効能又は効果/用法及び用量
うつ病・うつ状態
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
2.
本剤の有効性は、四環系抗うつ薬(ミアンセリン塩酸塩)と同等と判断されているものの、三環系抗うつ薬(イミプラミン塩酸塩)との非劣性は検証されていないため、投与に際しては、リスクとベネフィットを勘案すること。[「臨床成績」の項参照]
3.
類薬において、海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。[「小児等への投与」の項参照]
用法及び用量
通常、成人には、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
排尿困難のある患者[本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、症状を悪化させるおそれがある。]
2.
緑内障又は眼内圧亢進のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
3.
心疾患のある患者[血圧上昇、頻脈等があらわれ、症状を悪化させるおそれがある。]
4.
高血圧のある患者[高血圧クリーゼがあらわれることがある。]
5.
肝障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。]
6.
腎障害のある患者[外国における腎機能障害患者での体内薬物動態試験で、高い血中濃度が持続する傾向が認められているので、投与量を減じて使用すること。]
7.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
8.
躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
9.
自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
10.
脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
11.
衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
12.
小児[「小児等への投与」の項参照]
13.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
2.
不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
3.
自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
4.
家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
5.
**眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。
6.
高血圧クリーゼ、血圧上昇があらわれることがあるので、適宜血圧・脈拍数等を測定し、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止するなど適切な処置を行うこと。特に、高血圧又は心疾患のある患者に対しては定期的に測定すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩(エフピー))
臨床症状・措置方法
他の抗うつ剤で併用により発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等の症状があらわれることが報告されている。モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときは2~3日間の間隔をおくことが望ましい。
機序・危険因子
主にモノアミン酸化酵素阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられている。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
他の抗うつ剤で相互に作用を増強することが報告されている。
機序・危険因子
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
2. 薬剤名等
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
機序は不明。
3. 薬剤名等
降圧剤(クロニジン等)
臨床症状・措置方法
降圧剤の作用を減弱する可能性があるので、観察を十分に行うこと。
機序・危険因子
本剤のノルアドレナリン再取り込み阻害作用によると考えられる。
4. 薬剤名等
炭酸リチウム
臨床症状・措置方法
他の抗うつ剤で併用によりセロトニン症候群があらわれることが報告されている。
機序・危険因子
機序は不明。
5. 薬剤名等
5-HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタンコハク酸塩等)
臨床症状・措置方法
他の抗うつ剤で併用により高血圧、冠動脈収縮があらわれることが報告されている。
機序・危険因子
本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用によりセロトニン作用が増強するおそれがある。
6. 薬剤名等
*メチルチオニニウム塩化物水和物