サルタンとして、体重35kg未満の場合、20mgを、体重35kg以上の場合、40mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は、体重35kg未満の場合、40mgとする。
用法及び用量に関連する使用上の注意
国内においては小児に対して、1日80mgを超える使用経験がない。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者(「重要な基本的注意」1.の項参照)
2.
高カリウム血症の患者(「重要な基本的注意」2.の項参照)
3.
重篤な腎機能障害のある患者〔腎機能障害を悪化させるおそれがあるため、血清クレアチニン値が3.0mg/dL1)以上の場合には、投与量を減らすなど慎重に投与すること。〕(「小児等への投与」の項参照)
4.
肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者〔本剤は主に胆汁中に排泄されるため、これらの患者では血中濃度が上昇するおそれがあるので用量を減らすなど慎重に投与すること。外国において、軽度~中等度の肝障害患者でバルサルタンの血漿中濃度が、健康成人と比較して約2倍に上昇することが報告されている。〕
5.
脳血管障害のある患者〔過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。〕
6.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。
2.
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
3.
アリスキレンを併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。(「相互作用」の項参照)
4.
本剤の投与によって、初回投与後、一過性の急激な血圧低下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがあるので、そのような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、特に次の患者では低用量から投与を開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。
(1)
血液透析中の患者
(2)
利尿降圧剤投与中の患者〔特に重度のナトリウムないし体液量の減少した患者(まれに症候性の低血圧が生じることがある)〕
(3)
厳重な減塩療法中の患者
5.
本剤を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
6.
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
7.
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
アリスキレン
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
機序・危険因子
併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
2. 薬剤名等
*アンジオテンシン変換酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
機序・危険因子
併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
3. 薬剤名等
カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)
カリウム補給製剤(塩化カリウム)
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
機序・危険因子
本剤のアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。
危険因子:腎機能障害
4. 薬剤名等
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
機序・危険因子
本剤による血清カリウム値の上昇とドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によると考えられる。
危険因子:腎障害患者、血清カリウム値の高い患者
5. 薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム濃度に注意する。
機序・危険因子
高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
6. 薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤(インドメタシン等)
臨床症状・措置方法
本剤の降圧作用が減弱することがある。
機序・危険因子
NSAIDs・COX-2選択的阻害剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用が減弱することがある。
7. 薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤(インドメタシン等)
臨床症状・措置方法
腎機能を悪化させるおそれがあるので、併用する場合には腎機能を十分に観察すること。
機序・危険因子
NSAIDs・COX-2選択的阻害剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
危険因子:高齢者
8. 薬剤名等
ビキサロマー
臨床症状・措置方法