子(n=4)にミルナシプラン塩酸塩25mgを1日2回8日間、食後反復経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移から、定常状態に達するのは5日目と考えられた。また、最終投与時のCmaxは初回投与時の約1.4倍に上昇したが、Tmax、T1/2βに変化は認められなかった。
(3) 食事の影響3)
健康成人男子(n=8)にミルナシプラン塩酸塩15mgを空腹時注)及び食後に単回経口投与し、食事の影響を検討した結果、空腹時投与時のCmaxは32.3±7.3ng/mLと食後投与時の39.3±8.1ng/mLに比し有意に低かったが、Tmax