メータはほぼ同等であり、蓄積性は認められなかった。
5. 高齢者での試験9)
65歳以上の健康成人男子にバルサルタン80mgを単回経口投与したときの血漿中の未変化体濃度推移は、65歳未満の健康成人男子に投与した場合に比べてCmaxが1.2倍、AUCが1.7倍高く、AUC及び消失半減期において有意な差(P<0.05)が認められた。(外国人のデータ)
臨床成績
二重盲検比較試験を含め、国内で実施した臨床試験成績の概要は次のとおりである。
臨床試験成績
1)
国内で実施された臨床試験における臨床効果の概要は次のとおりである。
なお、本態性高血圧症(軽症~中等症)患者を対象とした二重盲検比較試験で、本剤の有用性が認められている。
下降(降圧率)
「判定不能」を含む
本態性高血圧症:74.1%(366/494)
腎障害を伴う高血圧症10):82.8%(24/29)
重症高血圧症11):77.4%(24/31)
合計:74.7%(414/554)
下降(降圧率)
「判定不能」を除く
本態性高血圧症:79.7%(366/459)
腎障害を伴う高血圧症10):82.8%(24/29)
重症高血圧症11):85.7%(24/28)
合計:80.2%(414/516)
2) 長期投与試験12)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、1日1回20~160mgを52週間経口投与した際、本剤単独療法、利尿剤併用療法及びCa拮抗薬併用療法のいずれにおいても耐薬性を認めることなく、安定した降圧作用が維持された。
下降(降圧率)
「判定不能」を含む
単独療法:64.3%(45/70)
利尿降圧薬併用:77.3%(17/22)
Ca拮抗薬併用:66.7%(8/12)
合計:67.3%(70/104)
下降(降圧率)
「判定不能」を除く
単独療法:78.9%(45/57)
利尿降圧薬併用:77.3%(17/22)
Ca拮抗薬併用:66.7%(8/12)
合計:76.9%(70/91)
3) 循環動態に及ぼす影響13)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、1日1回40~160mgを12~36週間経口投与した際、心ポンプ機能に有意な変動を認めず、末梢血管抵抗を減少させ安定した降圧作用を示した。
4) 血清脂質・糖代謝に及ぼす影響14)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、1日1回40~160mgを12週間経口投与した際、血清脂質・糖代謝に有意な変動を認めず、良好な降圧効果を示した。
薬効薬理
バルサルタンはアンジオテンシンII受容体のサブタイプであるAT1受容体に結合し、昇圧系として作用するアンジオテンシンIIに対して拮抗することによって降圧作用をあらわす。
(1) 降圧作用
1)
バルサルタンは経口投与により、腎性高血圧ラット、自然発症高血圧ラット(SHR)、ナトリウム枯渇マーモセットの血圧を用量依存的に下降させるが、DOCA/salt型高血圧ラットの血圧には影響を及ぼさない。
2)
バルサルタンは連続(4週)経口投与後に休薬しても、腎性高血圧ラット、自然発症高血圧ラット(SHR)において、リバウンド現象を示さない。
3)
バルサルタンは長期連続(44週)経口投与により、脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)の血圧を持続的に下降させるが、心拍数の著変を示さない。また、長期連続(48週)経口投与により、大動脈血管の肥厚を抑制する。
(2) 血行動態並びに心臓に及ぼす作用
1)
バルサルタンは経口投与により、自然発症高血圧ラット(SHR)の臓器血流量を減少させることなく、腎血流量を有意に増加する。
2)
バルサルタンは連続(4週)経口投与により虚血性心不全モデルラットの心肥大を、長期連続(48週)経口投与により脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)の心肥大を抑制する。
(3) 腎機能に及ぼす作用
バルサルタンは連続経口投与により、腎部分除去ラット(6週)及び脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)(32週、40週、44週)の腎障害の悪化を抑制する。
(4) 作用機序
バルサルタンはアンジオテンシンII受容体のサブタイプであるAT1受容体に選択的に結合し、昇圧系として作用するアンジオテンシンIIに対して受容体レベルでは競合的に拮抗することが明らかにされている。
1)
バルサルタンはラット大動脈平滑筋において、AT1受容体に対するアンジオテンシンIIの結合を競合的に阻害する。15)また、AT1受容体以外の受容体に対してほとんど親和性を示さない。
2)
バルサルタンはウサギ摘出大動脈リング標本において、ノルアドレナリン、セロトニン及び塩化カリウムによる収縮に対しては抑制作用を示さず、アンジオテンシンIIによる収縮を特異的に抑制する。16)
3)
バルサルタンは経口投与により、脊髄破壊ラットにおける交感神経刺激及びノルアドレナリンによる昇圧反応の抑制作用を示さず、アンジオテンシンIIによる昇圧反応を特異的に抑制する。16)
4)
バルサルタンはウシ副腎球状層細胞におけるアンジオテンシンIIによるアルドステロンの産生を有意に抑制する。16)
5)
バルサルタンはヒト気管支上皮細胞のACE活性とブラジキニン分解に影響を及ぼさない。
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
バルサルタン(Valsartan)
化学名
(2S)-3-Methyl-2-(N-{[2'-(1H-tetrazol-5-yl)biphenyl-4-yl]methyl}pentanamido)butanoic acid
分子式
C24H29N5O3
分子量
435.52
性状
白色の粉末である。メタノール、エタノール(99.5)に極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。
包装
ディオバン錠20mg:140錠(PTP)
ディオバン錠40mg:140錠(PTP)、700錠(PTP)、500錠(バラ)
ディオバン錠80mg:140錠(PTP)、500錠(PTP)、700錠(PTP)、500錠(バラ)
ディオバン錠160mg:100錠(PTP)、140錠(PTP)、300錠(PTP)、700錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
The Joint National Committee on Prevention,Detection,eva luation,and Treatment of High Blood Pressure:Arch.Intern.Med.157(21),2413,1997〔DIOS004