薬(チモロールマレイン酸塩点眼液)でアドレナリンの散瞳作用が助長されたとの報告がある。
機序・危険因子
アドレナリンのβ作用のみが遮断され、α作用が優位になる。
副作用
副作用等発現状況の概要
(国内臨床試験)
本剤1%を用いた国内の臨床試験において74例中9例(12.2%)に副作用が認められている。眼科的には霧視、そう痒感、乾燥感、結膜充血、結膜浮腫、眼脂が各1件(1.4%)、全身的にはめまい2件(2.7%)、頭痛、嘔気、皮膚炎が各1件(1.4%)であった。(承認時)
(海外臨床試験)
海外の臨床試験において218例中12例(5.5%)に副作用が認められている。眼科的には点状角膜炎3件(1.4%)、眼刺激1件(0.5%)、全身的には苦味4件(1.8%)、めまい2件(0.9%)、徐脈、息切れが各1件(0.5%)であった。(承認時)
(製造販売後調査・試験)
国内の製造販売後調査・試験において515例中16例(3.1%)に副作用が認められている。主な副作用は、眼科的には眼瞼炎、角膜障害(角膜炎、角膜びまん性混濁、角膜びらん等)が各4件(0.8%)、眼刺激症状(しみる感じ、疼痛、灼熱感、かゆみ、乾燥感等)3件(0.6%)、全身的には頭痛2件(0.4%)であった。(再審査終了時)
(参考)ミケラン点眼液1%・2%の臨床試験及び使用成績調査より
調査症例3,440例中148例(4.30%)に副作用が認められている(承認時及び再審査終了時)。
本剤及びミケラン点眼液1%・2%で報告されている副作用は次のとおりである。
以下の副作用には別途市販後に報告された頻度の算出できない副作用を含む。
重大な副作用
1. 喘息発作(頻度不明*)
喘息発作を誘発することがあるので、咳・呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 失神(頻度不明*)
高度な徐脈に伴う失神があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症(頻度不明*)
房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
類薬で、眼類天疱瘡、脳虚血、脳血管障害、全身性エリテマトーデス(頻度不明*)の報告がある。
*:自発報告、海外又は類薬において認められた副作用のため頻度不明。
その他の副作用
1. 眼
0.1~5%未満
眼刺激症状(しみる感じ、疼痛、灼熱感、かゆみ、乾燥感等)、霧視、異物感、眼脂、結膜炎、眼瞼炎、眼瞼腫脹、羞明感、角膜障害(角膜炎、角膜びまん性混濁、角膜びらん等)、視力異常
2. 眼
0.1%未満
眼瞼発赤等
3. 眼
頻度不明*
眼底黄斑部の浮腫・混濁注1)
4. 循環器
0.1~5%未満
徐脈、不整脈、動悸
5. 循環器
0.1%未満
胸痛等
6. 循環器
頻度不明*
低血圧
7. 呼吸器
0.1~5%未満
呼吸困難、咳
8. 呼吸器
0.1%未満
咽喉頭症状(違和感等)
9. 呼吸器
頻度不明*
鼻症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)
10. その他
0.1~5%未満
頭痛、不快感、倦怠感、めまい、悪心、味覚異常(苦味等)、皮膚炎、発疹
11. その他
頻度不明*
血糖値の低下、筋肉痛、こわばり(四肢等)、脱力感、抑うつ、重症筋無力症の増悪注2)
注1)無水晶体眼又は眼底に病変のある患者等に長期連用してあらわれることがあるので、定期的に視力測定、眼底検査を行うなど観察を十分に行うこと。
注2)類薬で発現したとの報告がある。
注)副作用の項に記載の頻度は、原則として本剤とミケラン点眼液1%・2%のうち、発現頻度の高い方の値に基づく。
*:自発報告、海外又は類薬において認められた副作用のため頻度不明。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、投与する場合は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。(ミケラン点眼液1%・ 2%を食事摂取不良等体調不良の状態の患児に投与した症例で低血糖が報告されている。低血糖症状があらわれた場合には、経口摂取可能な状態では角砂糖、あめ等の糖分の摂取、意識障害、痙攣を伴う場合には、ブドウ糖の静注等を行い、十分に経過観察すること。)
適用上の注意
1. 投与経路
点眼用にのみ使用すること。
2. 投与時
(1)
点眼に際して、患者は原則として仰向けの状態になり、患眼を開瞼し結膜嚢内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫した後開瞼すること。
(2)
点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
薬物動態
1. ※※血漿中濃度
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症の患者(14例)に本剤2%(7例)又はミケラン点眼液2%(7例)を両眼に1滴単回点眼後の最高血漿中カルテオロール濃度(平均値±標準誤差)はそれぞれ1.727±0.651ng/mL(点眼2時間後)及び1.180±0.384ng/mL(点眼30分後)であった1)。
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症の患者(24例)に本剤2%(両眼に1日1回、12例)又はミケラン点眼液2%(両眼に1日2回、12例)を8週間点眼後の血漿中カルテオロール濃度(平均値±標準偏差)は、それぞれ1.669±0.726ng/mL及び3.198±1.500ng/mL(点眼2時間後)であった2)。
外国人のデータにおいて、原発開放隅角緑内障又は高眼圧症の患者(22例)に本剤2%(1日1回)又はミケラン点眼液2%(1日2回)をクロスオーバー法により9週間反復