査の結果を合わせて算出した。
注2)国内の自発報告で認められている副作用は頻度不明とした。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
動物実験で胎盤を通過することが報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
動物実験で乳汁中に移行することが報告されているので、授乳中の婦人には授乳を避けさせること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない (使用経験がない)。
適用上の注意
1. 投与経路
点眼用にのみ使用すること。
2. 投与時
患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
(1)
使用時、キャップを閉じたままよく振ってからキャップを開けて点眼すること。
(2)
点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
(3)
点眼に際しては、原則として仰臥位をとり、患眼を開瞼して結膜のう内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙のう部を圧迫させた後、開瞼すること。
(4)
他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも10分以上間隔をあけてから点眼すること。
(5)
*本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、点眼時はコンタクトレンズをはずし、15分以上経過後装用すること1)。
薬物動態
日本人の健常志願者 (男女) の両眼に本剤を1回1滴、1日2回、12週間点眼した時の赤血球中におけるブリンゾラミド濃度は18.4μmol/L、主代謝物であるN-デスエチルブリンゾラミド濃度は定量限界 (0.16μg/mL) 以下であり、赤血球中全炭酸脱水酵素 (CA) 及びII型炭酸脱水酵素 (CA-II) 活性は、それぞれ投与前の約51%及び約24%であった。また、赤血球中薬物濃度及びCA活性に性差は認められなかった2)。
(参考)
(1)
外国人の中程度腎障害患者 (クレアチニンクリアランス値: 30~60mL/min/1.73m2) にブリンゾラミド1mgを1日2回60週間経口投与した時、定常状態における赤血球中のブリンゾラミド及び主代謝物であるN-デスエチルブリンゾラミドの濃度は29.6μmol/L及び42.3μmol/Lであり、赤血球中全CA及びCA-II活性は投与前の約24%及び約3%であった3)。
(2)
外国人の緑内障患者の両眼に本剤を1回1滴、1日2回又は1日3回、18ヵ月間点眼した時の赤血球中ブリンゾラミド濃度は、両投与方法で17.1μmol/Lであり、N-デスエチルブリンゾラミド濃度は2.52μmol/L (1日2回) 及び5.85μmol/L (1日3回) であった。また、18ヵ月後の赤血球中全CA活性は、投与前の約45% (1日2回) 及び約49% (1日3回) であり、両投与方法の間で有意な差はなかった。赤血球中のCA-II活性は、3ヵ月後では約41% (1日2回) 及び約28% (1日3回) であったが、18ヵ月後では約18% (1日2回) 及び約23% (1日3回) で両投与方法間で有意な差は認められなかった4), 5)。
臨床成績
1. 国内で実施された臨床試験6)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者68例を対象とし、無作為化非盲検法で実施した用量反応試験において、眼圧下降率は、0.25%群13.4%、0.5%群14.9%、1%群17.9%、2%群18.2%で、有意な用量反応性が認められ、眼圧下降効果は1%群でプラトーに達していた。
2. 外国で実施された臨床試験
(1)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とし、二重盲検法で実施した用量反応試験において、眼圧下降率は、プラセボ群4.8%、0.3%群11.9%、1%群16.1%、2%群16.1%、3%群15.4%で、有意な用量反応性が認められ、眼圧下降効果は1%群でプラトーに達していた7)。
(2)
開放隅角緑内障又は高眼圧症を対象とした、ドルゾラミド塩酸塩2%点眼液との二重盲検比較試験において、本剤1日2回単独投与時の眼圧下降値は、3.4~5.7mmHg (各測定時点における平均値) であり、ドルゾラミド塩酸塩2%点眼液と同等 (非劣性) であった8), 9)。チモロールマレイン酸塩0.5%点眼液との併用療法による開放隅角緑内障又は高眼圧症を対象としたドルゾラミド塩酸塩2%点眼液との二重盲検比較試験において、本剤1日2回投与時の眼圧下降値は、3.6~5.3mmHg (各測定時点における平均値) であり、ドルゾラミド塩酸塩2%点眼液と同等 (非劣性) であった10)。本剤の眼圧下降効果は、18ヵ月間の長期投与においても減弱しなかった5)。
(3)
本剤単独投与時の眼圧下降値は、1日2回投与で3.4~5.7mmHg (各測定時点における平均値)、1日3回投与で4.1~5.6mmHg (各測定時点における平均値) と同等 (非劣性) であったが、1日3回投与の効果が若干高かった8), 9)。
薬効薬理
1. 眼圧下降作用11)
レーザー線維柱帯形成術によって高眼圧症を誘発された12匹のカニクイザルにおいて、ブリンゾラミド1%懸濁液を1日2回点眼したところ、投与1、3、6及び12時間後の眼圧は24.7%、35.8%、26.5%及び23.5%下降した。
2. 炭酸脱水酵素阻害作用12)
本剤はII型炭酸脱水酵素 (CA-II) に親和性が高く、I型炭酸脱水酵素に比べ約95倍の結合能を示した。
3. 作用機序13)~16)
炭酸脱水酵素 (CA) は多くの全身組織に存在し、CO2の加水反応及び炭酸の脱水という可逆性の反応を触媒する。ヒトの眼には複数の炭酸脱水酵素アイソザイムが存在するが、ブリンゾラミドは最も活性の高いCA-IIを選択的に阻害する。ブリンゾラミドは眼の毛様体中のCA-IIを阻害し、HCO3-の生成速度を低下させ、それに伴い、Na+及び水の後房への輸送を抑えることにより房水の分泌を抑制し、その結果眼圧を下げると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ブリンゾラミド (brinzolamide)
化学名
(R )-4-(ethylamino)-3,4-dihydro-2-(3-methoxypropyl)-2H -thieno[3,2,e ]-1,2-thiazine-6-sulfonamide 1,1-dioxide
構造式
分子式
C12H21N3O5S3
分子量
383.51
融点
約131℃
性状
白色~微黄白色の結晶又は結晶性粉